【忘れ去られた艦娘の過去】   作:艦本式

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※注意※
この作品は一話完結ものです。
暗い要素が七割ほど含まれております。
そしてこの話は艦娘になる前を勝手に想像して書きました。
それに、独自思考九割なので、そこはご了承下さい。
決して艦娘を侮辱するつもりはありませんので、ご理解とご了承お願いします。
それでもよろしいという方だけ見て行って下さい。


第二話 (睦月型駆逐艦五番艦 皐月)

ボクの名前は皐月さ

 

 

 

 

 

突然だけど、女の子がボクって言うのはおかしいかい?

 

 

まぁ、何言われても治す気は無いんだけどね

 

今は第十四駆逐隊に所属してるんだ。陽炎達と一緒だよ

 

その前には舞鶴鎮守府に居たんだ

 

文月や水無月と長月と一緒だったんだけど、正直言うと今のほうが楽しいかな

 

 

やっぱり艦娘になって正解だったと思ってる

 

 

 

 

 

艦娘になる前?

 

あははっ、面白い事聞くんだね

 

そんなに知りたいのかい?

 

 

 

 

…良いよ、教えてあげる

 

ただし、怖くて逃げ出したりしないでよ?

 

 

これは、ボクがまだ普通の女の子だった時の話だね

 

 

 

実は双子だったんだ

 

だけどね、ボクの髪色は日本人離れした、黄色に近い金髪だった

 

でも、ボクの双子のお姉ちゃんは普通の髪色だった

 

 

そこで親はボクの事を切り捨てたんだろうね

 

ただの衣装を着せる人形にしか思われてなかったんだと思う

 

 

学校にも通わせて貰えず、通わせて貰えたのはお姉ちゃんだけだった

 

ボクの家は裕福だったから、死ぬ事は無かったし、親は一応世話をしてくれた

 

だけど、ボクは世間では居ない存在になってる

 

いわゆる出生届を出してないのだ

 

 

 

 

 

どういう事かって?

 

簡単だよ、生まれたのはお姉ちゃんだけになってるのさ

 

ボクは存在してない

 

感覚としては幽霊みたいだね

 

家の外には出して貰えず、産まれてから一度も外に出た記憶が無いよ

 

ひたすら家で、親に無理矢理いろんな衣装を着せられ続けた

 

日本人離れした髪色だったからだね

 

 

 

だからボクは自分の髪が大っ嫌いだった

 

何度も何度も自分で髪を切ったけど、すぐに伸びてきた

 

親曰く、髪の成長が人より早いらしいのだ

 

 

 

そしてある日、事件の引き金となる出来事が起きた

 

 

お姉ちゃんが艦娘適性試験を受ける事になったのだ

 

なんでも、家の威厳の為だとか

 

 

 

 

馬鹿馬鹿しい

 

その時は艦娘とか言葉でしか聞いた事無かった

 

艦娘適性試験を受けると決めたお姉ちゃんは真っ先にボクに報告した

 

ボクは正直言ってどうでも良かったのだが、ボクに唯一優しく接してくれる相手だったので、嫌いでは無かった

 

でも、艦娘の話を聞かされる内にある考えが浮かび始めた

 

 

 

 

『ボクも艦娘ってのになってみたいなぁ…』

 

 

 

 

 

だけど、両親は許してくれるはずも無いし、受かる保証も無かった

 

この考えは、我ながら恐ろしいほどまでに膨らんでいった

 

 

 

 

 

そして、お姉ちゃんが第一審査である書類審査を通過したという話を聞いて

ついに爆発してしまった

 

ボクは僅かな荷物をまとめて、庭に隠しておいた

 

今思えば用意周到だね

 

そして、お姉ちゃんが候補生として家を出る日に、それは起こった

 

 

その日は雨で、両親はたまたま外出してすぐに帰って来る可能性は低かった

 

ボクはお姉ちゃんに無理言って、一緒に家を出る事に成功した

 

