かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について   作:低次元領域

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タイトルで遊び始めた(懺悔)



新入部員を振るい落とす(自動)日

 あぁようこそ、習合サッカー部へ。

 俺は部長兼キャプテンの織部長久。一年だが……上下関係は苦手でね、上級生と言えどため口になるかもしれないから注意しておいて欲しい。

 大丈夫? 流石だな……帝国に勝ってから一週間でこちらに来るほどの情熱は仮初めではないという訳か。

 

 ……うんこれなら大丈夫、多分一日でいなくなったりしな──ハハハ、ナンデモナイデスヨー……。

 よーし新入部員は6人、マネージャー希望は三人だね。

 

「……ふふふ、汗光る青春……泥まみれになりながらも走り続ける兄さん……ふふふ……」

 

 ……えーと、マネージャー候補の一人にすごい人が居ると思うけれど気にしなくて大丈夫だよ。うん、排除しようと動かないように伝えてあるから。

 

 他二人はどうしてマネージャーに……あ、メアのファンクラブの人? もう片方はトールのファン? へー……。

 ……とって食ったりしないから話しかける度に身をすくませないで欲しいなぁ……。目が怖い? うんごめんね。俺も目がこの色になってから前よりもいろいろなものが見えるようになったから少し怖くなってきてるけど多分大丈夫だよ。時折「全てを破壊するのだ……光なき世界を」とか頭の中で声がするけど。

 

「……おい、一体いつになったら練習が始まるんだ」

 

「そ、そうだぞ……」

 

 ああごめんごめん。そうだね、皆やる気一杯だもんね……ところで今発言した二人、覆面したままだけど大丈夫なの? めっちゃ呼吸し辛いと思うんだけど。

 

「……ふん、なめてくれるな。他4人は知らんが、俺達は基礎体力は出来ている。この程度ならいいハンデだ」

 

 そ、そうですか……やめた方がいいと思うんですけど。というか体格的に見覚えあるんですけど。

 覆面に収まり切っていない髪の毛の色とかもさ……もしかして二人とも、高天原中に入っておりませんでした? というか真経津兄弟ですよね?

 

「気のせいだ、俺は謎のサッカーマスク1号だ」

 

「に、2号だぞ」

 

──長久、こやつらもしや……アホではないか?

 

 左様。まぁいいか、害を加えようと来てるわけじゃないみたいだし。あれかな、覆面で読み取りづらいけど「強さの秘密を探り、腑抜けた高天原中を叩きなおしてみせる」みたいな感じかな。となると期間限定加入? まぁ、FF経験者はものすごいありがたいので頑張ってくれ。

 じゃあ指示出しまーす。マネージャーさん達は今から渡すボードに書かれたチェックリストに従って、今河川敷にいる部員たちが練習しすぎてないか見張ってね。勿論自転車で行っていいよ。歩いたら遠いからね。

 

 それで、俺を含めた7人は河川敷までドリブルを続けつつ走り込みでーす。車や人の通りがないルート使うけど、万が一があるから気を付けてね。

 

「……それだけか? 思っていたよりも──」

 

 ──はいこれ、重り。体に巻き付けてね。

 大丈夫、普段の練習の時よりは重さ減らしてるから……。

 

「……待て部長。これは一体、何キロあるんだ……?」

 

 ………20kg、これでもね……俺が今背負わされてる重りの三分の一なんだよ……フフフ……泣いていいかな。常に足がプルプルしてる気がするよ。

 もう重り入れるところがないからって、メンバー皆で重りを敷き詰めることのできる服とか作れないか協議してたよ……鎧でも着た方がいいんじゃないかな。

 

「……兄さん、どうかされました? もしかしてまだ重さが足りな──」

 

 ──よーしみんな走るぞー!!

 いやー、足が岩の様に重いけど動かさなきゃ何も始まらないなー!!

 

 

 

 ……この後、新入部員はサッカーマスク達を除き、全員いなくなったのは言うまでもない。むしろよく耐えたよサッカーマスク……。最後なんか「黄泉の国が見える」とか呟いてたけど。

 戻ってこい。

 そして二号くんには早速エンゼル・ブラスターの洗礼が行われていた。いじめとかじゃないよ。というかよく怪我しないで済んだね……。

 

「……リーダー! 次は──」

 

 許してメア。僕それサクリファイスしても受け止めきれる自信がない。 

 あれ、河川敷に車が……これはこれはワタリ父理事長。いかがなされたので。え、明日?

