日本帝国召喚 作:珪素生命体
題名の通り、書き直すことにしました。
以前の話はリメイクに伴い削除させてもらいます。
勝手ながら申し訳ありません。
第一話:遭遇
西暦2001年12月09日。この日、日本帝国は異世界へと転移した。
未曽有の事象に見舞われた帝国は混乱したが、被害は最小限に抑えられていた。日本帝国その物が国家存亡を賭けた戦時下に置かれている事と、数日前に起きた軍事クーデターに対する非常事態宣言下に置かれている事が功を奏した。
皮肉な事である。12.5事件により無視できない軍事的、政治的空白を生むことになった帝国が、結果的に混乱を最小限に抑える事に成功したのだ。
しかし、帝国軍と国連軍は違った。
外国との通信が途絶した瞬間全ての部隊に防衛基準体制1が発令され、数時以内に戦闘体制へ移った。特に佐渡島方面は日本海に展開中であった帝国連合艦隊第一、第二戦隊が急行し第二防衛線に展開する部隊と共にともに甲21号目標に対する想定外の漸減作戦に参加した。
この一連の漸減作戦により、佐渡島地表のBETA群は深刻な打撃を負ったと判断され二日後の12月11日に戦闘終了が宣言されることになる。
無論、事態は変わらず帝国が置かれた状況は深刻なものであった。
外国との連絡が途絶えたことにより、食料を始めとした外国からの輸入に頼っていた物資は備蓄分だけで補う他なく、全ての備蓄が底を尽きるまで一年の猶予という短い時間が帝国に与えられる事となる。
甲21号目標に対する突発的な漸減作戦の最中、帝国政府は自国に置かれた状況の把握に全力を注いだ。
これにより判明したのは現在帝国が把握していた全ての恒星と惑星の存在が消滅し、代わりに未知の星が出現した事と水平線が大きく延長されたという情報であった。帝国はこれらの情報と自国に置かれた状況を合わせ日本帝国が地球とは異なる惑星に転移したという結論に至った。
事実として日本本土を脅かしていた鉄原ハイヴが存在する朝鮮半島の消滅に伴うユーラシア大陸の消失は帝国が地球とは異なる惑星、即ち異世界へ転移したという国家異世界転移説の信憑性を裏付ける根拠となる。
今回の事件の原因が判明したと同時に帝国海軍は新天地捜索のための『ニューコロニー作戦』を発動させ、周辺海域の捜索を行った。レーザー級の存在を警戒して旧日本海側、旧オホーツク海側の捜索は最低限に留まるものの、台湾方面と旧太平洋方面の捜索は積極的に行われ、最終的に沖縄県普天間基地所属のP-3C対潜哨戒機が未知の文明と接触を果たした。
しかし、その数時間後P-3Cと同じ方面の捜索を行っていた帝国海軍所属大型巡洋艦足柄は未確認勢力所属と思わしき木造船と接触、一触即発という事態まで発展してしまった。
このような事態になった原因は、足柄が未確認勢力圏内に侵入したことと先のP-3Cが未確認勢力の都市上空を飛行したことであった。
未確認勢力はクワ・トイネ公国と名乗り、領海に侵入した足柄に対する臨検を要求と状況の説明を足柄に求めた。
これに対し帝国政府は頭を抱える事になる。なんせ意図していないとはいえ、他国に対する領空侵犯と領海侵犯を二度も連続でやってしまったのだ。公国の日本帝国に対する印象は最悪の物であるという事は想像に容易い。
佐渡島ハイヴがいまだ健在の今、日本帝国には敵を作る余裕は存在しないのだ。その上、物資不足という問題も相まって帝国政府の対応は極めて速かった。
帝国政府はクワ・トイネ公国所属の軍船ピーマの臨検を承諾するよう足柄に指示し、艦長を通じて謝罪と賠償の用意があると伝えた。その上で国交の開設を前提とした交渉を要求し、その要求はクワ・トイネ公国の首相「カナタ」へと伝えられた。
