私が最後、無数の手に連れていかれやってきたこの世界には、グールという人食い人間が日常に紛れている恐ろしい世界だった。
一緒に暮らしたクラスメイトが、付き合った彼女が、会社の先輩が、実はグールだったなんてこともある。
ついでに、その日の晩御飯が自分なんてこともありえる話だ。
本当に……怖い話だ。
私の平穏な人生には少し刺激が強すぎる存在だ。
「ニュース速報です。昨晩十九歳の女性が行方不明の――」
出勤前に見ていたニュースでも、行方不明の事件について放送している。
悲しいことだが、この世界では急な行方不明だったりするものは、大半がもうグールの腹の中だ。
ニュースでもCCGが動いていると放送している。
「グールか……見つかるといいな、そのグール。」
朝のニュースを聴き終えた私は、会社へ行くために彼女をバッグへ招待する。
「さあ、会社へ行こうか、れいな……ん? 少し臭ってきたか?」
彼女の容態を気にしながら会社へと向かう。
これは、彼女とももう手を切る時期かもしれないな。
手を切る……か。
フフッ、またこんなことで笑える平穏な日常に感謝しなければな。
今日もまた、特に何もない一日が過ぎた。
一つ挙げるとすれば、新しい彼女ができた。
近頃この辺りで出ているグールのニュースを怖い怖いと友達と話していた。
いつも通り風呂に入り、ホットミルクを飲み、彼女にお休みを告げて、幸せを感じながら眠る。
――――
夢を見た。
後ろから伸びた無数の手に、体を連れ去られる夢だ。
時折この夢を見る。
最初はゲロを吐くほど恐怖したこの夢も、こう何度も見ているとその恐怖も薄れてくる。
連れ去られながら考える。
この手はなぜ私をこの世界へと連れてきたのかと。
こんなにも幸せな暮らしをしているのに、なぜか不安が拭えないのはそのせいだろう。
この手により連れてこられた世界。
杜王町という町は、どんなに調べても見つからなかった。
仗助も承太郎もいない世界。
なぜ。
どれほど考えてもわからない。
わからないが、もうミスはしない。
今度こそ私は、平穏な人生を送ってみせる。
キラークイーンはこの世界に来ても私の側にいる。
ストレイキャットも私の味方だ。
生活の方も安定させた。
職に就き、住まいも手に入れた。
時間はかかったが、ここまできた。
私は私を連れ去ろうとする無数の手に、キラークイーンの人差し指で触れる。
無数の手は相変わらず私を掴んで連れ去ろうとしている。
「キラークイーン、第一の爆弾。」
キラークイーンがスイッチを押す。
腕が連鎖するように爆発し、指の一本も残らず消えた。
目が覚める。
この世界へ来てから最も清々しい目覚めだ。
病を完治したと体がわかるような、そんな清々しい朝だ。
今度こそ、植物のような生活を。
きtらぁぁぁぁぁぁ