東方仮面時王異聞~Another Time Decade~   作:放仮ごdz

8 / 10
はいどうも、何故か東方ロストワードをやれなくなってデュエプレに励んでる放仮ごです。

今回はアナザーオーズに襲撃された人里から逃れたさとりたちのその後。あのアナザーライダーが登場。原作映画を見てないので再現度低いですが凶悪に仕上げました。楽しんでいただけたら幸いです。


第八話:新時代の(小さな)スイートポイズン

 私達、人形は解放されるべきだ。人間も妖怪も一方的に思いを押し付けるだけで、私達の気持ちなんて考えたりしない。愛情だったり憎しみだったり、鬱陶しいたらありゃしない。私達がどう思おうと道具だから、全て使用者の意思で道具は使われ、時には形を変えられて、道具は人間の思いを一方的に押しつけて用済みになったら一方的に捨てられる。そんなの間違ってる。せめて地位向上したい。外の世界ではヒューマギアなる機械人形が人間のパートナーとして使われてる、らしい。でもやっぱり道具であることに変わりはない。幻想入りしてきた旧型のヒューマギアから聞いた話だ。吐き気がする。私達だって夢に向かって飛ぶ権利はある筈だ。

 

――――「そうだ、人形であるお前にだってその権利はある。生きているのだから夢を見たっていい。正論だ。だが強くなければ訴えることさえ叶わない。仲間を守り、新時代を担うのはお前だ。今日からお前がゼロワンだ」

≪ゼロワン!!≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ…ここは?」

 

「無名の丘です。強力な妖怪はいなかったはずなのでここで休みましょう」

 

 

 チルノに大妖精と共に肩を貸しながら歩き続けた私たちは、妖怪の山とは人里を挟んで反対側にある遠く離れた鈴蘭の花が咲き誇る丘へと訪れていた。敵が見当たらないことを確認してチルノを休ませる。ついでに慣れない外出で体力の大半を失った我が身も回復させる。

 アナザーアギトと言う予想外の強敵をやっとのことで倒したと思えばやってきた、厄災よりも正直危険な正真正銘の災厄、アナザーオーズ。だが、アリスの死で思い知った。あれには、絶対に勝てないと。

 

 

「…あれが、博麗霊夢が…私の、倒すべき敵…お燐たちの仇。でも、どうすれば…」

 

「悔しいけど、最強の私でもあいつには敵わない。ならすべきことは一つよ。仲間を増やすしかない。人形遣いのやってたことは正しい。自分より強い奴に勝つには数がいる」

 

「チルノちゃんが成長した…!」

 

「私だって学ぶんだよ大ちゃん。大ちゃんを守るためにはもっと仲間がいる。少なくとも、さっきはさとりやアリス、妖夢がいないと私は大ちゃんを守れなかった」

 

 

 アリスとの戦いを経てその結論に至ったらしいチルノの言葉に、考える。チルノの様に、暴走することなく自らの信念を保ち続けているアナザーライダーが他にもいるかもしれない。アナザー響鬼の少女の様にアナザーオーズへ敵意を抱いているアナザーライダーが他にもいるかもしれない。まだ、勝てないと決まったわけじゃない。でも、その前に。

 

 

「…チルノ、大妖精。私から離れるなら今の内よ」

 

「「え?」」

 

「私は霊夢に目を付けられてる。多分どこまでも追ってくるわ。そうなったら私は貴方達を守り切れる自信がない。ペット達や妹の危機にも気付けなかった。貴方達までそうなったら私は」

 

「野暮なことを言わないでくださいさとりさん。私達、一緒にアリスさんを打倒した仲間じゃないですか」

 

「大ちゃんの言う通りよ。それに私達もきっと目を付けられた。アレは逃がした獲物を諦める事はない。だったら、少しでも仲間が多い方がいいじゃない。…私一人じゃ大ちゃんを守りきれないだろうし」

 

「…わかった。でも、忠告はしたからね?」

 

 

 なにからなにまで大妖精至上主義なチルノに若干呆れつつも自然に笑みが溢れてきた。アニマルセラピーが足りないからか余裕がなかった心が癒されていく。珍しく一人で心細かったところで出会えたのがこの二人でよかった。

 

 

「あなたたち、ここでなにしてるの?」

 

 

 すると声が聞こえ、振り返るとそこにはアリスと同じ人形の様な…いや、動く人形の少女がいた。光の無い瞳は私達の足元に向けられており、視線を下ろすと私達に踏み荒らされた鈴蘭の花畑があった。

