かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について 作:低次元領域
たまに「あれ、今どの骨が無事何だっけ……と思ったりする」
あと壁山の地の文のやりづらさすごい
黒い蛇は、一瞬にしてそれを飲み込んでしまったッス。
「……ゴッドハンドまで──!」
ゴッドハンドはオレ達にとって始まりの合図。
部員も足りずに諦めてゲームをしていたオレ達にとって……ようやくそろったけど帝国を前に何にもできなかったオレ達の希望の証でした。
いわば原点で、どんなに強い相手でオレ達がやられても……キャプテンのそれだけは破られない。そう心のどこかで信じ切っていたッス。
だから、その必殺技を……突如として現れた悪魔が全て壊して食い尽くしてしまうだなんて、思ってもみなかったッス。
そのままボールは──
「──まだだぁ!!」
「キャプテン!」
キャプテンの目の前へと飛んでいったッス。少し呆気にとられた後直ぐにキャプテンは復帰し、シュートをキャッチしようと両手で抑え込もうとしましたッス。
……その姿を見て、織部は少しだけ目を丸くしていたような気がしたッスけど、ほとんど一瞬の事だったんでもしかしたら見間違いだったかもしれないッス。
「……何度も驚かされる。だが──」
「ぐっ……」
でも、
いくらキャプテンが口を開け進もうとする蛇を必死で止めようとしても、足腰にいくら力を入れようと……引きずるように押されて行って……
足がラインを割るとほぼ同時に、キャプテンはボールごとゴールに叩き込まれてしまったッス。
「……っうわぁーっ!!」
「──ゴールだ」
ネットが揺れて、限界まで伸びます。
前のめりに倒れ両腕からボールがこぼれて……思わずベンチを離れ、オレ達は駆け寄っていました。
「キャプテン!」
「円堂!」
慌てて寄って怪我はないか確かめる皆をヨソに……ボールはキャプテンの横を転がり、一度割ったラインを跨ぎ直して……そのまま止まることなくシュートをした人の元へと返っていったッス。
緩い回転がかかっていたとか、そんなことじゃなくて……。
「……おかえり」
ボールから、習合の彼から出ていたあの蛇が出てきたんス!
そしてボールが織部の左足に着くと、ズルりと出た蛇がボールから現れ巻き付いて……消えていったんです。
「ぐ──ふぅ……ありがとうフェルタン……今回はこっちの勝ちだ。
──本戦で待っている……雷門イレブン」
それだけ言うと、ゆっくり……ゆっくり歩いて河川敷から去り登って行くッス。
もう何も出ていないはずなのに、どうしてかその背中にさっきの蛇やら龍の姿を幻視しちゃって、思わず近くにいた栗松君の肩を掴んで震えちゃってるッス。
……少しもしないうちに、河川敷の堤防にタクシーとリムジンが一台ずつやってきましたッス。多分ですけど、片方は夏未さんが乗ってるんだと思うッス。
「ぅぅやめて欲しいでヤンス壁山~」
「わわっ、ごめんッス! ……それにしても、すごいシュートでしたッスね……大丈夫ですかキャプテン」
「あ、あぁ……」
俺達もそうですけど、キャプテンもゴッドハンドがあんな破られ方をして大分ショックを受けているみたいで……こっちの呼びかけに一応返してくれますけど、視線はずっと自分の手に向かっていたっす。
……あ、ほらタクシーから……たしかあれも習合の人ッスね。あっちの部長となにか話して……ちらっとこっちを見た後そのまま車に乗り込んでいきました。
……えーと、リムジンの方からは夏未さんが出て来たッス。なんかこっちに早歩きで来てますよキャプテン。
一応ちゃんと立ち上がった方が……な、なんというかやたら夏未さん怒ってるようにもみえますッスね。
「──完膚なきまでにやられてしまったようね、円堂くん」
「……夏未」
腕を組み見下す夏未さんを前にしても、キャプテンはどこか上の空ッス。
これは……重症かもしんないッス。オレもかなりショックでしたけど、キャプテンがこんなんじゃもっと駄目だって思うと不思議と心の余裕が出来ました。
「……彼が今の優勝候補校のキャプテン……キーパーとしてだけでもなく、シュートも一流なんて……あなたとは偉い違い様ね」
走り去っていくタクシーを見て、殆ど挑発に近い言葉を彼女は言いましたッス。
相変わらずキツい……あ、染岡さんが怒りそうッス。ちょっとまずいかもしんないッス……もしものために止めに入れるポジションに入れって半田さんが目でメッセージ送って来てるッス。
「おい! いくらなんでもそんな言い方──」
「貴方がFF優勝という夢を抱える以上、今は足元にも及ばない帝国に万が一打ち勝ちてたとしても……最後には彼らが必ず立ちはだかるでしょうね。
──諦めるなら今の内よ」
……あ、あれ? なんというかこれ……もしかして夏未さんなりに励ましてるんでスかね? 意外ッス。もうちょっと笑ってくると思ったんでスけど。
それを受けてキャプテンは……ようやく夏未さんの方を見上げました。 ……何処か戸惑ってはいますけど、いつものキャプテンの目っス。
「……いや、そうか……そっか『待っている』って言ってたもんな……!」
キャプテンは勢いよく立ち上がって、転がっていったボールを走って拾い持ち上げました。
その手のボールはシュートの勢いを物語る様に焦げていて……それを見て息を呑みながらも笑顔は崩れていないッス。
「……今はまだ全然だけど──次は勝つ、勝ってみせる!
