IS/SLASH!   作:ダレトコ

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第百五十三話~原初の白夜~

~~~~~~side「???」

 

 

 「調子はどうだ? エム」

 

 「……フン。ナノマシンによる治療等、とっくの昔に終わっている」

 

 前回の作戦終了間近、IS学園の中国の代表候補生の襲撃を受け傷を負った私は、亡国機業の息がかかった医療施設に担ぎ込まれ治療を受けていた。

 しかしそれも十日もしないうちに終わり、次に行動を起こすまで待機を指示を受け暇を持て余していたところ、漸くパスカルが私の前に姿を現した。

 

 「それで? 貴様が来たということは、次の仕事ということか?」

 

 「違う。連絡と……いざという時の備えだ」

 

 「連絡?」

 

 「――――織斑千冬と篠ノ之束が動き出した。これからは、この場所も安全ではなくなる。先程ISに転送したポイントに移動し、ドクトルBと合流しろ」

 

 「……っ! 待て! 約束はどうなる!? 織斑千冬が出てきたのなら、私が……!」

 

 「駄目だ。君では、まだ織斑千冬の相手はできん。織斑一夏の不完全な零落白夜にすら、及ばないようではな」

 

 「くっ……!」

 

 「まずは最低でもドクトルBのAI(ワーミィ)に頼らず、己の単一仕様能力を行使できるようになってからだ……今度の合流地点は、篠ノ之束でもそう簡単には発見できまい。そこで指示があるまで鍛錬でもしていろ。どうあれ、何れは働いてもらうことになる。変にに先走って、無駄死にするな」

 

 パスカルの言葉はどこまでも淡々としていたが、同時に有無を言わせぬ迫力があった。

 ……頭では理解している。この女に気圧されて動けない程度の私では、織斑千冬を倒すなど、絵空事でしかないと。

 だが、それでも私は――――!

 

 「た、大変ですー!!」

 

 パスカルに尚言いつのろうとしたところで、ティーが気の抜ける声をあげながら私の部屋の中に走り込んできた。

 

 「ティー? なにをしている。君にも次の合流ポイントの提示はしただろう。何故、こんなところに来ている?」

 

 「あう……で、でも、シーちゃんがいつまで経っても来ないんです! そしたら、もしかしたらこっちにいるかもしれないから、様子を見てこいって、アキさんが……」

 

 「オータムめ……自分が相手にしたくないからといって、私に押し付けたな。だが……シーが、か」

 

 ティーの話を聞いてパスカルは少しの間頭を抱えていたが、すぐに気を取り直して私とティーに目を向ける。

 

 「シーの件は私が預かる。君達は通達通り、このまま次の合流地点に移動を――――」

 

 「あ! ……誰かがこっちに来ます! もしかしたらシーちゃんかも! ええっと、あ――――」

 

 そして改めて私達に指示を出そうとしたところで、またティーの呑気な声があがる。

 恐らく、いつもの得体のしれない『目』で何かを捉えたのだろう。捉えたものを注視しようとしているのか、少しの間遠い目をして――――

 

 「――――あ、あああああぁぁぁぁっ!?」

 

 「!?」

 

 直後。急に両目を押さえて、叫び声をあげながら恐慌状態に陥りだした。

 

 「どうして、どうして!? 見えない……何にも見えない!? やだ、やだあぁぁぁっ!!」

 

 「ティー!? いきなり、なに、が――――」

 

 尋常ではない様子に、私が思わず立ち上がって様子を見ようと近寄った時。

 

 ――――ゾクリ、と。

 思わずその場で腰を抜かしそうになる程強烈な寒気が、背筋に走った。立っていられず、その場に膝をついてしまう。

 ……なにか、とてつもなく恐ろしいものが近づいてきている。心を奮い立たせようとするが、体の震えが止まってくれない。

 同じものを感じたのかティーは怯え切った様子で頭を抱えて蹲ってしまい、パスカルは恐らくこの寒気の原因であろうもの(・・)がいるであろう方向を睨んだ。

 

 「来たか……怒り狂った、悪鬼羅刹が」

 

 あの鉄面皮のパスカルの額から、タラリと冷や汗が流れたのを初めて見た。

 では……この全身を斬り刻まれているような感覚に陥る、刃のような強烈な殺気は、まさか――――!

 

 「エム……ティーを頼む。今から私の量子空間に逃がすが、恐らくは長くは持つまい。その間に、できる限り遠くに逃げろ。生き伸びろ――――!」

 

 今までに無いほど、強い口調でそう言うと、パスカルはティーの背中に手刀を落として、意識を刈り取り、私にその身を預けてくる。

 

 「なっ、貴様はどうするんだっ!」

 

 「殿(しんがり)をする。そうしなくては、君達は逃げられまい」

 

 「む、無茶、だ……! こんな、悍ましい殺気を放つ奴と、一人で戦うなど……!」

 

 「そうか……知らなかったのなら、この殺気を身に刻んでおけ。何れは、君が向き合わなければならない相手のものだ」

 

 その言葉を最後に、パスカルの量子空間にティーごと引き込まれる。

 

 ――――どこまでも寒々しい、暗雲立ち込める世界。

 その中で立ち尽くす私は、本来私が戦うべき相手と戦えるこのチャンスを棒に振ったことに対し、憤ることも、失望することすらできずに。

 

 ただ気を失ったティーと、敵……織斑千冬の殺気だけで折れてしまった心だけを抱え。

 

 「クソッ、クソッ! 畜生っ……!」

 

 泣き喚きながら、みっともなく逃げ出した。

 

 

 

 

