D.C. 〔3〕    作:消雪

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時間の余裕がなく、未完で終わらせる事にしました。
初めて書いた小説とは程遠く、改変し過ぎて処女作とは全く別物となりました。

本来だと、主人公は絶望のあまり自殺行為に走るのですが、それだと話が長くなるので、早く切り上げた次第です。

妹ではないですが、恋愛から抜け出せない。これは俺自身が経験した事です。
自傷行為も…

自分が誰かを好きになる様に、相手も誰かを好きになってしまう。
自分にその自由があるなら、相手にもその自由がある。

独りよがりより、幸せになってほしいという気持ちは正しい、はず。

視点を遠くに切り替えると相手は相手。自分は自分。
実際は、自分の方が大切である事も、思い返す必要もあります。
全ては、健康な体があってこその恋愛です。人を助ける事も、自分自身を助ける事も。
ナルシストではないが、苦しい時は自分を大切にしてあげてください。


〔9〕 -終-

~桜公園~

~午後~

 

 

 

今回ばかりはさすがに、余裕は微塵もない。

精神がおかしくなったせいか、自傷的な行為に走りたがっている。

 

いつものベンチには行かず、桜公園の大木にまで来ていた。

このままでは危ない気がする。

 

 

すぐに寝ようとせず、もう一度考えを整理する事にした。

今は、何か一つでも救いか希望か、自分を救いだす方法を見出しておかないと危ない。

 

何度か、深呼吸して目をつむる。

 

何かないだろうか、何でもいい……

自分自身に素直に問いかけてみた。どんな恥ずかしい答えでも、素直に出す事にした。

 

 

ことり……

 

 

ことりと会う事しか思い浮かばない。

しかし、こんな状態で会っても迷惑をかけるだけじゃないのか。

 

せっかく、素直に答えを見つけても、今度は堂々巡りが頭の中で始まってしまう。

考えがまとまらず、衝動的に木を殴りつける。

 

ウロウロしては、また木を殴ったり、蹴ったりしている。

 

……自殺でなくても、腕を少し切るくらいなら。

 

 

 

『………』

 

 

 

何かに支配されたかの様に、その辺にある尖った石を探した。

手ごろで尖った石を拾うと、制服とカッターシャツをめくる。

 

自制心は既に無く、自殺を連想させる様な自傷行為ばかりになる。

後で、転んで怪我をした事にすればいい。

 

 

刃物ではないから、普通にやっても切れない。

振りかぶって、思いっきり突き刺す事にした。

 

 

 

……

 

 

 

『もしもだけど、もしまた悩む事があれば……』

 

『あれば?』

 

 

『一人で悩まず、私を頼ってね』

 

 

 

……

 

 

 

腕を切る直前に、ことりの言葉が再生されてすんでの所で思いとどまった。

自制心が戻ると、すぐに石をその辺に投げ捨てて、寝転んだ。

 

 

今のは、今のは危なかった……

夜眠れなくなってもいいから、今は寝ていよう。

 

今の状態で、思考させてはダメだ……

とにかく、眠ってしまえばいい。

 

 

 

……

 

 

 

『朝倉君、起きて下さい』

 

『……、ことり』

 

 

 

ようやく、眠ろうとしていた所に、ことりの声で起きた。

理由は分からないが、なぜか怒っている。

 

 

空を見る限り、時間の変化はあまりない様だ。

授業の終わりは、いつも夕方になっているので、天候を見る限りまだまだ夕方になりそうにない。

 

……まさか、授業をサボって探しにきたのか。

 

 

 

『持ち物を確認させて下さい』

 

『持ち物?携帯と財布だけだよ』

 

『いいから』

 

『じゃあ……』

 

 

 

ポケットを裏返してとまで言うので、かなり念入りに調べられた。

全て調べ終えると、安堵した様子を見せた。

 

 

 

『もう、本気で心配したんですよ』

 

『ごめん。でもなんで……』

 

『いえ。音夢さんの思い過ごしだったなら、別にいいんです』

 

『……鋭いな。思い過ごしではなく当たっていると思う』

 

 

『それは、どういう意味ですか?』

 

『その辺に、さっきまで持っていた尖った石がある。直前で思いとどまっただけだ』

 

 

 

ことりが手で口を押さえながら、投げ捨てた石を探した。

すぐに、さっきまで握っていた尖った石が見つかる。

 

後ろから見ると、ため息ばかりしている様に見える。深呼吸でもしてるのか。

刃物ではないとはいえ、ショックだったかも知れない。

 

 

 

『どうして、こんな事を……』

 

『ご、ごめんなさい』

 

