【忘れ去られた艦娘の過去】   作:艦本式

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※注意※
この作品は一話完結ものです。
暗い要素が七割ほど含まれております。
そしてこの話は艦娘になる前を勝手に想像して書きました。
それに、独自思考九割なので、そこはご了承下さい。
決して艦娘を侮辱するつもりはありませんので、ご理解とご了承お願いします。
それでもよろしいという方だけ見て行って下さい。



第一話 (陽炎型駆逐艦一番艦 陽炎)

 

あたしは陽炎よ。

 

今は第十四駆逐隊の嚮導艦を務めてる。

 

まぁ、正直言って、あたしなんかに嚮導艦なんて務まると思って無いし、実際に務まって無いだろう。

 

だけど、いつの間にか鎮守府を代表する駆逐隊にまで成長出来た。

 

 

 

何故だろうか?

 

 

多分、仲間のおかげだ。あたしの力では無い。

 

確かに、駆逐艦としての性能なら第十四駆逐隊の中で一番優れているとは思う。

 

 

しかし、問題はそこでは無い。

 

 

 

 

本人の気持ちなのだ

ちなみに、あたしは不知火にすら言った事の無い秘密を隠している。

 

きっと、それがあたしの心に歯止めを掛けているから、本気で戦えないのだろう。

 

 

 

 

少々長くなってしまうが、話は艦娘になる前に遡る。

 

 

 

あたしは陽炎という名前になって、初めて名前で呼んでもらった気がする。

 

 

 

艦娘になる前の名前?

 

 

 

 

………忘れたわ。

 

 

いや、忘れたかったのかもしれない。

 

 

だから、前に不知火に話した名前は嘘よ。

 

適当に思い付いた名前を教えただけなの。

 

まぁ、それは別にどうでも良いんだけどね。

 

そう言えば、あたしにも改二の話が来てたわ。本人の意思次第って書類には書いてあったけど、あたしはいつでも良いのよね。

 

実際、改二になって深海棲艦共と戦って沈むなら本望よ。

 

 

 

 

…話が逸れたわね。

 

話を戻すと、艦娘になる前は陽炎って字とは正反対の性格だったわ。

 

家のせいってのもあるけど、多分元からだった気がする。

 

あの忌々しい顔は思い出しただけで気分が悪くなる。

 

それぐらい親の事が嫌いだった。

 

 

多分、親もあたしの事なんてどうでも良かったのだろうけど。

 

俗に言う育児放棄ってやつだ。

 

学校なんて小学校までしか行ったことないわよ。

 

世話をしてもらえず、自分でなんとかしろとか言ってたわ。

 

なんなら、あたしが家でお世話してたようなものね。

 

 

だけどある日、そんな生活から逃げるために家を飛び出した。

 

 

最初は良かった。忌々しい親の顔を見なくて済むからだ。

 

 

しかし、世の中はそんなに甘くは無い。

 

子供一人で生きていける訳が無いのだ。

 

食う物に困り、路頭をさまよってると、辿り着いたのが艦娘適性試験受験者募集の貼り紙だった。

 

もし、合格すれば衣食住には困らないし、給料だって出る。

 

もちろん、最初から受かるとは思って無かったし、落ちたら腹を括って死のうとまで考えてた。

 

 

 

 

 

だけど、神様って本当に居るのね。

 

 

 

 

 

あたしは奇跡的に合格した。

 

そして、ようやく苦しかった生活から逃れる事が出来たのだ。

 

 

あの時の生活に比べたら、ぶっちゃけ言えば、神通さんの訓練なんて苦でも無い。

 

それほど大変で、身体共に傷付けられてたのだ。

 

 

 

 

…時々思う。

 

何故あたし達艦娘は、こんな価値の無い人間共を守ってやらないといけないのか?

 

実際、答えは簡単で、人間を助けるのに優先順位など無いからだ。

 

 

 

しかし、そんな奴のためにあたし達は日々、命を擦り減らしながら戦っている。

 

結局は艦娘になってもやる事は、大して変わらなかったのだ。

 

 

 

 

 

こんな世界なら滅んでしまえば良いのに。

 

今日もそんな事を考えながら、海上交通路(シーレーン)に居座り続ける深海棲艦共を片っ端から沈めていく。

 

確かに仲間は大切だ。

 

第十四駆逐隊の仲間が沈んだらもちろん悲しむ。

 

それだけは変わらないし、変わってはいけないと思ってる。

 

艦娘になって初めて仲間を持ったからそれだけ大事だ。

 

 

 

 

 

もちろん、不知火も大事よ?

 

だからあの娘達の前では、決して暗い顔を見せないようにしている。

 

心配させたくないし、無駄な心配もしたくない。

 

だからあの娘達から離れる気は無いわ。

 

 

 

 

なんか親みたいな事言ってるわね。

 

あたしなんて、まともに育てられても無いくせに。

 

…とりあえず、あたしは大事な第十四駆逐隊を守っていくつもりよ。

 

 

 

 

 

…それは、あたしが沈んで深海棲艦になったとしてもだ。




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