~~~~~~side「???」

 

 

 「――――貴様か」

 

 ――――第二形態のそれに戻ったように見える、全身装甲の第一世代機『暮桜』を纏い、私の前に現れた織斑千冬は、一見今まで見てきた中で一番冷静でいるように見えた。

 だが一方でその身に纏う殺気は、今までの中で一番強い。

 ……こういう人間は、今まで何回か見てきた。己の中の衝動を、感情に変換することで安全弁にしている類だ。

 しかし大体この類の人間は得てして情緒が不安定で、最終的には己の衝動に負ける。織斑千冬は怒りの感情こそわかりやすいものの、そのような傾向はなく寧ろ不愛想に見える方だ。余程、自制心が強いのだろう。

 

 今、明らかにその枷が外れている……前回までは、この女はまだ私のことを敵として認識していたように感じた。

 だが、今は違う。あれは……これから自分が踏み潰す、目障りな蟲を見る目だ。

 最早用済みとなった織斑一夏の居場所を吐けば見逃されるか、そこまではいかなくても僅かな動揺を誘えるかという希望を、早々に捨てる。

 

 ――――この女は、どうあってもここで私を殺す気だ。

 

 「……戦女神等という、偶像にあるまじき醜態だな、織斑千冬。それが君の本性というわけか」

 

 「フッ……そうだな。どう取り繕おうが……私の中には常に鬼がいる。他者を疑え、敵は殺せと喚き続ける、鬼が。いざ、その聲に従ってみれば……なんとも晴れやかな気持ちだ。あの聲が私の本性だというのなら、きっとそうなのだろうよ」

 

 織斑千冬が笑う。地獄の獄卒でももう少し朗らかであろうという程の寒々しい哄笑に、久々に肌が粟立つのを感じた。

 そして――――そんな僅かな心の漣さえ、この女……いや。鬼の前では致命的だということを、私はこの時思い出した。

 

 零落白夜。

 その桜色に僅かに夕闇を思わせる暗い茜色が混ざり合った、一見幻想的で美しい剣が、剣の色の軌跡を残光として残しながら、どこまでも無慈悲かつ暴力的に振り抜かれた。

 

 「っ……!」

 

 この鬼の剣は荒々しいように見えて、常に最適かつ致命の軌跡を走る。

 零落白夜が見えた時点で対処は無理だと悟った私は、ファフニールの空間跳躍で範囲外に跳ぶ。

 ……それが明らかな悪手だと、わかっていながら。

 

 「学ばない女だ」

 

 「っ……!」

 

 零落白夜が振り抜かれた。ISによる、あらゆる現実改変を許さないその力による事象の『巻き戻し』が始まる。

 このままでは、IS学園で対峙した時の二の舞になる。ならば――――!

 

 「ファフニールっ!」

 

 戻されるのを前提で、その瞬間に出せる手を全て叩き込む……!

