【忘れ去られた艦娘の過去】   作:艦本式

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※注意※
この作品は一話完結ものです。
暗い要素が七割ほど含まれております。
そしてこの話は艦娘になる前を勝手に想像して書きました。
それに、独自思考九割なので、そこはご了承下さい。
決して艦娘を侮辱するつもりはありませんので、ご理解とご了承お願いします。
それでもよろしいという方だけ見て行って下さい。


第三話 (睦月型駆逐艦八番艦 長月)

突然だが、私が艦娘を志願した理由はなんだと思う?

 

 

 

食うのに困ったからか?

 

違うな

 

 

家の威厳のためか?

 

これも違う

 

 

まぁ、実のところ自分でも分かってないんだ

 

だが、自分で艦娘になりたくて志願をしたのは確かだ

 

 

 

どうしてか?

 

それはかなり前の話だな

 

ちなみに、私はまだ艦娘になる前は、今とかなり口調が違っていた

 

 

 

なぜ今の口調になったのかだって?

 

 

 

 

…まぁ察してくれ

 

人には誰しも、言いたく無い過去というものが一つぐらいは存在するだろ?

 

おっと、かなり話が逸れたな

 

話を戻す事にしよう

 

 

 

私の特徴的な緑色の髪色は生まれつきだ

 

 

確かにこの髪色で困った事は幾度とあるが、深刻では無かった

 

 

両親はとても優しかった

 

私の事を愛してたのを、幼くても良く分かった

 

しかし、そんな両親はもうこの世には居ない

 

 

 

 

 

あの事件さえ無ければ…

 

 

 

 

私の両親は、二人とも漁師で夫婦揃って働いていた

 

その事件が起きた日、私はたまたま両親の船に乗せてもらう事になった

 

私自身、初めての光景に内心興奮していた

 

 

 

だけど、そこで私は止めるべきだったのだろう

 

 

出港して、しばらくは穏やかだった海が、徐々に荒れてきたのを覚えている

 

その頃は深海棲艦の数も少なく、あまり危険視されて無かったのだが、それが仇となった

 

 

 

 

武装など積んでいない漁船なら尚更だ

 

 

荒れ狂う海の中から現れたのは、人間が作ったようには見えない異形のバケモノだった

 

そう、深海棲艦だ

 

今思えば、駆逐艦イ級一隻なんてさほど脅威では無いが、当時はまだ深海棲艦について分からない事ばかりなのだ

 

出現場所も、出現した経緯も

 

 

 

 

…いや、出現した経緯は今も分からないな

 

それに、当時は今ほど艦娘の数もいなくて、対策が取れなかったらしい

 

話を戻すと、海水で通信装置が使い物にならなかった私達の船は助けを求める事も出来ず、そのバケモノに、ただただ慄くだけだった

 

当時の私は、そのバケモノが私達に気が付かない事を、ただひたすら願っていたが、戦場はそれほど甘くは無い

 

イ級はこちらに気が付いたが、相手が武装も積んで無い漁船だと分かったのか砲撃をしてこなかった

 

そして、どんどん接近してきたのだ

 

 

 

私は、今までにあれほどの脅威に怯えた事は無い

 

それは今も変わる事は無い

 

 

それほど恐ろしかったのだ

 

 

 

やがて、イ級の船体がはっきりと見えるほど接近してきた

 

すると突然、イ級が砲撃してきた

 

これだけ接近されてしまえば、外す事の方が難しいだろう

 

初弾で私の乗っていた漁船に命中した

 

 

 

漁船に応急修理要員(ダメコン)など積んでるはずも無く、みるみる内に傾いていった

 

幼いながら、自分に死が近付いているのだけは分かった

 

 

肝心の両親は、被弾した衝撃で漁船から吹き飛ばされたのを覚えている

 

 

 

 

 

それが私の見た両親の最後の姿だ

 

 