 

 

「私、メディスンって言うんだけど…私が自在に体を動かせるのも、自在に物を考えるのも、スーさんの毒のおかげなの。でも今年のスーさんはちょっと元気がないのよね…よくないものが大気に振りまかれてるみたい。なのに…なのに、私の大事なスーさんを荒したな」

 

「必死で逃げて来ただけでそんなつもりは…」

 

「そう。言い訳するのね。前は毒で倒してきたんだけど、貴女達はもっと惨たらしく殺してあげる」

≪ゼロワン!!≫

 

 

 読んだ心の中で怒りを抱いた少女はそう言ってアナザーウォッチを取り出して起動、メディスンの姿が異形へと変わる。黄色い飛蝗を素体にして人間の顔面や骨が張り付いたような怪物で、笑っている様に歪んでる能面の様な顔には赤い複眼の他に二つの目がついており、右太腿にZERO-ONEの文字が、左太腿に2005の文字が刻まれていた。読み取れた名前はゼロワン、さしずめアナザーゼロワンか。背中に生えた四枚の翅を羽ばたかせると突風で鈴蘭が舞い散り、異形の飛蝗怪人は驚異的な跳躍で飛び込んできた。

 

 

「っ、変身!」

≪カメンライド・ディケイド!!≫

 

「大ちゃん、危ない!」

≪鎧武!!≫

 

 

 咄嗟に変身して大妖精を抱えて飛び退く私達のいた場所に叩きつけられる拳が、鈴蘭の花を吹き飛ばしてクレーターを作り上げる。スーさんってのはおそらく鈴蘭のことなんだろうけど、それを自分で潰すって矛盾してないかしら?!

 

 

「貴方達が避けるからスーさんが傷付いたじゃないの!」

 

「理不尽!?」

 

「逃がさない!力が漲るわー!!」

 

 

 そう言ったアナザーゼロワンが無数の黄色い飛蝗へと分裂、鈴蘭畑を食い荒らしながら私達に迫る。私はライドブッカーを乱射して撃ち落とそうと試み、チルノも横で大剣からクナイ型の刃の束を飛ばして迎撃するも、飛蝗は一度一纏めになってアナザーゼロワンに戻ると弾と刃を弾き飛ばしてまた分裂、私達の体に貪り付く。こ、こんなときは…!

 

 

≪カメンライド・ヒビキ!!≫

「ハアアッ!」

≪アタックライド・オニビ!≫

 

 

 何とかカードをドライバーに装填し紫炎を纏ってディケイド響鬼に変身して飛蝗を吹き飛ばし、アナザー鎧武と大妖精もまとわりつかれてるのを見て口からの炎で焼き払うと飛蝗は離れてアナザーゼロワンへ戻り、跳躍。背中の翅を羽ばたかせて加速し流星の様な飛び蹴りを叩き込んできた。

 

 

「があああっ!?」

 

 

 アナザー鎧武と大妖精を突き飛ばし、もろに直撃をもらった私は大きく蹴り飛ばされ変身が解除される。アリス…アナザーアギトの時と異なり、シンプルに強くて戦闘なんてロクにやったことが無い私じゃ対応しきれない。少なくとも、弾幕ごっこを幾度もやっているのだろう身のこなしだ。

 

 

「ふうすっきりした。生き物を倒すのって気持ちが良いわ。ああ、力が漲る。これだけ強ければスーさんの毒を使わなくても世界も征服できるわ」

 

「さとり!このお!」

 

「ふん、甘いわ!」

 

 

 斬りかかるアナザー鎧武の攻撃を、いとも簡単に分裂と一体化を繰り返して反撃のカウンターを何度も叩き込んでいくアナザーゼロワン。相性が悪すぎる。斬撃がメインのアナザー鎧武じゃアナザーゼロワンへの有効打が少なすぎる。それに言ってることもふわふわしていて本人もどんどん狂っていっている。このままじゃ、まずい。

 

 

「さとりさん!しっかりしてください!」

 

「…っ、大妖精。私を支えて…想起【夢想封印】」

 

 

 せめてもの援護にと、博麗霊夢の十八番である弾幕を飛ばすとアナザーゼロワンは分かりやすく動揺して全力で空に向けて跳躍、翅を羽ばたかせて滞空すると飛蝗型の光弾の弾幕を飛ばして迎撃した。やはり誰にとってもトラウマよね、これ。

 

 

「今よ、チルノ!」

 

「おう!えっと…一十百千万億兆……………わからないから無量大数ぅうううう!」

 

