めいそうしてます。
エイジ457。
亀がカリン塔を訪れて1年とちょっとが経った。
未だ亀はカリン様から超聖水をとれておらず、しかし楽しそうに頑張っている。
ちょくちょく様子を見に行っては、カリン様と一緒に試食や差し入れを渡す。二人ともうまいうまいと喜んでくれるので結構うれしい。……なんだか最近亀にライバル視されているようで「お前に勝つ!」だのいって絡んでくることがあるけど。
塔の中だけでは刺激が足りないだろうと考えて、旅の合間にあった出来事なんかを二人に話して聞かせるのが最近の時間のつぶし方になっている。
修行も料理もそのほかの時間もとても楽しく過ごしている。――のだが最近悩みができた。
カリン塔での話をする度に、やれ亀さんとの仲はどうなのだとか、亀さんと会うのならもっと良い服を着て行けだの両親がうるさいのだ。
あいつはそんなのじゃないって言うのに。
……それにあいつは胸が大きい方が好みらしいから、私は対象外なはずだ。
「はあ!?俺の攻撃が効くわけないってどう言う事だよ!」
「言った通りだって。亀の強さじゃ私に攻撃したところで効果なんてないよ」
「何だとこの野郎」
「私は野郎じゃないし」
「何だとこの女郎」
「言い直せって言ったわけじゃないよ?」
事の発端は亀の一言に私が反応してしまったからだった。
いやだってさ、亀がいきなり取らぬ狸の皮算用しだして、「超聖水さえ飲めればイナリとだって良い勝負できるし、場合によっては勝てる」とか言いだしたからな。
それを聞いて私だって黙っているわけにはいかない。
「そんなの無理。亀の攻撃なんて超聖水を飲んだところで効くわけない」と突っぱねたのだ。
私もつい反応して辛口で言ってしまったのは悪かったと思うけど、実際事実だ。
感じる気の大きさが私と亀で全然違うし。これで亀は実はサイヤ人でした、とかだったら話は別かも知れないけど、亀も地球人だし。
「じゃあ俺の技を受けてみろよ!絶対に避けるなよ!!いいな!」
「もちろん。亀の攻撃なんか欠片も効かないって事を見せつけてやるよ!」
売り言葉に買い言葉。言い争いは止まることがなかった。
「……お主ら仲良いのう」
「「良くない!!」」
「……………………そうか」
何てこと言うんだカリン様。ちゃんと見てる?
「それで亀。お前何の技を使うの?」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれたな。俺が使うのは前に迷走した時に習得した技。よいこ睡眠拳だ」
「……なん……だと」
よいこ睡眠拳。
その名からわかるとおり相手を眠りに誘う技だ。原作の天下一武道会でも使っており、悟空相手に大きな効果を発揮した。結局ブルマの「孫くんご飯の時間よー」で起こされてしまったが、逆に言えばそれがなければ破られることのなかった恐ろしい技だ。
まさか亀がそれを既に覚えているなんて思いもしなかった。どうせ技なんて言っても殴る蹴るの類いだろうと思っていた。私の想定不足だ。
「どうした、怖じ気づいたのか?」
「ッ!!そんなわけないだろ。対処が楽勝過ぎて驚いていただけだし」
「そうか、なら賭けをしないか?」
「賭け……」
「そうだ。負けた方は勝った方の言うことを1つ何でも聞く。どうだ」
「は!?なんでも!?」
お前それいけない奴。ネット民が飛びつくぞ。
……飛びついた?やっぱり?
「どうした、やっぱり怖じ気づいたのか?今ならやめても良いんだぜ。『亀の技に耐える自信がないのでそんな賭けはできません』ってな」
「……上等。その挑発、乗ってやるよ。『一生かかってもイナリ様にはかないません。私めが愚かでございました』って土下座させて言わせてやるよ!」
「ほざけ。泣いて謝っても許さんからな」
『ちょっと、大丈夫なの?』
大丈夫だってきら。
原作天下一武道会での悟空より私は強く、亀は弱い。なら気合いで……勝てる!!
『……そう。なら私は何も言わないわ』
「……あの、よそでやってくれんかの?」
当然カリン様の訴えは無視された。
「さあ行くぞ」
構えた亀の腕が、指が、ユラユラと不思議な軌道を描き、そして――
カッ!!
「ね~んねぇんころぉり~よ~おこぉろ~り~よぉ~じょ~ぉ~ちゃんは~よい~こ~だ~ねん~ね~しな~」
………………
………………………………
……………………………………………
「すう……、すう……、すう……」
「俺の勝ちだ」ブイ。
眠気には勝てなかったよ……。
『だから言ったのに』
「……………………」
「おい亀。お前儂の目の前で何をしようとしておる?」
「はっ!?これは違うんですよ」
「そうかの。それなら良いのじゃが……。そもそもお主は前までイナリにそういう興味を持っていなかったはずじゃが」
「一年も付き合いがあれば見えてくるものも……あります」
「そうか……。それもまた人生。まあ程々にしておけよ。嫌われるぞ?」
「肝に命じておきます……」
――カチャカチャ!!
「うおっ!?なんだこの刀」
「なんだか怒気を感じるのう」
「そんなまさか」
『手ェ出したらぶっ殺してやる』
あれだ、一番の原因は主人公の両親。
ほら、この状況だと結婚結婚言いそうじゃない?
そこから亀さんが頑張りだしてこうなりました。
なぜぇ……。
すまぬ……すまぬ……。