エンジンも止まり、浸水も激しかった漁船は徐々に、冷たくて暗い海の中に沈もうとしていた

 

だが、それは突然起こった

 

 

 

辺りに雨音を掻き消すような爆音が響き次の瞬間、閃光が辺り包んだ

 

私は何が起こったのか、最初は理解して無かった

 

 

…いや、理解出来なかったの方が正しいな

 

 

後に教えてもらう事になるのだが、この時イ級に爆弾が炸裂したらしい

 

閃光が収まると、私は誰かに抱き抱えられた

 

その時は誰だか分からなかったが、今は艦娘になって誰だったか分かる

 

 

 

あの時の事は感謝してもし切れない

 

 

「君ぃ、ごっつ大変やったなぁ…なぁに、ウチが来たからにはもう安心せぇや。あの深海の連中はどうもしつこくてな、ウチの艦載機が沈めたくてウズウズしてるんよ」

 

 

そう、龍驤さんだ

 

その他も護衛に駆逐艦娘が数人居たのは覚えてるが、顔は見なかったな

 

 

 

私は龍驤さんに抱えられたまま、生まれて初めて深海棲艦との交戦を目の当たりにした

 

 

灰色の雲の下では龍驤さんの艦上戦闘機が舞い、イ級を翻弄する

 

そして、動きが鈍った隙を逃さず、艦上攻撃機が一撃必殺の魚雷を放つ

 

私はこれほど華麗で完璧な連携が取れる航空隊を見た事無い

 

それは今も変わらない

 

 

 

多分、一航戦の熟練搭乗員でもあれだけの連携は無理だろう

 

ちなみに話は変わるが、龍驤さんと鳳翔さんも実は一航戦の経験がある

 

だからあれだけの熟練搭乗員を育て上げる事が出来たのだろう

 

龍驤さんの搭乗員に対しての訓練は厳しいとも聞いた事がある

 

 

たとえ駆逐艦一隻とは言えど、敵である事には変わり無い

 

だからこそ、龍驤さんは全力で敵を叩いたのだろう

 

 

 

 

その後、私は龍驤さん達の泊地に連れて行かれる事になった

 

そこで、一つの事実を聞かされる事になる

 

それは、あの海域で生き残ったのは私だけだったのだ

 

いくら捜索しても、両親は見つかる事は無かったと言う

 

 

 

 

 

つまり、死体さえ見当たらないのだ

 

両親を同時に失った私は、施設に入れられた

 

しかし、両親を失ったショックは意外と大きくて、私の心に深い傷跡を残す事になる

 

学校にも通えず、ひたすら嘆く毎日だった

 

それと同時に、ある思いが私の中にあったんだ

 

 

 

艦娘になって、深海棲艦共を片っ端から深海に送り返してやると

 

そして、私も海で死んで両親の元に行くと

 

そういう思いがあった

 

 

 

 

私はすぐさま艦娘適性試験を受けたのだが、まさか一発で受かるとは思ってもいなかった

 

 

 

それに、候補生は訓練生として一つの場所に集められたのだが、その時運命の出会いを果たした

 

私が集合場所に向かう途中、一人の同い年ぐらいの少女と出会ったのだ

 

とにかく黄色に近い金髪が嫌でも目立った

 

その少女はどうやら道に迷ってるらしくて、私は助けてあげる事にしたのだが、私が声を掛けた途端泣き出してしまったんだ

 

だけど、その時の私は自分が何かしてしまったと思い、ひたすらオロオロする事しか出来なかった

 

 

 

 

 

ちなみに、この少女というのは皐月の事だ

 

そう言えば、どうして泣いていたんだろうな…

 

 

 

まぁ、とりあえずこんな事があって艦娘になったのだが、私はまだ両親を探してる

 

もしかしたら、深海棲艦になって私を迎えに来てくれるかもしれないな

 

 

 

 

その時は私もそっち側に行く事にしよう




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