4【冷たい君】
「どうしたの?深刻な顔して」
「……突然、別れたいなんて言うからさ。君は冷酷で冷淡だ」
「冷酷で冷淡ですって?この私が?」
「ぁぁ」
「どんなふうに、冷酷で冷淡なのかしら?」
「例えば、冷凍食品のようにさ」
「……冷凍食品ですって?」
「ぁぁ」
「して、そのこころは?」
「俺という、冷蔵庫がなければ、君はすぐに解けて、駄目になってしまう。そんなこと分かってるくせに、俺から逃れようとする」
「……よく分からないけど、彼が待ってるの。行くわね」
「君は冷たいから魅力的なんだ。解凍した君なんて食べたくない」
「大丈夫よ、彼に食べてもらうから」
「そいつのとこに着く頃には、君はブニャ~となって、味も落ちてマズくなってるさ」
「大丈夫よ。彼、鍋好きだから、ブニャ~の私を煮て、おいしく食べてくれるわ。それじゃ、さよなら~」
「……行かないで――
――カナダ産サーモンちゃん」
5【クリスマス】
「ちょっと、聞いてんの?クリスマスなんか嫌いだって言ってんの。
なんでって、恋人いないからよ。
だって、クリスマス=デート&プレゼントって決まってんじゃん。
そんなことあるの。だから、クリスマスのいい思い出なんてなーい。
嘘じゃないって。毎年、ショートケーキ買って、一人で食べてんだもん。
ホントって。ふところがリッチな時は、KF℃のチキン買うぐらい。
冗談じゃないって。だって、しょうがないじゃん、恋人いないんだから。
え?友だちはいるだろって?みんな、デートに決まってんじゃん。私ぐらいだよ、恋人いないの。おーい、鈴木。私と付き合う?
え?何?彼女が来たから切るって?ったく。チンチクリンのお前に恋人がいんのに、なんで、才色兼備の私に恋人いないのよ。
えっ?才色兼備の彼女が来たから、切るって?嫌味な奴だな。つまり、こういうことか?僕の彼女も才色兼備だが、僕という恋人がいるよと。
えー?クドいから切るって?何、恋人が来たから切るんじゃないの?
何?嘘も方便だ?タコ。じゃ、お前も恋人いないんじゃん。
何ー?電車に乗るから切るって?ったく、それも嘘だろ?
えー?優先席の近くだから切るって?だから、それも嘘だろっ――」
ピー…………
「チッ!ホントに切ってやんの。あったま来た。……しゃぁない、電車降りた頃、また電話すっか。……ああ、寒みぃ。酔いざめか?
ヒック!」
6【身長差】
「……あたしさぁ、彼氏と別れちゃった」
「えー!なんで?ノッポのイケメンだったじゃん」
「ノッポすぎてさぁ、首疲れんのよ。この間も2時間ばっか愛を語らったら、顔が上向いたまま、下向けないのよ。彼氏の甘いキッスで、やっとほぐれたって感じ」
「ッ!ぜいたくっしょ。私なんか彼氏いないってぇのに。……よう言うわ」
「てか、もうチッと低めがいいかなーって……」
「じゃ、その彼氏、私に頂戴よぉ」
「えっ?うっそー。あたしにも大きいのに、あたしより小柄なあんただったら、身長差50センチになるじゃん」
「身長差なんて、知恵とテクで、どうにでもカバーできるわよ」
「?あんたがいいなら、あげるけどぉ……」
「げっ!お姫様抱っこされてデートしてるよ。欧米か?」