 

 

今までテレビでしか見たことないようなビルなど、見るのも全てが新鮮だったよ

 

 

そして、お姉ちゃんと海を見る為に海岸の小高い崖の上に来た

 

雨だったおかげは周りには人一人見当たらなかった

 

 

「ねぇ、お姉ちゃん」

 

「ん?どうしたの?」

 

 

今思えば、ここで止めておけば、ボクは人殺しにならなかったかもしれない

 

 

 

 

 

いや、絶対にならなかったね

 

 

「艦娘候補生になったんだよね」

 

「そうだよ?」

 

「ボクと代わってよ」

 

「…え?そんなの無理に決まってるでしょ?」

 

「そっか………じゃあいいや、バイバイ。ボクが今からお姉ちゃんになるから」

 

「えっ?どう言う意味よ…ちょっ、ちょっと押さないでよ!危な…」

 

 

 

その時の心情を思い出しただけで寒気がする

 

いつもお姉ちゃんは優しくしてくれた。両親に何言われようと"双子なんだから"と庇ってくれたりした

 

 

 

 

 

だけど、この時のボクの心情は、お姉ちゃんに恨みしか抱いてなかった

 

多分、その時からボクは海に縛られたんだと思う

 

 

 

そして、ボクはきっと海で死ぬんだ

 

 

 

 

 

我に返ったボクは、怖くて崖の下を覗けなかった

 

そのままボクのと、お姉ちゃんの荷物を持って逃げるようにその場を離れた

 

 

 

ちなみに、どうやってお姉ちゃんとすり替わったのかと言うと、元々双子だったから別になんて事無い

 

 

もし、両親が押し掛けてきても、髪の毛を染めたとでも言えばなんとかなっただろう

 

第一、両親はボク達を髪色で見分けてたようだし

 

 

まぁ、両親が来る事は一度も無かったんだけどね

 

 

 

 

それほど、ボクの事はどうでも良かったんだね

 

話を戻すけどね、候補生は訓練生として、一つの場所に集められるのだが、途中で道に迷ってしまったのだ

 

 

 

雨の中、途方に暮れていると、一人の同い年ぐらいの少女が話し掛けてくれた

 

「あなた迷子なの?」

 

日本人離れした緑色の髪、あの時の衝撃は今も忘れる事は無い

 

 

だって、自分以外にもおかしな髪色の人が居る事が分かったから

 

その瞬間、自分のした事の大きさに気が付いた

 

それと同時に涙も溢れて来た

 

今まで孤独じゃなかったのはお姉ちゃんのお陰なのに、その存在を自分の手で消してしまったからだ

 

 

 

お姉ちゃんに心の中で何度謝ったか数え切れない

 

 

「ど、どうしたの!?」

 

 

相手はかなり驚いていたようだ

 

まぁ、それもそうだね。目の前で急に泣き出したんだから

 

ちなみに、その少女の正体は後に知る事になる

 

 

 

 

 

今とはかなり口調が違うのだが、長月だったのだ

 

ボクも最初はびっくりした

 

 

 

訓練生から、艦娘に選抜される試験を受けたのだが

 

 

合格発表されて、自分の配属された、訓練隊でたまたま一緒になったのだ

 

 

 

 

まぁ、あの時泣いた理由に関しては長月にさえ話してないよ

 

本当は、死ぬまで黙っておくつもりだったんだけど、君が初めてかな

 

 

 

 

こうして、今のボクが居る

 

もし、あそこで家を出てなければ、一生両親の玩具にされていただろう

 

出た事に後悔はして無いけど、やっぱりお姉ちゃんには何度謝っても許して貰えなさそう

 

それほどの事をしたからね

 

 

自分勝手かもしれないけど、これからもお姉ちゃんの分もお姉ちゃんとして生きていくつもりだ

 

 

 

 

 

…ボクってやっぱりおかしいね




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