「も────!! この辺な────んにもやいじゃないの! どうなってんの!?!?」
閃刀姫とのマッチ戦を終え、感情に任せて飛行を続けるドロッセル
どうやら完全に郊外まで出てしまったようで、周りには多くの機械族の居住地となっているであろう工場以外何も見えない
「無視しないでよ! このオンボロ!」
<いや、無視っていうか聞かれてもわからないっすよ! >
とまあいつも通りの口論を交わしながら進んでいくと道すがら巨大な看板が目に入る
「古代の歴史がわかる! 機械族歴史博物館この先5km先?
これよ! ここに行くわよ!」
どうやら、ドロッセルのお眼鏡に適ったようで、すぐさま速度が上がっていく
そして、毎度のことながら面倒ごとだけは起こらないように祈るスリップ・ライダーがいて、毎度のことながらその願いが聞き届けられることはないのであった
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「さあ! 着いたわ!」
博物館へと到着したドロッセル
早速中へと入ろうとした所で問題が浮上した
<いやこれ俺は入れないやつじゃないすか? >
その通り、今まではなんだかんだ野外や戦闘機の収容が可能な工場など、気にはならなかったが、今回の博物館は一般的な人間をターゲットに造られており、明らかにスリップは入れないサイズであった
「それもそうね
じゃあそこで待ってなさいよ、私行ってくるから」
<いやいやいやいや、いくらなんでも扱いがz.>
強制的に通信を終了させ、エンジンを切ると、スリップを放置したまま内部へ入るのであった
「うーむ、なんか面白い仮面とか高そうな骸骨とか色々あるけどな──ーんで誰もいないのよ! 随分不用心じゃない?」
中には大量の展示品に対して係員と思われる人はおらず、客もドロッセルが1人だけということでまさに"不用心"という言葉がぴったりな状況なのだが、その疑問はすぐに明らかになることとなる
「不用心とは失礼だね、むしろセキュリティは万全だと思うんだがね」
「ふぇ!? 展示品が喋った!?!?」
「ははは、久しぶりのお客様に張り切っていたが驚かせてしまったかね?
私の名前は先史遺産ネブラ・ディスク
ここは私達の住居兼仕事場なんだよ」
混乱するドロッセルを尻目に言葉を続けるネブラ・ディスク
彼の言葉をまとめるとこうだ
・最近客入りが少なく赤字だった
・それ故に展示品の数も減っており、今では自分達"オーパーツ"しか残っていないこと
・今では自分達が展示品と管理人を兼ねていること
などなど、ここ機械族歴史博物館がかなーりヤバイ状況である事などを捲し立てていた
「あ〜もうわかった! わかったから!
どうせ喋るなら展示品の説明をしてよ!」
この頃になるとドロッセルも展示品が喋ったことなどとうに忘れて博物館を楽しむ方向に切り替えたようだった
「おっと、取り乱してしまったね
改めて展示品の説明をさせていただく"オーパーツ"のネブラ・ディスクだ
私は今から6年前に生を受け、あのエアーマンと同じ効果に加え墓地蘇生効果も持ち、"先史遺産"デッキの中核として環境を暴れまわった。
しかも8期の最後にはアーティファクトと組んであの征竜も抑えて環境トップに立ったことだってあるのさ。
まあそのあとは制限されてしまったが、8期最後から9期最初期にかけて大活躍したのだ」
ドロッセルからの(いや、学術的価値とかじゃなくてカード性能の話なんかい!)という視線も気にせずどんどんと説明を続けるネブラ
「そして、この水晶でできた骸骨!
"クリスタル・スカル"と"クリスタル・ボーン"こいつらも強い
サイドラ効果に加え特殊召喚成功時に手札墓地から"先史遺産"を特殊召喚できるボーンに
手札から捨ててデッキから"先史遺産"を手札に加えられるスカル
共にレベルが3ということから名コンビとして活躍したのだ」
「最後に我らの最終兵器! "Nn.33 先史遺産-超兵器マシュ=マック!
