東方仮面時王異聞~Another Time Decade~   作:放仮ごdz

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どうも、仮面ライダージオウを見てライダー熱が燃え上がった結果、性懲りもなく東方×仮面ライダーを書いてしまっていた放仮ごです。なおジオウではなくディケイドが主役です。時系列は相変わらず地霊殿辺り。

アナザーOVERとかアナザーフルスコアとか色々思いついたから過去作のウィザスマを知っている人向け番外編かなんかで書きたい。

そんなわけで久しぶりに書いた東方×仮面ライダー、楽しんでいただけたら幸いです。


第一話:厄災(怨霊)も恐れ怯む少女

 その日、忘れられたものが集う地を襲った悪意があった。災厄たるそれは、例えば人を異形へと変える黒い煙を放つ狼男だったり、鏡の中から自在に出てきて空中を駆り人を喰らう巨大なサメだったり、人々を次々と粉々にしていくカブトムシの様な意匠のステンドグラスの目立つ怪人だったり、甲殻類の様な意匠を持った鎧武者だったり、コウモリの翼が生えた車の様な怪物だったりと、理解不能の「怪人」たち。

 

 必死の抵抗も自然災害の如く通りすがりざまに破壊していき、あとに残されたのは大量に築かれた屍の山と異形の群れ、絶望に打ちのめされた少女たち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 大勢の人間が死んだ。あの災厄が起きたのはお前のせいだ、と誰もが私を責め立てる。殴られて、蹴られて、石を投げられて、血塗れになって逃げだすもどこまでも追ってくる。これまでずっと、厄を溜めこむ身代わり人形として、不幸の掃き溜めになってその笑顔を守ってきた…と思っていた人々に、殺される一歩手前まで傷つけられた私はもう限界だった。何も知らない人間達は、不幸は全て私のせいだと責め立てる。ああ、嫌だ。こんな人間達の笑顔を守るために私だけ不幸になるだなんて、もう嫌だ。私のせいだと言うのなら溜めこんできた厄を全部放出してやる。悶え苦しむ様を見て笑ってやる。私一人だけが笑顔であればいい…!

 

――――「そうだ、人の笑顔を守り続けてきたお前にはその権利がある。その笑顔、悪くない。今日からお前がクウガだ」

≪クウガ!!≫

 

 

 

 

 

 

 

 救えなかった。救えなかった。私の手は、届かなかった。突如この幻想郷に現れた厄災に手も足も出ずに一蹴された。まさか、切札の夢想天生も通じないなんて。あっという間に地に伏され、目の前で何人も無残に殺されてしまった。妖怪で知り合ったばかりとはいえ、その少女の伸ばした手を握れなかった。なにが博麗の巫女だ。なにが幻想郷最強だ。目の前の女の子一人、手も届かず助けられなかったじゃないか。力が欲しい、どこまでも届く手が、欲しい。

 

――――「そうだ、その欲望だ!ああ、限りなくあの男に近い欲望を抱いたお前なら力を得るだろう。今日からお前がオーズだ」

≪オーズ!!≫

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、死んだ。死んでしまった。無意識なことが災いして、目の前に迫りくる悪意に気付かなかった。博麗の巫女の警告の声に気付いた時にはもう遅かった。意識してようやく気付くなんて自業自得だ…お姉ちゃんみたいに周りに嫌われるのが嫌だから第三の目を封印して心を閉ざして、誰からも嫌われなくなった代償に誰の目にも映らなくなり誰の記憶にも残らなくなったからと、フラフラと放浪し続けた結果がこれだ。死んで第三の目が開いたためか、無意識から目を覚ます、意識する。嫌だ、こんな寂しく独りで死にたくない。誰か見て、私を見て。死ねない。まだ、お姉ちゃんと仲直りしていない。死んでも、死にきれない。どんな手を使ってでもいい…生きたい。私はまだ、生きたい…!