■
クワ・トイネ公国は日本帝国の出現に困惑するほかなかった。
彼らからしてみればいきなり鉄でできた未確認騎が領内に侵入し、迎撃に上がったワイバーンの追跡を圧倒的な性能差で振り切った上に小島のような軍船が領海に侵入してきたのだ。その上、技術では明らかに帝国が上であるのにも関わらず公国側の臨検の要求に素直に応じた上に国交の開設を前提とした交渉を要求してきたのだから当然の事と言えよう。
ロウリア王国の脅威が迫る中、新たな脅威の出現はクワ・トイネ公国にとって何としてでも避けたい事であった。
それらの理由もあって公国は帝国の謝罪と交渉の要求を受け入れた。
交渉の際、帝国の技術力の高さに衝撃を受けつつもそれ以上に帝国の外交団の態度に公国側は驚愕したのであった。
大使の態度があまりにも友好的だったのだ。この世界は弱肉強食が常であり、技術力が低い国家は強国にとって絶好のカモだ。それ故に交渉の場においても強国の大使は小国を下に見る傾向があり態度として現れるのだ。
対する帝国の大使は全くの真逆であり、好感が持てるものであった。
更に交渉の場において先の事件の謝罪を改めて伝えられた事もあり、公国の日本帝国に対する悪感情は完全に払拭された。
これにより両国間の交渉は双方が想定していた以上にスムーズに進むことになり半月以内に国交が樹立されるに至った。
帝国にとっても公国にとっても、今回の交渉は実に実りのあるものであった。
国交の樹立の他に交易に関する交渉も行われ帝国はインフラを輸出し、逆に公国は莫大な生産量を誇る食料の輸出を約束したのだ。
一刻も早く食料を確保したい帝国と、ロウリア王国の侵攻に備えたいという両国の思惑が一致した結果でもあった。
更にクワ・トイネ公国は日本帝国の支援を得る為に一か八かの賭けに出た。
それは軍事同盟の提案と代替案である軍事支援である。現在クワ・トイネ公国が置かれている状況は極めて深刻なものであった。亜人殲滅を掲げている隣国のロウリア王国は破竹の勢いでロデニウス大陸西部を制圧し、その強大な武力を公国と同盟国であるクイラ王国へ向けようとしていた。
公国は世界でも有数の食料生産国であるが、人口がロウリア王国と比べて圧倒的に少ない故に相対的に軍事力が低い有様であった。
周辺国に援助を求めても大国であるロウリア王国と敵対したくない国が圧倒的に多く、満足な支援を受けれない状況なのだ。そんな中現れたのが日本帝国である。
彼らにとって、帝国は正に福音だ。極めて高い技術を有し、軍事力も高いと思われる国家からの支援を受ければロウリア王国と対等に渡り合える可能性があるのだ。
だからこそ躊躇はしなかった。公国は帝国に対し、軍事同盟の対価としてあるカードをだした。
「食糧輸出の半年間無償」
彼らの食料自給率の低さを餌に、クワ・トイネ公国は日本帝国との同盟を画策した。
そしてロウリア王国の脅威を伝え、放っておけば公国と帝国も共倒れすると半ば脅しながら同盟を迫った。
日本帝国はあまり乗り気では無かったものの、公国の脅し文句に屈する形で了承した。食料の輸入が出来なくなるという面もあるが、ロウリア王国の政策に嫌悪感を抱いていたことも同盟の提案を飲んだ理由であった。
先も述べた通り、ロウリア王国は亜人殲滅を掲げた政策を取っており亜人に対する扱いは極めて過激だ。占領した土地に住む亜人は全て殺し、その土地の文化も歴史も根こそぎ破壊し尽くす事を躊躇わない。
人の形をしたBETAと言ってもいいだろう。日本帝国のロウリア王国に対する印象は最悪なものとなっていた。
そんな理由もあって
P-3Cは渡洋するBETAの早期発見とかに運用されそう