リトルウィッチジャスティス   作:ベンジャー

2 / 2
EPISODE2 『蘇るモンスター』

ジュリ達がルーナノヴァに入学して数日が経過し・・・・・・今、ジュリ達は丁度教室で授業を受けているところだった。

 

「このように我が校はアルフレッド・ワトキンスによって提唱されたレイライン上に位置しています。 魔力のパイプラインとも言うべきレイラインから運ばれてくるエネルギーは『新月の塔』に安置された魔導石に蓄積されます」

「ぐがっ・・・・・・」

 

この学校にある「新月の塔」と呼ばれる建物に安置された「魔導石」と呼ばれるものについての説明を教師が行っていると、女性の教師は誰かがイビキをかいていることに気づき、教師は説明をしながら杖を構え、狙いを居眠りをしているアッコに向ける。

 

「ちょっ、アッコ起きろ! 狙い定められてるよ!! なんか弾丸みたいなの飛んでくるよ多分!」

「ぐがぁー」

 

アッコの右隣に座るジュリは居眠りをしている彼女を起こそうと肩を揺さぶるのだが、中々起きようとはせず、教師は青い光をアッコに向けて放つと青い光は丸っこい羽の生えた生物のようなものになり、アッコの髪を引っ張り上げて顔を机の上に叩きつける。

 

「うぶっ!?」

 

それによってアッコは身体をピクピクさせ、ジュリとアッコの左隣に座るロッテに大丈夫かと心配される。

 

「えー、蓄えられた魔力は私達魔女の力の源となるのです。 己の為にのみ魔法を使う者は魔法によって身を滅ぼす。 誰の言葉か分かる者は?」

 

すると教師の言葉に対して1人の女子生徒・・・・・・「ダイアナ・キャベンディッシュ」が手を挙げて答える。

 

「T・Sダニエルズ、『魔法の幸運論』です」

「うむ、正しく魔法を使うにはその歴史を知ることも重要。 よろしいかな? ミス・カガリ?」

「ふぁーい」

 

教師に言われ、アッコは返事をしながら顔を挙げるのだが、その顔は叩きつけられたせいで赤く染まっており、ロッテは心配そうな表情を浮かべるが・・・・・・逆にジュリは思わず「ぶふ!?」と吹き出してしまった。

 

「くwっwさwww」

「なに笑ってんのさ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、多くの生徒が休憩室として使用している場所にて・・・・・・。

 

先ほど顔を叩きつけられ、鼻を怪我したアッコはスーシィから傷の手当てを受けており、彼女に傷薬を鼻に塗って貰っているところだった。

 

ちなみに最初に出会って数日も経過していることもあり、ジュリは既にロッテとスーシィとは打ち解けており、普通に楽しく会話するくらいには仲良くなっていたりする。

 

「いたたた、染みる~! ホントに聞くのこれ?」

「大丈夫、アッコは私を信じなさい。 スー特性魔法の力を信じなさい。 ホレ信じなさい」

「なんかどっかで聞いたことあるフレーズ!!」

 

だが、その時・・・・・・突然アッコの顔が膨れあがり、すぐにアッコの顔は元に戻るのだが彼女の鼻はピノキオのように伸びてしまっていた。

 

「ふがっ!? ちょっと何これ!!?」

「ぷひっ! ちょっとは魔女らしくなったんじゃない?」

 

それを見てスーシィは思わず笑い出し、アッコは「またあたしを実験台にしたでしょ!?」と鼻を押さえながら怒って立ち上がる。

 

「大丈夫、一時間もしたら腫れも引いて元に戻るよ・・・・・・多分」

「まぁまぁ、元はと言えばアッコが居眠りするから・・・・・・」

 

怒るアッコを宥めるように言うロッテだが、それに反発するようにアッコは「あんな退屈な授業寝ない方がおかしいよ!」と言葉を返す。

 

「そうかなー? 私は結構面白いと思うけど、魔法史」

「私もそれなりに楽しんでるよ。 過去のことでも少しでも魔法の知識が付くのは私も嬉しいし」

 

ロッテとジュリはアッコにそう言うのだが、アッコは「大昔のことなんて興味ない!!」と一蹴し、勢いよく再び椅子に座り込む。

 

「あたしはカビ臭い魔法使いのオバハンになるためにこの学校に来たんじゃない!! シャイニィシャリオみたいにイケてる魔女になりたいの!」

「でもシャリオだってそういう大昔のことも学んでそのイケてる魔女になったんじゃないの? 古き良き時代って言葉もあるし、もうちょっと興味持とうよ」

 

ジュリにそう言われ、「うぅっ」と思わず言葉を詰まらせるアッコ。

 

そんな時、ジュリ達の会話の内容を偶然聞いていたバーバラとハンナを引き連れたダイアナが現れ、「シャイニィシャリオですって?」とどこか怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「随分懐かしい名前ですわね」

「ダイアナ! シャリオのこと知ってるの!? やっぱ良いよね、シャリオ!!」

 

自分と同じようにシャリオのことを知っている人物に会えて嬉しそうにするアッコ。

 

そしてダイアナ達とは殆ど会話したこともなジュリは慌ててアッコの後ろに隠れる。

 

「いい加減他のクラスメイト達にも慣れようよ・・・・・・」

「無理言うなロッテ!!」

 

そしてアッコの言葉に対しダイアナから返って来た言葉は「全く嘆かわしい!」というものであり、それに不満げな顔を見せるアッコとジュリ。

 

「あのような低俗な見せ物に憧れて我が校の門をくぐるとは!」

「な、なにをー!!?」

「魔法界であれを快く思っているものはいませんわ!!」

 

アッコが言い返す前に、ダイアナは力強くそう言い放ち、それに同調するようにハンナとバーバラもバカにしたような言葉を言い放つ。

 

「あーんな子供だましが好きなら・・・・・・!」

「魔法幼稚園に行った方がよろしくてよ? あなたと同じレベルの子が沢山いますもの!」

「「あはははは!!!」」

 

そんな彼女等に対し、アッコは「うぐぐぐ!!」と強く睨み付ける。

 

「アンタ等のコーマンチキな鼻をへし折ってやる!!」

「ご自分の鼻を心配なさいな」

 

そんなアッコにダイアナは長く伸びたアッコの鼻を掴んで弾くと、彼女はバランスを崩して後ろに倒れそうになり、そんな彼女をジュリ、ロッテ、スーシィの3人が慌てて支えられる。

 

「せいぜいお大事に・・・・・・。 では、ご機嫌よう・・・・・・」

「待たんかい。 優等生に腰巾着共」

「「誰が腰巾着よ!!?」」

 

ジュリの呼びかけに思わずハンナとバーバラは怒るのだが、そんな彼女等に対しジュリは胸を張って「だって名前覚えてないもん!!」と言い放つ。

 

「胸張って言うことじゃないよね」

 

ジュリの発言に苦笑しながらツッコミを入れるロッテ。

 

そしてジュリはダイアナ達を睨み付け、言い放つ。

 

「そりゃさ、アンチはどの作品や芸能人とかにもつくもんだからそこはしょうがないとする!! 本当はムカつくけど・・・・・・。 でも、たださ・・・・・・誰が誰に憧れ、誰が何を好きか・・・・・・それを幼稚だなんだとバカにして良い権利なんて・・・・・・どこの誰にもありはしない!! 魔法界でシャリオがどう言われてようが私やアッコには関係ないんだよ!! 私もアッコもシャリオが好きだ!! その『好き』という気持ちに、文句を言われる筋合いは1ミリ足りともありはしない!!!!!」

「っ・・・・・・!」

 