 

 まあ学校と部活の後は特に何も……え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 走れ走れ新幹線。速いな怖いな恐ろしいな。レールから伝わる小さな振動がマッサージみたいで心地が良い。

 窓に目をやれば、反射し映る自分の白黒目と移り変わっていく景色が眺められる。乗り物酔いしやすいからしっかり外を見ないとね。

 ……新幹線って乗り物酔い起きるんだろうか。

 

「……すみませんがキャプテン。もう一度確認させてもらってもよろしいですか?」

 

 なんだいなんだい隣に座るワタリくん。別にこんなの聞いても面白くないだろうにわざわざ聞き直してくれるなんて。

 いいかい? なんか目の色が変わった日に丁度()()()()()()が現れて家事を手伝ってくれるようになったんだよ。ほら、昨日みんなの前でマネージャーとして紹介しただろ?

 

 あの時も「初めまして習合サッカー部の皆さん……兄さんがお世話になっています」とか言い出したからみんなに詰め寄られて大変だったぜ。

 メアなんて自分と同じクラスに織部姓の人間が入ってきたのを見て朝から混乱してたのが爆発してたな。

 転入手続きとか、いつの間にしていたんだろうな。さすが悪魔。

 

「……織部エマさんでしたよね。えーと、以前ネットで商品取引をしていただけで、血縁関係も一切なく……突然家に住み始めたんですかあの人?」

 

 うんそうだよ。エマ曰く「血が繋がってなくとも、魂さえ繋がっていれば問題ないのです!」だそうだ。その理論だとフェルタンとコルシアとも兄妹になるんだけど……まぁいいか。

 生き別れてもいない、血もつながっていない赤の他人だよ。

 

「……キャプテン、失礼を承知で申し上げます。

 

──その人、ストーカーです」

 

 百点満点だよ、泣けてくるね。でもさ、その積極性さえ抜けば本当にいい子なんだよ?

 朝起きたらご飯用意してくれてるし、お弁当作ってくれるし……買い物手伝ってくれるし、晩御飯作れば感想述べつつ綺麗に食べるし。

 

 その、風呂入ると視線が気になったりするのは怖いけどさ。あと布団に入ってこようとするし。流石にこれはワタリには言わないけど。

 

──気をつけろよ長久、奴は歪んだ愛の魔物だ。兄妹愛がどうとか言って理想の兄を求め、それを持つ妹としての立場に愉悦を感じる。お前が理想の兄から離れれば、強引にでも叩き直そうとするぞ

 

 そっか、そういう人?なのねあの子……コルシアも怨嗟の怨念とか言ってなかった? 若干被ってない?

 

──……我が求めるのは闘争における苦痛、恨み辛みだ。アレとは違う、分かったか?

 

 よくわかんない。

 まぁいいか。それで多分、布団に入ってくるのはあれか、寂しさから布団に入ってくる妹を寝かしつける兄ムーブを求めていたのかな。そんな感じにしたらすっごい満足そうに寝たけど。

 あのまま簀巻きにして海に捨てた方が良かったかもしれない。

 ところでなんか彼女、やたら姿がぶれるんだよね……。

 

──それは恐らく、奴が人間に擬態しているからだな

 

 

 ああそうなんだ。まぁ本物っぽい見た目の方も牛みたいな角生えたり蝙蝠みたいな翼あったり尻尾あったりするぐらいで大して変わらんけど。

 むしろ人外らしい時の見た目の方が違和感なくなってやりやすいまであるよ。

 

──前の契約者は格好つけがすぐに崩れてな。エマが来たあとにナンパをしたり弱音を吐いたせいで……

 

 せいで?

 

──まともなことにはならんかったな。エマから逃げるべく、奴は自分の精神を壊すための技を編み出し……この間砕け散った残滓はともかく、本人は入院中のはずだ。

 

 あー……なんであんな技作ったのかと思ったらコストの方が目的だったのね。なーるなーる……南無三。今は安らかに眠れ。

 って今はエマの事はいいんだ。遠出するときは一時間に一度メール送らんと怒るぞって言われてるけど、それさえこなせばいいと考えれば問題はない。

 

「……まあ、いい子だ」

 

「……そ、そうですか……まあ確かに今のところ他のマネージャーの方とも仲良くやってますね」

 

 うん、メアファンの子は他のメアファン押しのけてマネージャー希望出した猛者だし、トールファンの子は筋肉フェチらしく練習を傍で見られることに喜びを得ていた。エマ的には俺に近づく女子がいなければいいのだから争いは起きないという訳だ。

 メアとトール、爆発しないかな。今の所ファンクラブの数はメアがダントツ、次点でワタリ、三位がトール。

 

 ……俺? あるにはあるけど……会長がメアだったよ。後二人は悪魔信仰してたし、あれもはや黒魔術同好会だよ。

 

