エイジ458。
「はあ……、はあ……。どうだイナリ」
「うっそぉ……」
私は思いもしなかった。
まさか亀が2年で超聖水を取るなんて。
それは亀がカリン塔に来てから、1年と半年が過ぎたあたりだった。
「なあ、お前は俺が後半年で超聖水を取れると思うか?」
その問いかけは唐突だった。
急にどうしたのだろうと思ったのだが、いつになく真剣な表情だったので、私も真面目に答えることにした。
「うーん、ちょっと厳しいかもね。前に3年かかるなんて言ったけど、今の亀だったら後1年ってところじゃない?」
つまり、挑戦してから2年半。
多分原作より少し早く終わると思う。体感だけど今の成長速度だとそんな感じ。
なんで早くなったのかはわからないけどね。
「じゃあさ、賭けをしないか?」
「か、賭け……?」
思わず逃げ腰になる。あれは結構キた。
もう一生賭け事なんてやらないって誓うほどには。
「ちょ、ちょっと待てって。あれは悪かったって思ってるから。それに変なことは言わないからさ。今から後半年でカリン様から超聖水を取る」
「へ?半年?」
それを一緒に聞いていたカリン様は面白そうな顔をしている。
「へぇ、できるの?」
「やるさ。そしたら……」
そこで言葉を切ってチラリとこちらに視線を向けた。
なに?
あれ、カリン様どこ行くの?
「俺は武泰斗様の道場に帰る。その時一緒について来てくれないか?どうせなら1人で旅するより2人の方が絶対楽しいからさ」
「……それだけ?別に賭けなんかしなくても着いてっても良いけど?」
「いや、これは賭けにすることに意味があるんだ」
「ええ……、別に良いけど」
「よし!」
やけに真剣に頼み込んでくるので、思わず了承してしまったら、何故かガッツポーズしてめっちゃ喜んでた。
……変なの。
『はあ……』
「…………余所でやってくれんかのう」
その頃カリン様は1人で砂糖を吐き出していた。
その日から亀はその場で修行を始めた。
カリン様の壺を追いかけるのではなく、今の力を高めることに集中し始めたのだ。今のままで無理だと思ったのだろう。
まあ、実際普通にやってもまず無理だ。
亀は知らないけどカリン様の壺を追いかけるのは結構な修行になる。
でもそれが万人向けかと言うと別にそうではない。
亀はどうやら気の操作に適性があるようだった。
せっかくなので気について教えて、オーラ操作を流用した気の技術を教えたらメキメキ伸びた。
ぶっちゃけ気の操作に関してはかなり追いつかれたような気がする。
くそぅ、これだから才能のある奴は……。
私は分身で何倍もやってるのに。
そこからは早かった。
原作では50年かかって作り上げたと言う、かめはめ波を僅か半年で作り上げたのだ。
もうわけがわからないよ。
どんな成長率しとるんやお前。
そうしていきなり強くなってしまった亀。
原作では戦闘力139だったけどもう超えてるんじゃない?
まあ亀仙人は元々強くて衰えていただけらしいけど。
まあ、一度カリン塔に登ってカリン様から超聖水とってるなら、カリン様の戦闘力である190よりは強くないとおかしいからね。
それとも原作ではカリン様が手加減していたのだろうか。
ともかく亀は信じられない急成長をした。
そして調子に乗った。
勝負を仕掛けて来たのでボコボコにした。
そして真面目に戻った。
私の方がカリン様より強いって言ってんだろ。
なにがしたいんだよ。
そして運命の日、亀がカリン様に勝負を挑んだ。
「行きますよカリン様。お覚悟を」
「ほっほっほ、お主の成長ぶり、楽しみにしておるぞ」
言葉もそこそこに亀がカリン様に躍りかかる。
前までなら、ここで避けられて終わりだったのだが……。
攻防が続いている。避けられはしたものの、すぐさま切り返しカリン様に食らいついていく。
「ほう。亀よ、なかなかやるではないか」
「まだまだ行けますよ!!」
「なに!?」
亀が気を一段階高めた。
スピードとパワーが上がり、今までの亀に慣れてしまっていたカリン様を追い詰めていく。
行ける……!
亀の攻撃を避け続け、ついに体勢が崩れたカリン様。
「そこぉ!!」
「甘いわ!」
その隙を逃すことなく、拳を突き出した。
しかしカリン様も然るもの。完全に崩れていたであろう体勢から尻尾を使って立て直し、腹を蹴り飛ばす。
――だが。
「それは残像です!」
「なに!?」
蹴り飛ばされる前に高速移動で残像を生み出し、後ろに回り込んでいた亀。カリン様に始めて見せる残像拳だ。
「取った!!」
中空を蹴ったカリン様に避ける術はなく。
遂に亀は超聖水を手にしたのだった。
カリン様が悟空との修行で残像拳のこと言ってたので、使わせてみました。
悟空の前は亀仙人しかいなかったみたいですし。
というわけで亀は修行期間を一年縮めて、イナリと道場に戻るのが決定!
やったね!