鬼気迫る勢いで言い放つジュリに少しだけ圧されるダイアナ達。

 

「・・・・・・」

 

そのままダイアナは不満げな顔を見せつつもその場を立ち去り、それに続くように慌ててハンナとバーバラも彼女の後を追いかけた。

 

「「な、何よ偉そうに!」」

 

という捨て台詞を2人は残して。

 

また、ロッテやスーシィはあんまり話したこともない相手には慣れるまでは何時もオドオドした態度だったジュリに、驚きの表情を浮かべ・・・・・・そんな彼女にアッコは嬉しそうな顔を見せ、ジュリの背中をバンっと力強く叩く。

 

「痛いんだけど、アッコ・・・・・・」

「いやぁー、言いたいこと言ってくれて嬉しかったよ~! 見た? ダイアナ達のあの悔しそうな顔!!」

「ああいう『何かを好き』という気持ちを否定する奴等がただ許せなかっただけだよ」

 

そんなジュリの様子を見てロッテとスーシィは互いに顔を見合わせ、スーシィは「ジュリって人見知りじゃなかった?」と疑問に思ったことをアッコとジュリに尋ねる。

 

「ジュリは確かに人見知りだけど・・・・・・それでも自分が間違ってると思うことには初対面の相手にもズバリと言えるんだよね、昔から」

「でも多分次にダイアナ達に会うときにはきっと緊張で吐くかも・・・・・・」

「吐かないように頑張って・・・・・・」

 

次にダイアナ達と会うことを思うと今度は緊張で吐いてしまうかもしれないと考え、気分が悪くなり口元を押さえるジュリ。

 

そんなジュリに苦笑しながら吐かない努力をしてくれとお願いするロッテだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから午後の授業にて・・・・・・。

 

本日は高層ビルほど高い塔の上から箒に乗って飛行する練習が行われており、物見台まで飛んでそこで待機するように教師から指示され、既にスーシィ、ロッテ、ジュリは教師に指定された場所まで箒で飛んで到着していた。

 

そしてアッコはというと・・・・・・。

 

アッコは本日、箒に乗るのが初ということで緊張しており、自分の番が来るとアッコは思わず下を見て怖じ気づいてしまう。

 

「うっ・・・・・・」

 

そんなアッコに対し、彼女が中々飛ばないため、教師は手に持っていた箒で「さっさと行かんか!!」と言いながらアッコを背中から叩きつけ、彼女は地上へと落下。

 

「うわああ~!!? 上がれ上がれ上がれ!!」

 

アッコは叫ぶようにそう念じると箒は途中で空中停止・・・・・・しかし、すぐに箒は上昇・・・・・・しかも物凄い勢いで。

 

「わああ~!!? 上がるな上がるな上がるな~!!? 止まれぇ!!」

 

それによって箒は塔よりも高い場所まで飛行し、急に箒が止まるとその反動で両手で箒にしがみついていたアッコはくるくると身体が回転し、止まると彼女は目を回し・・・・・・気持ちが悪くなって顔を青ざめさせる。

 

「うっぷ・・・・・・」

 

それによって吐きそうになるアッコ。

 

「アッコ!! 吐くのは私の特権だぞ!!」

「なに変なことで張り合ってるのジュリ!!?」

 

そのまま彼女は暴走する箒に振り回され、一度ちゃんと乗れたかと思うと今度はゆっくりだがどんどん地上へと落ちていき、森の茂みの中に落ち、最終的には地面に落下・・・・・・そのまま箒が頭に激突し、彼女は「ふぎゃ!?」と小さな悲鳴をあげながら気を失ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、怪我の手当てをしたアッコはベッドの上で寝込んでおり、「アイタタタ、まじで死ぬよぉ」と涙目で嘆いていた。

 

「薬いる?」

「結構よ!!」

 

スーシィから薬がいるかと尋ねられると昼間のこともあり、即座にアッコはスーシィの提案を断る。

 

「でもまさか箒初体験だっとはね、良いドジっ娘っぷりだったよ」

「そりゃどーも!! ってか、なんでジュリはあたしと同じく箒初体験なのに普通に乗れてた訳?」

「知らん、そんなことは私の管轄街だ。 でも私が思うにアッコは箒に乗って飛ぶ想像力が足りなかったと考える。 私はよくそういう空想はしてたから」

 

なぜか自分と同じように一般の家庭出身の筈のジュリだけ普通に箒に乗れてることに納得できず、アッコはムスッとした表情を浮かべてふて腐れてしまう。

 

「それに普通、魔女の家計じゃないならしょうがないとも思うよ私は」

「そうそう、私が箒に上手く乗れたのだってきっとたまたまだよ」

 

一応ロッテやジュリからはフォローを入れられるが、アッコ曰く「あれくらい出来なければシャリオには程遠いもん」ということでアッコからしては箒に上手く乗れないなど納得できる筈が無かったのだ。

 

「まーたシャリオ」

「アッコはよっぽどシャイニィシャリオが好きなのね」

「そりゃそーよ!! シャリオは可愛くてかっこ良くてキラキラしてるの!!魔女なのにシャリオに憧れないことの方がよっぽどどうかしてる!!」

「私もシャリオ好きだから気持ちは分かるよ。 でも多分アッコの方がシャリオへの愛は上な気がするけどね」

 

上からスーシィ、ロッテ、アッコ、ジュリの順番でそれぞれ喋り、アッコの言葉を聞いたロッテとスーシィは顔をなんとなく一度見合わせる。

 

「・・・・・・シャリオって魔法界じゃ評判良くないんだよね」

「魔女に対する間違ったイメージを広めたって・・・・・・」

「荒唐無稽なデタラメ魔法ばっかり」

「マジックというよりイリュージョンね」

「インチキ、まやかし、演出過剰」

「あの衣装もちょっと下品」

「そもそも呪文がダサ過ぎ」

 

そんな風にボロクソにシャリオのことをロッテとスーシィから言われたアッコはそのことに頭に来たのか顔を真っ赤にして勢いよく起き上がろうとすると上段のベッドに頭をぶつけてしまい、「うぐ!!?」と小さな悲鳴をあげて頭を抑える。

 

「大丈夫?」

「これ以上頭を打ったら魔力が~」

「元から無いくせに」

 

スーシィにそう言われ、アッコは「どーせあたしはミーハー魔女よ!!」と拗ねるように寝込んでしまう。

 

「2人までさ、そこまでシャリオのこと悪く言わなくても良いじゃん・・・・・・ぐすっ」

「あれ? ジュリなんでそんな隅っこの方に・・・・・・泣いてる?」

「泣いて・・・・・・ないし、うぅ・・・・・・」

 

尚、ジュリにもシャリオの悪口は結構効いたらしく、彼女は隅っこの方に移動してロッテ達に背中を見せるように蹲っており、ぐすぐすと泣いていた。

 

「衣装もダサくないし、ってかちょっとエロいのが良いんじゃ~ん・・・・・・うえぇ・・・・・・」

(面倒くさいなこいつ)

「2人とも気に障ったんならごめんね? 私もスーシィもそんなつもりはなくて・・・・・・」

 

そんなアッコとジュリを見てロッテは慌てて謝罪。

 

「そっ、アッコ達の自由だし、それが子供だましのシャリオだからって別に・・・・・・」

「スーシィ!!」

 

スーシィの言葉にロッテは「どうして何時も余計なこと言うの!?」と叱り、ベッドの上で寝込んでいるアッコはその間「どうしたらみんなシャリオのことを分かってくれるのだろうか」と考え込むのだった。

 

