エイジ426。あれから更に五年、修行は順調に進んでいる。
チャクラもしっかり増え、今では影分身が二体出せるようになった。
お陰で修行効率は三倍だ。でも疲労も三倍になった。
最初はキツかったがさすがは子供の体か。すぐに慣れた。
スタミナも同年代の子の中でずば抜けていて運動で私に勝てる奴はいなくなった。
念能力と死神の力の修行も順調だ。
念能力に関しては五年前の時点で精孔は開いていたので、四大行の修行は既に始めている。精孔とは生物が持っているオーラを放出する為のものだ。
四大行とは、纒、絶、練、発でオーラ技術の基本になる。
纒とは、通常垂れ流しのオーラを身に纏う技術。これは精孔が開いた時点で習得している。
絶とは、精孔を閉じて、オーラを外に出さない技術のこと。気配が極端に薄れる為、身を隠すのに役に立つ。
練とは、オーラを爆発的に高める技術。高めたオーラは攻撃力や防御力になるので、戦闘中はこれをどれだけ維持できるかが重要となる。
発は、自分のオーラを自在に操る能力。自分の系統の力を発現させる技術だ。。
念能力には系統があり、6つに分かれている。
強化系、放出系、操作系、特質系、具現化系、変化系になる。
強化系はその名の通り強化する。
放出系はオーラを飛ばす。
操作系は物質や生物を操る。
特質系はその他。他の系統にない能力がここになる。ちなみに万人が使えるわけではない。ごく一部の限られた人だけが使える系統だ。
具現化系はオーラを物質化する。
変化系はオーラの性質を変える。
となる。
自分の系統は水見式で確認する事ができる。
水見式とはグラスに水をいれて葉っぱを浮かべ、練をしてその変化から系統を確認するものだ。
ちなみに私は具現化系だった。
系統には得意不得意があり、自分の系統に近い方が得意だ。
真反対だとかなり弱体化する。
強化ー放出ー操作ー特質ー具現ー変化ー強化ー(以後ループ)
関係図としてはこうなっている。
具体的には具現化が100%の制度で扱えるとして、特質と変化が80%、操作と強化が60%、放出が40%になる。
まだ確定ではないけど、私は特質系は使えない。
よって特質は0%。具現化系はちょっと損な能力かもね。
放出系もほとんど使えないと思っていいかな。
まあ、放出系の技はドラゴンボールの気で代用できるから全く問題ないけど。
オーラを放出するときだけ気をつければ良い。
念能力に関しては後で考えることにした。
今は修行してる方が楽しいしね。
じっくり考えた方がいい能力になる。焦って考えて、変なのになったらたまらないし。
死神の力に関しては、斬拳走鬼の走と鬼を中心的に鍛えている。
刃禅もしていて、浅打から変化はしたものの名前は教えられていない。本体にも会えていない。始解を目指して刃禅し続けるだけだ。
走の瞬歩を練習しているのだが、どうにも連続使用が難しい。
速度が付きすぎて反転するときに制御できないんだよね。
真っ直ぐならなんとかなるけど……。
鬼道は今五十番に入ったところ。三十番までなら詠唱破棄できるし、二十番までなら威力もほとんど落ちない。
これも霊圧の制御技術を完全記憶能力が助けているからだと思う。
一度成功すると失敗はほぼしない。
詠唱破棄も詠唱した時の霊圧の動きに近づけていけば成功するし威力も高くなっていく。
完全記憶能力様々です。おまけってレベルじゃねぇ……。
今の修行形態は二体の影分身に筋トレ、念、死神の修行をローテで任せている形かな。
私は基本忍術で、料理をしている時もある。
影分身にチャクラ使わせると消えるのが早くなるんだよね。
別に筋トレが嫌いなわけじゃない。ホントだよ?
