Fate/Apocrypha×仮面ライダーオーズ 日野映司の物語   作:バーラ18

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更新が遅れて大変申し訳ございません!
そのため今回は少し多めにしてみました。
今回の話はほとんどが回想となります。
回想が進んでいくごとに日野映司がオーズになる過程がはっきりするでしょう。



警戒と紛争と村

「して・・・・・あの慮外者について貴様らは何を感じた?」

 

ユグドミレニアの本拠地である古い古城。

その奥にある玉座に座すサーヴァントは自分の家臣達に対して意見を求めた。

 

「私めから申しますと・・・・・あれを英霊と呼ぶにはいささか脆弱といえます。」

 

玉座の傍に立っていた1人の魔術師が誰よりも最初に口を開いた。

その魔術師こそが今回の聖杯大戦を引き起こした張本人、名はダーニック・プレストーン・ユグドミレニアである。

「一理あるなダーニック、確かにあの程度ならバーサーカはおろか、ライダーでも勝てるだろう。」

 

異形の怪物はルーラーを相手に一晩なんとか渡り合うことに成功した。

しかし、それはルーラーがあからさまに手を抜いていたからであり、本来なら一瞬で勝負がついていた。

 

もちろん、この玉座の間に集うすべてのマスターとサーヴァントがそれに気づいていないはずがない。

その上で、全員が疑問なのは「なぜ今まで怪物は英霊を屠ることができたのか?」ということだ。

 

「大賢者よ、そなたはどう感じた」

 

ランサーが次に意見を求めたのは黒の陣営のアーチャー、真名はケイローンである。

 

「そうですね、いくら亜種聖杯戦争の型落ちした英霊でもあれに勝利することは容易です。そう考えると・・・・・恐らく何かしらの切り札があるかと思われます。警戒は続けるべきかと」

 

ギリシャ神話において様々な英雄を育てあげた彼の分析は非常に論理的であり、的確であった。

 

「よかろう・・・・キャスター、さらに監視用のゴーレムを増産し、あの慮外者を探し出せ」

「了解したランサー」

 

ランサーに命令を受けた黒のキャスターは無感情に受諾した。

 

 

「エイジ!こっちも頼む!」

「分かりました!」

 

砲弾で破壊された建物の残骸を担ぎながらも、俺は張りのある声で返事をした。

政府軍とゲリラ軍の両陣地に挟まれているこの村はいつどちらの軍勢に攻め込まれてもおかしくはなかった。

 

今のところ被害がでたのは一部ではあるものの、村人の不安は募るばかりであった。

村人総出で被害の修復に努めるものの、人手が全く足りておらずまるで間に合っていない。

2か月前までは他の国のボランティアがいたが、紛争が激しくなるにつれ、徐々に帰国して

いった。

 

「よしみんな!今日の仕事はこれで終わりにしよう!」

 

村の村長さんの掛け声で村人は片づけを始める

 

「ふー、今日はこんなもんか」

 

夕暮れも近くなってきたので俺もシャベルなどの工具を納屋へ片づけにいく。

納屋からでると村長の息子さんがやってきた。

 

「エイジ!今日もお疲れ!」

「お疲れ様です!橋の方はどうでしたか?」

「いや・・・・・思いのほか被害が大きくてな・・・一度取り壊して作り直さないとダメだ」

 

晴れ晴れとした笑顔がトレードマークである彼も今回ばかりは顔を曇らせた

 

「そうですか・・・・確かあそこの川は流れが早すぎてボートで渡るのは無理でしたっけ?」

「ああ・・・・輸送車には悪いが2日かけて回り道してもらおう・・・・その間は俺たちで何とか食つなぐしかない・・・・」

 

2人は会話をしながら村人達の様子を眺める。

彼らは表面上では明るく振舞っているものの、不安な表情が時折出ていた。

 

「エイジ!」

 

後ろから声をかけられ振り向くと俺の上半身めがけて1人の少女が突っ込んできて、そのまま押し倒された。

 

「いててて・・・・・」

「エイジ!エイジ!見てみて!今日ねとってもいいものを見つけたの!」

 

少女が持ってきたそれは、葉っぱと実がついているオリーブの枝だった。

「オリーブか・・・確か平和の象徴だったね」

「うん!これを村に飾ればきっと争いも終わるよ!」

 

村が危機的状況に陥っているのにも関わらず希望を持ち続ける少女の姿に俺は不意に涙が出そうになった。

 

「こらエルパ、エイジが困っているだろう退いてあげなさい」

 

この少女は村長の息子の一人娘である。

 

「はーい、パパ」

「それじゃあエイジまた明日も頼むな、帰るぞエルパ」

「うん!じゃあねエイジ!」

「気を付けてね」

 

エルパを担ぎ上げ村長の息子は帰路につく、二人の姿が見えなくなるまで俺は手を振り続けた。

気が付くと、完全に日は落ち辺りは真っ暗な闇に包まれていた。

 

「せめて子供だけ達でも何とかできてばいいのだがな・・・・」

 

いつの間にか俺の隣には村長が立っていた

 

「大丈夫ですよ!きっと紛争も今に終わります!俺もそれまでこの村にいますから!」

 

俺は自分にも村長にも言い聞かせるように励ました。

 

「なあエイジ、もうこの村に残っている外国人はお前だけだ。悪いことは言わん・・・・・日本政府もとっくに避難勧告を出しとるだろう・・・・お前にも家族がいるはずだ・・・・日本へ戻りなさい。」

「村長・・・・・それは・・・・・・・!」

「まだこの村が終わると確定したわけではない。しかし・・・・・最悪の事は考えて何の関係もないお前だけはせめて・・・・・・・。」

 

村長の瞳から光がなくなり始めていた。

 

「俺もこの村の一員です!最後まで頑張らせて下さい!」

「そうか・・・・そうじゃな!じゃあ明日も必死に働いてもらうぞ!エイジ!」

 

(良かった・・・・・元気を取り戻してくれたか・・・・)

 

心からの叫びが効いたのか村長の瞳にまた光が戻ってきた。

 

「あっ!村長見てください!今日は星がよく・・・・・・あっ」

 

遠くの森の中から2つの光が放たれた。

その2つの光は天高く飛んでいくと、パッと弾け、一瞬だけ闇夜を照らした。

 

「政府軍の照明弾じゃな」

「照明弾を撃ってきたのは3日ぶりですね、一応村人の皆さんに注意を呼びかけましょうか」

「そうじゃな、明日からまた気を付けて作業をしてもらって・・・・・いかん‼エイジ!」

 

村長が必死の形相で俺の後ろにある空を指さした

 

「え?どうしたんで・・・・・・」

 

そう言って後ろを振り向く。

満天の夜空から大量の青い星のようなものが俺たちに向かって容赦なく降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 


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