かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について 作:低次元領域
……いや更新遅れてすみません。
『会場の皆さま、大変……大変長らくお待たせいたしました!!
大変よき天候にも恵まれ本日、ついにフットボールフロンティア全国大会が始まります!』
頭上のスピーカーから響く実況の声。
湧き上がる観客、轟く祝砲。
既に屋内で待機している各校の選手たちは入場、行進が始まるのを今か今かと待っていた。
初めてのことに辺りを見回す者。緊張を抑えるためか掌に人と書いて飲み込むもの。あるいは行進の流れを仲間に確認しているもの。
けれど、俺の後ろにはただ身じろぎ一つせず待つ男たちが十三人。内十一人は自分と同じ深緑のユニフォーム。
他二人は橙色……キーパーとしての誇りを放つものを着用していた。
──俺達は帝国学園。ほんの少し前まで無敗だったもの。
フットボールフロンティア四十連覇を成し遂げてきたもの。
──見ろ、帝国だ……やっぱり風格がちげぇな
──へん、張子の虎に決まってら。今年の帝国なんざどことも知れねぇところに負けたろうが
「……」
「……気にするな佐久間」
だがその絶対的地位は今、揺らぎ崩れ落ちそうになっている。
練習試合での大敗、影山総帥の突然の辞任。
ついには地区予選決勝にて、成長した雷門中に負けた。
去年の優勝校に与えられる特別措置にて全国大会出場は揺るがなかったが──
──影山が居なくなったことで明かされた数々の不正の痕跡。
新鋭校の選手に対する妨害工作は当然のこと。手駒とした者を操り……当時、木戸川清修のエースであった豪炎寺に、或いは雷門イレブン──そして数十年前のイナズマイレブンに対し……いや、味方に行った非道さえも。
影山は当時、なんとイナズマイレブンの一員としてチームに所属していた、雷門中の人間であったのだ。
誰もそれを知らない、知ることが出来なかったのは当事者以外が知らぬよう情報を操作していたためか。
奴は大会決勝当日にバスに細工を加え……結果、イナズマイレブンの多くが大怪我を負い欠場、表舞台から去ることとなってしまう。
帝国学園の無敗を守るためには影山の存在はとても都合が良かったのだろうか。
先代の帝国総帥となんらかの取引でもしたのか、その後は帝国学園のナンバー2として就任。
先代の総帥が引退し実権を握った後は勝つために多くの工作が行われ、手駒の数を増やしていった。
昨年の俺達との試合当日、豪炎寺の妹を事故に見せかけ……意識不明の重体にされたことも、奴の仕組んだことだった。
これにより攻撃の要を失った木戸川清修は崩れ、俺達は危うい事もなく……悠々と勝利を奪い取った。
去年の優勝が汚れたものだと知って、どれほどみんなショックを受けた事か。
……妹が試合に出る自分を見に行く道の途中で事故に……そう思いこんでいた豪炎寺はそれが原因でサッカーを止めた。
そうしてチームとして成立もしていない、サッカーがないと思っていた雷門へと転校した。
だが次の年、豪炎寺を追い雷門にやってきた俺達の行為を見て奴はサッカーに復帰。
そして雷門に眠っていた……イナズマイレブンを率いていた円堂大介の孫、円堂守を目覚めさせることになる。
因果と言うものは存在しているのかと思わず考えてしまった。
そうしてあいつらがとてつもないスピードで成長しやってきた地区予選。
……俺達はそこで初めて、奴の醜さをその目で見ることになった。
影山は雲隠れをした後も失っていない力を使い、考え得る限りの酷い手段を放つ。
それはフィールドの天井の一部のネジを緩ませたこと……試合中に鉄骨が落ちてくるように仕組ませた。
──奴は、雷門イレブンを
下手をすれば俺達も……。
それを防げたのは一重に影山を追っていた警察の方からの忠告、そして雷門側に居た元スパイである土門の気が付き。
この二つがなければ……俺はフィールドに落ちていたネジに気が付けず……最悪な事態になっていただろう。
これを受け俺達の中でも疑いが確かなものとなったのは至極当たり前だった。
その後、雷門への申し訳なさから降参を申し出た。いくら知らなかったとはいえ自分たちのかつてのリーダーがやったことには変わらない。
だから俺達がお前らと戦う権利はないと、そうみんな口々に言った。
──関係ないって! ──サッカーやろうぜ、鬼道!
けれど、雷門はそんな俺達を鼓舞した。
サッカーをしようと言ってくれた。
──フッ、後悔するなよ!