さて、実は今日大事な話があるらしい。
この前10歳になったからそろそろだとは思ってたけど。
私は実はとある覚悟を決めていた。
お母さんに連れられて、リビングに座っているお父さんの所までやってきた。相変わらず毛むくじゃらだなぁ……。
私が対面に、お母さんがお父さんの横に座ったところでお父さんが口を開いた。
「お前に話があるというのは他でもない。この店のことだ。聡明なお前なら気づいていただろうが、私たちはお前にいずれこの店を継がせようと思っている」
唐突な褒めはやめてください。一部当たっているからから否定もできない二重苦。
「イナリなら私たちのお店を立派に継いでくれると思っているわ。別にすぐに決めなくても良いの。ただ、そういう考えをお母さん達が持っているって事を知って欲しかったのよ。もちろん自分がやりたいことをしたいって言ってくれれば私たちは応援するわ」
少し予想外だったのが、私に継がないという選択肢を残してくれているという事実だ。
両親のことだから何が何でも私にこの店を継いで欲しいものだと思っていたのだけど……良い方向に、予想が外れたようだ。私が思ったよりも両親は私のことをずっと思っていてくれた。
なら私も誠意で答えなければ。
「お父さん、お母さん。私も大切なお話があります。お店のことのお返事はその後に」
「……わかった。言ってみなさい」
お父さんは少しだけ驚いた顔をしたものの、すぐに話を促してくれた。
「実は私は前から武闘家になりたいって思ってたの」
「武闘家……。たまに姿が見えなかったのはそのためか?」
「うん、そうだよ。ずっとずっと修行してきて、それで少しずつ強くなっていくのが楽しかった。でもね、他にも楽しいことができたの」
「それは……」
「そうだよ、お料理。お父さんとお母さんに教えて貰って、それで上手になっていって、始めて出したお料理が美味しいって言って貰えて凄くうれしかった。もっと美味しい料理を作って、もっとたくさんの人に喜んで貰いたいってそう思ったの」
これは私の偽らざる本心。修行は楽しい。でも料理だって楽しくて、そして喜んで貰えればとてもうれしくなる。
武道と料理の二つで板挟みになっていた私。でも今日決めた覚悟を今日話す。
「……影分身の術」
「これは……!」「まさか……」
影分身の術を両親に見せる。
やっぱり驚かせちゃったね。でも、二人の目は訳の分からない異物を見るような目はしていない。
どうやら最悪の結果は免れたようだ。人が理解できないもの目にした時に抱く感情で最も可能性があるのが、恐怖とその排除に向けたものだ。
それが両親に目から見えることはなかった。そっと安堵の息を吐く。
「私は何度考えても片方を捨てることは出来なかったの。だからお願い。こんな風に分身して2つのことを同時にやる事を許してください。お店も継ぎたいし、強くもなりたいの!両方とも中途半端になるような事は絶対にしないから!」
願うと同時にガバリと頭を下げる。
これが私の決意。片方を捨てきれない弱い私は両方を取る。
普通は無理だけど、私には影分身がある。
でもそれをするのはお父さんとお母さんに不義理だと思ったから、だから伝えた。私の技と気持ちのことを。
「頭をあげなさい」
どれだけ時間が経ったのだろうか。
お父さんから声がかけられた。
恐る恐る頭をあげていく。ゆっくりと視界に入ってきたお父さんとお母さんの顔は複雑そうだったものの、怒ってはいない。
許してくれるのだろうか。それともやっぱりダメなのだろうか。
そんな不安がゆっくりと胸の中を満たしていき、徐々に視界が揺れ始める。
「……許す」
「え?」
「お前が同時に2つやることを許そう」
最初は何を言われたのか分からなかったけど、理解すると嬉しさがこみ上げてきた。
やった、許してくれたんだ。
「ただし、お前が言ったように中途半端は許さない。両方しっかり極めなさい。できるのだろう?」
「……はい!!ありがとう!!」
私が笑顔を零して感謝をすると、お父さんとお母さんは複雑な顔をした。
「正直、自分の娘が武の道を行こうとするのは抵抗がある。だがわがままを言ったことのないお前の初めてのわがままだ。無碍にはできんだろうが。実はお前狙ってたんじゃないのか?」
「そうよ、少しずるく育っちゃったのね。二つとも欲しいなんて欲張りな選択をしたんだから、お料理の勉強、今日から厳しく行くからね」
ば、ばれてた。
あはは、お手柔らかに……。
私が引きつった笑顔になると、両親はふっと表情を緩めたのだった。
……私が転生しているって事はまだ言えない。
でもいつか覚悟が決まったら、話してみたいな。
ここまで読んでいただいた皆さん、楽しんでいただけましたか?
楽しんでいただけたなら幸いです。
これからよろしくお願いします。