わたしは所謂ゴスロリショップの店長なんかやってる。
雑貨は自分でデザインしたものが並んでいたりと、こじんまりしてても穴場として雑誌に取り上げられるくらいには名が知れてるお店。
前の店長から引き継いだ頃は、まだアルバイトだったけど、今ではわたしがアルバイトの子達に給与を渡す立場である。
さて、その時のわたしは奥まった場所で雑貨の整頓をしていた。入り口の方で元気にいらっしゃいませーという声が聞こえてくる。そんなときだった。
「えっ!?」
バイトの子の驚いた声がし、何やらざわめきが聞こえてきた。お客様とお話でもしてるのかなーとか能天気に考えていたら、なにやら後ろから圧がかかる。
なんだろうと振り向くと、そこにはひょろりと背の高い全身真っ黒なサングラスを着けた黒人男性と、同じく恐らく地毛だろう白髪の混じった金髪の白人男性。こちらもサングラスをつけている。
(なんか、こんな感じの映画あったなー)
とか、頭の隅で考えながら、わたしはいつもと変わらずにっこり笑いながらテンプレートのように話しかけていた。
「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」
そんな私を見たあと、何やら顔を見合わせる二人。
そして、黒人男性の方が小さく頷き一言。
「あー、貴女をさがしてました」
「……はい?」
流暢な日本語だが、いい間違いかな?
身長のせいでかなり見上げながら、首をかしげたわたしを見て、今度は白人男性がすずいとこちらに顔を近づける。まるで内緒話をするかのように。
「失礼、私達は政府のものでして、どうかお時間いただけないだろうか」
そんなこと言われても仕事中である。
…と、言えるような雰囲気ではなかった……。
このお店は案外奥行があり、更には三階建てになっている。
二回は従業員の休憩室兼在庫置き場、または、雑貨の作成空間という仕事場であるが、三階はわたしの居住区だ。
仕方ないと腹をくくり、レジの近くにいるスタッフに少し抜けると伝えて、のこ空間に全くもってそぐわない二人組を三階へと案内することにする。
「申し訳ありませんが、場所を移させていただけませんか?」
三階に案内すると伝えると、二人はまたもやアイコンタクトしたあと、了承をつたえてきた。
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場所は移り、三階客間(ソファーとローテーブルがあるアンティークといえば聞えは良いが、ようはレトロな部屋)に二人をとおし、紅茶を用意して二人にすすめつつ、向かい合うように一人用のソファーへと腰かける。
ふんわりとしたスカートが広がるのが、内心癖になってるが、いまはそんなことを考えている場合じゃないよねーと自分を叱咤するのだった。
「お待たせしました。まずは自己紹介させていただいてもよろしいですか?」
こてりと首をかしげながら、誰なのか問いかければ、白人男性がくしゃりと目尻のシワを寄せながら朗らかに笑った。
「もちろん、突然来てしまって申し訳ない。我々も政府からの任を受けて、すぐに来てしまったのでまずは状況整理も合わせてお話しさせていただこう」
「かたっ苦しいからさっさとすませるぞー。俺はマーキス。んで、こっちのじーさんは」
「じーさんではない、私はジェイク、」
「そう、ジェイク!立派な白髪生えてりゃじーさんだろうが、そこはそれ、な!」
「おいマーキス、その無駄口を即閉じなければ、あとで室長殿に…」
「wait!Ok、わかった、それだけは勘弁してくれ」
あっさり静かになった黒人男性のマーキスさんに、視線をやらずににっこり笑顔のまま釘を指すジェイクさん。
なんだか二人の掛け合いが面白くて笑ってしまった。
「ふふっ…ありがとうございます。私は、」
「Stop」
「え?」
「まだ名前を私たちに告げない方が良い」
ジェイクさんはそういうと、何やらスーツの中からカードらしきものを取り出した。
それを片目に、今度はマーキスさんがポケットから出したものは砂時計だ。でも、見たことのない色をした材質で、水晶のような宝石のような枠と、ガラスの中に見えるほんのり光る青空のような砂。
奇しくも自分と同じようないろを持つそれに、意識を奪われてしまう。
「よし、これで問題ない、待たせてすまないねレディ」
「あ、いえ。……いまのは?」
「少し空間を切り離させていただいた。なに、身体に影響はない、ただ話が漏れないよう一工夫させていただいただけさ」
「くう、かん」
…切り離すってなに。
説明も理解できないが、まぁ、ひとまず置いておこう。
「えーと、ジェイクさんとマーキスさんは、どのような要件でこちらに?」
わたしの質問に、ジェイクさんは真面目な表情で言った。
「ここはストレートにいこう。審神者になってくれないだろうか」
………は?