かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について 作:低次元領域
あとイナイレの二次創作もっと増えて、ギャグ強めな奴
今回は少し説明が多い回。サッカー小説なのになぜ試合中の描写が一番面倒なのだろうか。
二十、四十、七十、百。
──でも本当は四本、果たして何の数でしょうか。
答え、寺門が今までボールに蹴り込んだ数であり、必殺技としての単位数。
四百烈ショットの内訳である。
そして、俺の右腕が限界に至るまでにかかった数だ。
……嘘です、本当は二発目から限界でした。
四発目受けた時なんて一瞬気を失っておりました。最近三途の川をよく見るようになった。
俺仏教とか信じてないんだけどな……。
このまま死んでも渡し舟用の六文銭とかないから泳ぐ羽目になるんだろうか。
『し、信じられないことが起きております! 帝国のエースストライカー寺門の百烈ショットが片手で止められたのは今ので四度目……!
全く無名校であるはずの習合キャプテン、織部の不敵な笑みを崩すことは出来ないというのかーっ!?』
実況がすっごいはやし立ててくる。
お願い、最初に思い込んだモノが真実と思いたくなるのはわかるけれど、もう少しだけ視線を下ろして。俺の右手もうプラプラしてるから。脱力してる? 違うよ力が入らないんだよ。
グローブ外したら多分もう真っ赤に腫れてるから。
不敵な笑み? 痛すぎて笑うしかねぇんだよ! あるだろ、ランナーズハイ的な。脳内麻薬が出過ぎて止まらないんだよ!! でも痛いってことはこれかなり重症な気がしてならない。
もうちゃんと跳ね返すことすらなくて左の方へ転がってったよボール。
「……!」
「なっ!? 待てこのヤロウ!」
それにいち早く気が付いたカガが素早く寄ってそのままクリア。
流石だカガ、ありがとうカガ。
……おかげで五発目はないな、ないよね!? しったことかまだ前半始まったばかりじゃい!
「んな、バカな……!?」
なんかすっごいショック受けてる風だけどさバカな、じゃないんだよ。
お願いだよ寺門さん、コースを狙ってくれよ。そりゃ最初考えた通りだけどさ、なんでみんな真正面狙ってくるんだよ! もうムキになってるよね!?
今の俺スピード半減ってレベルじゃないんだぜ!?
正直途中で角っちょとか撃ってたらバスバス決まってたからね?!
あ、後君途中から技進化させたよね?
三回目の時「あれ、なんか20回以上蹴り始めたな」って気が付いちゃったとき顔青ざめたんだぞ。
特に名称変えてなかったけど、百烈ショット改かな名前は。そもそも進化時の名前の付け方って法則性あるようなないような。
……違う、そんなことは関係ない。
とにかく今はボールを味方が保持して何とか耐えてもらわないと。
「ハハハ! これがトップに立つ者達だと? 遅い、遅すぎるぞ!!」
『おっとここで習合7番ソニック、脅威のスピードでボールを拾いこのまま反撃と出るか! しかし帝国のDFは固いぞー!?』
おぉすごい。帝国の人たちより速いとか流石だなソニック。部に誘った時はもう走れないとか言ってたけどなんか吹っ切れたみたいでよかったよかった。
……えーと指示飛ばした方がいいよな。DFはグラさんが逐一飛ばしてくれてるけど、こっちの意向も伝えないとな。
とにかく状況把握しないと、痛みに耐えるのに必死で全然見てなかったよ。
……あ、メアが三人マーク付かれてる。かなり危険視された結果か、こりゃ動けないな。ジミーは一人。ワタリがフリーだけど今のワタリじゃ突破は難しいか?
帝国の残ってるDFの一人は……こいつもゴーグル? 自軍キャプテンの真似なのか? 関係ない?
流石にトールには負けるがガタイも大きいし強そうだな。……名前なんだっけ、オオノ……まぁいいか!
そして相手キーパーの源田さんはいまだ健在。腕さすってたしフルパワーシールドを連発させれば或いは……って思うが、肝心のソレ引き出せるメアが張り付かれてるんじゃあなぁ。
「……」
うわ、今気が付いちゃったけど鬼道さんめっちゃこっち睨んでる!? ゴーグル越しだけど。
何その雰囲気、絶対「何で四発も撃たせたんだろ」って考えてる?