 前回の経験で、既に強制転移をかけられるタイミングは読めている。零落白夜は、あくまでISによる現実改変とその結果だけを打ち消す。ならば、奴が二の太刀を振るう前にこちらから仕掛けてしまえばいい。

 

 ――――狙いすましたのと寸分違わぬタイミングで、鬼が目の前に現れる。

 機先は制した。その筈、だったのだが――――

 

 「篠ノ之……否。我流殺人剣(・・・・・)『千手具足』」

 

 「……!?」

 

 ――――光が見えた。

 その認識を最後に一瞬意識が飛び――――次の瞬間、私は無様に地面を舐めていた。

 

 

 

 

 「なに、がっ……!?」

 

 急に力を失い縺れるように倒れた体を、無理矢理起こし顔を上げる。すると――――

 

 ――――いつの間にか自身から飛び出していた己のISが、バラバラにされた状態で目の前に無造作に転がっていた。

 

 「なっ……!?」

 

 「――――搭乗者の危機を察して身を挺すとはな。薄汚い砂蟲のような身の上の分際で、随分と健気なISを持っていたようだな?」

 

 「貴様……!」

 

 「ほう? ……貴様にも憤るという感情があったのか。普段の仏頂面より何倍もいいぞ――――私も胸が空くようだ」

 

 全身鎧の鬼が、バラバラになった私のISの残骸を念入りに踏み潰しながら歩み寄る。

 直後ガラスが砕けるような音が響き……それが壊れる筈のない、ファフニールのコアが踏み砕かれた音だと悟った時、私は自らの終わりを悟った。

 防御態勢なら核兵器にすら耐え得るISの装甲を、紙屑のように……!

 ISの出力に依るものだけではない、この異様な力は、まさか……!?

 

 「――――『始源回帰能力(プライマルアビリティ)』……!!」

 

 「そうだ。第三形態ISにのみ発現する、単一仕様能力(ワンオフアビリティ)の源流にして上位能力。私の暮桜の力の本質は『アンチIS』。この『鬼哭零落白夜』が発現している限り、自身以外のISからありとあらゆる特異性を剥ぎ取る……今の私と対峙している以上、貴様は役立たずの鉄屑を纏った女でしかないということだ」

 

 「……自分が何をしているのかわかっているのか? 自分たちの都合で変えた世界を、今更自分達が気に入らないからと元に戻す気か……!」

 

 「……ああ。私と束もそう思ったからこそ、この力の本質を知った時には一度封印を選んだ。だが……清廉潔白に生きている者たちの為ならまだしも、何故お前たちのような無法者のためにまで、私が我慢せねばならない?」

 

 「がっ……!?」

 

 暮桜の足が、地に伏せた私の体を踏みつける。

 生身の私を一思いに踏み潰し、肉片に変えるのは簡単だろう。鬼の鎧を身に纏った織斑千冬は、苦しみはするが死にはしないという絶妙な力加減で私を踏み潰しながら顔を覗き込んできた。

 

 「なに、ことが終わればまた封印するさ……貴様等を一人残らず、地獄に叩き込んだ後でな」

 

 「っ……!」

 

 「心配するな。私はお前達のように卑劣ではないし、悪趣味でもない。ただ殺すだけだ。だがな――――」

 

 暮桜ののっぺりとしたフルスキンバイザー越しで尚、強烈な怒りを帯びた視線を感じる。

 今までの敵として向けられていたものと違う、暗い憎しみに染まった感情……ついしばらく前に同じようなものをぶつけられた身として、すぐにその変化の理由に思い至った。

 

 「ただの敵ならばまだしも……相手が仇となれば、ついでに気晴らしの一つもしたくなるというものだ。貴様等から見れば、一夏一夏とさぞ私は知恵遅れの間抜けに見えていたことだろうな」

 

 ――――そうか、とうとう彼女も真実に辿り着いたのか。

 ならば……最初から自分が助かる通りなどなかったと、いよいよ覚悟を決める。

 ほんの少しだけ……既に自分でも失くしたと思っていた、自分と同じ目に遭った目の前の女に対する共感のような暗い感情に、目を背けながら。

 

 「――――生きたまま開きにしてやる。陸揚げされた魚のように這いながら、十万億土を渡って逝け」

 

 憎悪に満ちた声と共に、薄く淡い桜色の光が周囲に満ちる。

 

 ――――その極楽浄土を思わせるような光景が、『私』が見た最期の光景だった。

 

 

 

