東方仮面時王異聞~Another Time Decade~   作:放仮ごdz

6 / 10
はいどうも、ジオウ最終回どころかゼロワンもだいぶ進んでようやく投稿出来た放仮ごです。東方キャノンボール始めました。書いてるキャラが出るたびに若干落ち込みます。
ぶっちゃけるとスランプでした。結構時間かけて書いたので、当初の方針と正反対違ったり、書き直したりを繰り返しました。結局新しいアナザーライダーはちょびっとしか出せず、結構長く…

今回は人里編の第二話。とりあえず書きたいことは書けたので満足。狂宴はまだまだ始まったばかり。完全に狂っているアリスさんです。楽しんでいただけたら幸いです。


第六話:通りすがりの仮面ライダー(孤影悄然の妖怪)

 迫りくるアナザーアギトの群れに、正面から突っ込んで二刀流で大暴れするアナザー鎧武と、援護すべくガンモードのライドブッカーを構えて乱射しながら歩いて後を追うディケイド。アナザーアギトたちを蹴散らして、本体のアナザーアギトへと突き進む。本体のアナザーアギトは操演して空からも襲いかからせるが、即座に迎撃されて手法を変えてきた。

 

 

「数の暴力も弾幕ごっこと同じでブレインよ」

 

 

 すると糸を伝ってアナザーアギトたちに何かの力が送られ、その手に長剣を握って斬りかかってくる数体のアナザーアギトを、氷の剣と大剣の二刀流で受け止め弾き飛ばすアナザー鎧武。しかしその背後から薙刀を手にしたアナザーアギトが跳躍してきて、咄嗟にディケイドの放った光弾を薙ぎ払いながら空中からアナザー鎧武の背後に奇襲。一文字に斬られて呻くアナザー鎧武。

 

 

「チルノちゃん!」

 

「アギトの武器…!?さすがにそれは面倒ね…」

≪アタックライド・ブラスト!≫

 

 

 そのまま長剣と薙刀を手にしたアナザーアギトが、きちんと整列して突進してきて、ディケイドは分身した銃口から光弾を連射して対処するが、大妖精が何かに気付いて警告の声を上げた。

 

 

「さとりさん、後ろです!」

 

「なっ…!?」

 

 

 まるで滑車で引っ張られるかの様に滑らかに足元を迂回して来たアナザーアギトの剣で背中を斬られ、体勢が崩れるディケイドに、前面から突進してきた整列したアナザーアギト達の剣先と薙刀が四方八方から殺到して大ダメージを受けて崩れ落ちるディケイド。整列したアナザーアギトの軍団は囮だったことを悟りながら膝をつき、その首筋に背後に立ったアナザーアギトの長剣が突きつけられて反撃しようにも動けなくなり他のアナザーアギトに囲まれるディケイドに、本体のアナザーアギトが得意げに歩み寄ってきた。

 

 

「認めたくないけど、私は居場所が何処にもないボッチよ。幻想入りしたゲームを暇潰すぐらいにはやっているわ。これはそんな無駄知識から得た技、背面(そとも)斬り。前面ばかり見ていて背後を疎かにしたわね」

 

「悪かったわね。こちとら弾幕ごっこも相手のトラウマ使わないとろくにできない戦闘の素人なのよ。でも…妹を、ペット達を見つけるまでは、負けられない!」

 

「!」

 

 

 どうせあっちは仲間にする気だろうから殺すつもりはないと判断して、我武者羅に腕を振るうディケイド。すると偶然にも裏拳が背後のアナザーアギトの顔面に炸裂し、立ち上がると同時にライドブッカーをガンモードにして目の前のアナザーアギト…アリスに銃撃を浴びせて怯ませ、全速力で退避するディケイドを追いかけようとするアナザーアギトの群れに冷気の斬撃が炸裂して凍り付き、それを行ったアナザー鎧武がディケイドに合流して再び大妖精を守る様に構えた。

 

 

「はあ、はあ、助かったわチルノ」

 

