かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について   作:低次元領域

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殿堂入りしてました(土下座突き)
何となくで選んだヒバニーが最後サッカー技覚えて運命のつながりを感じましたねぇ!!

それはそうと、ボール置くだけで瀕死から快復できるポケモンセンターが欲しい。あればいくらでもサクリファイス出来るのに


次元が高まる日

 

 夢を見ている。みんなで。

 

 悪夢なんてとんでもない。すごくて、幸せで、決して壊したくない、覚めちゃ……冷めさせてはいけない──

 

 旗を振り応援する大男、

 

 子供を連れ添いながらも爛々と目を光らせこちらを覗き込んでいる家族、

 

 撮影器具の調整を行い、一秒一瞬も見逃さないと意気込みを見せるカメラマンたち、

 

 ……みんな、僕たちを見て期待している。

 きっとこの状態が好きな人だっているのだろう。スポットライトを浴びるというのはとても気持ちのいい事だと昔はよく教えられたからこそ思う。

 

 けれど、僕が感じる熱は"そこ"だけじゃあない。

 

「……あぁ、今日この日こそリーダーたちの覇道が多くの人へと知られる日だね。

光を放ち……僕はもっともっと強くなってみんなの進む道を照らして見せる!」

 

 後ろを見る、僕の中身を知ってもなお居てくれる仲間がいる。

 その誰もが光を持ち、決して僕自身が照らす必要もない人ばかり。

 

 けれどそうじゃあない。必要がない事でもあれば嬉しいってこともある。

 彼らの光量に負けない強さを持つことでより彼らの煌めきは強くなる……かもしれない。

 

 なんてね。

 

「相変わらずメアちゃんは微妙に何言ってるかわかんねぇな!」

 

「ひどいなジミーくん!? ……ふふッ」

 

 ジミーくんの軽口に反応を返して……少しの後に笑いがこみ上げてくる。

 結局のところ、僕は僕を受け入れてくれたみんなの為に張り切っているだけなのかもしれない。

 仲間の熱に浮かれているのかもしれない。

 

 でも、絶対に……この光と熱は絶やす気はない!

 君もそう思うよね、リーダー?

 

「……」

 

 目をやや細め、観察を続けている彼を見てまた笑みが浮かぶ。

 君の内に秘める多くの闇すら締める黒い光はやっぱり暖かい。思わず欠伸をしてしまいそうな心地よさすらある、流石に眠ったりはしないけど。

 

 

 熱狂の渦の中心に、僕達は立っている!

 フットボールフロンティアスタジアム、そして僕達の試合が今始まるわけだ!

 

「すっごい人の数……」

 

「縮こんでんじゃあねぇぞウリ坊! ……よっしゃあ! バング、ビビッてねぇだろなぁ!?」

 

「もちッス! エンジン全開でぶっ飛ばしていきますッス! 」

 

 騒ぎ、キックオフを今か今かと待ちわびるウリ坊くんたち。

 残念なことにコイントスに負けちゃってボールは彼ら……代之総中。攻撃の初手を握られた事になるけれど……まったく不安になっている様子はない。

 

 ──笛の音が鳴る。

 瞬間、空気が揺れる。

 

「いくぞ習合……勝つのは俺達だ!」

 

『さぁ、今キックオフでございます!! 代之総中のキャプテン竪村(タテムラ)、ボールをしっかりと受け走り出しました!』

 

 代之総中のキャプテンが豪快にボールを蹴り出し、試合が始まった。

 まずは僕、ジミー、ワタリが位置的にぶつかることになるんだけれど……。

 

「作戦通り行くぜ!」

 

「もちろん!」

 

「はい、確かに」

 

 ジミーの掛け声に合わせて僕たちは……ボールを無視し、前線へと走り込んでいく。

 チラリと後ろ目で彼にエールを送りながら。

 

「っ!?」

 

『な、なんと習合FW陣、竪村を無視し代之総陣営に入り込んでいく……? 大胆不敵と言うべきかぁーっ!?』

 

 習合の凄さを見せつける時だ!

 さあ出番だよ──グラさん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんで三人ともあっちの陣地に走り込んでるんだ……見た感じトール達も特に驚いてないし……俺だけ知らない感じ?

