今後、鬱展開はほぼありません。絶望の未来の回想くらいです。
なのでこれからは安心してお楽しみください。
さて、ガーリック討伐に当たって実は結構な問題がある。
私は今霊力が使えない。というか使わないようにきらに言い含められている。
理由は言うまでもなく、無理をしたせいだ。何が起こるかわからないから様子を見ると言った期間はまだ終わっていないわけだ。
となると一番手軽で強力な自己強化の『卍解』が使えないと言うことになる。かゆいところに手が届く鬼道も、移動に便利な歩術も、もう一つの自己強化の『瞬閧』も使えない。
武空術は鶴が作る前にフライングで習得したから空を飛ぶのは問題ない。……空を飛ぶ術をフライングで習得……、いやなんでもないです。
ゴホン……!鬼道は忍術があるから問題ないにしても、卍解が使えないのはやっぱり痛い。
次点で雷遁の身体強化があるものの、流石にコスパも強化量も比べ物にならない。雷遁チャクラをずっと纏っていたらすぐにガス欠になっちゃうし。
加えて、感じとった戦闘力は素だとあちらが上。雷遁纏い状態でなんとか。そこに瞬閧を加えると優勢。卍解なら楽勝といったところ。
今回の戦いでは技で勝負することになる。卍解を使わなければどうしようもないなんて状況に陥らないように頑張るとしましょうか。
「待って!待ってください!!」
いざ征かん!と気合いを入れたところで神様から待ったがかかった。一体何だろうか。
「今の貴女の強さでは殺されてしまいます。ここはおとなしくしていましょう。結界の中にいれば手出しはできません。このままガーリックが帰るまで待つべきです」
なるほど。心配してくれたのか。たしかに同じ状況だったら私も止めるかも。
まあでも――――。
「大丈夫。勝算はあるからまかせておいて」
「あっ、ちょっ!?」
戸惑う神様を尻目に大きな気を感じるところへと飛び立った。
「ん?何だ貴様は」
十数人の人数が浮かんでいる中、姿を現した私に反応したのは水分の足りなくなった青の絵の具のような肌色をした男だった。
身長も体格も私より大きい。耳はとがっていて、漫画で見たピラフを大人にしたような姿。
目つきは悪く、内面の邪悪さを表しているようだった。
こいつで当たりかな。
ガーリックと思われる男は何かを思いついたのか私の様子には目もくれずに、悪辣に笑った。
「お前を痛めつけていればあいつも出てこざるを得ないだろう。お前達は手を出すなよ。俺様一人で十分だ。良い憂さ晴らしになる。せいぜいお前の苦痛の叫び声でこのガーリック様を楽しませてくれ!」
そう言うとガーリックは勢いよく飛びかかってきた。
名前を聞く必要もなく当たりと。部下を使わないとか油断しすぎ。こっちは助かるけど。
私は素早く印を結びガーリックに術を放つ。
「風遁・大突破!!」
「なにっ!?」
息を吸い込みチャクラで強化した吐息を吹きかける。無色透明の風は所見で避けるのはほとんど不可能。
最早吐息なんてレベルの風ではなく、突撃してきたガーリックを易々と押しとどめて見せた。
「奇妙な術だが……これでは俺様を倒せんぞ!!」
「知ってるよ」
本命は次だから。
「がっ!!?」
突如としてガーリックを衝撃が襲う。
正体は二体の影分身。螺旋丸付き。
本体の私をおとりに、隠れさせていた二体の影分身は頭上と足下へと瞬身の術で移動して、あらかじめ作っておいた螺旋丸で挟み撃ちにした。
NARUTOの世界の四代目火影のミナトが使っていた戦術に少し手を加えたもの。
人体の構造上、死角である上下からの攻撃は初見殺し。気を感じ取れれば話は別だろうけどそんな様子は全くなかった。
上下から挟み撃ちにした螺旋丸の衝撃は、ガーリックを吹き飛ばすことなく余さずその威力を体にたたき込んだ。
逃げることのない衝撃は甚大なダメージを与える。
それにコンボ中の吹き飛ばしは邪魔だからね。ついでに役目を終えた影分身を消してチャクラを回収。
ガーリックがダメージにひるんでいる隙に一気に懐に踏み込む。
「雷遁・狐楼砲!!」
狐楼砲は右ストレートの要領で気功波の勢いを加速させて放つ技だ。性質上ゼロ距離で殴って使った方が威力は高い。それに雷遁を乗せてある。気功波に雷を付加させるだけでなく、打ち出すスビードも加速している。
おまけに【身体投影/マルチボディ】で腕を巨大化。動作の途中だからスピードはそのままだ。
拳は絶大な威力を持ってガーリックにクリーンヒット。雷の影響で気功波もフルヒット。