 

 

……本気で泣いている。

ど、ど、どうしよう。

 

後ろから見る分には、深呼吸だと思っていたのに。

黙っている訳にもいかず、言葉を繋げる事にした。

 

 

 

『言い訳しようがないが、判断が効かなくなったんだ』

 

『……言い訳してるし。ちょっとそこで正座して下さい』

 

『正座?』

 

『正座して!!』

 

 

『はい。こんな感じ?』

 

『ずっとそうしていて下さい』

 

 

 

……

 

 

 

話す事もしないまま、ずっと正座をさせられっぱなしで、足の感覚は既に限界まで麻痺していた。

ことりはメールをしたり、本を読んだりしている。

 

こちらから話しかけても無視を決め込み、何も返そうとしてくれない。

夕暮れにはなっているので、授業は終わったようだ。

 

 

 

『もう限界』

 

『痛いなら生きている証拠です』

 

『痛いんじゃなくて、麻痺しているから』

 

『………』

 

 

 

また、さっきまで読んでいた本に目を戻す。

これでは、終わりそうにない……

 

これだけ足が痺れたら、一人で帰れるか不安になる。

一人で喋る事になるが、話を続ける事にした。

 

 

 

『……切るのを思いとどまったのは、前に話してくれたことりの言葉なんだ。』

 

『………』

 

『一人で悩まず私を頼って、という言葉で我に返ったんだ。これからは頼るから』

 

『……もういいです』

 

 

 

ようやく、正座を許してもらえたが、血の循環に強烈な足の痺れ。

……しばらく、立てそうにない。

 

 

 

『私に相談してくれたら怒らなかったのに……』

 

『そうだけど、色々考えてしまうんだ。こんな状態では会っても、つまらない思いをさせるだけだって』

 

『細かすぎます!友達なんだから、そんな小さい事を気にする必要ないです』

 

『……気を付けるよ。今度から素直に頼るから』

 

 

『それでいいの。もう立てそう?』

 

『何とか回復してきた感じ』

 

『次、こんな事をやったら一日中正座をやらせるから』

 

『ことりって怒ったら怖いな』

 

 

『大切な人だから、怒る時は本気で怒ります』

 

『……ありがと。何だか嬉しい』

 

 

 

桜公園のいつものベンチに戻ると、薄暗くなり夜になりかけていた。

俺自身、精神状態はかなり回復していたので、今は思考もまともに働いている。

 

帰っている間に暗くなるし、ことりを家まで送る事にした。

 

 

 

『家まで送るよ』

 

『大丈夫ですよ。それより、家に帰ったら早く休んでください』

 

『もう大丈夫。大切な人だから、家まで送りたい』

 

『……じゃあお願い』

 

 

 

……

 

 

 

家まで距離があるのだろうか。

結構、歩いている気がするが、中々着かない。

 

しかし、人一人だと、本当にモロいものだと痛感した。

友達を作っておくというのは、自分を救ってくれる事の方が意味としては大きい。

 

 

楽しいという価値だけで友達を作ると、深みのある人物と交流する機会を失うかも知れない。

それを知るには、やはりその人と付き合ってからでないと分からない。

 

事実、最初の俺は、アイドルとしか見てなかった。

後から知ったが、これだけ自分の事を見てくれているなんて思いもしなかった。

 

 

ことりと友達になって、本当に良かった。

自分も負けない様に、この恩は返していかないと……

 

人はこういう助け合いがあってこその人生だと思う。

 

 

 

『ことりに助けられっぱなしだな。今日は本当にありがとう』

 

『大した事してないですよ。私もともちゃんとみっくんに助けてもらっているし。だから、人を助ける大事さが分かるんですよ。それと……』

 

『何?』

 

『やっぱり大切な人だから』

 

 

『ありがと。その考えは泣ける……』

 

『じゃあ、盛大に泣いてみてください』

 

『また極端な……』

 

『冗談ですって』

 

 

『でも俺の中では、ことりの好感度が全快だから、いつ告白されても付き合うと返事するよ』

 

『……何を言っているんだか』

 

 

 

自分の心は既に晴れていて、暗黒面に落ちた自分は既に居なくなっていた。

どういう人間と付き合うかで、人生をどう過ごすかの大半が決まる様な気がした。

 

音夢に恋してから、ずっと思い悩んできた。

 

……思い悩む時間が無かったら、こんな考えもしなかった。

過酷ではあったが、思い悩んだ時間が無駄にならないようだ。

 

 

これからは自分にとって、最上の価値を守りながら生きていくのだから。

優しいだけでなく、情熱をもって生きていこう。

 

 




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