UNDERMYTH   作:零崎記識

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過度な期待はせずに気楽に見ていくことをお勧めします。
感想・批評は歓迎ですが暴言・悪口は炎上の原因となりますのでおやめください。



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α月(lwl)日 天気 hehe…

 

一体何が起こっているんだろう?

 

理解が追い付かない。

 

頭が混乱している。

 

整理するために順を追って書いていこうと思う。

 

昨日ボクは日課となった日記を書き終え、おじいちゃんにボクの決意を表明するためおじいちゃんが消えた場所へ向かった。

 

すると、そこには『あいつら』がいた。

 

おじいちゃんを殺したモンスター共がそこにいた。

 

その時のことはよく覚えていない。

 

急に体が熱くなり、視界が赤く染まり、心がどす黒いナニカで埋め尽くされた。

 

次の瞬間、ボクはあれ以来武器が無いと不安でずっと持ち歩いていたふるびたダガー。

 

おじいちゃんの形見であるそれを片手にあいつらへと駆け出していた。

 

無我夢中でナイフを振るい、あいつらの中の一匹の心臓を抉りだしてやった感覚は今でも鮮明に覚えている。

 

そしてボクは…殺された。

 

不意打ちで一人殺したとはいえ多勢に無勢、それも戦闘などやったこともないド素人が滅茶苦茶にナイフを振り回していただけなのだ、到底勝てるわけがなかった。

 

 

心臓をえぐり取って放心していたボクは数の暴力であっさり殺された。

 

殺された……()()()()

 

気が付くと、ボクは家で日記を書いていたのだ。

 

まさか夢だったのかと思ったが、それにしては殺される瞬間の痛みは鮮明にボクの記憶に焼き付いていたし、何よりその時書いている日記の内容に強烈な既視感を覚えたのだ。

 

まるでそう…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そしてボクはもう一度あの場所へ向かった。

 

予感がした。

 

『あれは絶対に夢なんかじゃない』とボクは心のどこかで確信していた。

 

そしてそこにはやはり『あいつら』がいた。

 

呆然としているボクは襲い掛かってくるあいつらに再びあっけなく殺された。

 

そして……やはりボクはまた家で日記を書いていた。

 

明らかな異常事態だ。

 

死んだと思ったらなぜか時間が巻き戻っているのだから。

 

しかしその時のボクの頭にあったのは混乱ではなく殺意だった。

 

死んでも生き返れるならばちょうどいい、あいつらを皆殺しにしておじいちゃんを殺した復讐をすることで頭が一杯でボクは三度ナイフを握りしめてアイツらを殺しに行った。

 

そして三回目、ボクは死んだ。

 

あの時は怒りで頭が一杯だったから気にならなかったがあいつらを前にしてボクはあの時のように無様にも恐怖で立ちすくんだ。

 

そしてあっさり殺された。

 

『決意』したとかなんとか言ったが、怖いものは怖い。むしろ3回も殺されてるのにまだあいつらに挑もうと思ったのは決意を抱いたからだろうか。

 

そして4回目、今度は攻撃せず、あいつらの動きを観察し、回避することに専念してみた。

 

その甲斐あって、満身創痍になる頃にはあいつらの動きは随分と見えるようになっていた。

 

次何をしてくるのかが手に取るくらいに分かったのだ。

 

しかし動きが読めても満身創痍の身体では限界があり、ボクは惜しくも殺された。

 

そして5回目、ボクは……あいつらに勝った。

 

圧勝だった。

 

あれだけ殺された相手に対し、傷一つ付けさせずに勝利したのだ。

 

これまた記憶が曖昧だが、ボクはあいつらの血にまみれて狂ったように笑った。

 

そして家に帰って返り血を落としたボクはしばらく勝利の余韻に浸っていたが冷静になってすごく怖くなった。

 

得体のしれない現象を欠片も変だと疑わず、何度も死ぬことを受け入れていたことはまだいい。

 

ボクとしては別に、死んだって構わないのだ。

 

死が怖いわけじゃない。

 

ただ……あいつらと戦っているとき、ボクは憎しみの他にも確かに『楽しい』と感じていた。

 

戦いが楽しい。

 

殺すのが楽しい。

 

あの時、格上だと思っていた相手を蹂躙してやった時、ボクは達成感と歓喜に満たされていた。

 

しかし、ボクはそんな性格をした人間だっただろうか。

 

おじいちゃんが死んで、ボクは決意した。

 

強くなることを、そのためならば立ちふさがる敵を殺し尽くすことに躊躇はしないと。

 

だが、ボクは決して戦いと殺しに快楽を見出し血に酔うような人間ではなかったはずだ。

 

そう考えると、途端に怖くなった。

 

ボクは誰だ?

 

分からない。

 

あの温厚だったベル・クラネルは一体どこへ消えてしまったのか。

 

分からない。

 

考え出したら止まらなくなり、考えれば考えるほど『ボク』という存在がバラバラに砕け散っていくような感覚を覚えた。

 

昨日は結局それで頭が一杯で夜も眠れなかった。

 

あぁ……眠い。

 

頭が回らない……。

 

取り敢えずこのことはいったん棚上げにしよう。

 

後は明日考えr――――――

 

 

α月(lUl)日 天気 Hey kid...