「お互い様よ。あの親玉がアンタに気を取られてくれたおかげで包囲が甘くなったから抜け出れた。隙あらば大ちゃんに手を出そうとしていたけど、片っ端から氷漬けにしてやったわ」

 

「…本体さえ倒せば、この大量のアナザーアギトは元に戻ると思うの。できれば犠牲は少なくしたい」

 

「私は大ちゃんさえ生きてればそれでいいけど…」

 

「チルノちゃん。友達もみんなアレにされたんだよ?助けてあげよう?」

 

「よしわかった、やろう。殺さなきゃいいんでしょ?」

 

「あ、うん」

 

 

 大妖精が言うから同意してきたな、とこのアナザーライダーの本質を理解しながら苦笑し、ライドブッカーを開いて有効なカードを見繕うディケイドはあるカードを見つけて、なぜ忘れていたのかと自分に呆れて苦笑する。そしてアナザー鎧武は仮面の下でにんまりと笑みを浮かべると大剣を突き付けた。

 

 

「まあ安心してよさとり。数を押さえるだけなら、多分私が最強だ。――――“(ひら)け”」

 

「え?」

 

 

 するとアナザー鎧武の背後にいくつものジッパー状に縁どられた異次元の扉クラックが開き、その先に広がる「ヘルヘイムの森」に住まう異形の怪物「インベス」が出現、アナザー鎧武とディケイドの背後、大妖精を囲う様にずらりと軍勢が揃い並ぶ。

 

 

「おいでませ!私の軍隊、インベス!」

 

 

 クラックからは初級インベス十数体、ビャッコインベス、シカインベス、コウモリインベス、セイリュウインベス、カミキリインベス、ヘキジャインベス、ライオンインベス、ヤギインベスがぞろぞろと現れ、落ち着かず忙しなくきょろきょろと見回すディケイドに大妖精が話しかけた。

 

 

「大丈夫です。みんな、チルノちゃんの言う事を聞いてくれるいい子たちですから」

 

「そ、そう…?」

 

 

 ディケイドの記憶にもないまるで知らない怪人たちなので若干警戒しながらも、笑顔の大妖精を信じることにしたディケイドは一度ライドブッカーを閉じてソードモードにして構える。同じ数の戦力が現れたのを見て本体のアナザーアギトも本腰を上げたらしく、アナザーアギトの軍勢は先程よりも殺気を伴ってインベス達と睨み合っていた。

 

 

「いっぱいお客さんを呼んでくれて嬉しいわ。みんなまとめて(アリス)にしてあげる!」

 

「そうなる前にアンタを倒せばいい話なんだよ、この⑨!」

 

 

 本体のアナザーアギトとアナザー鎧武の指揮で、同時に駆け出して激突するアナザーアギトとインベスの軍勢。乱戦となったその場に飛び込み、アナザーアギトを斬り付け蹴り飛ばしながらあるカードを取り出して装填するディケイド。

 

 

「何でパルスィ達に使わなかったのか、私だけど理解に苦しむわね。アナザーライダーは本物の歴史で覆われているから本人で然りでしょう?物は試し。使ってみましょうか」

≪ファイナルフォームライド・アアアアギト!!≫

 

 

 響き渡るは、さとりが厄災を介して見た「ディケイド」の旅路にて得た仮面ライダーアギトとの絆の形。仮面ライダーを強制的に超絶変身させる「ファイナルフォームライド」をアナザーアギトにも使えると判断したうえでの使用、だったのだが。

 

 

「ちょっとくすぐったいわよ………!?」

 

「さとりさん?!」

 

 

 背中に手をつけても、特に変化は起きず固まったところに蹴りを入れられて吹き飛ばされるディケイドに大妖精が悲鳴を上げる。ディケイドは自らの判断の甘さを呪った。使えると半ば確信していた、だがやはり絆の形なのだ。絆などなく強制的に変身させようと考えたのは楽観的だった。

 

 

「こうなれば、一気に…!」

≪ファイナルアタックライド・ディディディディケイド!!≫

 

 