……よーしみんな! 練習再開だー!!」
「えぇ……まだやるんスかぁ……」
「なんだ壁山、そんなこと言いながらもうスパイクの紐結びなおしてるじゃないか!」
相変わらずのサッカー愛っぷりに思わず文句の一つが出ちゃったッスけれど、そんな口とは裏腹にオレの体は直ぐに準備を始めようとしていたッス。
思わず恥ずかしくなって周りを見渡してみれば、オレと同じように苦笑いを浮かべていたり……でもみんな準備をしてるッス。
……流石にいきなりみんなショックから立ち直ったわけじゃないんでしょうね。オレもまだ、必殺技が何一つ……折角覚えたイナズマ落としも通用しなかったことに結構キテるッス。
悪魔のキーパーには……習合には勝てないかもしれない……でも、今は練習に励もう。キャプテンと一緒にサッカーを頑張ろうって、そうみんな思ったんだと……オレは思いますッス!
この答えに夏未さんは……何か、笑ってます? なにか企んで……いやな予感がするッス。やっぱりお腹空いたんでラーメンとか食べに行きませんか?
「……そう、強くなろうという気持ちはなくならないのね──ならいい訓練場があるわ」
「ほんとか!? ……って訓練場?」
「えぇ……本当は偵察対策も兼ねていたのだけれど……帳塚くんから聞いた話が本当なら、彼らよりも特訓に励む必要があります。
今は昔、かつての雷門イレブン──イナズマイレブンが使っていた『
……それが、地獄の練習の始まりの合図でしたッス……うぅ。
勘弁してほしいっす。
◇
速いし揺れが少ないなさては神の乗り物か新幹線。
両手骨折してるせいでワタリ父から奢ってもらった弁当もろくに箸が進まんが痛いの我慢して食べなきゃ……もう完全にバランスゲームやってる感覚だよ。きつめの包帯したまま食べる無礼をお許しください。さもなくば多分指とか全部グニャンってなるんだ。
……もう慣れてきたけど、なんで俺ただ東京旅行しただけで帰りが両手骨折に……。泣きたくなるね。まぁ人前で絶対泣かないが。
「……それで、PKは無事勝利したわけですか。キャプテンから見て雷門はどうでした? ……なんかいつの間にか必殺シュートも使ってますけど」
さてさていやいやワタリくん、なんか力隠してましたー? って目で見てくる気持ちはわかるがあの場でいきなり生まれたんだよあれ。え、その方が余計怖い? そんな……。
でえーとね雷門の今後? いやビビりましたよ。
足の痛み酷くて少しも動かしたくないからってこっそり、右足にのみ体重移して直立不動して見てたけどさ……なんでゴッドハンドをフェルタンが食べた直後に反応できるんだろ。
しかもあの威力をノーマルキャッチで……少しもってたし、終わった後怪我とかしてる感じゼロでしたし。
一瞬「あっやば、源田さんみたいになっちゃう!?」って焦った俺の心を癒して欲しい。
で、総評だよな。なんか壁山って子はジャンプ力あるなぁとか個人個人の話じゃないよね。
……うーん。
「──今よりずっと強くなる」
──貴様頭まで打っていたのか?