電気を浴びれば体はまともに動かせない。逃げ出すことはできなかったようだ。
開幕から全力全開。そこそこ体力を使った。
「はあ……、ふう」
「き、貴様ァ……!」
まあそれでも倒せてないんだけどね。でも目標は達成できた。素の状態でもまともに戦えるくらいには体力を削る事ができている。
傷だらけのガーリックを見ながら冷静に判断を下す。
「貴様ら、何をボーッと突っ立ている!!早くあの女を殺せ」
ぶち切れたガーリックが手下を理不尽に怒鳴りつけ、鬱憤をぶつけるように気弾を放ってきた。力任せの攻撃を余裕を持って避ける。
頭に血が上りすぎてさっき自分で言っていたことを忘れてしまったのだろうか。最高の上司と言われているフリーザ様を見習って欲しいものだ。
それはともかくここで部下参戦はさすがに不味いので……、手を打たせて貰うね。
数はひい、ふう、みいの……。ガーリック含めて15人か。
「クナイ15。雷遁・電磁加速の術」
「……ふん」
「ぐあっ!」「なんだ!?」
ポンッと現れた15本のクナイ。それを全員に向かってレールガンの要領で発射。
ガーリックには避けられたものの手下は全員避けきれずに被弾。体に突き刺さった。
次の瞬間軽快な音とともにクナイは消え去り、部下全員に右腕を突き刺した状態の私の姿に変わった。
「なにっ!?」
「「「「螺旋丸!!」」」」
驚愕するガーリック。
抵抗する時間も与えず、人を丸々飲み込めるほどの螺旋丸を発動。体の中心からそれを展開された14人の手下は、チャクラを使い果たした14人の分身とともに消え去った。
タネは簡単だ。元々私は開戦前に三体の影分身を用意していた。
二体は挟撃用に。
もう一体はクナイに変化させて懐に。NARUTOの変化の術はチャクラ量次第で何にだって化けられる。変化後は本物と同等の性質を持つ。つまり私の影分身が変化したクナイは本物のクナイと同じ物な訳だ。
ウーロンの変化ではなくプーアルの変化だ。
事前に影分身しておいたのはチャクラの消費を抑えるため。流石に何度も等分されるとチャクラ量が持たない。
「よくも……俺様の部下を!!」
怒りに体を震わせるガーリックに静かに告げる。
「大丈夫。すぐ同じようになるから。……螺旋丸」
睨み付けてくるガーリックを正面から見つめ、右腕を掲げて螺旋丸を作る。それは通常の螺旋丸のサイズには留まらず、人を飲み込むサイズさえ超え、大きくなり続けていく。全力だ。
「それを俺様がのんびり見ていると思ったのか!!」
腕を掲げて力を溜めているイナリは隙だらけだ。
形勢逆転のチャンスに手から気功波を発射しようとするガーリック。しかし。
―――ズボッ!!
―――チチチチチチチチチチチチチ。
「まさ……か……」
「悪いけど王手だよ。千鳥」
緩慢な動きで背後を振り返るガーリック。予想通り背後には私の影分身がいた。
放たれたクナイはもう一本あった。巨大な螺旋丸を警戒するあまりそれを忘れてしまった。
それが彼の敗因だ。手品でも良くやるトリックの1つ
「どうしたの?狐につままれたような顔をして」
ガーリックは背中を貫かれたまま動けない。傷を負い、さらに雷の影響で抜け出すことは不可能だ。
「クソッ!必ず……!!必ずや300年後に復活して……」
「さようなら」
「グアアアァァァァァアアアアアアア!!」
復活宣言の途中でガーリックは私の影分身もろとも螺旋丸に包み込まれて消え去った。
さすがにこれで復活は無理だとおもうが……。
もう周囲には敵の気配はない。張り詰めていた緊張の糸が切れ、どっと冷や汗が出る。
「はあ……、はあ……。勝てた。なんとかなった」
ガーリックの戦闘力は1500くらいです。
イナリは病み上がりで戦闘力を少し落としています。
・補足
ガーリックは、映画に出てくるガーリックJr.の父親(?)のような存在。
映画では力を封印された後絶命している。その後の出番はない。
その際300年後に復活すると言い残し、実際にはガーリックJr.が出てきた。
ガーリックJr.はガーリックの生まれ変わりの様な存在の筈なのだが、アニオリではガーリックをドラゴンボールで復活させようとしている。
本人なのか息子なのか。結局どっち?
復活方法も不明。
ガーリックのキャラはオリジナルです。
名称変更:狐狼砲⇒狐楼砲
個人的にNARUTOの隠れチートだと思う技。変化の術。
使い方次第ではホントに強いと思う。
ちなみにお色気の術を使ったナルトは見た目だけでなく姿形が実際に変化しているので、本当にTSしてます。