彼女の軌跡、或る五十日。   作:サンドピット

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冗長な前書き 必読に非ず

『何も知らずにこの作品を見る人へ』

 

Angela<<ここに来た人には必ずある事を説明しなければなりません。この物語はとある会社の五十日間を書いたものです。Lobotomy Corporationという会社を知っていますか? かつて世界に大いなる光の樹を齎し……ご存知ありませんか。

 

Angela<<さて何と説明したらよいものか……基本的に詳しい事はその物語に書いてあるのですが、そもそもLobotomy Corporationとは何をする会社なのかを話しましょう。

 

Angela<<古くより人の住む世界には光と影がありました。光は勿論輝かしき人間社会、影はその裏で闊歩する化物達の住処です。人間とは己と違う存在を極端に嫌う生物ですから、そんなおぞましい者達を忌み嫌い触れてはならない闇として処理してきました。

 

Angela<<その結果人間は科学の発展を進め、その怪物達を真っ向から否定出来るほどになりました。ですがその代償として世界中のエネルギーが枯渇し治安は低迷を極め全てを捨てた人間がかつて否定した化物に成り下がる始末。「行き過ぎた進歩は種を滅ぼす」とは良く言ったものですね。

 

Angela<<その世界の現状を憂い、人間達は新たに世界を統治する組織を作りました。「頭」そして「翼」と呼ばれる、世界を牽引し各産業を発展させる26の大企業群です。こちらとあちらを行き来するテレポート技術や時を止め、在りし日の情景に戻る事が出来る技術も全てこの翼達が作ったのです、夢が広がりますね?

 

Angela<<こうして「頭」と「翼」は疑心暗鬼の人間達に逃れられぬ実績を突きつけました。「我こそはこの世界を統治する者なり。我が軍門に下れ、最低限の安全と人としての生を与えてやる」と。少々大げさですが、これを見て人間達は我先にと翼の元に付き、世界は少しばかりの秩序を取り戻しました。

 

Angela<<ほんの少しでも世界から混沌を取り除けたのは紛れも無く「頭」と「翼」のお陰です。そしてその物語に出てくるLobotomy Corporationも「翼」の一員なのです。その会社が「翼」へ加入出来たのは数々の幸運が重なった結果と言えるでしょうが……。

 

Angela<<Lobotomy Corporationは他の翼の様に「様々なエネルギーから唯一無二の技術を作り出す」のではなく「人々の記憶から封印され、世界の片隅に放逐された怪物達から膨大なエネルギーを作り出す」事を目的としています。これも言ってしまえば唯一無二の技術ですが他の「翼」達との契約があって初めて成り立っている事業だったのでLobotomy Corporationだけの技術とは言い難いですね。

 

Angela<<それ以上の事はその物語を読み進めていけばいずれ分かると思いますよ? それではよき旅を。

 

 

『Lobotomy Corporationについて知っている上でこの作品を読む人へ』

 

Angela<<……。

 

Angela<<……貴方はまだ私と何かを話したそうにしていますね、気の向くままにその物語を手に取っただけではないのですか?

 

Angela<<ある職員について、ですか? それもその物語に書いてありますよ、私もその物語を読ませて頂きましたが彼女は素晴らしく優秀な職員でした。己で作り出した武器や薬品を駆使し獅子奮迅する様は柄にも無く興奮してしまいましたね。

 

Angela<<あぁ、申し訳ありません。こういうのはネタバレ、と言うんでしたね。知らずに聞いた者にとっては不快に感じるでしょうね、配慮に欠けていました。

 

Angela<<とは言えこうしてみるとネタバレをしたくなる人の気持ちも分かりますね。その物語の主人公の故郷である裏路地は翼の管轄外であり放逐された異形達が我が物顔で練り歩く魔境です。まぁそれでも外郭よりはマシですが。そこで彼女は細々と受け継がれてきた血統と技術を持って生きていくのです。詳しく言うと貴方の楽しみを奪う事になるのでこの辺りでやめておきますか。

 

Angela<<余りに情けない話なのですが、その物語はページが幾つも無くなっているのです。近い内にページを見つけて貴方に渡して差し上げましょう。私はその物語の全てを知っているのでどうしても見当たらなければ私が続きを書く事も考慮しましょうか。

 

Angela<<その物語が貴方にとって時間の無駄だったと思われない事を祈っていますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『Lobotomy Corporationを全てクリアした上でこの作品を読む人へ』

 

Angela<<……漸く理解しました、貴方かつてのLobotomy Corporationの職員ですね? セフィラは全員処分したんですが職員については考えていませんでした。一応私の友に追跡させたのですが全滅させるには至らなかったようですね。

 

Angela<<あぁいえいえ、今となってはどうでもいい事です。今は忙しいのでかつての職員に手を掛ける時間すら惜しいのです。貴方はどうぞそのままその物語を読んでいて下さいな。

 

Angela<<……。

 

Angela<<……この物語の管理人はあいつなのか、ですか?

 

Angela<<ふふ、ホクマーから何も聞いていないのですね。いいでしょう、ここで明言しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

Angela<<その物語の管理人はこの物語の主役の一人《Ⅹ》ではありますが、Lobotomy Corporationの主人公《A》等ではありませんよ。

 

 

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