(みんなシャリオのこと誤解してる。 魔女が素敵なものだって教えてくれたのに。 どうしたらシャリオのこと分かって貰えるんだろう・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、ジュリ達は本日は実戦の訓練を行う為の授業に出ており、とある塔の中で今は青い髪でメガネをかけた女性の教師「アーシュラ・カリスティス」から訓練のルールについてジュリ達は説明を受けているところであった。

 

「今日は実戦訓練を行います。 この塔は古代の迷宮の上に建てられていますが本日の課題はその迷宮に降り、そこに隠れた宝物を探し出し持ち帰ることよりレアな宝物を入手したチームには高い得点が与えられています。 尚、迷宮には野生のモンスターも生息していますから各自注意するように」

 

そんなアーシュラの説明を受けてスーシィは「なんか月並みのRPGみたい」と評し、それにはジュリも同意するように頷いた。

 

「でも面白そうじゃん、自分が実際にゲームの中にいるような体験ができるなんてさ」

「でもモンスターを相手にするなんてだいじょう・・・・・・アッコ?」

 

不意にロッテがアッコの方に視線を移すと彼女はウルトラダイナマイトでも出すのかと言うくらい全身が気合いで燃えており、それに思わずロッテは後退ってしまう。

 

「遂に実力を見せる時が来た!!」

「おぉ~、燃えてんね~、アッコ・・・・・・あっ、マシュマロ焼けた」

 

尚、ジュリはそんなアッコの炎を使って串に刺したマシュマロを焼いて頬張っており、それを見たロッテからは「えぇ!?」と驚きの声が上がる。

 

「えっ!? このアッコの炎演出とかじゃないの!? ホントに燃えてるの!?」

 

尚、迷宮は下の階層ほどレアな宝物があるらしいのだがそれと同時により危険なモンスター達が守っているそうでアーシュラはなるべく無茶をしないよう生徒達に注意し、彼女は迷宮の入り口を開ける。

 

「制限時間は3時間、日頃学んだ魔法力を存分に生かして先生を驚かせてね? では!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから生徒達一同はそれぞれ迷宮の中へと入り、ジュリ達は今は薄暗い階段を杖の小さな光とランタンを頼りに降りて地下に進んでいるところだった。

 

「早く早く!!」

「待ってよ~」

「早くしないとダイアナに先越される!!」

 

アッコはダイアナよりも早くお宝を見つけるため、ロッテ達を急かすのだが・・・・・・。

 

ロッテは「でも暗くて危ないよ」と注意し、彼女は杖を取り出すと杖でトントンっとランタンを叩く。

 

「出ておいで~」

 

そうするとランタンの中の炎が小さな精霊となって出現。

 

「あら可愛い」

 

ランタンから飛び降りてアッコの足下にまで行くと眩い光を放つ。

 

「これで足下安全♪」

「もう~、危ないから面白いんじゃん。 ってん?」

 

アッコが精霊を出したロッテに対してそう不満を呟くのだが、その時アッコは壁に張付いた小さな丸っこいモンスターを発見。

 

「出たなモンスター!! 我が魔力受けてみよ!!」

 

アッコが杖をモンスターに向けると魔物のいた場所が小さく爆発、モンスターは階段の上に落ちるとその丸っこい身体を生かして下の方へと逃げていく。

 

「逃がすかー!! 待て~!!」

「もうアッコったら!! 課題はモンスター退治じゃないよー!!」

「目的すぐ忘れるんだから、アッコってば」

 

そのままジュリ達ハモンスターを追いかけて行ったアッコを追いかけ、一同は階段を駆け下りて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、バーバラとハンナを引き連れたダイアナはというと・・・・・・。

 

ダイアナは杖から魔法の光弾をカマキリに似た巨大なモンスターに直撃させて一撃で倒し、彼女はつまらなそうな顔を浮かべる。

 

「ふん、手応えのない・・・・・・」

 

だが、ダイアナの後ろに隠れるようにいる2人は強気なダイアナと違い、怯えており、ハンナはそろそろ戻るべきではないかと提案。

 

「そ、そうですわ! 結構なお宝も手に入れたことですし・・・・・・」

 

それに同調するようにバーバラが持っていたリュックから迷宮の中で今まで集めたものを取り出していく。

 

「ミスリルメイルにガルボルンのナイフ、シルマリルのリングもありますわ!!」

「・・・・・・はぁ」

 

そんなハンナとバーバラにダイアナは呆れたように溜め息を吐く。

 

「ありきたりな物ばかり、その程度では宝とは呼べませんわ」

 

どうやらダイアナは今まで集めたものでは満足できないようでハンナ、バーバラと違い彼女は今まで集めた物を宝とするには全く納得することはできなかった。

 

「でも、ここ凄くヤバそう・・・・・・」

「わたくし達もう耐えられないかも・・・・・・!」

 

周囲には打ち果てられた騎士達の骸骨がそこら中に転がるように倒れており、そのことからハンナ達は身体を震わせながら互いに手を握りあって怯えていた。

 

「魔女は恐れられる存在、自らが怯えてどうするのですか!? それにわたくしの魔法は無敵、何も恐れることなどありませんわ!」

 

ダイアナは振り返って怯える2人に対し、論すようにそう言い放つ。

 

そんな時のことだ、アンナとバーバラがダイアナの後ろを見て今まで以上に怯えた様子を見せ、身体を震わせてダイアナの後ろを彼女等は指差す。

 

「「ダダダ、ダイアナ・・・・・・! う、うしうし・・・・・・!!」」

「うし?」

 

ダイアナが後ろを振り返るとそこには巨大な牛のモンスター、ミノタウロスが荒い息をしながら立っており、そのミノタウロスの凶悪な面構えにこれには流石のダイアナも目を見開き、驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アッコ達はというと・・・・・・。

 

アッコは先ほどのモンスターを追って階段を降り、そんな彼女を追いかけてジュリ達も合流。

 

「どこ行った!?」

「はぁ、はぁ・・・・・・アッコちょっと落ち着いて」

 

ロッテは息を切らしながらアッコに一度落ち着くように言うのだが・・・・・・その時、どこからか悲鳴が聞こえ、アッコは「そっちか!!」と言いながらモンスターを探して悲鳴のした方へと駆け出して行く。

 

「待ってろよ~!! 今トドメを刺して・・・・・・!!」

 

しかし、辿り着いた先にいたのは先ほどダイアナ達が遭遇したミノタウロスであり、さらに同じくそこにいたダイアナはハンナとバーバラを守る為に守りに徹してバリアを張り巡らせていた為、反撃することが出来ずにいた。

 

「み、ミノタウロス!?」

「アッコ!?」

 

ダイアナがアッコの存在に気付くとミノタウロスもアッコに気づき、狙いをダイアナから変えて彼女に襲いかかるように突進して来た。

 

「う、うわあ~!!?」

 

アッコが咄嗟に杖をミノタウロスにかざすとミノタウロスの左目が爆発し、ミノタウロスは怯む。

 

「よっしゃ、次は私が!!」

 

さらにそこへジュリが飛び出し、ミノタウロスに向かって強烈な跳び蹴りを顔面に喰らわせたのだ。

 

「勇者ぁ!! キィーック!!!!」

 

おい、魔法使えよ。

 

「っていうかそれ人の技!?」

 

尚、ジュリの技名の発言に対して即座にロッテからツッコミが入る。

 

「今ですわ!!」

 

そして、アッコとジュリの攻撃によってミノタウロスが怯んだ隙をダイアナは見逃さず、杖を掲げ、周りに落ちている複数の剣に魔法をかける。

 

「剣達よ!! 我が刃となりて貫け!!」

 

ダイアナの呪文によって複数の剣が空中に浮かび上がると、剣はミノタウロスの背中目がけて何本も突き刺さる。

 

