かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について   作:低次元領域

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年末なのでサンタさんには英雄たちのグレートロードかオーガ襲来の映画DVDをお願いしておきます。

……ちなみにオーガ襲来を期待されている読者さんが散見されるので意見をば。
 オーガ学園が攻め込んでくる理由は「サッカーで腑抜けた子供が育つ」ということだったと記憶しておりますので、基本蹂躙。相手が倒れるまで走り続け追い込むサッカースタイルの習合の存在が優位である限り彼らは攻め込んでこないかと思われます。
 まぁつまり雷門が高確率で勝つような事態にならない限りは出張ってこないという事ですね。

 ……ということにしてくだちい!!((ほんとは記憶が薄すぎて扱えないの

 え? エルドラド達が差し向けるプロコトル・オメガはどうなんだ?
 いや彼らはフットボールフロンティアには関与してこないはずだから……サッカーの存在を消すため行動するのでやるとしたら「円堂たちのサッカー関与の否定」「天馬たちのサッカー関与否定」「織部達のサッカー関与否定」とか……。

 後はうん、サッカーをおもっくそ封じこめる様な事件を起こせるならやってくるんじゃないっすかね。
 それはそうと、ベータちゃんってかわいいですよね。ね、ね。ね?



長を失い呪いを得る日

 

「──!」

 

 カモメが鳴いて、海は凪ぐ。

 ……その日、俺らは航海に出ていた。

 天気は快晴。少し船から顔を出せば遠くの島が見える程に空気もすんでいる。暇つぶしとばかり釣り糸を海に垂らす余裕さえあった。

 

──錨をおろせー!

 

 一人の掛け声と共に、勢いよく鉄の塊が海の底へと投げ込まれる。水面と触れた瞬間、少し水しぶきを上げ肌を濡らした。

 夏の日差しと潮風に熱されていた体に気持ちよく染み込む。

 口の近くにとんだ水滴を舌で舐めた。しょっぱさが今はちょうどいい。

 

「おーい船長! 錨を降ろさせるってことはそういうことなんだよなー?」

 

 見張り台にいた船員が船首に座るアイツに声をかけた。

 声に対し、海を見つめる海賊帽子が揺れる。

 

「──ナッハッハッハ! 当然、地図はこの海の底を指し示している……俺様を信じろ!」

 

「あいよー! じゃあさっさと取ってくるかい? ダイバースーツの準備は……」

 

「いらん!!」

 

 それだけ言うといきなり服を脱ぎ、船長は海へと飛び込む。少なくとも水深は15m以上は余裕であり難しいと思ったが……まあ船長なら問題ない。仮に無理だったなら上がってきたときに笑い飛ばすだけだ。

 錨の時よりも大きい水しぶきが俺達を襲い、今度はやれ汚いだのなんだの減らず口を叩いて見送った。

 

 その間は特にすることもなく、俺達は帰りを待ちつつ雑談する。

 持ってきた肉と麦ジュースを呷り休憩。

 

「いやぁ~しっかし、ほんとにこんなところにお宝なんて眠ってんのかね?」

 

「どうだかね、持ってきた奴がツルッパゲの黒服サングラス野郎って話だろ? しかも目的も言わずに置いてったらしいじゃねぇか……怪しいもんだぜ」

 

「けどよ、船長がありそうだって言ってんだからあるんじゃねぇか?」

 

「あいつの勘はたまーに外れっからなぁ……折角のFFの開会式前に景気づけどころか外れってのはなぁ……」

 

「けどよ、そんならそれで……「FFの優勝杯」っていう宝を目指すいい契機になんだろ!」

 

 それに賛成だ、と俺も肉にかぶりついて飲み込んだ。喉の油をすかさず飲み物で流し込み馬鹿笑いをする。

 ああ楽しい。ずっとこんな航海が続けば最高だなともう一度笑った。

 

「──ぷはぁっ」

 

「お、船長お帰んなさい。見つかりましたー?」

 

 おやつタイムの途中で船長が水面から顔を出す。その長さから大分深くまで潜ったらしいが……船長の顔は暗い。

 

「あ、あぁ……それが……だな」

 

「船長……?」

 

 視線を水面に向け、俯き言葉が途切れ途切れ。

 ……その動作を見てみんな悟る。

 

 あぁ船長……

 

 

 

「──見つかったぞぉ!!