お黙りコルシア。時に正論は人を傷つけるんだぞ。
当たり前すぎること言ってお茶濁しておく……いや別に適当なわけじゃないよ? なんというか未知数過ぎてさ……。今こんくらいだろうなぁと予想するとそれを普通に上回って来たりして……成長期ってやつなんかな。
あの調子なら御影専農にも勝てるかも。……帝国はどうかなぁ、それこそうちみたいな訓練量に切り替えたら化けるかなぁ。
……そう言えば、待っているなんて言っちゃったけど雷門が途中で負けたらすっごい恥ずかしくないかこれ?! やっばい失敗した……帝国さんどうか雷門地区予選突破なりませんかね……こう、怪我に気を使って地区予選休んだりとか……駄目そうだなぁ。
お願い帝っちゃん、雷門をFF本戦に連れて来て……。
「……キャプテンがそういうのなら、間違いないのでしょうね。私も警戒しておきます」
「そうだな……」
あっこの唐揚げ、中に胡椒の粒みたいなの混ざってる。初めて見たかもしれんこんなの……。
味わってる心の余裕ないけど改めてワタリ父にお礼を言っておこう……いやなんかすっごいワタリ父見て来てるんですけど。なんです? 美味しいっすよ。
「その……長久君……あの時見えた変な龍について──」
『──あぁん? だぁれが変な龍』
「よせトロア……申し訳ありません。……新しく加わったトロアです。少なくとも、周りに危害は加えさせません」
車内で顕現しないで……気を使ってミニマムサイズになってるけど他の人が見たらパニック起こすから……唐揚げ用のレモンかけるぞ本当に。
握り潰すとかできないから目に直接塗り込む感じになるけど。
……お、引っ込んでくれた。ありがとうね。
──……両手骨折してるのに飯が食えてる契約者が言うと冗談に聞こえんからな
──お前の余計な行動がなければ片手は治っていたろうがな……
そこは本当に……ロアフェルドミネーションとか名付けたけど絶対に二度と撃たねーからな。
フェルタンが食べられてもキーパーが対処可能かもしれない技はきつすぎる……。痛すぎて一発でコルシアが殆ど力が元に戻ってたもん……。
むしろサクる前より力増してない? そろそろ勝手にコルシアも出てきたりするん?
──……いや、そういった契約を結んでからだなそういったのは。我自身の体、我の力……欲しくなれば願うがよい、代償はそれなりのものをいただくがな……フッフッフ
「父さん……その辺はあんまり気にしない方がいいんです──あぁそろそろ着きますよキャプテン」
欲しいけど今以上になんか要求されたらやばいからやめときます……。
っと、おおもうそんな時間か。乗り心地本当良かったなあ……立ちたくねぇ……!! あ、そういえば重り河川敷においてきちゃったよ。道理で体は軽いわけだ。
……いやそれでも筋イカレテる足で立ちたくないんですけど。
あ゛あ゛っ。
◇
……必要最小限の荷物でも投げ捨てたい気分に駆られながらの下車。
駅から出れば本日最後の刺客としてなのか習合の皆が待ち伏せしておりました。よく気が付いたなって?
ウリ坊が低空タックルしかけてきたからね……すばらしい一撃だったよ。思わず倒れてしまったのをごまかすために叫び声もあげず「いいタックルだった」って褒めることしかできなかった。……叩くぞ貴様。
「へへ、どんどん強くなってどんなボールでも止めて見せますからね!」
「……!」
俺も俺もって感じだなカガ。よし二人とも試合中はどんどんシュートブロック頼んだぞ……。ちょっと待って、立ち上がるのに一呼吸置かないと立てないの。
……お゛お゛っ。
よせメア! 肩掴んで揺らすな! 後顔近い! 何でそんな鼻息荒いんだお前……ジミーは後ろで苦笑してるんじゃない! 支えてくれ副部長……。
「おつかれリーダー! ワタリからメールで聞いたけど新しい悪魔が出てきたんだって!? 少しだけ、少しだけでいいからその姿を見せてくれないかな……!」
──トロアっち人気だねぇ~出ないの?
──……自力で天使に近い力を得ようとしている奴の前なんぞに出て堪るか
頼む出てくれ、メアの気を逸らしてくれ……駄目か。許さんぞワタリ……悪意ゼロだろうってのは分かっているけれども。
……早くも力が欲しくなってきたんですけどどう思うコルシア。出てくれたりしない?
──いやだ
そっかぁ……。
アルゴは相変わらず甘酒……やたら飲む量多くない今日? なんかいいことあったの?