環境時にはランク5と言えばアーティファクトからのプレアデスが一般的だったものの、純構築ではその相手モンスターの攻撃力を対象に、攻撃力の差分だけダメージを与える効果でワンキルも可能であったまさにロマンあふれる必殺兵器なのだ!」
「更に更に次のやつはもっとすg.」
「うるさ──い!!! さっきから聞いてたら所詮元環境の昔は強かったアピールでしょ! ウザいのよそういうの!!!
今の立場を自覚しなさいよ!」
閃刀姫に指摘されたことと同じことを指摘するドロッセル
閃刀姫に指摘された自分自身とネブラ・ディスクを重ねてしまったのか、思わず声が荒くなってしまう
「むっ.わ、我々が気にしていることを!!」
「私も同じよ! おんなじことで悩んでる奴を見ると自分が今抱いてる感情と同じ感情を自身に持たれていたように感じて不愉快なのよ!」
やつあたり感が半端ないが、実際同族嫌悪のシステムとはこのようなものなのであろう
「くそぅ! 勝手に納得してるんじゃあない!
環境から落ちたとは言えもう制限も解除されてるしAFのカードだってまだ持っている!
我ら"先史AF"と決闘しろ!」
「いいわよ、9期アメリカが生み出した"宇宙"を体感させてあげる!」
「「決闘」」
先史遺産ネブラ・ディスク
vs
kozmo-ドロッセル
「俺が先行で行かせてもらうぞ!
手札から強欲で謙虚な壺を発動する
トップ3枚はネブラ・モラルタ・神智
私は神智を手札に加える」
「そして手札からライオウを通常召喚
カード3枚セットして魔法カード"命削りの宝札を発動! デッキから3枚ドローする
そして手札を2枚セットしてエンドフェイズへ、このタイミングで命削りのデメリットにより手札のネブラ・ディスクが墓地へと送られる」
ネブラ 手札0枚 場 伏せ5枚 ライオウ 墓地 ネブラ
相手ターンにじわじわ動く機動性の高い戦術で環境を握っただけあって地味な盤面であるものの、9期のパワーを象徴する命削りの宝札とも相性が良く、展開に取り入れているあたりしっかりと環境を見据えた構築を行なっているようだ
「私のターン、ドロー!
手札が0枚なら誘発を恐れる必要もない!
バックなんて怖くないわ!
まずはツインツイスターを発動! 手札のkozmo-フォルミートを捨てて5枚のうち両端のカードを破壊するわ」
「仕方ない、破壊されるくらいなら発動しようか、チェーンしてアーティファクトの神智を発動し、デッキからアーティファクト-カドケウスを特殊召喚!
そして破壊されたのはアーティファクト-デスサイズなので守備表示で自分の場に特殊召喚!
最後にカドケウスが場にいる相手ターン中にアーティファクトが特殊召喚された為1枚ドローする」
「なるほど、そういうデッキね
だけど見た感じ能動的に動けるカードは神智ってカードだけでモンスターは破壊されないと効果がないようね、だったらいくらでもやりようはあるわ!」
「手札からkozmo-シーミウズを通常召喚
ライフを1000払って効果発動、墓地のフォルミートを蘇生させる!」
効果による特殊召喚である為ライオウには触れることなく、盤面にモンスターを用意していくドロッセル
「まだまだよ! 私はシーミウズの効果を発動! 自身を除外してkozmo-ダークシミターを特殊召喚しその効果で自身を破壊、墓地で自身を除外しデッキからkozmo-ダークエルファイバーを特殊召喚!
更にフォルミートの効果発動するわ
ライフを500払い、除外されているシミターを効果を無効にして特殊召喚!」
「これでバトルフェイズに入るわ
シミターでカドケウスをエルファイバーでライオウを攻撃し、最後にフォルミートを除外してダークローズを特殊召喚! 残った守備表示のデスサイズを攻撃よ」
ネブラ LP8000→7700
「バトルが終わって、そのままエンドフェイズへ、ここでフォルミートの効果で蘇生したシミターは破壊され、効果が再び発動するわね
その効果でkozmo-フォアランナーを特殊召喚してターンを終了するわ」
ドロッセル LP:8000→7000→6500
手札1枚 場 ダークローズ・エルファイバー・フォアランナー
ネブラ LP:7900
手札1枚 場:伏せ3枚
墓地にネブラ
(うーん、相手のギミックは受動的なもののようね、あまりバックに触るのは得策では無いと思うけどあの様子ならきっと能動的に自分のバックを破ることができるカードもあるはず.