 咄嗟にライドブッカーソードモードを手にしてアナザーアギトを数体纏めて斬り伏せるディケイド。すかさずカードを装填しながら振り返りざまにアナザーアギトを斬り裂き、崩れ落ちるアナザーアギトを踏み台にして跳躍。唐竹割りを別のアナザーアギトに叩き込んでさらに宙返りしてエネルギーカードに飛び込んで着地。そのまま「ディメンションスラッシュ」でまとめてアナザーアギトの群れを薙ぎ倒した。

 

 

「もうこれ以上増えることはなさそうだし、少しでも減らして本体を狙うのが最善手かしら」

 

「私とインベス達が足止めするから、なんか倒す手があるなら早くして!」

 

 

 大剣を突き付けてインベス達に指示を下して統制された動きのアナザーアギトの群れに対抗するアナザー鎧武だったが、大妖精のアドバイスを受けながらも扇動が上手くいかず、さらにアナザーアギトに噛み付かれた初級インベスがアナザーアギトへと変貌していき、押し込められ始めていた。

 

 

「戦況は大体分かったわ。でもこの包囲網を抜いて本体に一気に近づくのはちょっと無理そう…」

 

「…なら、できるだけ被害を減らすってのは無理だ。もし失敗したらインベスみんな失うだけの諸刃の策だけどやってみる?」

 

「え?」

 

 

 そう言ったアナザー鎧武が氷剣を大剣の柄の底にくっつけて両刃の薙刀の様にすると、慌てて屈んだディケイドと大妖精の頭上すれすれに冷気の斬撃が円状に放たれ辺り一帯を凍り付かせ、アナザー鎧武はさらに薙刀を振り回した。

 

 

「アタイが変身したのは、こんな数相手に独りでも絶対に負けない、最強の私だ!冷符【ソードフリーザー・ナギナタ無双アイスライサー】!」

 

 

 剣圧が旋風の様に放たれ、まるでミキサーの様に氷像と化したアナザーアギトとインベスの大群を切り刻み、大空へ巻き上げられる。そして、他のアナザーアギトを盾にして凍結を免れていた本体のアナザーアギトに、アナザー鎧武とディケイドは突進する。

 

 

「よくも好き勝手やってくれたな!」

 

「ここからは私達のステージ、って奴よ!観念しなさい!」

 

「私の大事な(アリス)をよくも…!でも、やっぱりバカね。それは悪手よ」

 

 

 五指に糸が括られた両腕をまるで指揮者の様に振るうアナザーアギト。異様な光景にディケイドは一瞬踏みとどまってしまうが、アナザー鎧武は知ったことかと言わんばかりに突き進むが、飛来したなにかと激突して強制的に止められ、転倒してしまう。

 

 

「な、なんだ…!?」

 

「ウゥゥゥ…!」

 

 

 アナザー鎧武の足にしがみついていたのは、バラバラにされた凍結した肉体の破片を糸で繋ぎ合わされたアナザーアギトの一体であり、邪魔された怒りのままに鎧武は頭部や背中に刃を突きたてるも拘束を解かず、氷の剣で突き刺して凍り付かせて地面に縫い付け、凍り付いても放れない腕を砕き、駆け抜けていくディケイドに遅れて続こうとして、空から飛来するそれらに気付いて警告の声を上げる。

 

 

「さとり妖怪!上だ!」

 

「そう易々とやられるほど、アギトの歴史は脆くはないわ」

 

 

 空から飛来したのは、アナザー鎧武がバラバラにしたアナザーアギト達の、大量の「腕」だった。「オーズ」のアンクの様に意思を持つかのごとく自在に宙を舞うそれらは糸に繋がれており、ディケイドとアナザー鎧武に向けて飛来し、剣で切り払う両者。

 

 

「くっ、さっきと同じように倒したはずなのに…この違いは…!?」

 

「それは私がアギトになっていない時ね、アリス(私達)も弱体化して当り前。もとよりアギトの力ってのは不完全なギルスでも切断された両腕が生えてくるぐらいにはしぶといのよ」

