Fate/Apocrypha×仮面ライダーオーズ 日野映司の物語 作:バーラ18
少し投稿が遅くなって申し訳ありません。
その後も戦いは続き、気づけば空が完全な闇から、うす暗いダークブルーへと変わっていた。
先に戦闘を中断したのは黒のセイバーと赤のランサーだった。
「このままでは、日が昇るまで打ち合うことになるな。俺ではそれでも構わんが、そちらはどうだ。お前のマスターはうんざりしているようだが」
マスターに言葉を封じられている黒のセイバーはわずかな逡巡を切って捨てて、口を開く。
「願わくは、次こそは貴公と心ゆくまで戦いたいものだ」
「ああ、オレは実に運が良い。黒のセイバー、初戦にお前と打ち合えた幸運を心から感謝しよう」
黒のセイバーの言葉に赤のランサーは掛け値なしの称賛を送る。
二人の間には戦士としての絆があった。
その濃密な雰囲気につれられるように、いつの間にか怪物とルーラーも戦闘をやめていた。
「では、さらばだ。黒のセイバーよ」
赤のランサーはたちまちの内に、その身を霊体と化して消えていく。
そして空は、薄紫色に染まりだしていた。
「夜が明けます。あなたがサーヴァントでなくても日が出ている間の戦闘は何があろうと許しません。大人しく降伏を・・・・・」
そう言って振り返ると異形の怪物の姿はどこにも存在しなかった。
「まあ、いいでしょう」
聖杯大戦はまだ始まったばっかりに過ぎない。
戦いが続く限り彼は現れるだろう、倒すのはいつでもできるはずだ。
ルーラーはそう気分を切り替える。
(ただ・・・・・、あの程度の実力でどうやって英霊を屠ったのでしょうか・・・?)
疑問を抱きつつも、ルーラーは黒のセイバーとそのマスターの所へ真っすぐ歩きだした。
トゥリファス郊外にある森林、その中でも特に大きな大樹の幹に異形の怪物は背中を預け座り込んだ。
「さすが一流のサーヴァント・・・おそらくアレは大分手加減されていたな・・・」
怪物はさきほどの戦闘を思い出し、冷静に分析した。
ルーラーは怪物に対して“討ち取る”とは言ったものの、一晩かけてもとどめを刺すに至らなかった。
仮に本気を出していたなら、怪物は三合と持たなかっただろう。
「やはり気づかれたかな・・・・俺が人間であることに」
怪物は自分の腰に巻いてあるベルトに手を伸ばし・・・・三枚のメダルのようなものが入ったバックルの部分を斜めから真横に戻した。
みるみるうちに怪物の面影が消え、一人の青年に変わる。
その青年の顔は疲労と極度の緊張の余韻で苦痛に歪んでいた。
青年の名は日野映司、彼こそが、今の魔術世界を騒がしている“英霊殺し”の張本人であった。
時間をかけて息を整え、余裕を取り戻した上で再度さきほどの戦闘を分析する。
(今回は手加減していたルーラーが相手だったからこそ、互角に戦えていた。だがもし・・・あのセイバーとランサーが相手だったらおそらく・・・・・。)
日野映司が今まで戦ってきた英霊の中であのセイバーとランサーの2騎はもはや別格だった。
さきほどの戦闘で確認した英霊とは別に、赤と黒の両陣営にはまだ姿を見せていない一流のサーヴァントを多く存在している。
対して、日野映司はまさに孤立無援の状態だった。
赤と黒、どちらかの陣営に所属しているわけでもなく、時計塔やユグドミレニアといった魔術師達の味方でもない。
むしろ魔術師は彼にとって英霊と同じく殲滅すべき敵である。
そのためこのルーマニアにおいて彼の味方というものは存在しない。
一応、日野映司を支援している組織はあるものの、戦いに直接参加することはない。
これには2つ理由がある。
1つ目は魔術協会に勘づかれる恐れがあるのと、2つ目は魔術師や英霊と戦う手段を持っているのが日野映司を置いて他にいないからである。
しかし、日野映司は一人で戦う事を心苦しく思うことはない。
誰もこんな不毛な戦いに巻き込みたくはないし、元々自分は天涯孤独のようなものだ。
体力が回復し、戦闘の余韻からも解放された日野映司はあらかじめ停めておいたトライベンダーに跨り、森の中の獣道を真っすぐ走り出した。