文月学園は科学とオカルトと偶然によって開発された『試験召喚システム』を導入した進学校である。
1年生時は試験召喚獣の授業がある以外は他の学校と同じである。
しかし2年生からは、クラスはA~Fという学力のランク順に振り分けられる。
各クラスごとに教室の設備に差があり、一番ランクの高いAクラスと最低ランクのFクラスでは、天と地ほどの差がある。
そのため、文月学園の生徒たちは、少しでも良い設備のクラスに入るため勉学に努めている。
もちろん、下位クラスとなってしまった生徒たちにもチャンスがある。
それが『試験召喚システム』を使い行われる、試験召喚戦争(試召戦争)である。
試召戦争は召喚獣を用いた、各クラスごとの戦いであり、戦争に勝利したクラスは、負けたクラスと設備の交換ができるのである。召喚獣は召喚者のテストの点数が、強さに変換されるため、文月学園の生徒たちは勉強し、召喚獣を強くすることでよりよい学園生活を送るために、上位のクラスに挑んでいく。
こうして、絶え間ない努力をした者たちが、よりよい設備を手にし、努力しなかったものたちは最底辺の設備に甘んじることとなる。
だがしかし、この世の中、努力が必ずしも報われるとは限らない。
たとえば、野球などのスポーツ選手を例に挙げてみよう。小さなころから練習をし、プロを目指し努力をしたとしても体の故障や不幸な事故などが原因で早期に引退に追い込まれてしまうなど、世の中にはどうしようもないような理不尽なできごとが存在している。
そして、明日行われる「振り分け試験」に臨むため、日々努力してきた《彼女》にも、その不幸が襲いかかっていた。
―振り分け試験前日の夜―
<木下家>
木下母「38度8分。残念だけど・・・明日は休んだ方がいいわね。」
優子「そんなの駄ゴホッ・・明日は振り分け試験なのよ。もし休んだら確実にFクラスにゴホッゴホ。」
木下母「そんな状態じゃまともにテストなんて受けられないわ。もし途中で悪化して倒れたりしたらどうするの。」
優子「明日までに熱が下がれば問題ないでしょ。たかが風邪くらいでゴホッこれまでの努力が水の泡なんてまっぴらゴホッ御免だわ。」
木下母「明日までに熱が下がれば確かにいいかもしれないけど、この風邪のウイルスはかなりしつこいわよ。明日までに下がるとは思えないわ。」
優子「・・・・・・・」
なぜ彼女がこんな状態になったか。すべての始まりは2週間前に父親が熱を出したことから始まる。
医師の診断の結果はただの風邪だったが、なかなか熱が下がらず、看病していた母にもうつり、その後秀吉に、最後に優子がその餌食となってしまった。
木下母「まさか家族全員にうつっちゃうとはね。秀吉は今日の時点で熱も下がって明日は問題ないけどあなたはやっぱり無理よ。とにかく今は風邪を治すことだけ考えましょう。」
優子「(母さんが心配していってくれているもわかるけど・・・・・)」
優子「とりあえずもう寝る。お休み。」
ここで母さんと口論するより、少しでも寝て体を回復させた方がいいと判断した。
木下母「わかったわ。おやすみなさい。」
そういって母さんは電気を消して私の部屋から出て行った。
優子「(とにかく今は少しでも休んで体力を温存しないと。明日は早めに起きてもし熱が下がってなければ・・・・こっそり抜け出してでも行くしかないわね。)」
そう考えながら優子は眠りについた。
プロローグはこんな感じですがいかがでしょうか。ありがちな設定ですが楽しんでもらえれば幸いです。