 

「じゃあやっぱり、本体をやるしかない…!うおぉおおおおおっ!」

 

「だからあなたは馬鹿なのよ」

 

「きゃああ!?」

 

「大ちゃん!」

 

 

 死角を突いてきた腕たちに体中を掴まれながらも振り払うように突進するアナザー鎧武だったが、アナザーアギトが指を差した途端に悲鳴が上がり振り返ると、そこには、下半身以外繋ぎ直されたアナザーアギトの一体が這いずって大妖精に襲いかかろうとしている光景があり、何も考えずに激情のまま大妖精の元に跳躍し、氷剣でアナザーアギトの頭部を貫いて凍り付かせることで活動を停止させた。そして。

 

 

「隙ありよ」

 

「しまっ、カードが…!」

 

 

 同じく大妖精の悲鳴で隙を見せてしまったディケイドの持つライドブッカーに腕の一つが飛び付き、無理やり開いて中から一枚のカードを奪い取り、空を飛んでアナザーアギトの元に戻って手渡した。そのカードは先程使おうとして使わずにいたものであり、アナザーアギトを唯一倒せるであろう手段であった「仮面ライダーアギト」が描かれたカメンライドカードだった。

 

 

「厄災から話は聞いているわ。さとり妖怪、貴方に出会ったらこのカードを奪い取れば私を倒せる者は存在しないとね…!」

 

「厄災が…?」

 

 

 アナザーアギトが上機嫌に語った言葉に、自分の不注意を歯噛みしながらも疑問を抱くディケイド。何故わざわざ伝える必要があるのか?と自問したところで、その答えを見せつけられることになった。アナザーアギトの手に渡った瞬間、アナザーライドウォッチに酷似した黄色の「ライドウォッチ」にライダーカードは変化したのだ。

 

 

「…ははっ、アハハハハッ!そういうことね。私が真のアギトになる…!」

≪アギト!!≫

 

 

 それを見て合点が行った様に高笑いを上げたアナザーアギトは、そのまま外輪部を回して起動し、自らの胸に突き刺した。すると金色の稲妻が走って黒い靄に包まれ、シルエットが変化。靄が晴れると、金色の二本の角「クロスホーン」を持つ龍を模した赤い複眼の頭部に、中心に力を制御する「ワイズマンモノリス」がはめられた金色の装甲を付けた胸部に、黒いスラリとしたボディで腰に金色の石がはめ込まれたベルト「オルタリング」を身に着けた、アナザーアギトとは似ても似つかぬ戦士「仮面ライダーアギト・グランドフォーム」に姿を変えていた。

 

 

「変わった!?」

 

「あれは…さとりさんの持っていたカードに描かれていた…?」

 

「なんで、まさかライダーカードに埋め込まれたアギトの力で…そんなことがアナザーライダーはできるの…?」

 

「力が漲る…これが本当のアギトの力。確信したわ。今の私なら、幻想郷中の人間全てを(アリス)にすることができる!」

 

「「「ッ!?」」」

 

 

 歓喜の声を上げたアナザーアギト…否、アギトの胸のワイズマンモノリスが紫色に光り輝き、その光は人里、魔法の森、妖怪の山、地底、博麗神社、紅魔館etc.…それこそ幻想郷全体を照らしていった。

 

 

「ッ…なんだ、何ともないじゃない!」

 

「いや、チルノ。…やられたわ」

 

「え…?大ちゃん!?」

 

「う、うう…」

 

 

 光が納まった時、アナザー鎧武とディケイドにはなんら影響は与えていなかったが、頭を抱えて蹲り、明らかに様子がおかしい大妖精にアナザー鎧武が駆け寄り、ディケイドが警鐘を上げる脳裏に従ってアナザー鎧武を引き留めようとするものの手遅れで。

 

 

「ウガァアアアアアッ!」

 

「大ちゃん、なんで…」

 

 