……そうして全力で挑んで、負けた。
だが確かに、あの時のサッカーは今までしてきたものの中で一番楽しく、熱中出来た物だったのは間違いない。
今も思い出せば心のどこかが熱くなる。
だからこそやはり、勝てなかったという事に対して悔しさも大きかった。
「(もう一度……次は俺達が勝つ!)」
だからこそ、今度こそ、俺達は実力で王者となる。なって見せる!
その為には誰よりも強くならなければならなかった。急成長を続ける雷門よりも、底の全く見えない習合よりも。
とうとう始まる、やってきてしまった日。
どれほど
どれだけ強くなれるだろうか、不安は尽きない。
それでも、俺達は強くなる。
自分たちのサッカーを極め……不確定で可能性が低いかもしれない勝利をこの手に掴んで見せる!
──おっといくぞお前ら
──ケケケ、分かってますよキャップ
そんな中、一番入口に近かったチームが動き出す。
確か奴らは……代之総中。標高の高い場所に位置する学校で鍛えられたスタミナと、精度は悪いが荒々しいプレイスタイルが売りのサッカーをするチーム。
前に立っていたプラカードガールが先導し、光あふれる外へと歩き出す。
その一歩一歩、手の振りには自信が満ち溢れトップバッターにもかかわらず少しも臆していない。
ああいった輩は試合中も調子に乗せればどんどんと厄介になっていく。最初に出鼻をくじくのが一番だが、それは相手も承知の所だろう。
奴らと一番最初に戦うのは……習合か。
勝ちは習合がとるだろうが……一体どんな試合になるか──。
「……ん?」
後いくつか進めば次は俺達の番だ、そう顔を向けることで後ろの佐久間達に伝えようとした時だった。
視界の端……代之総中のメンバーで唯一……最後尾で一人、出遅れた男がいた。
そいつはそれに気が付いている素振りはあるもののまったく急かず、のんびりと背伸びをする……気の抜けた男だった。
──っ、おい助っ人! 遅れんじゃねーよ!
──ハイハイ……またく、急がなくとも会場は逃げナイヨ
「……奴は」
トゲトゲしく長い髪。後ろで一つに束ね先を編んだその形に見覚えがあった。
だからこそ、俺はふと思ったのだ。
代之総中が勝つ可能性はゼロではない、と。
しかし、この考えはどこかまだ習合の強さに甘さを抱いていたのだと俺は直ぐ後に気が付くことになる。
◇
『今大会は全国大会が始まる前より大荒れ! 各地より激闘を制した猛者たちがここに!!』
俺は格好いい行動が大好き、というよりかは格好悪いのが大嫌いなんだよ。
どんぐらい嫌いかって言うと、最近どんどん寝床に入ってくる頻度が増えた謎の妹が謎の食材を料理してても何も言えないぐらい。
食べた後なら言える「この食材なに?」って。大体滋養強壮に良い漢方紛いの植物だったり、普通捨てる動物の臓物だったりするけれど。
美味しい時はいいんだけど……癖が強すぎて喉を通らない時もしばしば。しかも量が尋常ではない。
無理やり消化しても血行が良くなりすぎてな、練習の疲れですぐ眠りに落ちるはずの体が数十分布団の中で意識を保つレベルに元気になる。
本当にアレは人体に無害なんだろうか……。まぁそれはそれとして。
『──今、選手入場ォ!!』
『まず一番最初に入ってきましたのは中部ブロック代表、代之総中だぁ!』
だからまぁうん。選手入場なんて晴れ舞台中の晴れ舞台を前にして俺は少し緊張している訳なんだよ。
どれくらいかって言うと黒包帯巻いて行こうと思ったのに普通の白包帯巻いちゃうくらい。
気が付いた時すっごい恥ずかしかったけど「──そうかリーダー、既に封印をする意味もない……太古の戦争で猛威を振るった闇の力を手中においたという事なんだね!!」ってメア解釈に助けられたね。わけわかんねぇけど。
『代之総中は地区予選で必ず点差を3点以上獲得し勝利を収めてきました! その攻めの強さを持ち全国大会を駆け上がるかぁ!?』
あっ、ウチと一番最初に戦う所だな。
福井県にある代之総中。パスミスやらドリブルミスが他校より目立つけどそれを補うフォワード陣、キーパーの強さがある所だな。
ツートップのうち一人FWがキャプテン。恐竜の足をイメージして高所から叩き踏み潰すシュート技「ダイナソースタンプ」って技が有名だな。
キーパーはトリケラトプスの三本角を現しているのか、両腕と頭で真正面に弾き飛ばす「トライデントホーン」って技を持っているはず。
……まぁ俺はともかく他の超次元な部員たちを相手できるのかというと断言できないんだけど。
メアの相手は無理だろうな……うん。
ってあれ? なんか前調べしたはずなのに知らない選手が一人混ざってたな……?
