「んで? あんたはどういう銃がいいんだよ?」
「あー…。銃のこととかよくわかんないんだよな」
今俺はペイルライダーに連れられて銃を売ってるとこに来た。
どうやらここは個人店のようだがペイルライダーの行きつけの店らしいのだ。
なんかよくわからん銃がたくさんあって混乱する。
(アサルトライフルくらいならわかるがなんだこの三点バースト機能ってどういう意味なんだよ)
銃が並べられているものの前に『三点バースト』と書かれた標識のようなものがたっている。
本当に三点バーストってなんだろう? アサルトライフルのコーナーにあるからアサルトライフルなんだろうが…。
(あとハンドガンコーナーが二つにわかれてるのも理解できん。リボルバーとオートマチックってなんだよ?どっちもハンドガンだろ? それでいいじゃないか。)
「なんだよ、銃が好きだからGGOやりはじめたんじゃないのか」
俺が視線を巡らしつつ悩んでいるとペイルライダーが話しかけてきた。
まぁ、確かに銃をよく知らずにGGOってのも変だな…。
話を戻させてもらおう。
「銃は少し興味があったくらいだよ。取りあえず参考までに、お前が使ってる銃のこと教えてくれよ」
「いいぜ! もちろんいいぜ! 俺の銃! つまり俺の恋人と言っても過言ではない相棒を存分に紹介してやる!」
「いややっぱいいです」「遠慮するなよ!!」
――まさかのノータイム返答。
絶対長くなるからここで止めておこうと思ったのにこの反応速度である。
止められない、俺にはこいつを止める術がない甘んじてこいつの長話を聞くことしか出来ない…。
うわぁ…。目がキラッキラしてるよなんかよくわからんヘルメットみたいなやつごしでもわかるくらいキラッキラしてるよ。
「アーマライト AR17。全長約700mm重量約2.5㎏口径12ゲージ装弾数二発作動方式ガス圧式セミオートマチック製造国はアメリカ合衆国!! 20世紀に存在した航空機メーカーのフェアチャイルドの銃器開発部門、アーマライト社が開発したショットガンッッ!! 1957年に開発がなされAR-9という試作12を経て改良され完成した! レシーバーとバレルはアルミニウム・アーロイで作られてんだ! ストックとフォア・アームはプラスチック製でストックはウッド調の色合いをしていてこの辺が超色っぽい!! 端的に言うとエロい!! ひゃっほい!! 発砲音なんてもう聞くだけでイッちまいそうなレベルでかっこいい!!」
ちょっと待てこいつ変態だーーーー!!
銃に色っぽいとかいう表現使う人初めて見たぞおい!!
というか本当に銃に対して性的興奮とか覚えてないよなこいつ!?
「この小型、軽量化されたショットガンは女性でも扱えるようになったんだが残念ながら軍用では評判が悪かったんだよ……」
我が事のように落ち込むペイルライダー。
いや、実際こいつからしてみれば自分のことと同じなんだろうか…。
「1964年と1965年のたった2年間という短い間でおおよそ2,000挺が製造されたんだが…セミオートにしては2発しか発射できないし、軽すぎる上に火力が低いのを市場が嫌ったみたいで、1,200挺しか売れず、販売中止になっちまった……」
あれ? こいつ若干涙目じゃね? いやむしろ泣いてね?
そんなにこの銃が好きなの? この銃の悲劇?的なこと説明してるだけで泣いちゃうくらい好きなの?
「当時、表面仕上げはアナダイズド・ブラックとゴールド・フィニッシュの2種類があったから《黄金の銃》って通り名があったらしいが、現存する銃では希少のためスペックすら確認することはできないみたいだ。だからこの辺運営も苦労したって話だぜ」
あっ、黄金の銃って説明したあたりで元気になった。
自分の銃自慢するのは好きなのか…。
「ちなみに俺はアナダイズド・ブラックとゴールド・フィニッシュ、どっちも持ってるぜ!」
「お、おう…。それはすげぇな」
「ああ、この銃。現実での希少性と合わせてるのかドロップ確立が滅茶苦茶低いみたいでさ。アナダイズド・ブラックとゴールド・フィニッシュ、片方ずつで見ても持ってるやつはすげぇ少ないんだ」
ALOで言えばドロップのエンシェイントウェポンといったところだろうか…。
別にワンオフではないけどかなり確率が低いみたいだな。
「話戻すけどさ。なに? お前もショットガン使うのか?」
「え? うーん」
ショットガン…。
えぇと、散弾銃だったか? 至近距離の相手にぶっぱなす感じの銃だろうか?