 

~~~~~~side「千冬」

 

 

 「チッ……死んでも薄気味の悪い女だ」

 

 宣言通り敵を三枚に下ろした(・・・・・・・)私は、最早物言わぬ骸と化した女だったものを雑に投げ捨てる。

 今度こそ、ISごと確かに殺した。筈だが……どうにも、私の勘がまだ終わっていないと言っている。

 そも、前回にしても確かに致命傷を与えていた筈だ。やはり奴は、未だに何らかの手札を隠しているようだ。

 ……私の鬼哭零落白夜をもってして尚、一度では削り切れない類のそれを。

 

 ――――束から聞かされた亡国機業の潜伏場所の一つが、一見何の変哲もない私立病院なのを見た時は、最早手段を選ばぬと決めた私でも襲撃をかけるのは思わず二の足を踏んだ。

 だがここにきて未だ半端な覚悟でことに望んでいる自身に対する苛立ちが殺気として漏れたのか、泡を食った様子でこの女が迎撃に出てきたのを見た時は、運が向いてきたかと思ったものだが。

 ……この様子では、最初から捨て石のつもりだったか。小賢しい。

 

 だが、仮に奴が生き延びているにしても、私の暮桜の力は確実に奴のISの自力を削っている。

 ならば問題ない。一度で死なぬなら死ぬまで殺す。

 そうでなくては……束の願いを踏み躙ってまで、再びこのISの力に頼った意味がない。

 

 始源回帰能力(プライマルアビリティ)『鬼哭零落白夜』……この暮桜の周辺にいるISから、問答無用でISの優位性を消し去る力。

 一時的ならばまだマシだったのだが……この効果は永続(・・)する。PICを奪えばそのISは二度と飛べず、絶対防御を奪えばそのISは二度と搭乗者を致命傷から守れなくなる。

 私が現役のIS搭乗者から降りざるを得なくなったのは、当然一夏のことが一番というのはあるが……第三次形態移行(サードシフト)によって目覚めた、この力に依るところも大きい。

 

 なにせ、暮桜と対峙したISは酷く弱体化した挙句、二度と使い物にならなくなる。

 IS自体の能力とはいえ……ISバトラーとしては、存在自体が反則もいいところだ。

 力を抑えられれば良かったのだが、あの時の私はまだそれができなかった。

 そして――――始源回帰能力の厄介なところとして、第三次形態移行を乗り越えた搭乗者は、生身のままでもこの力の性質を体に帯びる。

 今でこそ大分抑えられるようにはなったが、それでも私が暮桜以外のISを扱うと急激に弱体化していき……やがて唯の鉄屑と化すことは変わらなかった。

 お陰で現役を降りて教師になった後も、大分ISに対しては気を遣わされたし、非常時には大変もどかしい思いも幾度となくさせられることになった。

 

 そんな私が未練がましく現役に縋りついたところで、そう遠くない未来に追放されていただろう。

 この力が露見し危険視され、ISを私ごと排斥される未来も、十分予想できた。だからこそ、私は自らの愛機の一時封印を決めたのだ。

 ……思えばこの力には迷惑を掛けられてばかりで苛立たしい。

 よりにもよって、という思いもある……暮桜は、始源回帰能力、ひいては単一仕様能力は、ISが搭乗者の意思を汲み取り発現させる能力だと言っていた。

 あの天邪鬼の言葉を鵜呑みにするものでないとわかってはいるが……そうだとするのなら。

 

 私は束の夢を尊いものだと口にしながら、内心では疎ましく思っていたということだ。

 

 我ながら、自らの性根の悪さに吐き気がする。

 

 ――――そっか……うん。ちーちゃんになら、いいかな……

 

 暮桜の真の力を知った時の、束の何処か吹っ切れたような笑顔が未だ忘れられない。

 ……あいつのことだ。きっと、既にあの時に悟っていたのだろう。

 

 私が。私こそが、あいつが長年温めてきた夢の破壊者足り得ると。

 

 「すまんな、束。それでも、私は……」

 

 だとしても。何に背を向けることになったとしても。

 私の中には、絶対に無視できないものが一つ、常に横たわっている。

 

 ―――― 一夏を、どうか――――

 

 それが、純粋に(一夏)を想う姉としてなのか。

 それとも、最早色褪せつつあるかつての約束のためなのかは、今となってはわからない。

 どちらだったとしても――――私は既に、その両方を裏切った。

 

 だから私にそうさせた者を、私が許すことはない。必ず皆殺す。

 

 

 

 

 束から、IS学園の一夏の同級生たちが、無事に一夏を救い出したと連絡があった。

 

 ならばもう、思い残すことはない。

 ……私はもう、一夏の元には戻れない。

 今のあいつが生体ISだというのなら、始源回帰能力を帯びた私があいつに近づくのは最早害にしかならない。

 

 なら、せめて。

 あいつの害となる連中を一人残らず掃除するのが、姉としてできる私の最後の仕事だろう。

 

 「汚したな。すまない、暮桜」

 

 装甲はどうにもならないが、せめてもと雪片にこびり付いた血糊を払う。

 暮桜は呼びかけに答えない。数少ない形態移行(フォームシフト)を果たした同業の話を聞いた限りでは、第二形態(セカンドフォーム)以降ならISの自意識とはいつでも意思疎通できるそうなのだが……あの臍曲がりからの意思疎通は、未だに一方通行だ。

 だがあいつのことだ。今頃、敵をどこまでも残酷に殺した私を見て、そら見たことか、等と笑い転げていることだろう。

 

 『問題、なし。一度、量子化、推奨。後は、そちらの廃棄物、処理、すべし』

 

 代わりに応えるのは桜火。

 こいつも普段から斬首斬首と五月蠅いだけあり、敵を殺したことには思うところはないのか、返り血と死体を処理しろとだけ淡々と告げてくる。

 

 まぁ、そうか。

 奴との接敵場所は極力人がいない場所を選んだが、今の私の状態含め、これが見つかれば色々と面倒なことになる。

 

 「消し飛ばせ」

 

 『御意』

 

 雪片から膨れ上がるように零落白夜の光が放たれ、開きになった敵の残骸を呑み込む。

 光が晴れると、敵の痕跡は地面にしみ込んだ血の跡だけを残して消え去った。

 

 ――――亡国機業……これを貴様等全員の末路にしてやる。首を洗って待っていろ。

 

 「――――次だ」

 

 

 

 