 もしかして作戦会議の時眠すぎてうんうん頷いたりしたのかな俺。

 

 あぁとても眠い。眠過ぎるのだけどもしかして今俺は悪夢を見ているんじゃなかろうか。

 夢なら早く覚めてくれ。きっと今頃俺は至極普通な力量の仲間たちと来年のフットボールフロンティア出場に向けて頑張っている違いない。そんで転んで頭うってしばらく気を失っているに違いない。

 

 断じて、頭おかしい次元の奴らに引きずられて魔の地でキーパーをしている筈がない。

 

──妄想の世界に逃げるのは楽でいいな。……体は依然現実世界に置き去りのままだが

 

 逃げられたらなぁ! まあ逃げられないからこんなとこまで来ちゃったんですけどね!

 あと頭痛気遣って小さめの声で話しかけてくれてありがとう。

 

──契約者よ、目を閉じるでないぞ? 折角妾が力を蓄えられるいい機会なのだ!

 

 はいはいそうですね……俺も流石に戦地で眠る程間抜けじゃないよ。

 あと今の流れでよく普通に大声出そうと思えましたねトロアさん。後でレモン目薬の刑だからな。

 

 ……頭痛がしても全く眠気が覚めないか。万が一眠ったら起こしてコルシア……。

 

──我を目覚まし時計代わりにするな……契約として一応受理しておこう。代償は成立後に領収する

 

 サンキューコルシア。

 ……で、試合だようん。

 

 代之総中のキャプテンがこちらを警戒しつつもどんどん進んでくるじゃないか。

 いい動きだなぁ、前調べした時よりドリブルの精度がよくなっている気がするぞ。流石だ。

 更に体格もいいと来ている。あれを止めるのは至難の業だぞ。

 

 ……ま、まぁでもうちの陣営にはMF、DF含めてまだ7人いるからな! 流石にこれを簡単に突破は出来ないだろう。

 なんならソニック辺りが自慢の快足で──

 

『習合MFも動かず……!』

 

「随分と舐めた真似を……後悔することになるぞ!」

 

 止めて……くれないんだ!?

 嘘だろ! ソニック少し企んだ顔してるけど動かないんだ!?

 

──ふーむ、中々に強そうだ。このまま必殺シュートを……いい考えだと思わぬか?

──賛成、美味しそう。コルっち生贄頼むね~

 

──よく考えろお前ら、前半数分で片手と我の魂を使わせようとするな!?

 

 頭の中で喧嘩しないで……マジで痛い。フェルタンがこういった痛みとかも治せたら……。

 

──無理

 

 そうっすかぁ。

 いや、でどうすんだよこれ。もしかして俺が一度サクリファイスしてドミネーションしメアたちにパスとかそんなエグイ作戦じゃないよね?

 骨二本いきなりやらかすわけにはいかないから今からでも作戦変更……あぁ大丈夫そう。

 

 グラさんが一人、竪村さんに対して指をさしている。

 何かやる気だ。よし頑張れ、すっごい期待してるから!

 

デッド──」

 

 キラリ、観客席が光った。

 カメラのシャッターか何かかな。いぇーいみんな見てるぅー?

 俺だけはなるべく撮らないようにね。みんな映り込まないように気を付けているけど映ったら面倒なことになること確実だから……。

 

「──スナイパー!!!」

 

 瞬間、人が吹き飛んでいた。

 

 比喩ではない、現実だ。斜め後ろへ転がっていく代之総中のキャプテン。

 次いで聞こえたのは……()()。観客席で光った場所からは煙……えぇ?

 

 そんでボールは転がってグラさんの足元に……そんでこっち見てサムズアップ。

 

『い、今のはいったい──』 

 

「ヤったぜボス!」

 

 殺ったなお前!? 雇ったのか!?

 ……いや流石に本物じゃないか。大方……超次元サッカー的力で狙撃手を作り出して観客席から狙撃したのか……?

 これがもう一つの度肝を抜くとか言っていた技か。うん肝が抜けるというか冷えたよ。

 

「さてと……そっちも仕事だぜメア!」

 

 そんでそのままソニックとかにパス……じゃなくてクリア? にしては強すぎる……あぁそういうことか!

 

「──光よ、我が身から溢れよ

 

「飛ぶのは本当に気分がいい……フェイク・フェザー!」 

 

 地をジミーが走り気を引き、低空をワタリが幻惑の羽で目隠し。

 それよりも遥か高くにいるメアが既に、シュートの態勢を作り出している……いや高いな今日はほんと。軽く10mは飛んでいるんじゃないか? 走り高跳びとか無敵なんじゃないかアイツ。いや流石にサッカー関係ある時じゃないと翼生えないらしいけど。

 

救いを求め天を仰ぐ人々へ!