 

「わざとらしいんだよ船長!」「上手くいったときいつもそれですよね!」「早くおたか──船長を……お宝を引き上げろ!」

 

 水面下に隠していた……大きな大きな宝箱を両手に掲げ、特大の笑顔を見せないでいいですから。

 

 いい加減鉄板ネタでもやめりゃいいのに……また笑いながら、船長に縄をかけて引き上げる。

 氷上を滑るアザラシの如く叩きつけられ、水揚げされた彼が全身を振るい水を散らす。犬かお前はと誰かがまた笑った。

 

「まじか、まじで本物!?」

 

「すげぇな……いつ沈んだ奴だよこれ。藻と貝がくっつきまくって自然の錠前になってやがる!」

 

「木がかなり古いし重てぇな……すげぇお宝かもしんねぇ。というかよくこれ船長海底から持ってこれたな」

 

 同じく船上に置かれた木箱。縁を金属で補強されている……その上からいろんなものがくっついているそれ。

 開けてもいないというのに皆もう価値があるものが入っているに違いないと思えるほどにオーラを放っていた。

 

「どうだ、これでこの俺様の海賊伝説にまた一ページが刻まれる訳だ!! よぅしちょいとどいていろ今叩きわ──」

 

「わー! 流石に船長ここはアンタのフィジカルに頼るのは無しだ! 今ナイフ持ってくっから……!」

 

 ……そのオーラはどこか、海藻のせいだろうか。鼻につく、嫌な予感がした。どうしてか、宝箱というのは開けてなんぼだというのに……開けてはならないと思えた。

 けれど、宝を前にワクワクしている皆を前に言い出すことが出来ない。

 

「おぉすげぇ詰まってんなこれ……今にも壊れそうだぜ」

 

 海藻が海に放られ、ついで貝がナイフで外される。

 その度に宝箱に潜む何かが今にも飛び出してきそうにミシミシと木を押していた。

 

 とうとう阻むものが何もなくなり、少し指で持ち上げれば開いてしまうようなところまで来る。

 

「さぁ、宝とご対面──!?」

 

 それで、開けたのは……誰だったんだっけか。

 

 

 どうしてか、その先はちっとも覚えていないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開会式前日、宝探しに海に出ていた彼らは()()()()に襲われ難破。幸いにして直ぐ近くを通った漁船に拾われ無事……一名を除いて。

 呼び名は船長。狩火庵中キャプテンである男が行方不明となってしまったのだ。

 

 けれど彼らはそのままフットボールフロンティアに参加、居なくなってしまったキャプテンの為にも優勝を目指す……そんな風に地域密着型の記者に紹介されていた。

 

──宝探しか……欲深い人間が行い、宝の番人の食い物にされる。よくあった話だな

 

 そうなのかコルシア。まあ俺はいきなり宝くじにあたったりしないかなぁと思ったりする人間だけど、流石に一攫千金でギャンブルしようって感じではないからよくわかんないな。

 ……しかし恐ろしい話だ。早くこの船長が見つかるといいんだけど……。

 

 で、だ。

 

「ふへへ~~スパイ任務完了ー♪ 僕はダークネス・部長さんの忠実なる(しもべ)ー」

 

「お疲れ様だ……それで今日の練習はどうだった?」

 

 最近悪魔のキーパーが定着してきて呼ばれなくなってきたからって態々そっち使わないで……。

 

 ……ダメもとで頼んでみたらオッケーが出た練習スパイ。まぁ習合の練習だからスパイもクソもないけどそれを進めていかねばならない。

 エマ? 一日目はエマに聞いてみたんだけど「怪我人はゼロです」みたいな情報しかくれないというか、興味ないのか記憶してなくて……そっち頼むのにも代償あげたらやばいって俺は学んだからね。

 ホテル行くことはエッチなこと。うん。休憩って単に休憩するだけのサービスなんだなーって思ってましたはい。

 