「ハハハ……みんな仲良く出来ればいいよね」

 

「急に会話に入ってこないでください父さん」

 

「息子がどんどん遠慮の壁をなくしていく……」

 

 当然だぞワタリ父。はしゃいで温めるシュウマイ弁当とか買って、匂いを車内に充満させたりした悪行をワタリは忘れてはいないからな。

 まあそっちからは見えないだろうけど、ワタリは語気こそ強いが別に嫌悪感示してないし好感度はそこまで低くなってないと思うよ。

 

「……今日は私の仕事につき合わせてしまってすまないね二人とも」

 

 本当だよ。どうせ今日の授業の所は予習こそしてあるけどそれでも人から教わるのとでは大分違うから……あとでメアからノート借りて復習しないといかん。

 でもメアのノート、落書き多いんだよなぁ……。

 まぁ、仕方がない。エマのノートよりかはマシだ。

 

「……県外に出るのは初めてなので、悪い気はしていません」

──ナガヒサ、東京名物を食べつくそう

 

「キャプテンはともかく、父さんが心配でしたし……」

 

 そう、学校を午後からお休みし、新幹線で東京へと向かう旅の途中なのだ。フェルタンは楽しみで仕方がないのか、心の中で食べ物の名前をずっと繰り返している。俺もお腹減ってくるからやめて欲しい。

 

 東京に行くことになった理由? あれだよ、サッカーだよ。

 

「まさか不正が疑われてしまうとは……」

 

「……まぁ、うちの成長速度は確かに他校から見て異常でしたし。しょうがないかと」

 

 そう、帝国学園に5-0で勝ったという事実が拡散され……とうとううちは、少年サッカー協会という中々の権力を持つ組織から「なにか不味い訓練をしているのではないか」という不名誉な疑いまでかけられてしまったのだ。

 仮に習合中がもう少し古株で回りともコネ作りまくっていれば疑われなかったのかもしれないが……まだ校舎ピカピカだしワタリ父も若いからね。しゃーない。

 

 と、言う訳で少年サッカー協会会長にある提案をすべく……メールという形ではなく直談判しに来たのだ。あ、当然アポはとってある。

 俺は部長だからってことで……特訓メニューとかは俺が管理しているものとなっているからね。実態はウリ坊たちによる魔改造をせき止めようとする係だけど。セーブ率? 30ないよ。

 

『──お出口は左側です、どなたもお忘れ物の無きよう──』

 

 ……さて、目的の駅についたわけだ。ここからその会長が務めている学校までバスで行けるはず。

 ……周りの視線が痛いな。

 

──ね、ねぇあの子……目が

──両腕に包帯巻いてるわよ……?

 

 ……泣きたい。俺だって好きでこんな格好をしてるわけじゃ……いや包帯は好きでしてるのか。

 今フェルタンのおかげで左手も治ったし、何もないのに巻いてるだけだもんな。

 

 

 助け──求める前に急ぎで件の中学校までタクシー乗れませんかワタリ父!?

 

「え、いいけど……凄いやる気だね」

 

 なのです!

 待ってろよ──()()()!!

 

 

 




 野生中との高さ勝負、イナズマ落としを習得した壁山たちの努力で一回戦突破出来た!
 けど次はデータを知り尽くし対策をしてくる強敵……そんな試合を前にした俺達に、ある男がやってくる!
 こいつが鬼道達を……!?
次回、イナズマイレブン「悪魔のキーパー!」
これが超次元サッカーなのか……!




 ようやく主人公出せるんやなって……なお時系列的に「野生中乗り越えた後」となります。
 織部の仕業により早期に影山が抜けたため、色々と混乱が起きています。

・影山からのスパイである雷門監督、冬海の失踪による響木監督早期就任
・帝国学園のスパイとして派遣されていた土門。帝国学園の混乱を受けスパイ業廃業間近。
・少年サッカー協会副理事長が突然の辞任により混乱、事態収拾のため習合理事長直談判決行


~オリキャラ紹介~
・謎のサッカーマスク一号 FW
 後ろ髪以外を隠した謎の男。傲慢な喋り方は相変わらずだ!
 光の矢とか撃ってきそう

・謎のサッカーマスク二号 KP
 待望のサブキーパー枠に名乗りを上げた男。しかし力量はまだまだ。
 いきなりの暴挙に出た兄に困惑し喋りがおどおどしている。
 巨大な鏡とか出しそう。

・エマ マネージャー
 兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん

 コルシアには強気、フェルタンには弱気な女の子。

・メアファンクラブの子 マネージャー
 ここに薔薇があると聞いて

・トールファンクラブの子 マネージャー
 ここに筋肉があると聞いて

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