ガンプラビルダーズ・フレンズG-Next   作:いすた

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第一話「俺のギャプラン」

『ガンプラ』

 

機動戦士ガンダムシリーズに登場するロボットをプラスチックモデル化した玩具の総称。

その歴史は40年を超え、絶えず進化を続けるホビー界の雄でる。

高度な技術力の結晶とも呼ばれ、

日本国内だけでなく、海外への出荷、またお土産としての注目度も非常に高く。

この存在を知らぬ者はほとんどいない人気を誇っていた。

――けれど、その人気はいつまで続いてくれるのだろうか?

 

 

この物語は、ガンプラと、ガンプラを大好きな少年少女と、

ガンプラを取り巻く人々が、

”終わり”を迎える時を描く、おそらく未来のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高校二年生の『慈恵 大豆(ジケイ ダイズ)』は退屈していた。

中学から高校に上がるにあたり、わがままを言って親元を離れたものの。

憧れの一人暮らしにわくわくしたのも最初の2,3か月だけ。

家事全般は元から一人でできるように仕込まれてしまっていたので慣れるのもすぐ。

月々の雑用を面倒くさがる性格でもなく、かといってライフスタイルに凝るわけでもなく。

年相応に恋や友にのめり込もうにも、

190センチを超える身長、威圧的に感じられてしまう目つきの悪さのせいで第一印象は悪く。

加えて。

 

「あ”~、かったりぃなあ」

 

粗雑な物言いに、校則無視の改造制服に鎖がジャラジャラとうるさいとなれば、

お坊ちゃまお嬢様学校に通う未来の政治家官僚予備軍の同級生が近づいてくるわけもない。

ダイズは他人の顔を伺って媚び諂うような生き方なんてまっぴらごめんだった。

学校から帰っても制服を脱ぐのも億劫なまま、ベッドの上に寝そべって腐る。

今日は午前中授業のため早くの帰宅となり、いつもの昼食の時間まではまだ時間はあるのだが。

暇を潰そうにも先月購入したRPGは全キャラレベルカンスト、

全エンディング制覇、隠し要素も全開放済し終えてのトロフィーコンプリートしてしまったのでやることはない。

何かないかなとスマホを取り出して覗き込むと、ちょうどのタイミングで通知が鳴った。

 

<アマミヤ ネコト、新しい動画を投稿したよ♪>

「ッシャぁ! ネコトちゃんの動画来たじゃねーか!!」

 

『雨宮 音琴(アマミヤ ネコト)』。3か月ほど前にデビューしたバーチャルアイドルの女の子。

ダイズはデビューした時からずっと追っており。

生放送は可能な限りリアルタイムで応援しているし。

投稿動画は欠かさず、かついち早くチェックしている。

設定年齢は16歳、ピンク髪を長いツインテールに結い、足元まで長く伸ばし。

クリッと輝く大きな瞳と、ピョコンと動く猫耳と尻尾が、王道ながらキュート。

彼女の人気コンテンツはゲーム実況と歌ってみた動画の二つ。

ゲーム実況はコメントが的確かつチョイスが秀逸で、

ダイズが遊び尽くしたRPGもネコトがプレイしていて、おもしろそうだった事がきっかけだ。

歌ってみたも歌唱力の高さから評価が高く、ファン以外からも支持されており。

再生回数一番の動画は20万を超え、他の動画も5万を下回る事はない。

トップクラスというわけではないが、バーチャルアイドルの中では高い人気を誇るネコトだが。

その二つよりも、彼女が投稿する動画で最も比率が多い物がある。

 

『みんなー! おっはにゃーん! ネコトだよ♪ 今日はね、ガンプラを作っていくよ!』

「お、今回の動画はガンプラかよ」

 

ガンプラ。

ダイズも名前を知ってるぐらいだが、生まれる前からあるらしいアニメロボットのプラモデルシリーズ。

幼い頃に世間で相当流行ったそうだが、ダイズがその存在を知った頃には、

ブームは下火になっていたな、ぐらいの認識だ。

ネコトの投稿する動画の特徴として、上記二つのコンテンツは人気が高いのだが、

反面ガンプラ動画は伸び悩む傾向にあった。

動画配信サイトのガンプラカテゴリの伸びはここ数年低下の一途を辿っており。

彼女のガンプラ動画の質というより、ガンプラ動画そのもののコンテンツ力の問題のようで。

一部のファンからのコメントも、

「ネコトはガンプラ動画が足を引っ張ってるから、無くせばもっとチャンネル登録者が増えるのに」

ほぼ毎回のように言われているが、彼女はガンプラ動画の投稿を一切止めるつもりはないようだ。

 

『――この塗装のコツは、とにかく焦らないことにゃん。

 クリアーでコーティングしたら、たっぷり一週間は乾燥させてにゃ。

 この塗装は焦っちゃだめだからにゃ。

 いっぱいいっぱい時間をかけて、じっくりじっくり塗り重ねていくにゃん♪』

 

――やめろという連中には、このネコトちゃんの楽しそうな声と表情がわからないのだろうか?

ゲームでも歌でも、こんなに弾んだ声はださないだろうに。

動画の再生数はほかの1/3にも満たない事なんてどうでもいい、彼女は本気でガンプラが好きで。

ダイズもガンプラを作るネコトを見るのが一番好きだった。

ガンダムもガンプラも知らないけれど、彼女の何より嬉しそうな声を聞いていると幸せになれる。

だからダイズにとって、これはごく自然な思考の流れだった。

 

「……ガンプラ、作ってみっかな」

 

ちょうど新しい暇つぶしが欲しかったから、いいタイミングだろう。

その道のツテもあるし、とダイズはベッドから起き上がり。

制服のポケットに財布をしまい直して、マンションの外にでた。

 

 

 

 

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