トリガー使えば『宝具擬』が可能な説   作:癒しを求めるもの

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小南はロングもショートも両方サイコー|ω・)و

鬼怒田さん、まさかのヒロイン……!?(絶対ない)|д゚)


かなり雑な『約束された勝利の剣』

 

 

三門市を襲った悲劇から数年が経過した。

 

大規模侵攻と名付けられた近界民(ネイバー)と呼ばれる異世界からの侵略者達は、いつの間にか数が減っていた。

 

その要因となったのは、後に“ボーダー”と名乗る組織の力が大きい。

自身が持つトリオンと呼ばれるエネルギーを使うトリガーを使用することで、ネイバー相手に戦闘が可能となるのだ。

 

あの日、僕が危機から生還できたのもトリガーのおかげだ。

バムスターと呼ばれる捕獲型トリオン兵を駆逐した僕は、トリガーを投げ渡した忍田と名乗った男性に付いて、救助を援護していた。

 

ネイバーは完全に居なくなり、廃墟と化した三門市を物寂しく眺めていると、なんか街をぴょんぴょん移動している人達が集まった。っていうかトリガーを使っている人達だ。

 

その時のボーダーは少数人だ。

トリガーという未知の技術を公にせず今まで動いていたため、全員が顔を知る中、僕だけ除け者だったので忍田さんが気を使って紹介してくれた。

その時の僕は残業後の疲れに似た疲労が蓄積しており、目を濁らせて、ぼーっとしていたのが運の尽き。

 

なんか後日話がしたいと言われて頷いていた。

 

 

そこからはトントン拍子でことが進む。

 

「…ボーダーを作った?」「…ボーダーに入らないか?」「…演習をしてみないか?」「…模擬戦もするの?」「…普通に任務もあるの?」「…ランキングでるの?」

 

と、僕は疑問符を浮かべながら、着々と外堀を埋められて、ボーダーに入った。

 

流されやすいのは社畜時代の賜物だ。全然嬉しくないけど。

 

 

そして現在。

高校生に進級してもボーダーに所属していた。

 

高校生が仕事をするなら、本来であればアルバイト扱い。

だが、ボーダーという特殊な組織下に位置するため、その規則に則り、正隊員───つまり、ガッツリ働くことが決定したのだ。

 

 

働かないと駄目発言をした矢先の出来事である。

最初は抵抗に抵抗を重ねたが、結局は仕事をしている二年間。

職場には慣れたが、いい人、有能、見た目よし、の三拍子が揃った面子の集まりになったボーダーで、平凡だった自分は神様のおかげだとはいえ、かなりのし上がった。

 

だが、このままでは前世と変わらず社畜に染まってしまう。

戦闘狂になったら終わりだと絶対防衛ラインを設定して、どうすれば仕事をせずにすむか考える最近。

 

漸く、終点を見つけた。

 

────戦闘訓練(残業)をしないことだ。

 

 

大規模侵攻によって、僕が生活していた孤児院は壊滅した。

子供たちや職員の方々は幸い無事だったが、建て直しは資金が必要だ。国からの援助が支給されたため、以前より楽になったと思うが、そろそろ厄介になるのも気が引ける。

 

ボーダーで正隊員でいると、普通のバイトをするより多くの給料がでる。

一人暮らしを始めて二年。やはりお金は必要なため、最低限の防衛任務は行う。

 

学生に配慮されたシフトのみをちきんとすれば、後は自由。

戦闘訓練という名の残業さえ回避すれば、後はのんびり自堕落な生活になる。

 

 

ボーダーに所属して二年。

社畜に再度戻ることなく生きていられた自分を褒めながら、戦闘訓練を回避する術その1を実行するため、ある場所にやって来た。

 

 

「…失礼します。鬼怒田さん居ます?」

「おぉ!やっと来たか阿宮!」

 

 

来た場所は開発室。

開発支部長である鬼怒田さんがモニターの前で座っており、その奥には予め渡しておいた僕のトリガーが置かれていた。

 

 

「…言っていた機能は完成しましたか?」

「ふんっ、徹夜して漸く完成したわい。年上をもっと労らんか」

「…感謝してます」

 

 

ホントそれ。

社畜時代は後輩が素知らぬ顔で仕事を残して帰宅するのを見送っていたからずっと目の隈が消えなかった。

今の鬼怒田さんはまさに社畜だった。いや、意外と楽しそうに僕の提案を聞いていたから少し違うかな?

