Fate/Apocrypha×仮面ライダーオーズ 日野映司の物語 作:バーラ18
日野映司は傷の痛みに顔を歪めながら出発の準備をしていた。
本当は傷が癒えるまでこの家に滞在するつもりであったが、1日の間に状況が一変してしまっていた。
ベッドの上で朝食を食べていた映司は、偵察に向かわせたカンドロイドの情報と鴻上ファウンデーションが極秘で入手した霊基盤を見て愕然とした。
“赤のバーサーカは黒の陣営に捕獲された”、そこまでは許容範囲だ、しかし、“黒のセイバーが脱落した”のは全くもって想定外だった。
最優と謳われるセイバーはそれこそ尖った性能はないものの、どんな相手でも柔軟に対応できるのが大きな強みである。
映司は数々の亜種聖杯戦争を見てきたが、その中でセイバーは終盤まで生き残っていることが他のクラスと比べ、比較的多かった。
映司はトゥリファス国道での戦闘を思い返す。
あの馬鹿げた強さを誇る赤のランサーと互角の戦いをしていた以上、黒のセイバーは相当な大英雄だったことに間違いない。
それを失った黒の陣営は今頃それを代替する戦力を見つけるのに躍起だろう、そしてそれを赤の陣営が見逃す手はない、これを機に一斉に総攻撃をかけるはずだ。
「そうなると・・・・不味いな・・・・・」
いくらトゥリファスが外界と隔離されているとはいえ、13騎のサーヴァントが同時に戦えばただではすまないだろう。
そう考えた映司は居ても立っても居られなかった。
しかし、今この家を出ようとしても住人が身体を張って止めるだろう。
それを予想して映司は日が暮れた頃に家を出ることにした。
最後の荷物をライドベンダーに乗せる。
ありがたいことにここの人たちは俺のバイクも忘れず回収してくれていたのだ。
せめてものお礼に玄関の扉の前に少しのお金を置き、深々と頭を下げる。
思い返せば、自分は今までサーヴァントとの戦いに明け暮れ、“温もり”というものに触れる機会が無かった。
世界を旅していた頃の自分は色んな出会いをして、助け助けられ、喜びに満ちていた人間だった。
しかし、あの頃の俺はもはや見る影もなく、サーヴァントの冷酷さ、残忍さに俺も影響を受けてしまったせいか昔は丁寧だった言葉遣いや振る舞いがいつの間にか荒くなったことに最近気が付き始めた。
もし仮に全てのサーヴァントを倒して亜種聖杯戦争を根絶したとしても以前のようにみんなと笑って過ごす、というのは出来そうにもない。
「よし、こんなもんか・・・・・」
荷物を載せ終わり、俺はライドベンダーに跨り夜道を駆け出した。
ふと、後ろを振り返ると小屋の住民が扉を開けたまま立っている、暗闇だったせいか、彼らはどのような顔をしていたかは全く分からなかった。
トゥリファスから少し離れた近隣の都市シギショアラに映司は向かっていた。
カンドロイドからの情報によるとアーチャーとそのマスターが本拠地である城塞を離れそこに向かっていた。
“地の利がある黒側のサーヴァントが持ち場を離れて動いているということはきっと何かあるはず、”そうふんだ映司は威力偵察を行うことにした。
シギショアラに入ると既に2つの戦闘音がしていた。
恐らくサーヴァントと魔術師が混戦状態に陥っていると判断した映司はまず明らかに音が大きいサーヴァント同士の戦いに乱入ことを決断した。
効率を重視するならば魔術師を先に無力化することが望ましいがここは人が住む都市であるため戦闘による被害が尋常ではないサーヴァントをまず止めることを映司は優先していた。
ベルトにメダルを装填し変身を完了した映司はギアを全開にして現場へ突入する。
右腕を負傷した青年と鎧を着た剣士を視認した映司は、まず明らかに強力そうな剣士の方に負傷を負わせるべくライドベンダーのスピードをさらに上げ、そのまま体当たりをくりだした。
しかし、一瞬の刹那に怪物の姿を確認した剣士は間一髪で身を躱す。
躱されたことに怪物は内心で舌打ちはしつつも急ブレーキを発動しタイヤを滑らせながらも冷静にバイクを停車させた。
座席から降りつつ、荷台に掛かっていた愛用の剣を取り出すとゆっくりとした足取りで2騎の英霊に向かっていく。
「どうやらここまでのようですね・・・・」
負傷したん青年がそう呟くと身体を跳躍させ、建物の上へと距離を取った。
「逃げるか、アーチャー!?」
剣士は怒りを隠さず咆哮するが、青年は顔色一つ変えなかった。
「ええ、このままではこちらが敗北します。なので貴方にはこの怪物を相手にしていただきます。」
(クソッ、やられた!)
怪物は青年の意図を察知すると下半身の力を解放して追跡を試みようとするが、一瞬の内に隠れ身で路地裏に逃げられてしまった。
後に残ったのは激昂する剣士と怪物、これから何が起こるかは想像に難くなかった。
(おい・・・・・マスター)
鎧を着た剣士は怪物の姿を確認すると同時に己のマスターに念話を放つ。
(何だセイバー?俺はもう大丈夫だ。そろそろ戻ってきていいぞ)
(悪いマスター、こっちはまだ続きそうだ)
そのセリフに剣士のマスターは疑問を呈す
(何?サーヴァントとマスターは既に撤退してるぞ)
(お前の言っていた怪物が来た)
その言葉に剣士のマスターは少し考えて発言した。
(分かった、一応そいつはターゲットだから俺は止めたりはしない。だが、恐らくそいつには英霊を殺す程の何かがある。それだけは留意しろ)
己のサーヴァントを止めるのは不可能と判断したマスターはせめてものアドバイスを送った。
(ハッ、テメエのサーヴァントを何だと思っている。俺は最強の英霊だ、何が来たとしても正面から叩き潰してやる)
威勢のいい言葉を最後に剣士はマスターとの念話を切る。
「色々と言いたいことはあるが・・・・今の俺にそんな慈悲はない、英霊殺しだか怪物だか知らねえがテメエが俺に叶う道理は万に一つもねえ」
「あ、そう」
剣士の挑発に対して怪物はまるで無関心かのように応える。
怪物は幾度もそういう台詞を吐くサーヴァントと対峙したきたせいか相手にするのも億劫であったため何も突っ込まないことを決めていた。
だが、その態度が剣士の怒りの炎に油を注ぐこととなる。
剣士のこめかみから何かが切れる音が響くと、身体に纏わせていた怒気がさらに圧力を増した。
「・・・・・・もういい、殺す。」
問答を打ち切ったは剣士は怪物に目掛けて剣を振りかぶった。
いかがでしたでしょうか?
次は赤のセイバーとの戦闘に移ります。