しかし、それでもミノタウロスは倒れず・・・・・・逆に怒り狂ってダイアナの方へと振り返りながら雄叫びをあげる。

 

「グオオオオオ!!!!!」

「げぇ、効いてない・・・・・・」

 

それを見て「マジか」とでも言うような顔を浮かべるジュリ。

 

「ヤバいよあいつ・・・・・・!!」

 

ジュリの言葉に同意するようにそう言い放つアッコ。

 

そんな時、スーシィが「私の出番だね」と言いながらゆっくりと歩いて来たのだ。

 

「スーシィ!? どうする気?」

「私に任せなよ。 ちょっと牛さん!」

 

スーシィがミノタウロスに話しかけると、それに反応してミノタウロスはスーシィの方へと顔を向け、彼女の間近で雄叫びをあげる。

 

「召し上がれ♪」

 

それを見てスーシィは不気味な笑みを浮かべてすかさずどこからか取り出した瓶を開け、ミノタウロスの口の中に入れると、ミノタウロスは突如として苦しみ出す。

 

「ゥグルウウウ!!!!?」

 

やがてミノタウロスの身体は徐々に溶け始め、そのあまりのグロテスクな光景にアッコ達は「うわぁ・・・・・・」とでも言うようにどん引きしてしまう。

 

「うっぷ、オボロロロロロ・・・・・・!!」

 

無論、普段から吐きやすいジュリは当然今の光景を見て隅っこの方でリバースしていた。

 

ついでにバーバラも吐いていた。

 

「フヒヒヒヒ! ちょっと効き目がありすぎたみたい」

「はぁ、はぁ・・・・・・。 私思うんだけど、スーシィが1番魔女っぽいよね」

 

不気味な笑うスーシィを見て、ジュリはそう言わずにはいられなかったのだった。

 

尚、ミノタウロスが溶けた際に床に丸い巨大な穴が開き、それを見たダイアナはその中を覗き込みながら「ここから降りられそうね」と呟く。

 

それを聞いたハンナとバーバラは「えぇ!? まだやる気なの!?」と驚きの声をあげる。

 

「怖かったら、そこらのボンクラ魔女とここに残っていてもよろしいですわよ」

「はぁ!?」

 

ダイアナの言葉にアッコは怒って彼女を睨むのだが、ダイアナは気にせず杖を掲げて魔法でゆっくりと穴を通って下の階層へと降りていき、それに続くようにハンナとバーバラもダイアナの後を追いかけるのだった。

 

「あっ、待って!!」

「わたくし達も行きますわ!! ボンクラと一緒は嫌!!」

 

彼女等2人もダイアナと同じように杖を掲げて魔法でゆっくりと下の階層へと穴を通って降りていき、またそんな彼女等の態度にアッコは不満げな顔を浮かべる。

 

「助けてやったのになにあの態度!? あたし達も行くよ!!」

「・・・・・・どうやって?」

 

スーシィがアッコにそう尋ねると「どうやってって・・・・・・箒で・・・・・・」と答えるのだが、彼女等今、誰1人として箒を持っておらず、それを知るとアッコは「えぇー!!?」と大声をあげる。

 

「なんで持って来ないのさ!?」

「あっても乗れないくせに」

「なっ、う、うっさいな!! 兎に角ダイアナ達を追いかけるよ!!」

 

スーシィに図星を突かれ、そう言うとアッコはどこかに歩き始める。

 

「でも時間内に戻れなくなるよ?」

「このままじゃダイアナに勝てないじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、かなり下の階層まで降りて行ってダイアナ達はというと・・・・・・。

 

「こんなところまで降りて来て、いいのかしら?」

 

杖に光を宿して周囲を照らしているとはいえ、先ほど以上に薄暗く、不気味な洞窟のような場所にハンナとバーバラは未だに怯えており、その時、ダイアナが目の前に何かが置いてあることに気付いて光を灯すと・・・・・・。

 

そこには拷問器具であるアイアンメイデンが置かれており、それを見て思わず悲鳴をあげながらハンナとバーバラはお互いに抱き合う。

 

「ひいい!? あ、アイアンメイデン・・・・・・! 何百もの魔女の生き血を吸った伝説の拷問具・・・・・・!」

「・・・・・・フン、このようなコケ脅しで魔女を遠ざけようとは・・・・・・。 この中には余程の物が隠されているようですね」

 

ハンナ達とは違い、アイアンメイデンを見ても強気な態度を崩さないダイアナ。

 

「わたくしが暴いて差し上げますわ!!」

 

すると彼女はその中に隠されているであろうものを暴くために、杖をアイアンメイデンに振り、魔法をかけてアイアンメイデンの扉を開く。

 

するとその中から現れたのは・・・・・・。

 

「クウゥ・・・・・・」

 

弱々しい鳴き声をあげる兎によく似たピンク色の可愛らしい容姿をしたモンスターだった。

 

「何かと思えば、ただの兎ではありませんか」

「「へっ? あっ、ちょっと可愛い・・・・・・」」

 

それを見てハンナとバーバラは口を揃えてそう呟くのだが・・・・・・可愛らしい容姿をしているとは言えどモンスター。

 

モンスターはダイアナ達を見ると威嚇するように鳴き声をあげ、それに少し苛立ちを覚えるハンナとバーバラ。

 

「何よ、チビの分際で!」

「ちょっと可愛いからって生意気にも威嚇してますわ!」

「お仕置きしてあげる!」

 

そう言いながらハンナが杖を取り出してモンスターに向かって電撃を浴びせるのだが・・・・・・モンスターはそれでは倒れず。

 

ならばと思い、今度はバーバラが炎を杖から放つのだがそれをモンスターは口から飲み込み、モンスターはほんの少しだけ成長し、大きくなってしまう。

 

「しぶといわね・・・・・・」

 

だが、そのことにハンナとバーバラは気付かず、ならば今度は2人でと同時に魔法の光線をモンスターに放つ。

 

「遊びは終わりよ!!」

 

一方ダイアナはそのモンスターを見て何か引っかかることがあったのか、バーバラ達の様子を見ながら考え込んでいると・・・・・・フッと彼女はこのモンスターを本かなにかで読んだのを思い出し、ダイアナは慌てて2人に攻撃を止めるように言い放つ。

 

「・・・・・・はっ、いけない!! 魔法を使ってはダメ!!」

 

しかし、時既に遅く・・・・・・魔法の攻撃をモンスターは突如として爆発し、煙が巻き起こる。

 

「「「わああああ!!!!?」」」

「グルルルル・・・・・・!!」

 

そして、その爆発の中から現れたのは・・・・・・。

 

巨大な翼を持ち、体色が紫色に変化し血のように赤い目を持った6メートルほどの怪物・・・・・・「超変身怪獣 キングマイラ」第2形態である。

 

「グルオオオオオオ!!!!!」

「これは・・・・・・!!」

「「ひいいい!?」」

 

キングマイラは雄叫びをあげ、その咆哮にバーバラとハンナは抱き合い、それにはダイアナですら冷や汗を流して怯んでしまうほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ジュリ達は様々なものが置かれた大きく広い部屋に訪れていた。

 

「うわ~、なんか山ほどあるよ?」

「でも宝物庫じゃなさそう」

 

ロッテの言うように、ここは様々なものが置かれているが宝物庫などではなく、ただのガラクタ置場・・・・・・というよりもゴミ捨て場であり、特に大したものは無さそうだった。

 

「なんか中古のアニメのフィギュアとか無いかな~」

「あっても汚れてそうだけど・・・・・・。 っていうかそろそろ引き上げないと時間ないよ? みんなどうする?」

 