 

用意していたどら焼きを手土産に渡して、専用のトリガーを受け取る。

 

 

「一応、お前さんの提案通りにバイパーの設定を固定化させておいた。旋空弧月を使う要領で発動するぞ」

「…了解です。仮想訓練室の準備は?」

「市街地Aでよかろう。狙いはモールモッドにした」

「…それが妥当ですね」

 

 

流石鬼怒田さん。仕事が早い。

 

口はキツイが優秀な上司に感謝しつつ、慣れた手つきでトリガー握る。

 

 

「───トリガー起動」

 

 

静かに呟くとすぐに身体がトリオン体に変換された。

黒を基調とした服で、上はボリュームネックパーカーではあるが、動きは阻害されない。

その肩の部分はエンブレムなど着いていなく、空白となっている。

 

 

「…孤月で、ですか」

 

 

いつもと変わらない服に文句はなかったが、手にしている武器に言葉をつまらせてしまう。

 

 

「当たり前だ。西洋風の剣など見たことがないだろ。元からあるトリガーを改造する今回の実験ならまだしも、新しいトリガーの開発は時間がかかりすぎる」

「…まぁ気分の問題なんで、大丈夫です」

 

 

そう言うと、僕は仮想訓練室に向かった。

真っ白な唯の部屋だった空間だが、鬼怒田さんが操作をするといきなり住宅街へ。あら不思議。

詳しくは知らないが、トリオンは何かと便利である。

 

見慣れた仮想空間を眺めていると、ハリボテのように動かないモールモッドが現れた。

 

 

『強度は最大状態。いつでも始めればいい』

「…了解」

 

 

鬼怒田さんに返事をすると、改めてモールモッドの目の前に立った。

 

今回の僕の提案は、とある技を再現することである。

あの日。バムスター相手に『刺し穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)擬』を声高々に放ったのだが、元々は前世の創作品の中にでてきた技の名前だ。

この世界にはFateシリーズは存在しないため、著作権云々の心配がない。

 

そして、今現在の身体が幼いため、こういうのに憧れる。

 

以前は友人がフレンドを増やしたいとのことで始めて、唯一やり込んできたゲーム。

その中のキャラクターの技を、転生して色々と変わった今、再現ができるかもしれない。

 

初心に帰ったように思えてノリノリである。

 

 

「───…ふぅ」

 

 

だが、これも一応は実験だ。

息をついて心を落ち着かせる。

 

精神を統一して───その真名を叫ぶ。

 

 

約束された(エクス)───』

 

 

孤月の剣先を高々と空に突き上げると、青白いトリオンの粒子が舞い上がる。

 

ここからが腕の見せ所。

舞い上がったトリオンの粒子。その正体である極小に分裂するようプログラミングされたバイパーが一定量集まり次第、素早く孤月を振り下ろす。

 

それと同時に、大量のトリオンが放出された。

 

 

「───勝利の剣(カリバー)!!」

 

 

光の粒子が極太の線となり、約10メートルの距離を覆い尽くす。

 

狙撃武器であるアイビスを上回る威力。サブである旋空弧月を何重に重ねても追いつかない圧倒的な攻撃範囲。

 

輝かしいトリオンの奔流が一体のモールモッドに迫り、そして。

 

 

「…っ!」

 

 

来た!空を翔ける光の柱!

 

宝具『約束された勝利の剣』を扱うセイバークラスのサーヴァント、アルトリア・ペンドラゴンその人が心震える声で真名を述べた数秒後、

《ゴゴゴ───》と心地よい地鳴りと共に溢れ出るエネルギーの膨大さを語るラストシーン!

 

風圧でアスファルトは扇形を描くように抉り、焼けて。

周囲の障害物は吹き飛ばされて、建物の一部はヒビが入っており、いつ崩れてもおかしくない状況だった。

その直撃を受けたモールモッドは、強固な甲装部分までも粉々に粉砕されて跡はなにものこっていない。

 

うん、やっぱり本物の威力には劣る。

 

 

予め予想していた感想を抱きながら達成感に包まれる僕。

孤月を収納したちょうどその時に、無線が入った。

 

 

『──想像以上の威力じゃったわい。使った感想はないか?』

 

 

首を大きく縦にふって、満足そうにしている鬼怒田さんが目に浮かぶ。

 

確かに、威力はどのトリガーよりも突出して高かった。

でもね、鬼怒田さん。

 

 

「…トリオン足りませんね」

『当たり前じゃわい。お前さんの願望とはいえ、余分なトリオンも放出したんじゃ。それに、いくらプログラムが補助したとはいえ、バイパーをミリ単位で分割出来る化け物は居らん。あんなのを誰もかしこもぽんぽん撃たれては傍迷惑だろう』

 

 

ご尤もな正論です。

 

 

結果、『約束された勝利の剣擬』は完成した。

 