あんな紅い目の選手いたっけ。後で詳しく調べておこ。
そんで次々と皆入場していくな。
忍者っぽいところとか見た目ロボっぽい奴とか海賊帽子被ってるやつとか……うんここはハロウィン会場か!?
サッカースタジアムだよな……? なんでみんなこんなに見た目いかついんだよ。
帝国学園のゴーグルとかドレッドヘアとかマントとかが霞むじゃないか。俺達結構個性的な集団だとは思っていたけれど見た目モブみたいだな?
やっぱり包帯は黒にしておくべきだったか……。ついでに海賊の人見習って眼帯とか付けようかな。
視線には慣れたからどうだ格好いいだろうって見せびらかしてはいたが……眼帯とかで隠しておいて「本気を出す」みたいなこと言いつつ取ったらめっちゃ格好いいんじゃないかって事に最近気が付いたよ。
──なんだ長久、貴様まだ本気ではなかったのか?
本気3000倍だけど?? なんなら今突っ立っているのも疲労的な意味で辛いよ?
……そうだなこれやるには隠された力とかないとすっごい格好悪いな。……これはハロウィンのコスプレ案とかにしてしまっておこう。
サンキューコルシア。
──コスプレはするのか……
『続いて関東Aブロック代表──雷門中学!
地区予選ではあの帝国学園を下し今大会注目が集まっております! 40年前の伝説、イナズマイレブンの再来となるかぁ!?』
円堂さん率いる雷門軍団、豪炎寺さん以外大なり小なり緊張しつつ入っていったな。
チラッとこっち見てたけど俺のこと覚えてるかな。顔見知りレベルだけど、それでも知り合いが勝ち進むのは嬉しいよね。
まぁ……地区予選ではどんどん強くなっていって震えましたよ。そうかアイツらうちの部員と同じような人たちなのかって気が付いた時はもうよく生きて帰ってこれたなと更に震えましたね。
もう震えすぎてただでさえない贅肉が削げ落ちるぐらいに。
さて、会場に入っていく雷門の人たちの体を思い浮かべてみるか。
心なしか以前見た時よりも体が仕上がって服もピチピチ……いや、アイツら……さては服の中に重り仕込んでる!?
ふふ、俺の真似かな。……しなくていいんだよ。
だからかなのか、少し動きぎこちない部員が居るけど開会式の時ぐらい外そう!? まぁこっちも俺だけこっそりしてるけれど! 重り仲間出来てもこれっぽっちもうれしくないからな!!
その特訓してるとかますます強くなること確定じゃん……勘弁してくれ、仮にぶつかることになった時どんだけ強くなってるんだあいつら……。
絶対その時になったら二号にキーパー任せてベンチ居座るぞ俺。
今の内から格好悪くない理由探しておこ……。
『続きまして昨年優勝による特別枠として、帝国学園が入場だぁっー!!』
……帝国の人たちは全員俺をこれでもかってぐらい睨みつけて入場していきました、はい。「絶対に俺達が勝って見せる」みたい闘志が込められていましたが……それは俺にではなく後ろの部員たちに頼む。
「んだゴラアイツら……! やりてぇんだったら今ここで」
「──トール、落ち着け」
トールは喧嘩売られたと思って隊列崩しかけないように。ステイ、ブロック的に準決で当たるから怒りはその時に放つのだトール。
あとこっそり見えないと思って後ろの方で甘酒飲もうとしているアルゴ、行進の時は仕舞っておきなさい。
『今年は番狂わせが続く中、絶対的王者の地位を脅かされた彼ら!
気合も新たに王者奪還を目指します!』
奪還……まだ優勝決まってないのに? まぁ敗者復活的な立ち位置だしもう失ったものとして扱われているのか。
しゃーないか。それはそうと多分俺達と練習試合した時より強くなってるよなあの人たち……。
源田さんと寺門さんも怪我から復帰してますし、エンゼルブラスター改はもう効かん! とか言い出されませんように……。
それはそうとなんか影山さんが辞めて色々とごたごたしているらしいが大丈夫なんだろうか。
調べた限りだと不正とかなんか言われてるし、もしかして俺達との試合の後辞めたのって帝国が負けたって事実に視線を誘導させてそのうちに隠れるためだったり?
うーんなんか違いそう。
『そして、今大会の出場校を語る上で彼らの事を無しでは語れません!