 

――――「そうだ、人間だろうと妖怪だろうと関係ない、生きたいと願うのは当然の権利だ。その命を燃やせ。今日からお前がゴーストだ」

≪ゴースト!!≫

 

 

 

 

 

 

 

 なんで、なんで……なんで、だよ……私は不死身だってお前は知っていただろう?なのになんで、厄災の攻撃から私を庇って死んでしまうんだ……!確かに厄災の、人を灰にする触手の攻撃を見てもしかしたら死ねるかもしれない、なんて思って体が止まってしまった。だからって、庇う事なんてなかったんだ。お前は、人里や寺子屋の人間を守らないといけないんだろう?残された子供たちや、私はどうなる?いやだ、千年にもわたる孤独の中でようやく出会えた親友なんだ。もう会えないなんて嫌だ。認められない、どんな手を使ってでも私はお前を…!

 

――――「そうだ、例え嫌われたとしても、仇敵の力を借りてでも、自分の手を汚してでも大事な人と一緒にいたい。あの男と同じその覚悟を見せる時だ。夢が何もないお前にはこれがふさわしい。今日からお前がファイズだ」

≪ファイズ!!≫

 

 

 

 

 

 

 

 アタイは最強だからと、親友たちを守ろうとして立ち向かって、呆気なく殺された。守ることもできなかった。アタイと親友は妖精だから復活できたけど、寺子屋仲間の人間のみんなは死んだままだ。無力感に打ちひしがれ、今更ながらに自覚する。自覚、してしまう。博麗の巫女や普通の魔法使いに惨敗していてなにが最強だ。ああ、変わりたい。バカで身の程知らずで虚勢を張ることしかできないアタイから「変身」したい。大ちゃんたちを守れる「最強」になりたい。

 

――――「そうだ、その心意気こそが必要だ。今こそ理想の己に変身する時だ。今日からお前が鎧武だ」

≪鎧武!!≫

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、退屈だ。何やら厄災とやらが人里で起きたらしく、この退屈な日常に刺激を与えてくれないかと一途の望みをかけて行ってみたが、期待外れだった。巨大なサメの姿をして鏡の中から不意打ちで襲いかかってきたが、頭を噛みちぎられても無事な私に襲撃者は心底驚いたらしく厄災とやらは次々と姿を変えてあの手この手で殺そうとしてきた。

 究極の闇?灰化させる蒼い炎?超高速の一撃?ライフエナジー吸収?バグスターウイルス?ネビュラガス?無駄だ。この不老不死の蓬莱人の肉体には通用しない。そんなものなのか、兎たちが騒いでいたから期待してたのに。…でも、こいつはいい。懐中時計の様な何かを顔見知りに次々と与えて異形の怪人へと変貌させてたそれは、私としては好ましい。その存在を見て、この厄災の脆さを見て抱いたのは、純粋な興味とちょっとした悪意。もういい加減、嫌気がさしたのよ。刺激の無いこの日常に。

 

「ねえ。さっき、あいつらになんか渡してたでしょ?私にも渡しなさいよ」

≪エグゼイド!!≫

 

 抵抗しようとする赤と青の歯車が噛みあった様な怪人の胸ぐらを掴み、壁に叩きつけることで転がり落ちたそれを手にして、見よう見まねでボタンを押して起動。低い機械音声で何やら鳴ったそれを自ら胸に叩きつけ、力が溢れる感覚と共に一つの記憶が脳裏に駆け巡った。長い、長い一年以上の物語。ああ、これはいい。外の世界でこんなことが起きてたなんて、ずるいじゃない。ただの人間の分際で。

 

 

――――「永遠に終わらない命がけのゲーム?上等よ。この私が開催してあげるわ、決して退屈しないゲームコンテンツを!今日から私がエグゼイドよ」

 

 

 

 

 

そして、楽園は地獄と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 厄災の人里襲撃から三日後。地底にて、厄災の襲撃を受けた少女がいた。挨拶とばかりに壁を破壊され、瓦礫に埋もれた少女「古明地さとり」は血塗れで襲撃者を見上げて呆れたように笑う。