それなら距離感のつかめない俺でもちゃんと使えるかも…しれない。
いや無理だな。ショットガン使ってる自分を想像したが剣とあんまり変わんない気がする…。
なにかいい武器はないかとまた視線を巡らす。
すると店の片隅に何かある。手袋…だろうか。それに近づいてみる。
「おい、どこ行くんだよ」
そういいながらペイルライダーは俺についてくる。
――そして俺はソレを巡り合った…。
無骨な手袋、手の甲はガントレットのようになっていてそれが肘まで続いている。肘の部分は尖っていて肘打ちすると痛そうだ。
それは素手で相手を斃すことに特化した一つの理想形。
故にそれを見て俺は――
「――こいつが欲しい!!!!!」
そう思った。
よくよく見ると隣にはセットで買うのだろう足の部位のソレがあった。
値段を見る。『今ならセットで10万!!お買い得!(どうせ誰も買わないし』
なんだかここの店主はあまり商売で利益をうむきがないようだ。
「え? そ、そいつか? 本当にソレ?」
「ああ! ああ!! こいつだ! ここまで心に響いた奴は久しぶりだ!! あの時以来だ!」
アインクラッドでの俺の最終的な武器を見つけたとき以来の幸福感!
こいつを使いたい! こいつを使いこなしたい!!
見るからにじゃじゃ馬だこいつは!!
だからこそ使いたい! 使いこなしたい!!
「一応説明すると、そいつはかなりのレアドロップ品だ。だからコレクター連中は集めてたりするが、使うやつはいない」
「ああ、だろうな。こんな見るからに使い辛そうな武器。銃の世界でこれはないだろ」
「徒手での攻撃力が増す。拳が当たったとき相手にちょっとしたディレイ時間を発生させる、可能性がある、ちょっとだけだけど。そして長くても一秒ほどだけど」
間合いに入ってる状態で一秒のディレイは強いじゃないか?
確立っつってたしどんくらいの確立なんだろう?
「ディレイの確立ってどれくらい?」
「確か検証勢の話じゃ1000回ほどやって十数回ほどだったらしい」
すくなッ!! いる!? そんな少しの確立しかないのにスタン効果いる!?
「特徴は重さがほぼ無いこととあともう一つの機能がある。デメリットとしてこいつを装備している間は銃もつけられないし防具も一部以外は装備できない」
つまり紙装甲&超近接攻撃しかできないんですね。
「安心しろさっきも言ったが一部の防具はつけれる」
全然フォローできてねぇよ。
一部ってたんだよ。
「そして最大の特徴! カートリッジシステム!!」
「おぉ! なんだそのかっこいい名前!!」
「このシステムはHPを半分にして一瞬だけAGIを大幅に上げれる! ぶっちゃけ目の前で使われたら消えたと錯覚するぐらい加速する! そしてAGIが上がってる時だけだが殴れば確定でノックバックディレイが入るロマンシステム!! 」
「え? つえぇじゃん! なんでみんな使わないの!?」
「見失うのは本当に一瞬だから…フルオートやショットガンだと適当に撃てばミンチに出来る」
あぁ…なるほど。
ダメじゃん…。
「そんな顔するなよ、HP半分にして起動できるってことは相手の攻撃が当たらなきゃいくらでも使えるんだぜ?」
その代わりカスったらミンチだけどな。
「まぁ、そんなロマン武装だ。なんで銃の世界にこんなのがあるか知らんがな」
「だがまるで俺のためにあるみたいな武器だな」
「なんだい嬢ちゃん、そいつが欲しいのかい?」
「うわぁ!?」
いつの間にか隣に来ていた少し厳つい顔のアバター。
ぬって感じで出てきたからとても驚いた…。
「おぅ、おやっさん、そうみたいなんだこいつこの武器が欲しいんだってよ」
「なんだよペイル、おめぇに女の子の知り合いとはな! おめぇさんも隅に置けねぇなぁ!! めでてぇからそれ安値でくれてやるよ! 正直売れなくて困ってたんだ!」
「え? あのちょっ!」
なんか勘違いしてるぞこのおっさん!
いやアバターだけおっさんなのかもしれないけど取りあえず勘違いは直さないと!