 苦しみながら大妖精は背中に翅が生えていて黄色いリボンを首にスカーフの様に巻いた小柄なアナザーアギトに変貌、アナザー鎧武を押しのけ咆哮を上げ、尻餅をついたアナザー鎧武は呆然とそれを見上げるしかなく。さらに家屋を突き破って現れたり、人里に押し寄せてくる更なるアナザーアギトの群れ。幻想郷中の人間や妖怪のほとんどが変貌したことは火を見るより明らかだった。

 

 

「…仮面ライダーでもアナザーライダーでもない人間は無差別にアナザーアギト化したみたいね」

 

「ふん、別の力に包まれている人間に通じないのは難点ね。変身を強制解除させてから改めて、かしら」

 

「そんなことはどうでもいい。お前!私は大ちゃんを守っていたのに、大ちゃんに何をした!」

 

「だから貴方は馬鹿なのよ。人間…そして妖怪、いずれにも「アギトの力」は眠っている。私のこの力でアギトの力を強制覚醒させてみんな(アリス)にしたの。それぐらい、分からないのかしら?」

 

「絶対に許さないからなお前!大ちゃんを返せ!」

 

 

 変貌した直後から動くこともなくなった大妖精だったアナザーアギトを後ろ目に、二剣を手にして突撃するアナザー鎧武に、アギトは首を傾げ、隙だらけの彼女を守る様にアナザーアギトの群れが進路を阻んでくる。突破することは容易ではない。

 

 

(アリス)をどうしようか私の勝手よ。むしろ、妖精である彼女が不死身の肉体を得られて死ぬことも無くなったんだから幸せじゃないかしら?」

 

「ふざけるな!怪物にされて、お前の言いなりにされて、幸せなわけがない!」

 

「幻想郷をみんな同じアリスのワンダーランドにするって言っていたけど、さとり妖怪から言わせてもらえば個性や違いがあるからこそ生物なのよ」

 

「ハッ!個性や違い?くだらない!そんなものがあるから争いや諍い…果てには戦争が起こるのよ。愚かな人間や妖怪達を、みんな同じにすればみんな幸せよ。ねえ、貴女もそうよね?」

 

「そんな…大ちゃん!」

 

 

 そう問いかけるアギトに、歩み寄る大妖精だったアナザーアギトに手を伸ばすアナザー鎧武だが、やはり他のアナザーアギトが阻んで届かない。しかしアナザーアギト達は攻撃はせず、チルノの心を折るためかわざと見せつけるかのようにアナザー鎧武とディケイドを押さえつけてきた。そして歩み寄ってきたアナザーアギトの頬に、満足げに手を伸ばすアギトだったが、次の瞬間不思議なことが起こった。

 

 

「…ごめんなさい、アリスさん」

 

「がはっ!?な、なんで…」

 

 

 アナザーアギト…大妖精が言葉を発したかと思えば突然拳を繰り出し、不意打ちがクリーンヒットしたアギトは腹部を押さえて後退、信じられない様に吠えた。

 

 

「なんで、なんで!なんで元の自我を保っているのよ…なんで、(アリス)じゃないのよ!?そんなに、私が嫌いなの?!」

 

「多分、違います。私は、人里で人形劇をしてみんなを楽しませていた貴方を…私達妖精にも優しくしてくれた貴女を、最初から友達だと思っていたからじゃないかと。…貴方の求める居場所は、こういうことじゃないんですか?」

 

「そんなはずないわ、幻想郷に私の居場所は無いもの…その筈だもの。そうじゃないなら、私は何のために(アリス)を増やしているのよ!だって誰も、私自身でさえも信じられないのだもの!私はここにいていいの?貴女に友人だと言われて、信じていいの?―――――違う違う違う!そうよ、こんなことをしでかしている私を未だに友達だなんて思えるはずがない!私を騙そうだなんてそうはいかないわ!私の居場所を守って見せる…!!」

 

 

 頭部を抱えながらまるで子供の様に喚き立てるアギト。アナザーアギト達の動きの統率も乱れ、アナザー鎧武は無事に脱出してディケイドと、アナザーアギトの大妖精の側に並んだ。

