地球人で転生!!~でも人間じゃないよ~   作:ねむ鯛

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すみません。最近忙しいので亀更新です。
8月には戻るかも?


第二十三話 再起

「おはよう亀」

 

『……イナリ、今はもう夕方よ』

 

ありゃ、時間を間違えちゃったか。

朝だと思っていたら夕方だったらしい。

 

「イナリ……なんともないのか?」

 

「うん、平気だよ」

 

ゆったりと手を振ってみせる。

亀が恐る恐るといった風に聞いてくるので、元気だということをアピールしてみた。

あ、でもまだ傷が残ってるな。回復しておこうか……。

 

『待ちなさいイナリ。霊力を扱う技はしばらく封印よ。また使うのは経過を見て問題がないとわかってからにしておきなさい』

 

あー、うん。わかった。じゃあ、回道じゃなくて医療忍術を使おうか。完治まで時間がかかるのが難点なんだよね。

 

などと現実逃避をしていても目の前の現状は変わらない。

その……亀が凄く怒っていらっしゃいます。

 

「馬鹿野郎!何であんな無茶したんだ!!連絡着かなくなったと思ったら死にかけて!!めちゃくちゃ心配したんだぞ!」

 

「う、ごめんなさい。いろいろあって冷静さを失って……」

 

なんだかいたたまれなくてそっと目を逸らした。

怒りとか悲しみとか。

後は不甲斐なさとか。

 

「全く……!!」

 

感情が死んでるなんてきらに言われたけど、完全になくなってるわけじゃなくて。

自覚があっただけに申し訳なさが出てきてしまう。

シュンとした雰囲気を感じ取ったのだろうか。

亀が気まずそうに頬をかいた。

 

「……ありがとな」

 

「……え?」

 

「……2回も言わんぞ。ともかくお前にだって色々あっただろうに、分身を沢山飛ばしてくれて助かった。お陰で助かった奴が沢山いる。それにお前の封印で元凶も止められたから。感謝してる」

 

「……2回言ってるじゃん」

 

そう指摘すると亀は気づいていなかったようで、ちょっと固まった後「うるせえ!」と出て行ってしまった。

 

……そっか。被害を完全になくすことはできなかったけど、少しでも減らすことができたのなら、ちょっとは役に立てたと思っても良いのかな……。

まあそれでもこれからも私がやることには変わりないけどね。

 

綺羅星(きら)を掴み、布団を退かしてベッドから出る。亀と話している間に傷はほぼ治った。一週間も休んでたんだから、もう動かないと。

 

『……もう行くの?』

 

「うん、そろそろやることやらないと」

 

さて、まず一番にやることは。

 

――――キュルルルル。

 

「……ご飯かな」

 

こういう羞恥心が完全には無くならないのって、良かったのか悪かったのか……。

ともかくお腹すいた……。

 

『……締まらないわね』

 

言わないでぇ……。

 

 

一週間も何も食べていないので、いきなりガツガツ食べると胃が驚いてしまう。そこでおかゆみたいな優しい物から食べることにした。ともかく戦闘力は結構落ちていると思うので、まずは食事から戻さないと。

 

どうやら予想通りここは宿屋とかホテルみたいな場所のようで、気絶した私を休めるために急いでここに連れてきたらしい。近場に大きな病院がなかったからだそうだ。医者には見て貰っていた様で、容体は安定しているので動かしても構わない。このまま目を覚まさないようだったら、大きな病院に連れて行って精密検査を受けた方が良いと言われていたらしい。もう少しでそうするところだったようだ。

 

ともかく今はこの宿屋の調理場を借りて、おかゆを作ったところだ。

 

「イナリ殿。お隣よろしいか?」

 

「あれ、武泰斗様?どうぞ」

 

食道で自分の作ったおかゆを食べていると、武泰斗様がやって来た。

ともかく立ったままではなんなので座って貰うことにした。

……うーん。おかゆ、ちょっと味が落ちてるな。手際が悪くなったせいかな……。料理の腕も戻さないと。

 

「命を……救われたな」

 

「……え?いや、私もピッコロ大魔王に爆破された時に助けてもらわなかったら死んでたし、お相子ですよ、お相子」

 

神妙な顔をしていた武泰斗様が絞り出すように口にした。他のことを考えていたからすぐには反応できなかったけれど、首を振って急いで否定した。

 

だって、実際に私はあの時死んだと思った。筋斗雲のスピードでも、自力でも逃げ出すことはできなかったのだ。

そこを武泰斗様に助けられたのだから私の方が命を救われたと言ってもいいだろう。

その結果私がピッコロ大魔王を封印できた。情けは人のためならずというわけだ。つまり、武泰斗様は自分の力で自らの命をつかみ取ったとも言える。

 

そういうわけでこの話は、むしろ私の方が救われたと言うべきだろう。

そう説明すると武泰斗様はまだ難しい顔をしていた。

 

「……そういうものか?」

 

「そういうものだって。私だって貴方に助けられたことはたくさんあるんだから。困ったときはお互い様」

 

そう言うと武泰斗様は困った風に笑った。

 

「……私の弟子をさらに強くしてくれた礼もしたいのだが……、貴女はきっと当たり前だと断じるのだろうな」

 

武泰斗様は何かを言っていたようだったが、声が小さくて聞こえなかった。首を傾げていると武泰斗様は小さく笑った。

 

「いや、何でもない。私は勝手に貴女の力になるよ」

 

「えっと、ありがとうございます?」

 

「うむ、お邪魔したな」

 

なにやら満足げに頷くと武泰斗様は歩いて行ってしまった。

何だったのだろうか。よくわからなかったけれど、多分悪いことではないだろう。

……とりあえずご飯を食べよ。

 


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