箱に残った希望の一欠けら   作:ノムリ

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始まりの事件

 迷宮都市オラリオ。

 

 そこは世界で唯一”ダンジョン”と呼ばれるモンスターが生まれ、地下へと続く未知に溢れて迷宮があり。

 世界中からのダンジョンに多くの夢を見てやってくる。

 そして、ダンジョンに入り、モンスターを倒し、名誉を、栄光を、冒険をする者たちは――ー冒険者と呼ばれた。

 

 地上に降りてきた神に神の恩恵(ファルナ)を与えられ、英雄譚のように魔法や武器を持って前に進み続ける者たちの物語。

 その中の一つ―――主神パンドラとレン・リィオラの二人っきりから始まった【眷属の物語(ファミリア・ミィス)

 

 

 

@ @ @

 

 ダンジョン52階層から58階層は通称「竜の壺」、現在確認されている中で、唯一、階層を無視して攻撃をしてくるモンスターがいる。名は別名では「砲竜」とも呼ばれ、58階層に居ながら階層つまり床を貫通しての狙撃(ブレス)を放ってくる。これが性質の悪い事に、来る直前まで分からない。

 加えて、52階層にはその深度に伴ったモンスターが存在、それらを倒し、狙撃を回避して前に進まなければなれない。つまり、常に横槍が入り続ける中で戦わなくてはならないのだ。

 これがどれだけのハンデなのか、並みの冒険者ならばそこに足を踏み入れる事を躊躇う事だろう。だが、それだけでけでは終わらない。56から57には働きアリの如く無限に増え出現する飛竜”イル・ワイヴァーン”が居る。姿はその名の通り、ワイヴァーンであり、常に飛行し続けている。

 仮に、”ヴァルガングドラゴン”の狙撃によって開いた穴に落ちようものなら、”イル・ワイヴァーン”と狙撃の元凶たる”ヴァルガングドラゴン”を同時に相手する事となる。

 

 

 そんな58階層を自分の家の庭でも歩くかのように歩く者たちがいた。

 

「こんなもんかな」

 レンはトドメとばかりに、足元のモンスターの魔石を砕き、手に持った剣を腰に下げた鞘にしまう。

「そうでありますな、これだけのドロップアイテムがあれば装備の補充も問題ないであります」

 56階層(ココ)はモンスターも直ぐに湧くし、ドロップアイテムも一杯でるから稼ぎ場だな」

「『深層』で小遣い稼ぎするなんて、うちのファミリアくらいだろうな」

 58階層を住処とするモンスターを一匹残らず消し去り、悠々自適に魔石とドロップアイテム集めに努める男3人と女1人の集団がそこにはいた。

 足元に転がる大量のモンスターの死骸は時間の経過と共に灰と化し、魔石もしくはドロップアイテムである鱗や牙を残して消えていく。

 

 4人の目的このドロップアイテムにあった。オラリオで三竦みの体勢を取っている【ロキ・ファミリア】・【フレイヤ・ファミリア】そして、4人が所属するオラリオで最も異質なファミリアと名高い【パンドラ・ファミリア】は少数精鋭という最前線を走るファミリアには珍しい形態を取っている。

 本来なら、階層を増すごとに強さを増すダンジョンに置いて、集団で戦うのが鉄則でありながら【パンドラ・ファミリア】は文字通り”一騎当千”の実力者のみで形成されたパーティーで遠征を行う。その為には、より良い武器とより良い防具を揃えるのは必須。つまり、4人はここにファミリアで装備の素材として主に使われているヴェルガングドラゴンの鱗と小遣い稼ぎの魔石取りにやってきた。

 

「にしても、やり過ぎじゃない?」

 新緑色を基調として燕尾服に似た服に茶色のブーツに茶色の髪に腰から下げた綺麗な装飾が施されたレイピアを身につけたエルフ。

 

 周りを見渡せば、道端に転がる石ころと同じと思える量のドロップアイテムと魔石が転がり。階層のあちこちは大暴れの傷跡が痛ましく残っていた。

 

「どうせほっとけば元に戻る、問題ねえだろ」  

「ドロップアイテムと魔石を拾って戻るであります。遅くなると、パンドラ様はイジけるであります」

「だな、相手するのも面倒になるし。んじゃ、必要なもの拾って撤収~!」

 両手にガントレットをつけた黒髪に青年が残りの3人に指示を出すと、3人は各自持ってきた大きなバックパックに

ドロップアイテムと魔石を詰め込んでいく。満タンになったバックパックの中身を全て売るだけで地上で三か月は余裕で遊んで暮らせる位には値段が付く事だろう、だが、それだけの額であっても4人からすれば子供が親から貰うお小遣いと大差ない感覚でしかない。

 満タンなったバックパックを背負い4人は地上に向けて歩き始めた。

 

 

@ @ @

 

 その頃、【パンドラ・ファミリア】と並ぶ【ロキ・ファミリア】の先鋭た長い時間をかけて準備に準備を重ねて未到達階層を目指し大規模遠征をする中で新種のモンスターに衝突していた。それもダンジョン50階層。ダンジョンにおいて特別な、モンスターの生まれない安全階層(セーフティポイント)と呼ばれる階層でだ。

 

 

「前衛はリヴェリアの詠唱が終わるまで何としても持ちこたえろ!」

 指示を出すのは少年にしか見えない背丈の男。小人(パルムゥ)でありロキ・ファミリアの団長と務め、『勇者(ブレイバー)』の二つ名を与えられたLv.6──―フィン・ディムナは焦りを押さえ仲間たちに声を掛ける。

 

「サポーターの皆は直ぐに必要な物だけをまとめて撤退準備!今回の遠征はここまでだ、リヴェリア達の魔法で道を切り開く!その隙を逃さず全員引け!」

 

 その言葉にこれからは今回の大規模遠征の本番だと生きこんでいた者たいは苦虫を噛み潰した顔をしながらも受け入れざる終えなかった。迫りくるのは攻撃するだけで爆発を起こし、触れようものなら武器と防具は溶け、それどころか全身に浴びようものなら大火傷を負うことになってしまう。

 

 津波の如く押し寄せる芋虫の集団を食い止めるベート、ティオネ、ティオナ、アイズ。ジリ貧の中で何とか時間を稼いでいるがそれも長くは持たないだろう。いくらレベルの高い一級冒険者であったとしても、武器(エモノ)が無ければ戦うに戦えない。出来る事と言えば、辺りにある岩を砕き、瓦礫をもって押しつぶすか、ダメージを負う事を覚悟しての特攻をするしかない。唯一アイズは魔法を使い自身の保護と不滅属性(デュランダル)のデスペレートによって戦い続ける事が出来ているがそれすら当てにする事は出来ない。

 

「くそ!……このままだとリヴェリアの魔法が撃てるようになるまで時間が稼げない」

 どうすれば!どうすれば!仲間を失わない為に頭を高速で回転させて作戦を考える。その間にもあちこちから仲間の叫び声が聞こえてくる。急げ!と急かし、武器はないのか!とエモノを求める声が飛び交う。

 

「なんで50階層で大騒ぎしてんだ?」

「…レン」

 思考する中で気の抜けた声の聞こえてきた方向にフィンが顔を向けるとそこに立っていたのはレン含む背に満タンになったバックパックを背負った4人の一級冒険者たちだった。

 

「レン!突然だが、頼みがある!」

 フィンはすぐさま大声で呼んだ、きっとこの状況を打破する事が可能な彼らを。

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