 

 

「大ちゃん!…大ちゃん、なんだよね?」

 

「うん、チルノちゃん。こんな姿でも私は私のままだよ。それよりも、アリスさんが…」

 

「やっぱりというか…理性があったのね。わざわざ大妖精を招き寄せてチルノを絶望させたかったのは、自分が正しいと思い込むため。霊夢さんの様に狂気に振り切れば楽だったでしょうけど、自己嫌悪からの理性と優しさからの罪悪感がそれを邪魔したのね」

 

「うるさい!うるさい!私の居場所を奪わないでよ!」

 

 

 仮面を掻き毟って激高したアギトが両手を闇雲に振り回し、アナザーアギトの群れが津波の様にして押し寄せ、アナザー鎧武とアナザーアギト(大)は咄嗟に剣と拳で迎撃、ディケイドが≪アタックライド・ブラスト!≫で吹き飛ばして牽制。しかしアギトは怯みもせず、大きく両腕に握った糸を引っ張って背後に控えていたアナザーアギト二体を人間ミサイルの如く突撃させ、まるで縄跳びでもするかの様に縦横無尽にアナザーアギト二体が跳び回って襲いかかり、三人は死角を埋めるべく自然に背中合わせになり三方向からの攻撃を対処する。

 

 

「大妖精が無事でよかったんだけど…アレを倒すには、アギトのカードを取り返すしかないかしら」

 

「私の、同じ力なら恐らく通じると思います」

 

「大ちゃんを戦わせたくないけど…さとり妖怪が不甲斐無いならしょうがない!いくよ大ちゃん!私は大ちゃんを絶対守って見せる!」

 

「悪かったわね…どうせ私なんか体力もない、大事なカードも簡単に奪われる、アナザーライダーの心は読めない、大妖精を守るって言う約束を果たすこともできなかった役立たずよ」

 

「そ、そんなことないですよ…?」

 

 

 やる気が増したアナザー鎧武と、痛いところを突かれて若干落ち込むディケイドと、それをフォローするアナザーアギト(大)の姿に、アギトは怒りを抱く。何故だ、さっきまでの私と同じ姿なのに、変身者が、人格が違うだけで、ああも受け入れられるのか。理不尽だ、あまりにも理不尽だ。こんな私を友だと呼ぶあの偽善者が許せない。その怒りは炎として溢れ出し、アナザーアギト達もろとも炎に包まれて、アギトは自分の支配下にあるアナザーアギト達ごとその姿を変えた。

 

 

「まさか、フォームチェンジまでとは…」

 

「なんか知らないけど大ちゃん以外の奴等もみんな変わってる!」

 

「アリスさんの心が私にも伝わってくる…これは、激情?」

 

 

 全身冷えて罅割れた溶岩の様な赤と黒の重厚でマッシブな身体に、紫色の石がはめられたオルタリング、赤く染まり六つに展開したクロスホーンと血の様な深紅に染まった複眼でこちらを睨むアギトは全身を赤熱させ、かつてミラクルワールドと呼ばれる世界で悪意を撒いていた「悪のアギト・バーニングフォーム」へと姿を変え、アナザーアギト達もまたアギトのバーニングフォームと酷似しているがクロスホーンや上腕部が紫がかった赤になっている姿に変貌。さらにアギトと繋がっていた糸が焼き切れて、自由となったアナザーアギト達は思うがままに暴れ始めた。

 

 

「私が作った最後の居場所を奪うのだというのなら、私以外の全てから居場所を奪ってやる…!」

 

「このまま幻想郷ごと私達を焼き尽くそうってわけね。それもご丁寧に氷の天敵である炎で。想起【マスタースパーク】!」

 

「これだけ熱気が多いと凍らせるのは無理ね!変身してなかったらとっくに溶けてるし、ぶっちゃけ今半分の力が出せて精一杯だけど、私は最強だ!凍符【パーフェクトフリーズ・クナイバースト】!!」

 