「ありがとなおやっさん!! 武器さえもらえりゃここにようはないぜ!!」
すごい速度で店主と取引するペイルライダー。
元SAOプレイヤーの俺から見てもかなり速い。
そのまま取引を済ませ俺の首根っこを掴んで店から出ていく。
「また来いよー!!」
店から出た瞬間、ひょいひょいっと屋根の上に登ってありえない身軽さで店から離れていくペイルライダーと俺。
ああ、俺? 俺は掴まれたままだ。
「お、おいペイルライダー! なんかだましたみたいになってるぞいいのかこれ!?」
「いいんだよ。むこうさんがくれるって言ってるんだ、貰えるもんは貰っとけ」
そう言って俺にあの武器を送ってくるペイルライダー。
プレゼントボックスには『Cartridgeknuckle』の文字がある。
これがこいつの名前みたいだ。な、なんか入手経路は釈然としないがかなりうれしい。
「あとよぉ、俺の事ペイルでいいぜ? ペイルライダーは長いだろ」
「あ、ああ、わかったペイル」
俺はカートリッジナックルの性能、説明文を食い入るように見つめながら言葉を返す。
「ったく、文句言っといてきっちり性能把握してんじゃねぇか。んー、このまま練習でも行くか」
――――――――――――
気付いたら岩場にいた。
今は似たような岩がたくさんあるがそのうちの一つ、岩と岩の隙間に身を潜めている。
何を言ってるかわからない? 俺にもわからん。
カートリッジナックルの説明文読んでたらよくわからんとこに連れてこられてた。
ペイルが「ここは安全圏じゃないから取りあえず装備しとけ」って言ったから一応装備中。
ペイルはまだ武器を装備していない。
「で? どうするんだよ、なんで俺をここに連れてきた?」
「これ被ってろ」
プレゼントボックスになにかが届いた。
『No face』…って名前の頭装備?
ヘルメット的な? なんだこれ? とは思いつつも言われた通り装備する。
仮面のような形のマスクだ。髪の毛まできっちり隠すが何かを被ってるという感覚はない。
「そいつもレアドロップ品だが、俺はあと五個くらい持ってるしやるよ。そいつをつけてる間はアバター名とかそういう情報を隠せる。もちろん顔もわかんないし声もボイスチェンジャーみたいな声になる。便利なもんだろ?」
こんなアイテムある時点で公式がPK認めてるんだろうなぁ…。
と、呆れつつも、デスゲームで本物の命かかってるわけじゃないしPVPは好きだし楽しめそうだ。って思ってる俺は半端モノなんだろうか。
でも楽しそうだと思うのは本音だ。
「来たな…。あいつらは最近、初心者狩ってる連中だ。なんでも弱いやつ一方的になぶるのが好きなんだとよ。
まぁ、ゲームの楽しみ方なんて人それぞれだ。俺には関係ないしどうでもいいがやられた奴の一人が大分キツイやられ方したらしくて俺にあいつらをこらしめてくれって依頼してきたんだ。報酬はコイツ」
そういいながらショットガンを出すペイル。
何かはわからんが今わかった。ペイルはただのショットガンバカだ。
ショットガンが大好きなんだろうなぁ。
「レミントン M870。1950年にレミントン M31の後継として開発されたんだ、レミントン社の代表的なポンプアクション式散弾銃!!
操作性の高さと頑丈さが評価されて、狩猟はもとより!! 警察機構の制式散弾銃としてよく使用されているらしい。公用モデルのM870Pは、短銃身で装弾チューブを延長した実戦型。装弾数六発!!
ある意味においては、アメリカンポリスのシンボル的な存在で、現在も車輌搭載用の非常用火器として現役で使用されている名銃だぜ!!