そりゃ仮に俺がめっちゃ格上の人だったとしても二発くらいで十分だよね。せめて技が進化した三回目で「進化させてもこれか……」みたいなこと言いながら終えるもんね。
「……?」
あ、多分「俺達がわざと撃たせたことへの意趣返しか……? それとも寺門に数を撃たせることで何かメリットが……?」とか変な方向に思考行ってるな。帰ってきてくれ天才ゲームメーカー。
なんかうまい具合に三回もパンチングしたボールが寺門くんに転がってっただけなんだよ。
嘘じゃないよ。
「はぁっ!」
「……ぬるいな」
『ソニック、パスを諦めそのままの勢いに乗ってシュート! しかしキーパー源田に生半可な一撃は通用せず難なくキャッチ!』
やべ、源田さんにとられた。
ソニックの脚力は凄いんだけど、キック練習あんまりしてないしな……。けどコース狙おうとしたのは偉い。
源田さんは容易にコース読んで取ったけど。
さて、また寺門さんに蹴られたら死ぬからグラさんにマーク対象変えてもらわないと。
小さい子についているウリ坊を外して……佐久間についてるトールを寺門さんにずらして、ウリ坊は必殺技生かすためにゴール前で待機だな。
これで小さい子、佐久間の二人がフリーになるわけだ。
ウリ坊がついていた帝国のちびっこ……ドウメン? とかそんな感じの名前だったはずの子。
彼は確か必殺シュートは持ってたけど……MFということもあり、寺門さんに比べたら大丈夫なはず。キック力もそこまで無い筈。
うん、これで彼が裏のエースストライカーとかだったら泣くけど。
佐久間は確か"アレ"の参加メンバーによくいるけど、"アレ"は三人技。そんでその技の指示だしを鬼道さんが担当してるみたいだし、佐久間単体なら問題はない筈。
……単体の必殺シュートもってないよね、ないよね!?
さてどうやって伝えよう。
「……グラさん」
というかうちのDFの皆と……なんなら他の帝国の人たちも、マークしてるのは分かるけど途中で間に入って来ても大丈夫だったんだよ……?
なんで「よくわかんないけど部長が楽しんでそうだしいっか」みたいな目をしてたのグラさん……? サングラスで目が見えないけど。
「ウリ坊とトールを──」
「ん……分かったぜボス!」
やめろ!? 言い切る前に分かったふりすんな!
絶対分かってないだろ、いい加減こっちも学んだんだからな!!
「いや──」
「大丈夫だってボス。ウリ坊をゴールに、トールを
……え、マジでわかってくれたの。
すごい、読心術とか持ってたんですか? はい、それで大丈夫です。
……おおう、ウリ坊たちもすぐに察知して動きを変えている。すごいなDFの連携。なに、皆テレパシーとか持ってる?
俺にもつなげてよ……もしかしてブロックされてる?
──ん、トールちょっと不満そう?
性格的にマークとかより派手なシュートブロックとかのが合ってるだろうからかな。ごめんな。
『おっとここで習合は何人かのマークを変える模様。ボールは依然として帝国が……おっとここでフリーになったFW、佐久間へと渡った! 』
よし、ここまでは思い通り。
ウリ坊も待機できたしトールも寺門に張り付けている。……やっぱりみんな足速いね?
「頼むぞウリ坊」
「任せて部長!」
まあいい。
よし、何とか防ぐぞ。流石に佐久間が寺門よりキック力高いとかとんでもはないだろうし頑張ればいいな。
ウリ坊が。
……あれ、鬼道さんについていたグラさんは何処だ?
あれ、なんでグラさんあがってるんですか?
えっと、なんでこっち見て親指たててるんですか?
え、メアのマークはがすために自分も上がる? 頑張れボス? サングラスの照り返しで伝えてこないでよ……曇りだからろくに光らんし。
あの、帝国の攻撃側の五人のうち二人しかついてなかったら三人分……あの、一人でもはがされたら"アレ"発動するんですけど?
グラさんが上がったことで鬼道さんフリーで……。
あっ、もう来る? 腕使えないんですけど助け──
え、ちょっとなにしてんの佐久間さん?
必殺技出してきそうな雰囲気醸してるけどまさか"アレ"を無理やりやる気? え、鬼道さん上がって来てる。
ちびっこは……来てない。あれ?
そのままボールを鬼道さんに渡して……あれ、二人しか来てない?
三人+指示役の鬼道さんいないと無理だよね?
え、どうするの?
『おっとここで鬼道、佐久間、見たことのないフォーメーションでゴールに迫る!
これは新必殺技かぁ!?』
あ、やばい。なんか新技とか出してくるみたい。すっごいオーラ纏ってるもん確実だよ。
嘘だろ。どんだけ試合の中で成長見せつけてくるんだよ。主人公かな君たち。
「──行くぞ習合!」
こないで、帰ってくれ天才ゲームメーカー!