~~~~~~side「???」

 

 

 『『白騎士』のマスターデータを入手しました』

 

 『そう……じゃ、とうとう――――』

 

 『はい。『白のプリエステス』の、再起動準備に移ります』

 

 『ふふ。いよいよ、ね。と、なると……後は時間との勝負ねぇ』

 

 『楽観はできません……先程、エムさんの療養場所がブリュンヒルデの襲撃を受けました。彼女は既に、例の第三形態ISを持ち出してきているそうです』

 

 『! ……そう。エム達は?』

 

 『パスカルさんが時間を稼いでくれたお陰で、なんとか退避が間に合いました。ですがパスカルさんは……ファフニールの能力を考慮すれば、いかにかの最強の戦女神(ブリュンヒルデ)でも殺し切る(・・・・)ことは出来ないとは思いますが……』

 

 『そうね。なら、パスカルにはしばらくこのまま時間稼ぎを続けて貰いましょう』

 

 『……相手はあの暮桜(反則)です。始原の力以外を全て封殺される以上、パスカルさんは負けることはなくても勝つこともできません。()()()()()()ことになりますよ』

 

 『パスカルはそんなんで病むような精神してないから大丈夫よ。勝てないことは彼女自身も身に染みてわかっているでしょうから、上手くやるわ。きっとね』

 

 『はぁ……僕が言いたいのはね、対ブリュンヒルデの要はあなたってことですよ、スコールさん。最低限、役目は果たして貰わないと困るんですけど?』

 

 『そうは言っても、専用機が完成しないことにはどうにもならないわ。第三形態ISと戦えるのは、第三形態ISだけよ。本来唯一それが叶ったウェザーでさえ、ほんの少し暮桜の始源回帰能力に触れただけで、今あの有様なんでしょう?』

 

 『それは、そうですが。では、エリザベス・ミーティアとしてIS学園に潜入した当初の目的は果たせたと?』

 

 『ええ、そっちは問題ないと思うわ。色気を出してもうちょっと探ろうと思ってたところで、アリーシャが来てだいなしになっちゃったけど』

 

 『わかりました。なら、束ちゃんの監視が緩んだタイミングで合流しましょう――――白騎士のマスターデータと貴女がISスクールから奪取したISデータを元に……幻想型(タイプ:ミストラル)バスカヴィル・ハウンドも、最終調整を行います』

 

 『ええ、待っているわ。楽しみね……ねぇ? チフユ……』

 

 

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