いやぁ見てみろよこの砲身!! 美しいだろ! 艶やかだろ!! もうこいつは素晴らしいね! やっぱ機能美ってやつを感じるね!! 俺浮気しない性質だけどアーマライト AR17とは違ったモノがあるね!!」
ペイルは小躍りしながらショットガン、レミントンとか言う銃を見せつけて来る。
楽しそうだな。でも今からPKするのに、そして多分数は相手の方が多いのに奇襲できるメリットを捨ててまですの踊りをする必要はあるのかペイル。
と思っていたら動きをピタッと止め、レミントンをしまい、アーマライトを片手に取り出すペイル。
「おい、どうし――」
「もう来た」
静かにしろというジェスチャーとともにそう教えられた。
俺たちが身を潜めていたところから出る準備をしながらペイルは続ける。
「…初陣を対人にしてしまってすまない。確実に襲えるのが今日この時間この場所のみだった」
口調変わったな。
ああ、こいつはスイッチが入るタイプの奴みたいだな。しかも筋金入りのやつだ。
「一人、残してこちらにおいやる。そいつを倒してくれ」
「わかった」
「今度何か埋め合わせをする」
「別にいいよ、こいつをもらっちまったしな」
俺はナックルを装備した拳をペイルに突き付け笑いながらそういう。まぁ、顔は見えないけど。
雰囲気で伝わったのか、ペイルはフッと笑って俺の拳に自分の拳を合わせる。
「気合い入れろよ、初陣だ」
「ああ、全力でやる」
こいつとは本当に、長い付き合いになりそうだ。
―――――――――――――――――――
唐突だった。
俺たち五人はいつも通り、狩りを終えて街に帰ってるところだった。
「いやぁ、楽しかったな。見たかよあの顔。びっくりしてたなぁ」
「ああ、やっぱりスタン弾は楽しいよな!」
「今日は珍しく女アバターがいたからホントにいい日だぜ」
まぁ、やってることは褒められたことじゃないとはわかってるんだが、これが一度悪ふざけでやってみると楽しくて仕方がない。
特に今日みたいに女アバターがいると本当にやっててよかったと思う。
とはいえ、よくある薄い本みたいなことはハラスメント行為になってできないから嬲り殺すだけなんだけどな。
と、話していると目の前の地面に人型の影が落ちた。
「え?」
――パァンッ…と、小気味のいい発砲音が頭上で二発鳴り響く。とほぼ同時に薬莢が降ってくる。
俺の隣にいたやつが、倒れる。
音もなく白い人影は俺たちの前に降り立つ。
それは軽業スキルが一定以上高いという証で、そしてその動きはかなりの熟練プレイヤーを思わせる動きだった。
(こいつはやばい!!)
無駄なく俺の前にいたやつをほぼゼロ距離から二発で沈めたそいつを見て、俺を含めた残る三人で一斉に銃を乱射する。
何故こんなに強いプレイヤーに狙われているのか皆目見当がつかないが、間違いなく目の前のやつは敵だ!
俺の持つ銃はRPD、マズルフラッシュの激しいその銃で乱射したせいで一瞬だけ視界からその白い奴が消えてしまった。
ガシャンと言う音が耳に入る。
「ひあっ!?」
俺の後ろにいたやつの声だ!?
驚いて銃の乱射を反射的にやめるとさっきまでそいつがいた場所には弾痕しか残っていない。
後ろでガシャリという音と何か金属が地面に落ちた音がする。
急いでその音がした方を向くと、リロードを終えて俺たちの方へ銃口を向ける白い奴がいる。
「クソッ!!」
俺は銃口を向けられ咄嗟に反応できなかったが隣の奴は違った。すぐに弾をばら撒くように白い奴を撃つ。
だが…。
「この距離で…!?」
こんな至近距離にも関わらず、その弾幕を掻い潜りながら隣の奴を撃ってきた。
銃で撃たれたノックバックで怯み弾幕が途切れる。
次の瞬間には俺の最後の仲間の眉間には銃口が押し付けられ、引き金を引かれた…。
そしてこの瞬間にわかった、コイツの銃はショットガン、もうすでにこいつの間合いだ。
仲間はみんなやられた。勝てない、勝てるわけがない。
すぐに背を向け逃げようとしたがどこかに誘導されるように進行方向を撃たれる。
俺のHPバーは一ドットも減っちゃいない。いつも俺たちに嬲り殺されてるやつらの気持ちがわかった気がした。
所詮VR空間の出来事、撃たれても怖くない。そう思ってたのに、何もできずにこんな風になぶられるとここまで怖いものなのかよ!!
自殺して逃げちまった方が楽なんじゃないか、そう思いながらちょっとした洞窟のようなところに逃げ込んでから気付いた。
「銃声がしてない…?」
そう、追撃がやんでいる。
諦めた? 何故? 俺がどんなに頑張ってもあの軽業スキルの熟練度持ちを相手にこの地形では逃げることなんてできないはずだ。
待て、待てあの銃の撃ち方は明らかに誘導をしていた。ならここにこさせる必要があったということだ。
ということは――。
「ふぅ…。初陣、行くぜ」
「あいつの仲間か!!」
ここにあいつの仲間がいると考えるのが自然だ。
もう勘弁してくれ、これが狩られる側の感覚ってやつか、今までここまで一方的なPKに会ったことはなかったが、今日はじめてわかった。
俺の持つ銃を相手に向ける。
引き金を引き、弾をばら撒き、今度はマズルフラッシュで見えなくならないように、狙いを定めず少し下の方でRPDを撃つ。
「うわ真っ赤!?」
相手が何か言ってる。真っ赤…というのは弾道予測線のことだろうか?