「チルノちゃんを脅威と感じたんだと思います。バラバラにしちゃったからさっきは逃れられたけど、完全に氷塊の中に閉じ込められたら操る力も意味がないので」

 

「それはもう少し早く知りたかったわね!想起【天狗のマクロバースト】!」

 

 

 アギトの叫びに呼応するかのように破壊活動を行うアナザーアギト達を、斬り捨て、殴りつけ、撃ち抜き、蹴り付け、一体を一瞬だけ凍り付かせて殴り飛び散った破片を利用した氷のクナイ弾幕で牽制し、極太光線を放ったり足元から竜巻を発生させたりと、弾幕も織り交ぜながら蹴散らしていく三人。

 

 数の差は依然として覆らないが、それを補うにはあまりある力をディケイドたちは持っていた。チルノがあからさまに弱体化しているものの、同じアギトに対して特攻であるアナザーアギト(大)と世界の破壊者とまで謳われたディケイドの力があり、さらにはアギトが完全に操作を放棄したため統制が無い有象無象の群れなど対処するのは容易かった。

 

 その光景に、怒りのままに飛び出すアギト。片手に白いダブルセイバーを手にして両方の刀身から巨大な炎の刃を出しながら斬りかかり、咄嗟に突き出したアナザー鎧武の大剣で受け止められ、糸で繋がったアナザーアギト(幻想郷の住民)から搾り出した魔力をブースターにして鍔迫り合う。

 

 

「なんで、なんでよ!私の考えのなにが悪いって言うの?!みんな(アリス)になればいい!みんな同じなら争いは起きない!平和な世界なんだから、それでいいじゃない!」

 

「私は私だ!大ちゃんは大ちゃんだ!大ちゃんがいなくて、私が最強である自分でいられない世界なんていらない!」

 

 

 アナザー鎧武に言い返された拒絶の言葉に、激情がアギトを支配する。私が私である世界?今の幻想郷じゃそれが出来ないから、私はこの凶行を行っているというのに。この馬鹿どこまで私を傷つければ気が済むのか。

 

 

「貴女みたいな人間がいるから争いは起こるのよ!生物はいつだって力を求める!私もそうよ!他者と違うから、他人を理解できないから!!安心するために、分かりあうことを諦めて争い続ける!」

 

「分かりあうことをやめたのは貴女じゃない。私は大ちゃんを守るためにさとりと一緒に戦うことを決めたわ。信用したわけじゃないけど、進む道は同じだから!それに争う事のなにが悪いのよ。私は争って自分の弱さを痛感して、今の私になったわ。弾幕ごっこも、相手より美しくすることに重きを置いて切磋琢磨することでスペルカードが生まれたんじゃない。アンタのそれは、幻想郷の否定でしかないわ!」

 

「うるさいうるさい!だって、だって、私達人間と妖怪はみんな愚かなんだもの!ならせめて、私の心を埋めてよ!私の居場所になりなさいよ!神綺様達の代わりになってよ!私の(アリス)人形でも、みんな幸せならそれでいいでしょ!?」

 

 

 訴えるかの様に泣き喚きながら片方の手の指に繋がった己の武器―――上海人形、蓬莱人形と呼ばれる人形たちがレーザーを放って怯ませたアナザー鎧武を弾き飛ばすアギト。変身が解けたチルノが吹き飛んだ先で受け止めたディケイドとアナザーアギト(大)をも威圧しながらアギトはフラフラと歩み寄る。すると、黙っていたディケイドが口を開いた。

 

 

「私達は愚かだから、か。なにも言い返せないわ。ええ、確かに愚かよ。死んだ妹の面影を追って、それでも希望を求めて足掻いた挙句にこんなことにも巻き込まれたり…」

 

「大切な友達を巻き込まないために、自分ひとりで戦ったり…はい、私達は愚かです。私のために傷付くと分かっておきながら止められなかった私も…愚かです」

 

「でも愚かだから、転んで怪我してみないと判らない。時には道に迷い、間違えたとしても、それでも旅をしている。それが人間、それが妖怪よ!貴方の「幸せな世界」だかへの道案内なんていらない!私達は貴方の操り人形なんかじゃない!そんなおせっかい、必要ないわ!」