 

どうやら昨日のボクは睡魔に負けてしまったようだ。

 

眼が覚めたら机に突っ伏していた。

 

起きたら体中が凝り固まってた。

 

まぁそれはさておき、ボクの提唱した『ボク別人説』については一先ず割り切ることにした。

 

あの日、おじいちゃんが殺された日、温厚で愚かな英雄に憧れた少年ベル・クラネルも一緒に死んだのだ。

 

ボクの決意を貫くには、昔のボクは甘すぎた。

 

だから新しくボクの決意は『ボク』を生み出した。

 

そう思う事にしよう。

 

冷静に考えればちょっと性格が荒っぽくなっただけの事だ。

 

特に何も困ることは無い。

 

そう割り切った。

 

問題も一応の解決を見たところで、これからのことについて書こう。

 

まず、オラリオに行くという目標は変わらない。

 

あと数週間の間にボクはこの村を出る準備を済ませた後、オラリオへと向かう。

 

そこで冒険者になって力をつける。

 

この基本方針は変わらない。

 

ただ、村を発つ準備と並行して検証しておきたいことがある。

 

この不可解な現象についてだ。

 

何故こんなことが起きるのかさっぱり分からないが、死んでもやり直せるならば、これは強力な優位性と成り得る。

 

ボクが目的を達成する確率も大幅に高くなる。

 

これを調べない手はないし、正直少しでも情報が無いと不安すぎる。

 

明日から色々実験してみようと思う。

 

 

α月(?_?)日 天気 \ ツクテーン /

 

取り敢えず色々分かったことを書いていこうと思う。

 

1 この現象はボクの『死』をトリガーに起こること。

 

何もしていない状態から『戻れ』と念じてみたり、戦闘中じゃないとダメなのかと思い軽くまたモンスターと戦ってみたが、時間が戻ることは無かった。

 

2 この現象はどのような死に方だろうが死ねば起こること。

 

戦闘・非戦闘関係なく、どのような死に方でも戻ることはできた。どんな死に方をしたのかは……思い出したくもないので書かないでおこう。

 

また、トリガーとしてボクが命の危機にあることを認識することが必要かと思われたがそんなことを認識するような間もなく即死しても普通に戻った。正直賭けだったが成功してよかった。

 

3 時間が巻き戻ったことは今のところボクだけしか認識できない事。

 

村の人たちにそれとなく話を聞いてみたが、誰も時間が戻っていることについて知らないようだった。ただ、認識はしないまでもぼんやりとした既視感があるようだ。

 

4 時間が戻る時点は決まってボクが最新の日記を書き終えた直後であること。

 

ボクとしてはまたあいつらを殺した日に戻るとばかり思っていたが、実際戻ったのは昨日の日記を書き終えた時点だった。

 

これに関しては安堵半分、失望半分ってところだ。

 

日が進むほど元の時間に戻るまでに時間がかかるようになるので、日記を書くことで巻き戻りのポイントを更新できるのはありがたい。

 

ただ、もしかしたらこの現象でおじいちゃんが死んだ日に巻き戻ればおじいちゃんを助けられるかもしれないと期待を抱いていた分かなり落胆した。

 

まぁ、そんな都合のいいことばかりじゃないか。

 

最後に、ボク以外が死んでもこの現象は起こるのか疑問が残るが、流石にこれを確かめるわけにはいかない。

 

それを確かめようと思うなら、僕以外の人間一人を犠牲にしなければいけないからだ。

 

ボクは別に殺人鬼になったつもりは無い。というか、ボクがいくら決意に狂った狂人だからといってそれは人として超えてはいけないラインだろう。

 

分かっていることとしては、人間以外のモンスターや動物を殺したところで時間が巻き戻ることは無かった、あるいは巻き戻ったとしてもそれはボクには影響しないということかもしれない。

 

分かっているのはそれくらいだ。

 

というか、我ながら一体何をやっているんだろうか。

 

死への恐怖心は無いと言っても自分の死に頓着しなさすぎな気がする。

 

淡々と自分の死を受け止めるなんてやはり異常だ。

 

これ以上考えると今度は『ボク人外説』が出て遂に人間かどうかすら怪しくなってくるのでやめておこう。

 

というか、実験でかなりの時間と日数を使ったが、その都度時間が戻っているので実際の検証に掛かった時間は今日一日だけだ。

 

一通りの検証は済んだので、明日からは本格的に旅立ちの準備をしていこう。

 

オラリオに発ったら目的を達成するまでこの村に戻るつもりは無い。

 

だけど仮にも生まれ育った村だ。それなりに愛着もあるし、思い出もある。

 

仲の良かった友達やお世話になった大人たち、そんな人々に何も言わずに旅立つほどボクは薄情ではない。

 

彼らとの別れを惜しんだり感謝を伝えたりするのが旅支度の殆どを占めるだろう。

 

人間関係の清算はしっかりとやっておくべきだ。

 

万が一にも決意を鈍らせる要素は排除してオラリオに向かいたい。

 

きっとこれが、ボクが『ベル・クラネル』でいられる最後の時間になるだろう。

 

名前を捨てるわけでは無いが、旅立ちをもってボクは過去と決別する。

 

さようなら、ボク。

 

 

 

*旅立ちが近づくのを感じ、あなたは(You're)ケツイに(filled with)満たされた(DETERMINATION)




どうも、零崎です。

いやぁ我ながら内容薄いなおい。

二話使ってまだプロローグとか展開がサンダースネイル並みに進まない……。

うん…次回こそはちゃんとオラリオに着けるかな?

次回こそ我らが紐神様の出番があると思うので楽しみにしててください。

ではまた次回
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