ガンプラビルダーズ・フレンズG-Next   作:いすた

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第三話 「臆病者のバスターガンダム」

少女は臆病だった。

与えられた名の意味を知りながら、それに逆らう事もできず。

少女は孤独だった。

プラスチックの塊に縋り付いて、寂しさを紛らわす。

少女はその日、出会う。

手を差し伸べてくれる、運命の人に。

少女の名は『飾名(カザナ)・フィーネルベルト』

銀の髪を持つ、3人目の仲間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、酔い潰れるまで飲むとか、いい大人がやることじゃないだろ? しょうがねぇ女だな」

 

図太い性格の割に、華奢な体しやがって。

男は飲み潰れた女を介抱しながら、終電も過ぎた夜の街を歩き続け、

やっとの事で辿り着いた自宅であるアパートに担ぎ込む。

蒸し暑い夏の夜、汗でベタつくシャツを着替えるより前に、コップに冷たい水を入れて、女の元へ。

 

「ほら、さっさと酔いを醒ませよ。

 もうお前の家に帰るのは無理だから、今日は泊っていけ。

 あ? ベッド? ひとつしかないに決まってるだろ?

 ……おいおい、男の家に上がり込んどいて、その気はなかったなんて通じると思ってんのか?」

 

男のゴツゴツとした手が、女の紅潮した頬をなでる。

ライオンを前にしたウサギの女は慌てふためき。

それが面白くて、男は急に表情を綻ばせて笑い出す。

 

「あははははは! ばーか、冗談だっての。

 酔い潰れた女に手ぇだすほど飢えちゃいねぇよ。

 っていうか、好きでもない男の家にホイホイと上がり込んでんじゃねぇよ。

 あっぶねぇな、俺以外の男だったら、今頃何されてたからわかんねぇぞ?」

 

困った女だなと、男が説教じみた事を言うのだから、黙っていられないと反論する女。

はぁ、やれやれと肩をすくめる男は、不機嫌な顔をグイと近づけながら。

 

「あのな、好きでもない女を、俺が部屋にあげるわけないだろ」

 

それぐらい分かれよ。

真摯なまでの瞳は、女から一瞬だって離れない。

男の唇が、戸惑う女のおでこにそっと触れて。

 

「宿代だ、文句言うなよ」

 

ピッ! ここで録音ボタン停止。

こっぱずかしい台本を読み上げ切ったダイズは、羞恥心で顔を真っ赤にしながら。

 

「こ、これでいいかよ姉ちゃん」

 

場所はレストラン・フレンズの裏のガンプラ工房。

室内にはマイクに向けて夢小説を読み上げきったダイズと。

テーブルの上につっぷし、謎のうめき声を上げて悶絶してるジュウリ。

 

「っ……ムリ……だめ……ムリ寄りのムリぃ……」

 

ちょっと、いや、かなりドン引きする籠り笑いをあげる限界オタク。

俯いているのは、今の自分のひどい顔を見られたくないからだろう。

たっぷり2分悶絶したのち、ガバッと顔をあげて。

 

「私の目に狂いはなかったわ!

 ダイズ君にはこっちの才能があるわよ!」

 

自作夢小説を臨場感たっぷりに朗読してくれたダイズに、

グッジョブのサムズアップを突きつけて、至上の笑みを浮かべるジュウリ。

録音がちゃんとできているか確認しながら。

 

「いやぁ、もうダイズ君の良い声の有効活用よね!

 次は何のシチュ頼もうかなぁ」

「えぇ!? またやんの!?」

 

台本を渡されたのは昨日の晩。

それを今日、朝イチで演じさせられたわけだが。

なんでダイズがそんな事をさせられたかというと。

 

「え~、私にお礼してくれるんでしょ?」

 

ジュウリのお願いをなんでも聞く、なんてダイズは言ってしまったものだから、

女オタクの玩具にされる。

 

「いやそうは言ったけどよぉ。

 さすがにこれは、予想してねぇって」

 

次からは安易な事は言わないようにしよう。

そう心に固く誓うダイズ。

さて、ダイズがガンプラデビューをしてからもう一週間になる。

ダイズは学校帰りのわずかな時間もガンプラに使い、ここ毎日とにかくガンプラ漬け。

愛機ギャプランにも少しづつ手を加えており。

カラーリングはまだノーマルのままだが、使いやすいガンプラに仕上がりはじめていた。

これもジュウリのお陰なのでお礼が恥ずかしいぐらいは我慢しよう。

それに、こんなに喜んでくれているのは、こちらも嬉しい。

その残念美人はそろそろレストランの開店時間と気が付いて。

 

「それじゃ私はもう行くけど。

 ダイズ君は今日も工房籠り?」

 

だったらまた昼休みに一緒に遊ぼうと思っていたジュウリだったが、今日は違うとダイズは。

 

「いや、ちょっと遠征に行こうと思ってさ」

「遠征?」

「おう! まだ見ぬ強敵を求めて、武者修行だぜ!」

 

ご先祖様は忍者じゃないんかい、と、心の中でくだらない突っ込みを入れるジュウリだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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