しかし無駄なエフェクトに浪漫を求めたために、トリオンがボーダー内でトップの保有量を持つ僕も一発が限界の遊びトリガーになった。

 

 

ふっ、これで模擬戦に誘われてもトリオンなくなったことで免れる。

 

達成感もあり、完全趣味の実験という仕事。

まさに一石二鳥の完璧な残業回避プランだった。

 

 

 

***

 

 

 

実験が終わるとすぐに開発室から出た。

鬼怒田さんはこれから、今回の実験結果を木戸指令に報告しにいくらしい。

膨大なトリオンを消費するが、威力だけはピカイチなので需要があるか検討するみたいだ。

 

そして、トリオンが枯渇した僕は目的どおり。

模擬戦に誘ってくるボーダーA級部隊に属する三バカに断りを入れ、お茶を飲みながらネット将棋でのんびり過ごそうと企てながら廊下を歩く。

 

 

だが、嫌な予感がする。

 

 

「見つけたわよ、キヨウ!!」

 

 

僕の直感は当たる。

何度も聞いた声がする通り過ぎようとした横の廊下に目を向ければ───

 

 

「…珍しいね、小南。本部にいるなんて」

 

 

ボーダー本部ではなく、玉狛支部のA級部隊に所属して、僕より先にボーダーに携わっていた同年代の小南桐絵が、仁王立ちして此方を睨みつけていた。

 

 

「珍しいも何も。アンタが何時まで経っても玉狛に来ないから呼びに来たのよ!」

「…ん?」

 

 

小南はキレて噛み付く直前のように強気の態度で言うのだが……。

はて?玉狛に行く?

 

 

「…それ、確か来週だよ?」

「えっ!?ウソでしょ!?」

 

 

いやホントです。

確かに、来週の日曜日に玉狛に遊びに行く約束はしている。支部長の林藤さんと。のんびり釣りしないかって。

 

素で間違えたのか、早とちりしたのか、はたまた誰かに騙されたのか。

 

多分全部が理由だね。

 

 

「ウソでしょ……?とりまるが『輝耀先輩が来るからグータラしない方がいいですよ?』って言ったのに……」

 

 

小さな声でぼそぼそ呟くけど聞こえてるからね?

それにしても烏丸よ。『輝耀先輩が(来週)来るから───』って、一部抜けてるぞ?

故意だろうけど。

 

 

「…小南。もう帰っていい?」

「ちゃんとメイクも───って!ダメよダメ!せっかくアタシが迎えに来たのよ!玉狛で模擬戦するわ!」

 

 

ふっ、甘いよ小南。

 

 

「…新トリガーの実験でトリオンがなくなった。またの機会にしてね」

「はぁ〜?アンタみたいなトリオンお化けがトリオン全部使い切るの?」

 

 

事実を述べたら先程の勢いは何処へやら。

疑心暗鬼な表情で首を傾げる。

 

 

「…事実だよ。何なら鬼怒田さんに聞いてきたら?」

「……アンタ、妙にあのタヌキとウマが合うわね」

「…意外と話しやすいからね」

 

 

それに感性がどことなく同じだからね。

 

すると小南は眉間に皺を寄せて、低い声で唸り始めた。

 

 

「ぅう〜!アタシとは話したくないと言うのかー!!」

「…痛い噛み付くな痛い」

 

 

何が機嫌を害したのか、いきなり飛びついてきて首元に噛み付かれた。

 

ちょ、精神的に大人で達観してるけど女性との関わりは小学生以下だから!社畜すぎて女性と縁のない生活だったからホント耐性がないんですよ!

 

 

その後、痕が残るほど噛みつかれて解放されたかと思えば玉狛に拉致された。

 

 

とりあえず、小南。逃げないから腕を抱きしめるようにして連れていくのはやめて。

 

やぁ烏丸。珍しく模擬戦するから今度首を差し上げるように待ってなさい(後に戦闘狂の思想だと気づいて取り消しする。尚、頭グリグリなどはパワハラ云々の記憶が蘇るため無し)

 

久しぶり陽太郎。今度雷神丸も一緒に昼寝しようね。

 

そしてレイジさん。夜ご飯ありがとうございました。え?僕が作らないか?あはは。カップ麺とコンビニの野菜で十分ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後のレイジさんとの会話が発端で、僕が天国と地獄両方に行く事となると、僕のサイドエフェクトは言わなかった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリ主紹介は本文で少しずつ書いていきます。

大方書いたあとはまとめるのでご理解を<(_ _)>


評価と感想、お待ちしてます(・ω・)

リメイク予定ですがこっちの更新も必要?

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