「そこは変わらなくて、ちょっと安心した」

 

「ええ…」

 

 

 氷剣と大剣を合体させてなにやら数を数えだしたアナザー鎧武に大妖精が安堵の声を漏らして思わず脱力する。どこまでも平和ね、貴方達。見る見るわかりやすくエネルギーが大剣の刃に集っていき、巨大な刀身のオーラが出現してアナザー鎧武はそれを振り下ろす。するとアナザーゼロワンも羽ばたかせた風で対抗し、空中で激突。

 

 

「私達人形は解放されるべきなのよ!」

 

 

 したかと思えばアナザーゼロワンは分裂してアナザー鎧武の斬撃を避けるとその頭上で実体化。振り回して隙だらけなアナザー鎧武目掛けて飛び蹴りを叩き込み、吹っ飛んだアナザー鎧武に追いついて追撃するアナザーゼロワン。まだアナザーアギト戦の疲れも消えてないってのにこんな強敵だなんて…!

 

 

『ふふ、驚いたか?古明地さとり』

 

「その声は…厄災?」

 

『お前の存在は私にとってはトラウマが服を着て歩いているようなものでな。急きょ新しいアナザーライダーを生み出させてもらった。私からのプレゼントはいかがかな?』

 

「私を確実に潰すために…逃走経路にいた彼女を巻き込んだのね。この外道!」

 

『何とでも言え。お前は私にとっての破壊者だ。ならば全力を持って排除せん…!』

≪カイジンライド・アギト!!≫

 

 

 その言葉と共に姿を現した厄災の姿が、ローブ姿からバッファローのロード怪人タルウス・バリスタへと変貌。至高のトリアンナと呼ばれる蹄を模した形状の三又槍を掲げるとその先端が開き十字型のプラズマ弾を発射してきた。

 

 

「やはり、ディケイドの出会った来た怪人に変身を…!?」

 

「姿を変えられるのがお前だけだと思うなあ!」

 

 

 声まで変わった厄災の攻撃に対し咄嗟に大妖精を掴んで浮遊し、プラズマ弾を回避するも爆発により吹き飛ばされ、大妖精を庇って地面に打ち付けられて大ダメージに呻く。なんのこれしき…私のせいで、二人を巻き込ませてなるものか…。

 

 

「さとりさん、私達は最悪死んでも蘇ることが出来ます!私達のことは放っておいて…」

 

「そんなこと、できるわけないでしょう!せめて、大妖精だけでも守ってみせる!これ以上、失わせない!」

 

「ほざけ、ディケイド!」

 

 

 心の底から私の身を案じている大妖精を守るべく立ちふさがると、そのままとどめを刺そうとバッファローロードが至高のトリアンナを掲げたその時、それは来た。

 

 

「要石【天地開闢プレス】!」

 

「ぬあああ!?」

 

 

 ぐしゃっと、プラズマ弾を放つ前に空から落ちれきた注連縄が巻かれた巨岩に押し潰されるバッファローロード。姿が見えなくなった厄災のことなんか気にも留めず、巨岩に乗っていた少女が飛び降りて来て私を見るなり、口頭心内共にこう言った。

 

 

「アンタ、気に入ったわ!私と結婚しなさい!」

 

「「え、ええ……」」

 

 

 心底から私に惚れている少女の言葉に、私と大妖精の反応が重なる。えっと…え?なんで、私なんかを…?

 

 

「ねえ、私のことを忘れてない二人とも!?」

 

「スーさんと人形たちを守れるのはただ一人!私よ!」

 

 

 アナザー鎧武の叫びとアナザーゼロワンの決め台詞が木霊する中、私に求婚してきた少女、比那名居天子は空気も読まずに満面の笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーto be next another time




前回に比べたら短いですがここまで。メタルクラスタをモデルに分裂能力を得たアナザーゼロワンことメディスン。何気に小説書き始めて初めて書くメディスンだったりします。さとりたちも疲れているとはいえ圧倒しディケイドを変身解除させると実力はだいぶ高いです。なお暴走してて守りたいスーさんを逆に散らしてるって言うね。

自らの力をようやく明かした厄災。その能力とはカイジンライド。ディケイドを憎むその正体や如何に。

タグで存在が明かされてたけどようやく電撃登場天子さん。さと天はいいぞ。

次回は天子も変身?厄災との激突です。次回も楽しみにしていただけたら幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などをいただけたら嬉しいです。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。むしろ感想くださいお願いします。
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