なんとチーム結成より半年未満、彼らの戦いぶりを見て予選対戦校全てが棄権を表明! 公式戦0回で全国大会進出という偉業を成し遂げた男たち!!』
え、そんなところうち以外にあるの? 知らんのだけれど。時間なくてまだ参加校数校しか調べてないからそれ以外の所かな。
しかし全部棄権って……どんな凶悪なサッカーすればそうなるんだ? もしかして影山さんのソレらしく脅してとか……なにそいつらこわっ、絶対試合したくないぞそんなとこ。
「ぶ、部長」
お、どうしたウリ坊。ユニフォームを引っ張ってはいかんぞ。部員の皆に仕込まれた重りのバランスが崩れて倒れるからな。
……あれ、目の前に居たはずのプラカードガールさんがいない。おかしいな、俺が怖くて逃げ──ああ違う? 少し進んだ先にいるな。
随分困ったような顔でこっち見てて……うん?
『近畿Bブロック代表、注目度ナンバーワン!
デビルズキーパー織部長久率いる──』
「ボス、もう呼ばれてるが行かなくていいのか?」
あ、あぁぁ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!
やらかした、やらかしたやらかしたやらかした!!
「……ふふ、違うよグラさん。リーダーはわざと遅らせて一瞬周りに疑問を持たせた後君臨することで──」
助け──じゃねぇ全力ダッシュだお前ら!!?
もうチーム名呼ばれた瞬間には会場内にいないとまずい!
「──駆けるぞ」
──オゥ!!
「フハハハ! 滾るな部長!」
あっ違うソニック待って確かに走るとは言ったけどそんな普段の練習の時並の全速力じゃなくてい──いや速いね皆!?
そうか重力訓練でもうみんな二倍の重力で以前と同じような動きしてたもんね。つまり単純に以前より二倍の速さで動けるように……まって連れてかないで!
一号二号止め──アッ駄目だ
助けて!
◇
『習合──』
一瞬にして奴らはその場に現れ、制した。
快晴、半袖でもジワリと汗が額を伝うほどの熱気。
フットボールフロンティアスタジアムを覆っていたはずのそれは、一陣の風によって吹き飛ばされる。
ゾクリ、体の底を冷やすソレ。
思わず実況の声が止まる。決していけない事だと理解していたはずの口が閉じる。
黒と赤を基調としたユニフォームの一団。そこに混ざる二人の緑色。明るい色だというはずなのに毒物を思わせる色に思えてしまうのは彼らの威厳が故か。
初めの十一人に加え、同じ地区のトッププレイヤーとその弟を加えた十三人。
目にもとまらぬスピードで動いたのだろうか。そう認識したというのにどこか「異空間から現れたのではないか」なんて妄想すら抱いてしまう彼らを見て、
「……来たか」
そう呟いた。
何かしら仕掛けるのではないか、と予想していたからか周りの奴らよりかは驚きが少なくすんだが……他の者は駄目だろう。
少なくとも周りの者は皆、奴らに度肝を抜かれている。
……これが狙いか。確かに出鼻をくじくものとしてはこれ以上のものはない。
『し、失礼いたしました!
改めまして……その強さは未知数、今大会の台風の目となる男たち! 習合中学の登場でございます!』
少なくとも、侮っていただろう中学も皆今「習合は何か違う」そう確かに心に刻み込まれた事だろう。
当然それは、あの時よりかは強くなったとどこか思っていた俺達もまた同じ。
──確実に、あの日の時よりも強くなっている。
「……(乗り物酔いならぬ部員酔いした……つらい、助けて)」
特に、世界に対して絶望でもしているかのような負のオーラを放つ奴……織部を見て、そう感じることしかできなかった。
ちなみにゼウス中の人たちは普通に調整中として欠席した説明が会場内でされましたが、習合がやらかしたせいでみんな頭に入っていませんでした。
ゼウス中って名前に悪魔たちが反応しかけましたがそれやると会場がやばいので必死で抑え込む長久が居て、その後姿を見て「やっぱ闇の力とやらはもうあやつれてるんだな」と納得する部員たちが居たとかいないとか
それはそうと、カンタム、アクション仮面、ぶりぶりざえもんを鬼滅の刃に出したらウケるのでは? と昨日思いました。
~オリキャラ紹介~
・エマ 妹
おかしい……いくら完璧な兄さんとは言え、美少女な妹が薄着で寝床に来ているのだから少しぐらい誘惑に振り向きかけてもいいのでは? もしやホモ……?
と疑いを持ったりはするが格好つけ兄さんムーブによってほだされる人。悪魔の中で一番長久に弱い人。次点コルシア。中国四千年の歴史みたいな変な食材をどこからか調達し始めた。
・代之総中の助っ人
紅目って格好いいよね
中国人らしいアル