日本帝国召喚 作:珪素生命体
クワ・トイネ公国との交渉が成功したことにより、新世界に対する橋頭保の確保に成功した日本帝国はロデニウス大陸南東部に位置する国家「クイラ王国」に対し、使節団の派遣を決定した。
事前の情報の結果、クイラ王国国内には石油らしき資源が噴出するという事もあり、日本帝国にとって王国との国交開設は最優先課題となる。
一方のクイラ王国は日本帝国に対し、懐疑的な視線を向けており、この世界における最大の仮想敵国であるロウリア王国との戦争が近づいている状況から、日本帝国の使節を受け入れるかどうかの判断に窮していた。
クイラ王国の国土そのものはクワ・トイネ公国と同規模であるが、作物が育たない不毛の地が国土の大半を占めており国家の規模はロウリア王国は勿論のこと、クワ・トイネ公国より遥かに劣るものであった。それ故に王国は国外からの介入に敏感であり、突如として出現した日本帝国に対し警戒突如として出現した日本帝国に対し警戒感を露わにしていた。
そのような理由もあり帝国と王国間との交渉は難航していたが、クワ・トイネ公国の仲介もあって両国間は交渉のテーブルに着くことになる。
石油資源の調査とそれに伴う採掘権を求めた日本帝国の提案に、クイラ王国側は首を傾げた。
石油の特徴を聞く限りだと、確かにそれに該当するものが国内の至る所から湧き出しているが、クイラ王国にとってそれが何の役に立つか理解できなかった。
彼らからしてみれば石油という物は保管が難しい上に、匂いが酷く使い勝手の悪い資源にはなり得ない言わば欠陥品と言えるものであった。貧困国である王国にとってそれらが金になるのなら喜んで輸出するものであるが、利用価値があるとは到底思えない。しかしクイラ王国にとって自国の利益に繫がるのなら、燃える水でも燃える石でも輸出するのに躊躇する理由は無かった。
国土の性質上どうしても貧困国からの脱却は不可能に等しく、国民は今日を生き残るだけ精一杯なのが現状であった。国を挙げての人材派遣による収益だけが頼みの綱である上に、ロウリア王国の存在も相まって国家の寿命は残り僅かと言っても過言ではない。
そんな中、日本帝国の出現は正に天の恵みと言っても差し支えないものであった。石油輸出の対価として出したインフラ整備の内容はどれもクイラ王国側に多大な利益を与えるものばかりであり、帝国の申し出を断る理由は無かった。
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クワ・トイネ公国、クイラ王国との国交を開いた日本帝国の出だしは順調そのものであった。
一時は国家存亡の危機と危惧された帝国であったが、この二か国と国交を結んだことにより状況は一変する。食料問題と燃料問題の解決によりなんとか一命を取り留める事に成功した日本帝国は急ピッチでインフラ整備を推し進め、鉄道輸送網の構築と湾港の整備を短期間で成し遂げさせた。
帝国軍を総動員して構築された鉄道網によって食料が湾港に集められ、海路にて日本本土へと運ばれる予定だ。輸送船団の規模は凄まじく、莫大な輸送量を補うために戦術機母艦や軍用艦艇をも動員され、昼夜問わず港は船で埋め尽くされるほどであった。
それと並行して日本帝国は新世界における確かな地位を築くべく、ロデニウス大陸西部を支配するロウリア王国に対し使節団の派遣を行った。
結果は凄惨なものであった。
クワ・トイネ公国とクイラ王国との国交を結んでいる事から潜在的な敵国と断定され、門前払いされる。それどころか初めてワイバーンを見た外交団の面々を見たロウリア側は「ワイバーンを知らぬ未開の蛮族」と嘲笑し、帝国に服従を迫った。
無論、帝国はロウリア側の要求に反発するも当のロウリア王国は「服従が出来ぬのなら即刻亜人共と縁を切れ、そうしたら交渉の席に着くこともやぶさかではない」と、明らかに日本帝国側の尊重を考えない無茶苦茶な要求を外交団へ突き付けたのであった。
このことを切っ掛けに、日本帝国はロウリア王国を覇権主義を提唱する国家として警戒を強める要因となる。
更に情報収集の結果、ロウリア王国が持つ人類主義思想と度重なる軍拡によって近い未来、ロウリア王国がクワ・トイネ公国、クイラ王国に対し軍事侵攻する懸念があると判断した帝国は、クワ・トイネ公国が提案した軍事同盟案の検討を始めることになる。
クワ・トイネ公国とクイラ王国が滅ぶ事態にもなれば日本帝国は再び食料問題と燃料問題が噴出する事になり、振り出しに戻る事から帝国は最悪な事態を避けるため再度外交団の派遣を決定した。