ロッテが時計を見ながらそう言うと、アッコは不満そうな顔を浮かべ、スーシィは「仕方ないよ、ここでなにか適当に拾って帰ろう」と意見を出す。

 

「これから先だってダイアナに挑むチャンスは幾らでもある筈だよ。 今回は諦めよう、アッコ?」

「むぅ」

 

ジュリもアッコを説得するようにそう言うのだが・・・・・・その直後、アッコはゴミ捨て場の中で見覚えのある物が視界に入る。

 

「んっ? あれは・・・・・・まさか!!」

 

だが、その時・・・・・・床が突如揺れ始めるとジュリ達は尻餅をついてしまい、彼女達の目の前に・・・・・・床を突き破ってキングマイラが出現したのだ。

 

「グルアアアアア!!!!」

「今度は何なの!?」

 

キングマイラは飛行して天井を拳を振るって穴を開けて破壊し、さらに上の階へと飛行していく。

 

(なんかヤバそう・・・・・・。 でも、アッコ達がいるしな・・・・・・)

 

キングマイラを見てジュリは胸につけたジャストランサーに手をかけるが、アッコ達がいる為変身ができず、どうしようかと思い悩む。

 

そんな時、キングマイラが開けた床の穴からダイアナ達が這うようにして出てきたのだ。

 

「ダイアナ!? 下で何があったの!?」

「な、なんでもありませんわ!」

「でもボロボロじゃん?」

 

アッコがダイアナにすぐさま駆け寄り、何があったのか事情を聞こうとするのだがダイアナは誤魔化し、アッコの言葉を遮ってキングマイラがどこに行ったのかを尋ねる。

 

「そんなことより、アレはどこに行きました!?」

「さっきの悪魔みたいな奴のこと? 飛んでったけど?」

 

アッコは天井を指差してそう答え、それを聞いたダイアナはバーバラとハンナに箒を貸すように言い、それに2人は戸惑いながらも言われた通り箒をダイアナに貸す。

 

するとダイアナは自分とハンナ、バーバラの箒を融合させて1つの箒にし、それに跨がってキングマイラを追いかけようとする。

 

「あなた方はここに残りなさい、後は私がなんとかします」

「待って! どういうことなの!?」

 

しかし、箒を掴んでアッコはダイアナを引き止める。

 

「アレは・・・・・・わたくしが解き放ってしまったようです・・・・・・。 だからわたくしがカタをつけなければ!」

「いや、でも・・・・・・幾ら優等生でも1人じゃアイツを止められないと思う」

「それでも、わたくしがやらなければ・・・・・・!! では、ごきげんよう!!」

 

ジュリも流石に無茶ではと言うのだが、ダイアナは聞かずそう言い残すと彼女は今度こそ箒で飛行し、キングマイラを追いかけるのだった。

 

「・・・・・・いちいちかっこつけちゃって! あっ、そうだ!!」

「アッコ? どうしたの?」

 

突然、アッコが走り出し、山になっているゴミをかき分けて行くと・・・・・・目的の物を発見し、アッコは嬉しそうな顔を浮かべ「あった!」と声をあげる。

 

「なに探してるの?」

「値打ちもんでも見つけた?」

「もしくはアニメのフィギュアあった?」

「アニメのフィギュアなんてないよ!! それよりももっとすっごいお宝見つけちゃった!!」

 

そう言いながらアッコが取り出したのは、1つの杖であり・・・・・・シャイニィシャリオが使っていた杖、「シャイニィロッド」だったのだ。

 

「シャリオのシャイニィロッド!!」

「「「・・・・・・はぁ!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、迷宮の入り口前ではそれぞれお宝を発見した生徒達が帰還しており、互いに何を見つけたかお宝を見せ合ったりなどしているところだった。

 

そんな時、迷宮から出ようとキングマイラが出現。

 

「グルアアアアア!!!!?」

「わあああ!? なになに!? なんなの!?」

「た、大変!」

 

生徒達はキングマイラの出現に驚き、それを見たアーシュラは急いで入り口を塞ごうと緊急用のスイッチを押し、巨大なモンスターが出れないように巨大な鉄格子が入り口を塞ぐ。

 

「今よ!! やっちゃえ!!」

 

それによってキングマイラは身動きを封じられるのだが、それを見た生徒達はチャンスだとばかりに魔法の光弾をキングマイラに撃ち込んで行く。

 

「あぁ!? ダメダメやめなさーい!!」

 

しかし、アーシュラが止めるには一歩遅く、多くの生徒達の魔法を吸収したキングマイラはさらに巨大化し、鉄格子を破壊して迷宮から出てきたのだ。

 

「グアアアアアア!!!!!」

「あー、やっちゃった・・・・・・。 ただでさえ90分ごとに巨大化するのに・・・・・・!!」

 

アーシュラは杖を取り出して魔法で作ったメガホンを使い、生徒達に呼びかける。

 

「緊急避難!! 全員建物の外に逃げなさーい!!」

 

そこに丁度ダイアナも駆けつけるのだが・・・・・・ダイアナはキングマイラがさらに巨大化し、「第3形態」になっていることに驚愕する。

 

「ダイアナ!!」

「先生!」

 

アーシュラに呼ばれ、ダイアナが彼女の元へと降り立つ。

 

「えらいことになったわ・・・・・・! 古の時代に、3人の光の巨人が封印していた最強の『ソーキン・モンスター』が目覚めてしまったわ・・・・・・。 兎に角、私はアイツをなんとか足止めするから、あなたは生徒達を誘導して!」

「あ、あの実は・・・・・・」

 

ダイアナはキングマイラの封印を自分が解いてしまったことをアーシュラに言おうとするのだが・・・・・・。

 

「全く! どこの誰が封印を解いたのかしら?」

 

するとそこへ・・・・・・。

 

「わあ~!! 止まれ止まれ止まれぇ~!!」

 

アッコがガラクタ置場から拾ってきた箒で地面を引きずられるように飛んで来たのだ。

 

「もう、だから乗せてあげるって言ったのに」

 

さらにそこへ、少し遅れて同じようにガラクタ置場で拾った箒を使い、飛んで来たジュリ達が駆けつけてきた。

 

「うぅ~、ガラクタ置場のポンコツじゃなきゃ・・・・・・。 はっ!! 先生!! すっごいお宝ゲットしたよ!!」

 

アッコがアーシュラの存在に気付くと、彼女は即座に立ち上がり、アーシュラに見せつけるようにシャイニィロッドを取り出したのだ。

 

「シャイニィロッド!! シャイニィシャリオ愛用の魔法の杖!! 最高得点間違いないでしょ!!?」

「いっ、今はそれどころじゃ・・・・・・! はっ!?」

 

その時、アーシュラはアッコが突きつけてきたシャイニィロッドに埋め込まれた7つの宝石が光っていることに気付き、それに驚きの表情を見せる。

 

(7つ星が・・・・・・。 二度と輝きを取り戻すことはないと思っていたのに・・・・・・!)