 

 2対の翼に宙に支えられたメアが繰り出すはカカト落とし。

 足がボールに触れる瞬間に、メアの体から溢れる光を翼以外余すことなく注ぎ込み光弾を作り出す必殺技!

 普段は俺の生命を脅かす悪魔が今はこれほどに頼もしい。

 

──天使だがな

 

 仮に天使だとしたら天へお迎えするタイプの方だよ。

 ほらみてよ相手キーパーなんてまだ状況を掴めてなくて構えすらできてない……えっ?

 

 殺人シュート相手に……やばくない?

 

「──エンゼル・ブラスター改!

 

 逃げろぉキーパー!?

 

「っ、なめんな!」

 

 あ今ようやく気が付いて必殺技使おうとしているけどもう無理だよせ……!

 見た目以上に速いんだぞそれ、光っているせいでボールの位置が掴みづらいし! 

トライデントホ──ッ!!

 

 3本角、薄い緑色のトリケラトプスが顕現しかけた瞬間に、光弾が全てをぶち壊して進んでいった。

 あぁ……南無三。いや例え最初から構えられてても止められないってあれは。

 

「……何が起きた?」

 

 デッドスナイパーで吹き飛ばされたあとようやく立ち上がった竪村さんが辺りを見て呆然としている。まぁそうだよな……。

 なんなら会場が引いてますし。審判とか笛吹かずに立ち尽くしている。お仕事頑張って。

 

 ……うわ、ゴールごと吹き飛ばされてる。やっぱ今日のメアかなりはしゃいでるせいなのか威力増量されてるされてない? 後ろに人いなくて良かった……!

 見た感じだけど大丈夫じゃないよなあの人。起き上がれてないけど……頭を打ったんだとしたら早く処置しないと後が大変だ。早く担架で運んでもらわんと。

 

 ……その為には早く試合を一度停止させんとか。

 

「……審判?」

 

「っ、──!!」

 

 重たい瞼を片方閉じ、トロアがいる方の黒白目だけで審判を見る。

 直ぐに呼びかけに反応、笛の音が鳴る、頭が痛いからやめて欲しいけど必要な犠牲だ。

 

「……寅助!? 大丈夫か!」

 

 竪村さんたち代之総中がキーパーに駆け寄る。

 ……罪悪感すごい。やってしまったメアも少し心配そうにしている。

 担架がすぐさまやってきて寅助と呼ばれたキーパーが運ばれていく。後でしっかり謝りに行きます……本当にすみません。

 

「どうしました部長」

 

 落ち込み打ち震えている様子が悟られたのかウリ坊が話しかけてくる。

 えーとそのだな……頭回らん眠くて。

 

「……サッカー、したいな」

 

「……? はい、サッカーやりましょう!」

 

 薄々気がついていたけどウリ坊さては人の痛みが分からないな?

 別に「この程度が相手では俺達は全力でサッカーができない」って意味のサッカーやりたいって言葉じゃねぇからな!? お前今日帰ったらしっかり何がいけなかったか教えるから部屋で待ってろよ……いや今日は試合終わったらいったん奈良に戻る日か。

 じゃあ帰り道で待ってろよ。

 

──一応分かっているだろうが、この作戦許可しただろうお前に全責任があることを忘れるなよ

 

 ……はい。サンキュー……コルシア。

 そうだね、メアとかがやらかしちゃったのも部長責任だもんな。次から作戦会議はちゃんと意識をはっきりとさせておきます。

 ……それでどうしようかなこの試合の空気。

 

『た、大変失礼いたしました。

習合イレブンが早速の先制点! 目が眩む一撃によって代之総ゴールを大きく吹き飛ばしましたぁ!! まさしく規格外、これが今大会の優勝候補の実力!!

対する代之総中はいったい、どう立ち向かうのかぁーっ!!』

 

 実況のコメントにより冷え切っていた観客席にもまばらながら熱が戻った。ありがとう。

 

 しかし敵チームはどうだろう。帝国との戦いを見た同地区チームたちのように怯えてたりしないよな?