もしかしてこいつは初心者なんじゃ…。
ボッという音がしたと思ったら、あいつの姿がブレ、一瞬見失う。
「なっ!?」
「あと五歩!!」
「クソッ!! 死ねよ!!」
だが見失ったのも一瞬、すぐに見つけられる、少しだけ距離が縮んでいた。
俺の銃弾が当たらない!!
なんなんだ今日は! さっきの奴といいいつからGGOはスタイリッシュ弾除けアクションゲームになったんだクソが!!
銃を取り回しながら心の中で悪態をつく。
「あっ、やべぇ…」
相手が小声で何かを言ったのと同時に俺も気付く。
俺がはっている弾幕から逃れるために壁際に寄り過ぎている。このままいけば相手は壁のせいで逃げ切れずに弾幕にさらされてTHEENDだ!!
「まぁ、行けるだろ!!」
バシュン!! という機械から何かが吐き出されたような音が洞窟内に響く。
あいつの体がブレるほど急速に加速する。
さっきと同じように相手の急速な加速に目がついて行かない。
「なっ!?」
あいつ! 壁を走りやがった! そのまま上に駆け上がられると俺の銃じゃ重すぎて上にあげれねぇ!?
こいつ、これを狙って…!?
「やっぱ重すぎてあげれねぇみたいだな!」
そう言いながら俺のほぼ真上まで走ってきたそいつは俺の頭に踵落としを決めて来る。
間合いに入られた! RPDじゃ分が悪すぎるぞ。
瞬間的に考えながらそれと同時に無意識に腰にあるハンドガンをホルスターから取り出そうとするが体が動かない。
「ディ――!!」
ディレイ!? 声が続かない!
ただの踵落としになんでディレイ効果なんかが!
――ッ! そうか、こいつが使ってる武器はカートリッジナックルか!
「弧月閃打!!」
バシュンッ!! とさっきも聞いた金属から何かが吐き出される音が耳に入る。
確か、このカートリッジナックルの加速時間って一秒ジャストだってどこかで聞いたな。
その間だけ尋常じゃない加速力を得られるらしい。普通、その急激な加速に浸かってる本人も認識が追いつかないのもこの武器をマイナーにする要素の一つだったはずだ。
にしても、その一秒がかなり長く感じるな…。
拳打を浴びせられながら俺はぼーっとそんなことを考える。
どんなに動こうとしてもディレイで動けない。
そして俺のHPは風に吹かれたろうそくみたいに簡単に消えた。
「なんてな」
最後にそんな声が聞こえた。
――――――――――――――――
「なんてな」
思わず口から出てしまった言葉。
咄嗟にソードスキルの動きを再現してしまった。
そしてそのソードスキルの名前を叫んでしまったのが少し恥ずかしくて言った言葉だ。
俺のHPをチラッとみる、残り残り八分の一ほどだ。弾丸が数発かすってれば余裕で持っていかれてただろうな…リスキーな武器だなこいつは。
「にしても…」
本当のソードスキルと比べて遜色ない速度の連打を放つことが出来た。
ただの攻撃のはずがソードスキルと遜色ない速度で放つとか…。
「どこかで見たことあるな、そんな奴」
少し笑いながら紫色の髪をしたインプの少女を思い浮かべ俺はそう呟く。
初めての加速のときは速すぎて思わず距離を詰めることを忘れてしまったし認識が追い付かなかった。
二回目はなんとか認識をついて来させることが出来た。
三回目でやっと使いこなせたと思う。この加速を使えばソードスキルと同じように打てるのは嬉しい誤算だったな。
「今俺がやった、加速していたときの世界がいつもユウキが見ていた世界か……。やっぱすげぇなユウキ」
ユウキマジユウキ。
主人公が加速を使った時と同じような速度を反射神経とVR適正だけで補うとか…。
ちなみにこの作品では反射神経はユウキ≧命かかったキリト>>キリト=ペイルライダー≧ハート≧主人公=リーファ≧アスナといった感じになっております。
リーファさん、というか直葉さんは剣道をリアルでやってますし、目がとてもいいと思います。なのでアスナより上にいるんですね。少しだけですけど。
反射神経というだけで戦ったらVR適正とか体運びとかその他もろもろ付きますから色々変わりますけど。
主人公は加速してそのはやさについていくために反射速度を頑張って合わせました。
ユウキは反射速度が速すぎてそれについていくためにアバターの動きが速くなりました。
うん、やっぱりユウキは強い。