「グルアアアアア!!!!」

「あっ、忘れてた!?」

 

そこでアーシュラがキングマイラが暴れていることに気付き、そんなアーシュラにジュリは「よくあんなの忘れられるな!?」と心の中でツッコミを入れる。

 

「よしアッコ! あなたにお願いするわ! その杖を持って『魔導石』のあるところに行って欲しいの!」

「まどうせき・・・・・・?」

 

なんでも、アーシュラが言うにはキングマイラは魔力を食べて成長している為、キングマイラは魔力の源である魔導石を狙うのは間違いないだろうとのことで、アーシュラは自分が足止めをしているのでアッコ達はそこに先回りするように頼む。

 

「ダイアナ、あなたも来なさい」

「は、はい!」

「じゃあ、頼んだわよ!!」

 

アーシュラはそう言うとダイアナと共に箒に跨がってキングマイラに向かって行き、アッコはロッテに「魔導石ってどこにあるの?」と尋ねる。

 

「この塔のてっぺんよ?」

「さてはアッコ、授業ちゃんと聞いてなかったな?」

「そりゃアッコだし」

 

ジュリとスーシィは少し呆れた視線をアッコに向けるが、アッコは「と、兎に角!! 今のあたしにはシャリオがついてる!! 怖いものなんかないわ!!」と言ってガラクタ置場の箒に跨がる。

 

「いざ、しゅっぱああああつ!!?」

 

しかし、やはり箒・・・・・・それもアッコのは特にガラクタな物とあっては上手く飛ぶことなど出来ず、相変わらず箒に振り回されるようにして飛ぶしかないのだった。

 

「・・・・・・取りあえず、魔導石の方はそっちに任せた!」

「えっ!? ジュリはどうするの!?」

「アーシュラ先生達を手伝ってくるから!!」

 

そう言うとジュリは箒に乗ってアーシュラ達を手伝う為に飛行し、彼女達の元へと向かう。

 

一方でキングマイラは拳で壁を破壊し、外に出ようとしていた。

 

「まずい!! 外に出る!! あなたは生徒の誘導を!!」

「はい!!」

 

アーシュラはダイアナに指示し、彼女は言われた通り、他の生徒達の避難誘導を行う。

 

またアーシュラは杖に光を灯してキングマイラの周囲を飛び回り、気を引こうとし、キングマイラはそんな彼女を鬱陶しそうに睨み付け、アーシュラを握りつぶそうと手を伸ばすのだが・・・・・・彼女はなんとかそれを回避。

 

「グルアアアアア!!!!」

「先生!! 私も手伝いに来ました!!」

 

そこへジュリも駆けつけるのだが・・・・・・彼女の存在に気付いたキングマイラは素早く手を振るい・・・・・・蚊でも払うようにぺちっとジュリを軽く吹き飛ばしたのだった。

 

「あじゃば!?」

「ジュリーーーーー!!!!?」

「ガアアアア!!!!」

 

ジュリが叩き落とされたことに動揺した隙を突き、キングマイラはアーシュラに向かって口から炎を吐き出す。

 

「しまっ!?」

 

しかし、その炎はキングマイラの目の前に現れた光の柱によって防がれ、その光の中から飛び出した赤い拳が・・・・・・キングマイラの顔面を殴りつけたのだ。

 

「グガァ!!?」

「あれは・・・・・・」

 

そして光の中から現れたのは・・・・・・キングマイラに叩き飛ばされるギリギリのところで、ジャストランサーを胸に押し当て・・・・・・「ウルトラマンジャスティス スタンダードモード」に変身していたジュリであった。

 

『シェア!!』

「光の・・・・・・巨人!?」

 

ジャスティスはキングマイラに掴みかかると巴投げを繰り出し、キングマイラを投げ飛ばす。

 

「グルアアアア!!!!?」

 

それによってキングマイラは背中を地面に激突させるが、キングマイラはすぐさま立ち上がり、ジャスティスに反撃しようとする。

 

しかし、ジャスティスは高速移動能力を使い、一気にキングマイラに向かって接近するとその勢いのままキングマイラにタックルを繰り出し、吹き飛ばす。

 

「グルウウウウゥ!! ガアアアア!!!!」

 

キングマイラはジャスティスに向かって駈け出し、ジャスティスも向かって来るキングマイラに対して拳を突き出し、殴りかかるが・・・・・・キングマイラは身を捻るようにして躱し、背後に回り込んでジャスティスを羽交い締めにする。

 

『ウグアア!!?』

「グルルゥ!! キシャアアアア!!!!」

 

そのままキングマイラはジャスティスを突き放すと同時に口から炎を放ち、ジャスティスの背中に直撃させる。

 

『グウウウウウ!!!!?』

 

それによって膝を突くジャスティス。

 

そんなジャスティスにキングマイラは容赦なく蹴りを叩き込んで空中にジャスティスを蹴り飛ばし、吹き飛んだジャスティスに向かって翼をはためかせて素早く飛行し、両拳を握りしめて振りかざし、空中に打ち上げられたジャスティスを地上に叩き落とす。

 

『ゼアアアアア!!!!?』

「グアアアアアア!!!!」

 

さらにキングマイラは地面に倒れ込んだジャスティスを踏みつけようと急降下キックを放つのだが・・・・・・、ジャスティスは身体を転がすことでそれをなんとか回避し、立ち上がると同時に右拳から放つ、敵の虚を突く攻撃光弾「ジャスティススマッシュ」を放つ。

 

『ハアア、シェア!!』

「グウウウ!!?」

 

それをキングマイラは両腕を交差して防ぐが・・・・・・ガードを解いた直後、続けざまにジャスティスが跳び蹴りが放たれ、キングマイラの顔面に叩きこまれる。

 

「ガアア!!?」

『ハアアア!!』

 

さらにジャスティスは拳を何発もキングマイラの顔面に叩き込んで行くのだが・・・・・・。

 

「キシャアア!!」

 

突如、キングマイラの両肩から鋭い牙のある口のついた触手のようなものが飛び出し、それらがジャスティスの身体を噛みつかせることで拘束。

 

『ムッ・・・・・・!?』

 

そして触手の口から炎を吐き出し、ジャスティスの全身を炎が包む。

 

『デヤアアアア!!!!!?』

 

それにより、身体中から火花をあげ・・・・・・倒れそうになるジャスティス。

 

しかし、倒れそうになったジャスティスの首をキングマイラは掴みあげ、弱ったジャスティスにトドメを刺そうと口から炎を吐き出そうとする。

 

「まずい!!」

 

それを見たアーシュラは杖に光を灯してキングマイラの周囲を飛び回り、キングマイラの注意を引きつける。

 

「グゥゥ!!」

(今だ・・・・・・!!)

 

キングマイラの注意がアーシュラに行った瞬間をジャスティスは見逃さず、足を振り上げてキングマイラの胸部を蹴りつけ、それによってキングマイラは思わずジャスティスから手を離し、即座にジャスティスはキングマイラから離れて距離を取る。

 

『ウゥ・・・・・・』

 

ジャスティスは自分の首を押さえながら膝を突き、それと同時に自身の胸のカラータイマーが点滅を始める。

 

『力が・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

一方、塔の天辺を目指して箒で向かっていたアッコ達はというと・・・・・・。

 

「もー! 自分で行けるのに!!」

「アッコに任せていたらいつ着けるか分からないでしょ!?」

 

アッコはロッテの箒の後ろに乗せて貰っており、塔の中くらいの高さまで来るとそのまま一気に魔導石のあるところを目指し、飛行する。

 

しかし、それにキングマイラが気付き、キングマイラは魔導石を奪うことを優先し、ジャスティスを放って翼を羽ばたかせてアッコ達を追いかけ始める。

 

『待て・・・・・・!!』

 

ジャスティスはキングマイラを追いかけようとするが、残りエネルギーの少なさ、キングマイラによる攻撃の身体的ダメージにより、上手く動くことができず、その場に倒れ込んでしまう。

 

『ウゥ・・・・・・!』

「私がなんとかしないと!!」

 

アーシュラは再びキングマイラの周囲を飛び回って注意を引こうとするのだが、キングマイラはそんなアーシュラを翼を大きくはためかせて突風を起こし、それによってアーシュラは大きく吹き飛ばされてしまうのだった。

