Fate/Apocrypha×仮面ライダーオーズ 日野映司の物語 作:バーラ18
日本の東京に位置する鴻上ファウンデーションの本社ビル、その最上階の部屋で一人の男性が鼻歌を交えながら、とある作業に熱中していた。
派手な赤色の背広の上からエプロンを付け、左手にはボール、右手には泡だて器を握り、慣れた手つきで生地をかき混ぜている。
「会長、日野さんをお連れ致しました」
ノックとともに、一人の女性が入室する。
「里中君、入れてあげたまえ」
男がそう言うと女性は一礼してから扉の向こうへ消える。
少しの時間の後、今度は一人の青年が部屋に入ってきた。
「よく来てくれた日野君!」
「お久しぶりです、鴻上さん」
男は満面の笑みで青年を歓迎する。
それに応えるように、青年も、静かに笑顔を作る。
「日野君、アフリカでの亜種聖杯戦争が終わった直後で申し訳ないが、早速ルーマニアに向かってくれ」
元の厳めしい顔に戻った鴻上は青年にそう告げた。
「ええ・・・分かってますよ、そのために早く戻ってきましたから」
「ということは・・・・今回の事情も理解しているようだ」
日野は少し顔を険しくして頷く。
「はい・・・・ユグドミレニアによる魔術協会への宣戦布告。それに伴う時計塔とのかつてない規模の聖杯戦争がルーマニアで行われようとしていますね」
「それは違う日野君、これは単なる亜種聖杯戦争ではない、もはや大戦だ」
日野はさらに表情を険しくさせる
「分かっています。今回の聖杯大戦・・・・多かれ少なかれルーマニアはかなりの被害を負うでしょうね・・・・・・」
日野は唇を噛み締める。
像が蟻を踏みつぶさず道を歩くのは不可能であるように、魔術協会がどのような処置を行ったとしても人外同士で行われる聖杯戦争では必ず土地にも人にも被害が及ぶ。
魔術協会が社会への被害を食い止めるのも、一般市民の命を惜しんでいるわけではなく、ただ自分達の神秘が暴かれるのを恐れているだけだからだ。
「深刻なのはそれだけではない、なんと今回の聖杯大戦、“ルーラー”が召喚されるそうだ。」
「確か聖杯戦争を調停するクラスでしたっけ」
「そう、そしてルーラーが召喚されるということは聖杯を悪用される可能性が理論上成立したということだ」
「散々被害をもたらした上、さらに悲劇をおこそうというのか・・・・・・・!」
青年は声を荒げ、己の心にドス黒い感情を流し込む。
凄まじい怒気で周りの空気が冷えつく、鴻上は涼しい顔をしているが近くに控えていた秘書は思わず身じろぎをする。
そんな日野をなだめるように鴻上は青年の肩に手を置く。
「日野君、落ち着きたまえ、今回の敵は強力だ。冷静にならなければ我々に勝利はない」
青年はそう諭され、怒りを鎮める。
「すみません、少し熱くなりました」
「忘れないでくれ日野君、君の目的は罪のない人々のために戦うのであり、決して復讐というつまらないもののためではないのだ」
「はい・・・・もうあんな悲劇は起こさせません・・・!」
日野はそう決意する、その眼差しには固い決意が込められていた。