…こんなの設定紹介にまとまるじゃねーか、というツッコミは無しの方向で。
あと2~3話挟んでから原作に入る予定。
世界中のおよそ8割の人々が何らかの特殊能力『個性』を持った中で、人々の生活を守るために日夜活躍する『ヒーロー』と自らの欲望のために力をふるう『ヴィラン』とが相争う、そんな社会。
私の名はトニー・スターク。
スターク・インダストリーの元経営者にして別名はアイアンマン。
アベンジャーズの一員としてこれまで幾多の世界危機を救ってきたヒーローだ。
いや、『だった』が正しい。
何故なら今の私は7歳児、日本人『守宅 砥似(すたく とに)』と呼ばれているから。
警備業務を主体とする守宅産業(すたくさんぎょう)の社長夫婦の間に長男として生まれた私にいわゆる『前世』の記憶が蘇ったのは5歳の誕生日だった。
家族に盛大な誕生日祝いをしてもらった私は床についたが、突如見知らぬ記憶が脳内に流れ込んできたのだ。
アメリカ人、トニー・スタークとしての、ヒーロー「アイアンマン」としての。
両親との別れ、スターク・インダストリー、妻ペッパー、娘モーガン、砂漠の目覚め、アイアンマン、ナターシャ・スティーブ・ソー・ブルース、クリント…頼りになる仲間たち、最終決戦…そしてスティーヴン・ストレンジ。
「うわぁぁぁ…!」
夜中に大声を上げた私に驚いた両親が駆けつけてくれたようだが、5歳児の未熟な脳に大人一生分の記憶は重すぎたらしく当時の私はそれにも気づく余裕がないまま、朝まで高熱を出してうなされていたらしい。
日本人としての砥似とアメリカ人トニーの記憶が統合され、ようやく落ち着きを取り戻したのは1週間ほど経ってからのことだったようだ。
両親は喜んでくれたが、それ以来私の中には日本人『砥似』、アメリカ人『トニー』と2人の自分が常に存在することになった。
私の中に産まれたものは、まだある。
かつて身につけた広範囲に渡る様々な『知識』、そして同時に目覚めたとある個性。
正直、混乱した。当然だが。
5歳児としての砥似には重すぎる記憶と知識。こんな運命を用意したスティーヴンにも、怒りを覚えた。
しばらくふさぎ込んだ私を両親は心配していたようだが、当時の私はそれに心を配ることなど出来ず、自分自身の運命と行く末に不安を感じ悩み続けた。
今考えれば無駄な時間だったと思う。
そうして私が悩みふさぎ込んでから2年、あの運命の日を迎えてしまったのだから。
7歳になった誕生日、両親はふさぎこんだままの私を心配し、少しでも気分転換になればと恒例となった私の誕生日祝いを準備するために街にでかけ、とある大きな事件に巻き込まれ帰らぬ人となった。
前世に引き続き、私は両親をヴィランに奪われたのだ。
自分が許せなかった。
何もできなかった。否、しようとしなかった。
何よりきっかけを作ったのは自分の不甲斐なさという事実。
『力』が無かったわけじゃない。
足りなかったのは『覚悟』。ただそれだけだったのに。
2度も両親を奪われた。
今度は救えた。『力』はあった、助けられたはずなんだ。
自分の情けなさが招いた最悪の結末。
私は『ヒーロー』になる。もう迷わない。
何も奪わせない。守り切れるだけの『ヒーロー』に。
そう、どことなくスティーブを思いださせるNo.1ヒーロー『オールマイト』のように。