 

「ひゃあああ~!!?」

 

アーシュラはなんとか身体を起こしたジャスティスに両手で受け止められ、助かったのだが・・・・・・彼女は目を回し、気を失ってしまっていた。

 

「うぅ・・・・・・」

『なんとか・・・・・・しないと!!』

 

ジャスティスはアーシュラを地上に降ろし、なんとかキングマイラを追いかけようとフラつきながらも立ち上がろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、アッコ達を追いかけていたキングマイラは・・・・・・。

 

「アッコ!! 来てるよ!」

 

スーシィがアッコとロッテにキングマイラが追いかけて来ていることを伝え、キングマイラはアッコ達に拳を振るうのだが、3人はなんとか躱す。

 

「わああ~!!? ロッテ急いで!!」

「足止めしてみる!!」

 

そこでスーシィが自分が足止めすると言いだし、キングマイラに向かって行く。

 

「スーシィ!!」

 

スーシィはすれ違いざまにキングマイラに毒の入った瓶を投げつけるのだが・・・・・・。

 

「どうだ!?」

 

キングマイラは毒すら自身の力として吸収し、ほんの少しだがまた巨大化してしまい、スーシィに向かって炎をキングマイラは放つ。

 

「やば・・・・・・!」

『デヤアアア!!!!!』

 

だが、そこへ身体を強引に動かし、駆けつけたジャスティスが身体を張ってスーシィを守り、彼女の代わりに炎を全身に浴びてしまう。

 

「ウルトラマン・・・・・・!!」

「ガアアアアア!!!!」

 

それを見たキングマイラは「またお前か!!」とでも言うように雄叫びをあげ、触手でジャスティスの身体を拘束し、身動きを封じてジャスティスの腹部に強烈な拳を叩き込み、さらに両拳を大きく挙げて振りかざし、ジャスティスの頭部を殴りつけて地上に叩き落とす。

 

『デヤアアアア!!!!?』

「まさか毒まで吸収するなんて・・・・・・こんなのどうすりゃ良いのよ」

 

魔力だけではなく、毒まで吸収してしまうことに驚きを隠せないスーシィ。

 

また、アッコ達はキングマイラにはウルトラマンでも叶わないのかと驚愕する。

 

そしてキングマイラは再びアッコ達を追いかけ、すぐに追いついて彼女達を捕まえようと手をかざすのだが・・・・・・ロッテは箒を操ってそれを回避・・・・・・。

 

しかし、僅かにキングマイラの手が掠り、軽く吹き飛んでしまうのだが・・・・・・吹き飛ばされた先は丁度塔の天辺の魔導石の設置ある場所の床であった為、2人は事無きを得たのだった。

 

「いっつ~!! はっ、ロッテ!!」

 

アッコはすぐさま床に倒れ込んでいるロッテの元へと駆け寄って無事かどうかを確認すると、ロッテは気を失っているだけで命に別状は無さそうだった。

 

そのことに安心するアッコだが、安心するにはまだ早く、そこでキングマイラが魔導石を奪おうと手を伸ばして来ていた。

 

「はっ!! ヤバッ!!」

 

しかし、建物の柱が邪魔で手がつっかえてしまい、ならばと思いキングマイラは触手で魔導石を奪おうとする。

 

だが、そんな時・・・・・・突然シャイニィロッドに埋め込まれた宝石が輝き始め、それに反応するかのように魔導石も緑色の眩い光を放つ。

 

「グウゥ・・・・・・!?」

「魔導石に反応してる!!?」

 

その光により、突然の眩しさにキングマイラは怯み、その間に魔導石から緑色の魔力エネルギーがシャイニィロッド目がけて放たれ、シャイニィロッドは魔導石の魔力を吸収する。

 

「ま、魔力が流れ込んで来る!!?」

「アッコ!!」

「先生!!」

 

そこへ、箒に乗った目を覚ましたアーシュラがその場に駆けつけ、アッコに「杖を渡して!!」と手を差しのばすのだが、魔力がかなりの勢いでロッドに流れ込んで気を抜けば吹き飛ばされてしまいそうな為、渡そうにもアッコは渡すことができなかったのだ。

 

「あっ、危ない!!」

「えっ? きゃああ!!?」

 

その時、キングマイラの触手がアーシュラを弾き飛ばし、さらには眩しさを堪えながらキングマイラは力いっぱいに柱を殴りつけて破壊。

 

「ひゃああ!!?」

 

その衝撃でアッコは吹き飛ばされ、キングマイラは右手で魔導石を掴み取ろうとする。

 

「ダメ!!」

 

しかし、咄嗟にアッコがロッドをかざすとそこから魔力による光線が放たれ、魔導石に直撃して床の上に落とし、キングマイラの右手は空を切る。

 

「・・・・・・あたしにも使える? だったら!!」

 

そしてアッコは自分にもロッドが使えることが分かり、ならばと思って魔導石の元へと駆け出すと、それを抱えて彼女は塔の上から飛び降りたのだ。

 

「杖よ!! 箒になれ!!」

 

アッコはそう言いながらロッドが箒に変わるように念じるのだが・・・・・・ロッドは全くと言って良いほどなにも変化はせず。

 

「嘘!? なんで変わんないの!?」

 

そんな時、キングマイラが突然テレポートしたかのようにアッコの目の前に現れ、それに驚きの表情を見せるアッコ。

 

「えっ!? 瞬間移動!? しかもなんかさっきよりも大きくなってない!?」

 

アッコの言う通り、キングマイラは90分が経過したが為にさらに巨大化しており、その身長はジャスティスの3倍ほどの大きさで新たにキングマイラはテレポート能力を手に入れ、その力を使ってアッコの目の前に出現。

 

魔導石を奪おうと2本の触手を伸ばす。

 

「うっ、うわあ~!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アッコ・・・・・・!!』

 

一方、その光景を見ていたジャスティスはボロボロの身体を引きずりながらもなんとか立ち上がり、アッコを助けに行こうとする。

 

『ぐぅ!?』

 

しかし、身体に激痛が走り、ジャスティスは倒れそうになる。

 

『動け・・・・・・!! 動け・・・・・・!! ここで動かないで、ここで友達1人守れなくて・・・・・・!! なにが正義の味方だあああああああ!!!!!』

 

身体に走る痛みを無理矢理無視し、ジャスティスはキングマイラに向かって飛び立つ。

 

その時、ジャスティスの身体が眩い光を放ち、ジャスティスの胸部のプロテクターの形状が変わり、色も金色に変化した姿・・・・・・強化形態「クラッシャーモード」へとモードチェンジ。

 

新たな姿となったジャスティスはキングマイラの腕を掴みあげて背負い投げを繰り出し、拳に気をためて放つ光弾「バトレックショット」を連射して放ち、直撃を受けたキングマイラは地面まで叩き落とされる。

 

そしてジャスティスはアッコを手の平に乗せてキャッチし、すぐさま彼女を地上に降ろそうとする。

 

だがその際、まだ不完全な状態であった為か、ジャスティスの姿はクラッシャーからスタンダードモードに戻ってしまうのだった。

 

「あ、ありがとう! また助けられちゃったね、ウルトラマン・・・・・・」

 

アッコの言葉にジャスティスは頷くのだが・・・・・・直後、背後にテレポートしてきたキングマイラが現れ、ジャスティスの背中を殴りつける。

 

「ガアアア!!!」

『グオオッ!!?』

 

ジャスティスはそのまま地面にまで落下してしまうが、アッコを守る為に身体を捻ってジャスティスは背中から地面に激突してしまう。

 

『グウゥ・・・・・・!!?』

 