こっちのリソースが無くなる前に押し切れないとやばいかもねー)
(なんなのだこの攻撃力は!
相手がバック破壊をしてきたから防げたもののこんなのが何ターンも続けられるはずがない!
早急に"先史"による展開で有利な盤面を構築せねばな)
お互いにそれぞれのデッキの防御力・攻撃力に驚き、リソースの管理を徹底することを決めたところで決闘は更なる展開を迎えることとなった
"先史遺産"の展開によって
「では私のターンだ! ドロー!
相手の場にのみモンスターが存在するとき! 手札から先史遺産-クリスタル・ボーンを特殊召喚する
更に効果で墓地からネブラディスクを特殊召喚だ」
「この手のデッキは初動を止めればなんとでもなるってね!
エルファイバーの効果を発動してライフを1000払いその効果を無効にしてボーンを破壊するわ!」
確かに現代遊戯王において、初動を止めるということは重要だが、同時にマストカウンターを見極める事も重要である
例えばエルファイバーの場合打点2200を超えるモンスターへのアクセスができた瞬間バトルフェイズに入ってくるのでその手前には確実に効果を使わせられる弱点が存在する
今回の場合ではまだ召喚権が残っている状態で早々に効果を使用したのは些か早急と言わざるを得ないだろう
「ふむ、それならば手札から先史遺産-ゴールデンシャトルを召喚し、墓地のネブラディスクの効果で自身を蘇生する
ここはこいつだな、二体でオーバーレイネットワークを構築!
現れろNo.36! 先史遺産-超機関フォーク=ヒューク!」
「フォーク=ヒュークの効果発動! エルファイバーの攻撃力を0にする
そしてバトルだ! フォークヒュークでエルファイバーに攻撃!」
「その後はターンエンドだ」
ネブラ LP:7700 手札0枚 場 フォークヒューク 伏3枚
ドロッセル LP3500 手札1枚 場 ローズ、フォアランナー
「ふふん、その返しが精一杯のようね、対象耐性に手間取っているようじゃ今の環境には敵いっこないわよ」
妙に実感がこもってるドロッセルの言葉には怨念すら感じられる
その言葉の重みにネブラは思わずたじろいでしまう
「まあ、いいわ
私のターンよ! ドロー」
「ここで決めてあげるわ
手札から強欲で金満な壺を発動、EXデッキを吹き飛ばして2枚ドローさせてもらうわ」
「そして、手札からフィールド魔法"kozmo-エメラルド・ポリス"を発動!」
フィールドが近未来的な都市へと変貌し、kozmoの展開をサポートする
「そして私はライフを800払ってシミターを手札に加えます」
「この瞬間を待っていた!
場のダブル・サイクロンを発動! 私の場のカード1枚とお前の場のエメラルドポリスを対象に取って破壊する」
「むっ! ライフの払い損じゃないの!
とりあえず破壊されたポリスの効果で2枚目のポリスを手札に加える」
「それでは私は破壊されたモラルタの効果を発動!
場に特殊召喚! その後フィールドのカードを選んで破壊する!」
"選んで"
先にも説明したように、"選んで"というテキストは遊戯王の効果処理において、"対象を取っていない"という事になっている
理由は知らんけど選んでは選んでないので対象に取られない最上級kozmoだろうが破壊できるのだ
そういうものなのだ
「ふーん、対象耐性の突破もできるようね! それなら破壊されたフォアランナーの効果発動! デッキからkozmo-シーミウズを特殊召喚するわ」
「そしてもう一度エメラルドポリスを発動、ライフを800払ってシミターを手札に加えるわ」
「そしてシーミウズの効果を使用してライフを1000払い、墓地のエルファイバーを特殊召喚する!」
ドロッセル LP3500→2700→1900→900
「だがもうエルファイバーの効果はない! フォークヒュークの効果はダメステでも発動できる! ここからワンキルは成立しない!」
「あなたから見えてる札だけではね!