助けて。
◇
帝国にとっての勝利とは、美しいものだ。
勝負は始まる前から決められているものであり、その路線に乗って走り続けられるものが素晴らしいもの。途中で壊れ脱線するのは不良、欠陥、凡な品。
それが今はどうだ?
相手の身体能力ははっきり言ってこちらとほぼ同質、下手をすれば何人かは超えている者もいる。
必殺技、或いはサッカーの技術、勝負に対する経験。これらは自分たちが"少し"上回っている。だからこそ、試合の流れ自体は掴めている。
おかしい、まるでFFの決勝戦……或いはそれよりも重い圧が自分の心をすりつぶそうとしているのを確かに感じ取っていた。
「……くそっ」
帝国の参謀として鬼道に次いでフィールドの状況を把握し、作戦を提示する立場にある
チラリとベンチに目をやれば、何も言えるはずのないカメラが一脚。けれどその先にいる人物は間違いなく、今の自分たちに失望している。
聞かなくても分かる。ありえないから。
帝国の守護神の源田が最初から腕を賭けなければ決められていた?
帝国のエースの寺門の必殺シュートが四発も止められた?
始めて一月も経たない連中のマークが外せない?
全力で動かなくては試合の手綱を握れない?
ありえない、帝国としてこんな試合はあり得ない!
「──行くぞ習合!」
だからこそ、自分もあり得ないことをしなければならない。鬼道の声に奮起させられる。
走る、走る。全ては泥臭い勝利の為に。
走り、勢いをつけて跳ぶ。高く、黒き曇天へ、鬼道の真上へ。
構想こそあれど「自分たちには不要」と考えていた、少人数──たった二人でも使える必殺技の為に。
鬼道が走りながらボールに回転をかけるよう足で円を描き、空中にいる自分に向かい飛ばす。
それを、渾身の力を込めて頭で叩き落とす。
弱小相手なら、この動作だけで十分だろう。けど足りない、だからこそまだまだ終わってなどいない。
「ツイン──」
──更にまたその先に、走り続けていた鬼道がいる!
彼は降り落ちてきたボールを右足で捉え、放つ。百烈ショットよりも更に赤く、燃えるような一撃に進化させた。
「──ブースト!!」
さぁどうだ習合キーパー織部長久!?
お前がどんな訓練をしてきたかは知らない、だがいい加減右手以外……必殺技でも使わなければ止められないぞ! そう叫んでいた。
「──僕がいるの、忘れてるよね? ちょっと怒ったかも!」
うちの洞面といい勝負をするほどのチビが、ボールの前に立っていなければ。
『おーっと! 帝国の新技に対しウリ坊が向かい立った!』
スパイクを履いた足で土を蹴り、砂ぼこりが軽く舞う。
前へ進む、地面を蹴る数とは合わない距離。普通の人間なら一歩で済む距離をその何倍も蹴って加速する。
砂煙が目に入り、思わず瞬きを一つ。
──いつのまにやら、一頭の猪がそこにはいた。
毛は荒々しく逆立ち牙をむき出しにし、全てを吹き飛ばそうとする獣がいた。
衝突する。
「──猪突猛進!」
轟音。金属にでも打ち付けたかと思い違うほどのそれ。
ツインブーストを相手に一歩も引いていない。
むしろ、押している──っ!?
「──ぐぅっ……そりゃっ!」
首を曲げる動作だったのだろうか、猪はそのままボールを打ち上げ……勢いが殆ど殺されたボールはキーパーの足元に転がった。
『──ウリ坊、凄まじいブロックで帝国のツインブーストを防ぎましたー! すかさず織部に駆け寄りハイタッチ! 喜びを分かち合っております!』
負けた、負けた? 誰が、俺達が?
鬼道と二人で作ったこの技が素人に?
……どうすればいい。
「……鬼道さん」
堪らず、縋るように鬼道を見た。
少しばかり呆気に取られていた鬼道は、俺の視線を受けてか知らずか直ぐに自分を取り戻した。
「──あの選手も中学に入るまでは運動のうの字もなかったはずだ。
やはり、習合は短時間で凄まじい成長を遂げている……だからこそ、やらなければならない」
そう毅然と言い切る鬼道を見ていると、燃え尽きようとしていた心が再燃していくのが分かる。
その姿は帝国のキャプテンとしてふさわしくて……だからこそ、俺も帝国の参謀としてやらなければいけない事を再認できる。
「……分かっているな、佐久間?」
俺から不穏な気配が消えたのを感じ取ったのか、鬼道が薄い笑みを浮かべ問いかけてきた。
「──習合を潰す、そして──
正誤の判定はいらなかった。
部長が助かるとかこれは過去改変されましたね……((
あと二,三回分帝国戦あるとか何故だろうか