 

「私の居場所を奪う!お前は一体何者だ!?」

 

 

 発狂しながら炎のダブルセイバーを振り回しながら突撃してくるアギトに、ディケイドはアナザーアギト(大)の斜め後ろに立ちつつライドブッカーからカードを取り出して突き付け、仮面の下で不敵な笑みを浮かべた。

 

 

「今の幻想郷に置いては私も、通りすがりの仮面ライダーよ。覚えておきなさい!―――少しくすぐったいわよ、大妖精」

 

「え?」

≪ファイナルフォームライド・アアアアギト!!≫

 

 

 そして装填、同時にアナザーアギト(大)の背中を突き飛ばす様に触れると、倒れ込んだアナザーアギト(大)が変形し、車体が長く伸びて車輪部分が変形したバイクの様な、しかし生物的で緑のバッタか龍を思わせる空飛ぶマシン「(アナザー)アギトトルネイダー」へと変身してアギトを撥ね飛ばした。チルノに掴みかかられながらも飛び乗るディケイド。

 

 

「よし、今度こそ成功したわね」

 

「お、お、お前!大ちゃんに何をした!?」

 

「さっき敵に試して失敗したことを再度使ってみたのよ。これはいわば、貴方達と私の絆の形ってところかしら?」

 

『ちょっと嬉しくないです…』

 

「ほら、変身して乗りなさい。振り落とされても知らないわよ」

 

「お、おう。…お前、あとで覚えてろ?」

≪鎧武!!≫

 

 

 変身して後部に乗り立つアナザー鎧武と、ガンモードにしたライドブッカーを手にしたディケイドを乗せてAアギトトルネイダーは空を駆る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アギトの力を強奪したまではよかったが…期待外れだな。こうも他のアナザーライダーの妨害をされると庇う事もできないぞ、厄災殿?」

 

 

 その光景を遥か空から眺める巨大な影があった。コウモリの翼が生えた車の様なそれの上に乗った角の生えた少女が赤いメッシュの入った前髪を弄りつつ嗤う。

 

 

「お前こそ、役立たずのアナザー響鬼を作って人のことを言えるか。それよりもこの事態、どうするというのだ王様殿?」

 

「そりゃあもちろん。当初の目論見通り強者同士を潰し合いさせるのさ。ほら、生きがいいのが来たぞ?」

 

 

そう促した少女の眼下には、周囲の障害物をセルメダルへと変えながら何かに憑りつかれたように進む霊夢と、放電しながら木々を薙ぎ倒して人里に迫るカブトムシの様な異形のアナザーライダーがいた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーto be next another time




アギトがゲシュタルト崩壊しそう。

アギトの武器を顕現したり、バラバラになったアナザーアギトを無理やり繋ぎ合わせて操ったり、ディケイドからカードを奪ってアナザーライダー以外の人間・妖怪・怪人をアナザーアギトにしたり、ある意味もう一人のアナザーアギトである「悪のアギト」への強化変身したりとやりたい放題なアリス。実は妹紅みたいなタイプのアナザーライダー。

対してクラック開いてインベス軍団を召喚したりインベス軍団ごとアナザーアギト達をバラバラにしたり、こちらも大暴れなチルノ。大ちゃんのためならどんなことでもするやべーやつ。

そしてアナザーアギト大妖精。なんで自我を保っているかの理由は厳密にはアリスを友達と思っているかどうかは関係ないです(人里の人間ほとんどがそうだし)。理由はもう書いてたり。初FFRはアギトトルネイダーだと決めていた(おそらく一番使われているFFRだから)。

ちょっとFFRを実験をしていてへまをやらかすさとりさん。きっちり決めたけど今回の大戦犯はさとりです。

次回はVSアナザーアギト決着。そして迫る脅威。次回も楽しみにしていただけたら幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などをいただけたら嬉しいです。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。むしろ感想くださいお願いします。
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