 

 

「おや、おや…こんな地底深くまで来るなんてとんだ物好きさんなんですね…噂の厄災さんとやらは」

 

『ワタシは世界の破壊者だ…世界を歪め、破壊する。お前もその糧となれ…!お前を忌避してきた者達へ復讐を…!』

 

 

そう言ったフード付きの灰色のマントを身に着けた何者か、『厄災』はくぐもった声を上げてカブトムシの様な異形のナニカが描かれた懐中時計の様な物「ライドウォッチ」を掲げ、親指で頭頂部のボタンを押して起動した。

 

 

≪カブト!!≫

『行方知れずの妹を守りたいだろう?そのためならば己が手でも血で汚せるだろう?力を渡そう、地底に追いやられしお前にふさわしい太陽神の力を…!』

 

 

そう言ってさとりにライドウォッチを埋め込もうと迫る厄災。身動きを取れなくして、受け入れざるを得なくして強制的に契約に持ち込む。望みを叶えるという真実を含んだ甘い戯言を乗せて。しかし、このさとりに限っては悪手だった。

 

 

「なるほど、私達幻想郷の人間を利用して幻想郷ばかりか外の世界、つまりはこの世界を根本的に歪めて破壊することが貴方の目的ですか」

 

『…なに?』

 

「世界を破壊するにはその世界の物ではない異物を持ち込み定着させるのが一番、と。残念ながら私はそれを受け入れませんよ。目的のために猛進する怪物になってしまうのでしょう?それよりも…私的にはこちらがいいかと」

 

 

そう言って、瓦礫を押しのけて立ち上がったさとりの手には、何時の間にやら中央に赤い宝石が付けられた白いカメラの様な掌大の物体「ディケイドライバー」が握られていた。正真正銘の妖怪である彼女に、回復の時間を与えすぎた。その薄紫色の髪に付けられた赤いヘアバンドから伸びた複数のコードに繋がれた第三の目(サードアイ)に睨まれ、厄災はたじろいだ。

 

 

『それは…!?』

 

「私には心を読む程度の能力というものがありまして。貴方のトラウマを想起させていただきました。普段は弾幕としてしか使わないけど、こいしも関わっているとなれば話は別。非常に嫌われているこの力ですが、どうやら貴方に唯一対抗できる力らしい」

 

『おのれ…!』

 

「あ、待ちなさい!」

 

 

想定外だったのかあっさりと退いて出現した灰色のオーロラに飛び込んで姿を消した厄災を追おうと手を伸ばして、空振りしたさとりはもう片方の手に握られたディケイドライバーを眺めて、決めた。三日前から行方不明になった妹と、大事なペット達を捜そうと。

厄災の心はまるで幾重にも重なりあったかのようでほとんど読めず、その目的と手段、そしてトラウマと化している「ディケイド」と呼ばれる存在しか見れなかったが、妹がこの異変と呼んでいいものかとも迷う災厄に巻き込まれたであろうことは確信していた。

 

 

「…まずは、地上に出なくては」

 

 

新たな「通りすがりの仮面ライダー」の旅は、こうして始まった。

 

 

 

ーーto be next another time




王を選別するタイムジャッカーとは違い、世界を破壊するためにアナザーライダーを生み出す厄災さん。その正体は一体何なのか。

まだクウガ、オーズ、ゴースト、ファイズ、鎧武、エグゼイドしか出てませんがアナザーライダー選抜は結構自信作。誰かは結構わかるかな。


最近新しく書いてるのはエタってるのばかりですが今回ばかりはガチで続きを書いていきたい所存。
相談し合って書いた、秋塚翔さんの東方×仮面ライダージオウ作品「東方時王者 ~Fantasy Time Zi-O~」もどうぞよろしくお願いします。


次回はディケイド第一話の如くVSアナザーカブト。さとり初変身となります。次回も楽しみにしていただけたら幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などをいただけたら嬉しいです。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。むしろ感想くださいお願いします。
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