 ……いや違うな。流石に折れていない……どころか、煮え滾る暑さを感じる。

 

「……」

 

 ひぇっ、代之総中9番の黒月さんがすっごいこっち睨んできてる。

 本当すみません……助っ人の方とは言えすっごい思い入れがあるチームですよね多分。「やってくれたな?」って感情がすっごい読み取れるもん。

 その後で顔がそっぽ向かれて竪村さんに何か話している……企んでるなぁなにか。 

 

 ……サブキーパーがゴール前に立った。

 試合が再開するわけだが……大丈夫だろうか。

 

「──!」

 

 笛の音が鳴る。また竪村さんがボールを持って……センターサークルから飛び出た瞬間バックパス!?

 そのままボールが黒月さんへ……消えた!?

 

 やべっ今の俺のバッドコンディションだけどそれでも捉えられないってかなり早い……というか何処に。

 

「一点には一点で返す──訳ない、倍返しネ!」

 

「え、はやっ?!」

 

 いつの間に目の前に……やっべ!!

 その構えの技だけはやばい……バングたちは完全に間に合ってないしウリ坊たちでなんとかなるか!?

 無理だよね多分、ならええっとどうする……頭が全然まわらない……!

 

──お、おいしっかりしろナガヒサ! サクリファイスで間に合わんレベルならDFに指示を出せ!

 

 痛い、頭が痛い!

 あ、あぁぁぁ、あぁぁぁぁぁ!! 間に合わない、皆一動作遅れてる!

 サクリファイス一回で間に合わないなら二回分のダブル……んなことしたら魂2個分必要じゃん!

 え、えーとえーと……せめて魂が一個分の生贄で済むようにしてなおかつサクリファイス単体より強い技……!

 

 

 いやないわ。

 

 

 助け──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 燃える、地底の底から燃え滾り割れる。

 割れ出た大地からは真っ赤に溶けた岩石……溶岩があふれ出て浸す。

 

 その中を泳ぎ時折顔を出す龍が一頭。空気が触れた部位が冷え固まり、何重もの黒い鱗となり堅牢さを増していく。

 

「これぞ我の必殺技──」

 

 故郷はただただ広かった。

 強くならなければ生き残ることも出来なかった。いくら強くても勝たねば意味がない事など幾度とあった。

 

 その中でも何度も機会を作り出し、物にしてきた龍こそが自分。

 ボールを高く高く蹴り上げ、炎の海から飛び立つ。黒い翼を広げ、赤い翼膜で熱風と共に上昇する。

 

 可能性がないなんてことはない、諦めなければ、動くことを止めなければ未来を作り出せる!

 

「──黒龍炎弾(ヘインヤダン)!!

 

 口から火を吐き纏い急降下する龍の一撃。

 最後の動作は、奇しくも先ほどの天使小僧と同じ。カカトを勢いよく振り下ろし……悪魔のキーパーに向かって放った。

 

 確かに我の本領はMFとしてのボール回し、けれどシュートが出来ないわけではない。

 お前を燃やし喰らってやる、勝利は我のものだ! 

 

「──サクリファイス・ハンド!」

 

 織部の必殺技が我の炎をせき止める。ただ片手を突き出しているようにしか見えない動作にどれほど力を込めているのかは分からない。

 なるほど強い、中学校同士の争いにいるレベルの技じゃない。

 

 けれど、

 

(ウォ)の方が上ね」

 

 止めきれるはずがない。

 直ぐに焼けていく右手を見て、ただ哀れむ。

 

 黒龍はやがて、織部の全身を飲み込んだ。




…………

……

Q.シリアスです?
A.小説タグを見るんだ



~オリキャラ紹介~
・竪村 FW
 代之総中キャプテン。名前の由来はティラノサウルスのテタヌラ下目から。
 ダイナソースタンプという技を持っているが果たして使うタイミングはあるのか。普通に良い選手。
 けれど狙撃手には勝てなかったよ……

・寅助 GK
 代之総中の正GK
 プロローグで犠牲になった人。戦場で気を抜く方が悪いんだ仕方がないね
 技は使えなかったけどトライデントホーンというものが使える。


~オリ技紹介~
・デッドスナイパー ブロック技 
 グラさんが編み出した必殺技。観客席とかに狙撃手を作り(?)撃たせる。
 初見殺しの要素が強いため、なれるとよけやすい。
 ただこれ本当にサッカーなんですか?

・黒龍炎弾 シュート技
 めちゃ強い。この時点では大会最強格。
 単体技のくせにサクリファイスの手に負えないやべー奴。フェルタン曰くエビチリ味(ネタバレ)
 生物技なのがいけなかったね

 
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