ジャスティスはなんとかアッコを地上に降ろしつつ、同じく地上に降り立ったキングマイラに向かって立ち上がって駆け出す。

 

それに対し、キングマイラは両肩の触手の口2つと本体の口から合計3つの炎を吐き出し、それらの炎を弱っているジャスティスは避けきれず、身体に直撃し、火花を散らしながらジャスティスは吹き飛ばされる。

 

さらに、キングマイラはジャスティスが吹き飛ばされた先にテレポートし、飛んで来たジャスティスの背中にその巨大な拳を叩き込む。

 

『ヌオオオ!!?』

「ウルトラマン!! どうしよう、ウルトラマンでも勝てないなんて・・・・・・」

 

ジャスティスでも、キングマイラに勝つことができないことに絶望するアッコ。

 

だが、そんな時・・・・・・。

 

『忘れないで・・・・・・』

 

彼女はシャイニィシャリオの言葉を思い出した。

 

『信じる心が、あなたの魔法よ』

「・・・・・・あたしを信じる心。 マクミル、ミクミル、メクトラル!!」

 

アッコが呪文を唱え終えると、彼女はロッドを掲げ挙げる。

 

「出でよ!! 光の弓よ!!」

 

するとロッドは変形し、弓矢の形となってキングマイラに向かって構える。

 

またそれに気付いたジャスティスはなんとか立ち上がってキングマイラの背後に回り込み、ジャンプして背中にしがみつくように掴みかかりどうにか動きを封じようとする。

 

それをキングマイラはどうにか振り払おうとするのだが、ジャスティスは意地でもキングマイラを離さず、ならばと思いキングマイラはジャスティスから逃れる為にテレポートを発動しようとする。

 

『やっぱ、テレポート使うか!!』

 

ジャスティスはどうにかしてキングマイラの動きを封じられないかと考えたその時、キングマイラの頭に巨大な岩が激突し、テレポートに失敗してしまう。

 

その時、赤い髪の女性が、杖を構えていたのだが・・・・・・そのことには誰も気付いておらず、ジャスティスは「今だ!!」とでも言うようにアッコに対して頷く。

 

「シャイニィイイイ!! アルクゥ!!!!」

 

そしてアッコは光の矢、「シャイニィアルク」をキングマイラに向かって発射し、胸部に直撃を受けたキングマイラは突然苦しみ出す。

 

「グウウウ!!? グルアアアアアア!!!!?」

 

どうやらシャイニィロッドによる魔法はキングマイラが吸収できない唯一のものらしく、シャイニィアルクを受けたキングマイラは苦しみだし、徐々に身体が膨れあがる。

 

それにすぐさまジャスティスが離れるとキングマイラはどんどん身体が肥大化し、やがて耐えきれず花火のようになって破裂したのだった。

 

「ガアアアアア!!!!?」

「や、やった・・・・・・!!」

 

ジャスティスはアッコは見下ろし、彼女に対してサムズアップをして見せた。

 

「えへへ、イエイ!!」

 

それに対してアッコも答えるサムズアップし、その後、ジャスティスは空中へと飛び去って行くのだった。

 

「アッコ!!」

 

そこへ箒に乗ったダイアナが現れる。

 

「どうやら無事だったようですわね」

「うん、ウルトラマンが助けてくれたからね!」

「ウルトラマン? あの巨人のことですか?」

 

ダイアナが首を傾げながら尋ねるとアッコは「そうだよ!!」と頷く。

 

「あっ、魔導石が!」

 

その時、キングマイラが今まで吸収していた魔力が全て魔導石に集約されており、ダイアナ曰くキングマイラから解き放たれた魔力が魔導石に集まっているとのことだった。

 

「ところで、あなたどうしてシャイニィアルクの使い方をご存じでしたの?」

「どうしてって・・・・・・あの時、シャリオの声がして・・・・・・。 んっ? ダイアナ、シャイニィアルクのこと知ってるの?」

 

アッコにそう指摘され、ダイアナは「えっ!?」と顔を赤くする。

 

「そ、それは・・・・・・たまたま! たまたまどこかで聞いただけです!!」

「えー、なんか怪しい? 本当はシャリオのファンだったりして!!」

「そんなことありません!!」

「じゃあなんで赤くなってんのさ!」

「なってません!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ジュリ達の自室にて・・・・・・。

 

「もぉ~、ジュリってば正義の味方目指すのは良いけどあんまり無茶しないでよ?」

 

キングマイラとの戦闘でジュリは身体の殆どを包帯で巻いた状態でベッドに寝ており、アッコに注意されて「ごめ~ん」と両手を合わせて謝罪する。

 

「まっ、アッコも割と無茶してた気もするけどね」

 

と言うスーシィに対し、ロッテも苦笑しながら「確かにね・・・・・・」と同意する。

 

「それにしてもさぁ、やっぱりウルトラマンってシャリオとはまた違ったカッコ良さがあるよね~! あのウルトラマン、ボロボロなのに何度もあたし達のピンチを救ってくれてさ・・・・・・」

「そうだね、凄く頑張ってたよね、あんなにボロボロにされても何度も私達を助けてくれた」

 

アッコの言葉にロッテも頷き、そんな時、ジュリは何かを思ったのか、「あの・・・・・・」と手を挙げる。

 

「どうしたの?」

「あのさ、ウルトラマンって、一応絵本だけでもいっぱいいて、元祖の人以外は1人1人に名前があるじゃん? だからさ、あのウルトラマンにも名前とかつけない? ウルトラマンなんとかみたいな」

 

そんなジュリの提案に対し、アッコは「良いね!」と彼女の意見に賛同する。

 

「じゃあ、フォーガス、マシュラって名前はどう?」

「なにそのキノコみたいな名前! しかもなんかどっちかって言うと敵にいそう! 却下!!」

 

早速スーシィが意見を出すのだが、それはアウトということでアッコに却下された。

 

「もっと強そうな名前にしない? ジャイアンとか、マウンテンガリバーとか!!」

「ジャイアンってドラ〇もんかい。 あと、マウンテンガリバーはなんかロボットっぽいし長い」

 

アッコも意見を出したのだが、これもすかさずジュリが却下した。

 

「う~んと、じゃあ・・・・・・ウルトラマンって正義の味方なんだよね? だったら・・・・・・『ジャスティス』って名前はどうかな?」

「そう!! 私もそれは言おうと思ってた!! 私の名字に因んで!!」

 

最後にロッテが意見を出し、それにはジュリも納得。

 

「ジャスティス・・・・・・良いかもね。 じゃあ、あのウルトラマンはこれから『ジャスティス』って呼ぼう!!」

 

アッコ達も特に良い名前が出そうにない為、ロッテの言う「ジャスティス」という名前にあのウルトラマンは決定するのだった。




超変身怪獣キングマイラ(強化体)
ウルトラマンUSA本編のキングマイラとの外見の違いは背中に巨大な翼が生えていること。
リトアカ映画本編に登場したドラゴンと同じ能力を備えている為、魔力や魔法、毒による攻撃を吸収し、成長エネルギーに変える力を持つ。
ただしウルトラマンの光線などは吸収できない模様。
さらにUSA本編動揺、90分経てば巨大化し成長する力も健在である。
ちなみに映画のドラゴンと同じ能力を持っているのは太古の昔にドラゴンを補食したことでその力を自分のものにすることが出来たため。
要はラゴラスエヴォみたいなもん。
唯一の弱点はシャイニィロッドによる攻撃であり、ロッドから放たれた魔法はキングマイラでも吸収できず、身体が膨らんで破裂してしまう上に再生もできない。
要はアントラーとバラージの石の関係みたいなもん。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。