シーミウズの効果発動! 自身を除外しダークシミターを特殊召喚! その効果でフォークヒュークを対象にとって破壊!」
「当然フォークヒュークの効果発動! エルファイバーの攻撃力を0にする!」
フォークヒュークが破壊される寸前、フリーチェーンの効果を発動し、エルファイバーの攻撃力を封印し、散っていく
「だが、これでシミターでモラルタを、ダークローズのダイレクトを食らってもライフは残る!」
「ふふん! だからそれは見えてる情報だけならって言ったじゃない?
手札からkozmo-ドロッセルを通常召喚! バトルよ!」
「シミターでモラルタを攻撃!
そしてドロッセルとダークローズでダイレクトアタック!」
「見えている情報だけなら.か、その言葉のそっくりそのまま返そう!
最後の罠カード"リビングデッドの呼び声"
今破壊されたモラルタを蘇生!
1つ教えてやろう、"モラルタの効果に名称ターン1はない"!!!
ドロッセルを破壊!」
勝利目前にしてまさかの停滞
これによってこのターンの勝利は絶望的に
「まさか、決めきれないなんて!
メイン2! ダークローズを守備表示に変えてターンを終了するわ」
このターンで決め切る気満々だったドロッセルは目に見えてテンションが下がってしまったようで
まるで負けてしまったかのような意気消沈っぷりである
ドロッセルLP:900 手札1枚 場ローズ・シミター
ネブラ LP 6800 場 モラルタ
「ふはは! やったやったぞ! 9期のパワーを 受け切った! まだ俺たちもやれるんだな
俺のターンドローだ!
.と言ってもここまでか、手札1枚で場に先史はいない、モラルタで守備表示のローズを攻撃してターン終了だ」
「私のターン、ドロー
はぁ、勝ちは勝ちか
手札から今引いてきたドロッセルを通常召喚
シミターでモラルタを攻撃、次にドロッセルでダイレクト! 効果で500ライフを払ってシミターを手札に加える」
「そしてドロッセルの効果で除外しシミターを特殊召喚
シミター効果で攻撃の終わったシミターを破壊! 効果でスリップライダーを特殊召喚!」
ネブラLP:6800→5900→4400
「最後にシミターとスリップで総攻撃!
総攻撃力5300!」
4400→-900
ドロッセル WIN
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決闘が終わっても突破力に定評のあるkozmoが8期のデッキを相手に攻撃の手が完全にストップした瞬間が存在した事実に意気消沈していた
「ぐーやーじ──!!
スリ────ップ行くわよ!!!」
こういう時ストレスのはけ口となるスリップライダーは現在博物館入口で置いてけぼりである
というか人がいないとはいえ館内で叫ぶのはどうなのか、そもそも決闘には勝っているのだし相手に失礼ではないか
という感想があるのかもしれないが
そこはドロッセルという少女の性分である
諦めるしかない
ネブラディスクも完全に困ってしまっているぞ
「うーん、わかった
それなら君が強くなるアドバイスをあげよう、今私達が使っていたアーティファクトを入れてみるのはどうだい?
相性が良さそうだしね」
「アーティファクト〜? 先行型って事?
う──────────────ん
アリね!!!」
アリらしい、既に機嫌はすっかりなおっていた
「彼らは天使族歴史博物館にいるよ
案内状も書いておいたからもし天使族の国に行くときは寄ってみるといい」
「行く行く! くよくよタイムは5秒で終わり! 次の目的地も決まったしネブラさんありがとう! じゃーねー」
嵐のようにきてまた去っていくドロッセルの背中を見つめながら、自分達も10期で戦うためにもう一度奮起する心を決心したネブラディスクであった
次回のお話は?
博物館を後にして、今度は天使族の国へと向かうことにしたドロッセル
しかしまたまた迷ってしまった彼女の前に広がるはまるで戦国時代?でも侍も町人も商人も犬に至るまでぜーーーんぶ機械で出来ていて!?
次回第9話「カラクリ戦国時代」