「何でも必殺シュートも出来たんだって!? その……-僕と合体技とか考えてみないかな!? 光と闇の力を合わせればきっと無敵だよ!」
いやだぁ……絶対足壊れるシュートでお前と一緒に合わせたら怪我酷くなりそう……。そもそもFWとGKとか離れすぎてて必殺技一緒にやるの無理でしょ。
メアは……うん、一号と技の相性いいしそこで組んでみたりしたらどうだろうか。……ってあれ、そういえば一号と二号はいないのか。迷子かな?
えっなにグラさん。違う? 練習終わったあと這い這いになるほど疲れていたから流石に置いてきた? ぇえ、何させたの……必殺技をいっぱい使わせた? あぁ……なんとなく察せたぞ。
頑張れ高天原コンビ……特に二号の方は次の試合必ず出場してもらって負担減らす予定だから……。八咫鏡が進化すればFFメンツ相手でもきっと行ける。
「あっそういえば部長、ソニックが新しい必殺技を編み出したッス! めっちゃすっごい竜巻で……とにかくすごかったッス!」
「ハッ、ようやく調子が戻っただけの事よ……」
今気が付いたんだけど壁山くんとバングって口癖同じなんだね。もし合えたら仲良くなれるかな……ッスッス繰り返されると流石に煩わしそうだな。
で、ソニックの必殺技? しかもDF技でシュートブロック可能? よくやった!! 本当によくやった!!
流石だぞソニック……お前に最初会った時全力で走れないとか言いつつ俺より普通に速かったのほんと何なの……って思ったこともあったけど流石だ。
「流石だソニック」
「……フッ」
ニヒルにふるまっているつもりでも若干口元緩んでるぞ。
……よし、皆伝えたいことは伝え終わったな? トールはメアを引きはがしておいてくれ。……目で伝わるとは流石だぞトール。
うん、俺からも言うことがあるから離れててね……拗ねないでメア。
「──一月もしない内に各地区のFF予選が終わる。本戦……勝つぞ、みんな」
──オーウ!
……よし、なんかいい感じ纏まったしこのまま帰っていいよね。じゃあ俺今日はもう家に帰りますので……定時なので。
メール読む限りエマは晩御飯の用意でもう帰ってるっぽいし。いいよね。
ん、どうしたジミー俺の隣に寄って来て。
「──よーしじゃあ部長も戻ってきたし練習しに河川敷に戻るぜみんな!」
──オゥ!
???
何を言ってるんだいジミー。ええとなんでみんなもう走り出そうと準備始めてるの?
なぁワタリ、僕たちは新幹線でくたくたなんだよ。今日は流石に解散したほうがいいよね……って君もなんで荷物をワタリ父に託そうとしてるの?
……えっ、えっ?
……そうか、そりゃ勝つぞ! って言って素直にそのまま帰るはずもないか……。
助けて!!
残 業 開 始
ようやく雷門殴り込み編が終わりました!
次回からの予定としては「束の間の休息、長久の夏休み編」とか挟もうかな? って思ってたりしたのですがどうしようか悩み中。内容もかなり緩く、メアの姉のお買い物につき合ってもらったりとか、崖の下に落ちたりとかそんなんです。海辺怖いじゃろう。
ちなみにその後は「死ぬな部長 FF本戦!」ですね。あまりトーナメントの当たり方は変えていないので、高天原中の場所にすっぽりおさまり……一回戦の相手は「代之総中」というところが相手です。
ダイナソーって事なのできっと恐竜とか多いに違いない。
~オリキャラ紹介~
・トロア
レモンはやめて欲しい悪魔。目に憑りついたばかりに。
それはそうとサイズは自由に調節可能。自由気ままにふるまうが感性は常識に寄っているのでツッコミも出来る。
・コルシア
契約すればヤル、しなければヤラヌ何事も。
それはそうと犠牲にされる。仮に顕現にしていたら手からリードみたいな感じに伸びる黒シベリアンハスキーっぽいのが誕生していたかもしれない。
していたら多分メアにお持ち帰りされる。つながっているので部長もされる。メアファンの妄想ははかどる。いいことづくめだな。
・フェルタン
自由過ぎるがゆえに最近あまり喋らない。ご飯をよこせ。
・エマ
信じて家に帰ったら兄さんが残業に連れていかれた件について
無事(???)帰宅した長久の格好つけ兄ムーブを受け機嫌は治った。そして胃に対する物量作戦が敢行された。