──なんでこんなこと教えねばならんのだ……こっちが恥ずかしくなるわ。そもそも貴様保健体育の成績もよかっただろうが

 

 保健体育でホテルとか習わないしい!? いやね、そういう行為は知っていてもあくまで教科書の事でしか知らないからね。

 今後もなんかズレてたら補足頼んだコルシア……。

 

──それこそエマに頼め……ウキウキで実践してくれると思うぞ

 

 やだよ……。

 

 ……仲間をスパイにしてたりと段々手段を選ばなくなってきた感があるが特に恐ろしいと感じないのが恐ろしいな。

 なんでだろ、これがバングとかウリ坊とかなら罪悪感すごそうなんだが。アルゴだとすっかりそんな気分が解けちゃう。

 あと持って来てくれた甘酒が相変わらずおいしい。今日は少しお塩強めなんかな、甘味が際立っていていい。

 

「えーとね、昨日から重力増やして6倍にして倒れるまでシャトルランしたり……あと二号君の希望でメアとジミーでひたすらシュート撃ちこんだりしてたかな~めっちゃ苦しそうな顔してたよ☆」

 

 すっごい嬉しそうな顔浮かべますねアルゴさん。

 いやまあ部に誘う時にそれ許可したから別にいいんですけど……。ただあん時は「俺の苦しそうな顔をいくら見て楽しんでもいい」って言っただけな気がするんですけどね。

 

 そん時のアルゴ? 「君の泣き顔とか見てみたいからやるね~」って感じだったよ。なんかいい感じに甘酒のつまみになるんだって。

 そして二号が何気地獄味わってるな……八咫鏡をさっさと進化させないとマジで死ぬんじゃないかアイツ……。いや必殺技とか普通簡単に進化しないけどね。

 

 ちなみに一号は?

 

「うーん、光陰如箭・改……だっけ? を相変わらず連射ー。みんなも限界に挑んでるよ……ほらこれ皆のヘロヘロになってる時の写真~」

 

 そう言ってアルゴは隠し撮りしたのだろうか、汗をかきグラウンドに突っ伏している皆の写真……いや待て!?

 あいつらがこんなに疲弊してるところ見たことないんですけど!? 後君ちょいとさぼったの? 何でその手前で余裕の自撮りピースしてんの? 君もしかして今まで本気出してなかっただけで潜在能力ナンバーワンとかいう孫悟飯路線?

 いやまさかね……。

 

 すごいな……メアが汗だくで襟をつかみ風を取り込もうとしている。メアファンクラブの奴が暴動起こしてでも手に入れようとしそうだな。あの人たちこういう写真好きらしいし。鎖骨?がいいとかなんとか。コルシア的には鎖骨って魅力的に見えるものなの?

 

──骨で興奮するのか……噛むのか?

 

 お前自分が犬だって思い込み始めてない? 狼というか悪魔なんだよね? 頑張って。

 ……ふふ、倒れ突っ伏しているトールがマネージャーにプロテイン流しこまれてる。いや死なないかなこれ。

 

「……やり過ぎじゃないか? ハードワークも大事だが過剰にならないように……」

 

「はいすとっぷー。アルゴさんが頼まれたのは「練習風景の情報」だけなので指導案は無しー」

 

 指摘しようとした瞬間、アルゴはにやりと口元をゆがめた後大きく手でバッテンを作った。やることあざといよねコイツも大概。

 

「しかし……」

 

「まーま、それで問題が起きたら皆反省するって。折角部長無しで動き始めたんだし……問題点は今のうちに洗い出しとこー! そんじゃまたね~」

 

 それだけ言うとアルゴは新しい甘酒片手にどこかへと走り去ってしまった。

 ……密会の場所として指定した神社に一人残される自分。やっぱりどこか寂しいけれど、それでもアルゴの明るさには救われる。

 そう言えばアルゴからこの神社裏指定してきたけどよく知ってたな……。

 

──今なにか変な気配がしたような気が……

──ナガヒサー、お腹へったからはやくかえろー今日はバターチキンがいい

 

 ああそうだねフェルタン。今日はお安く鶏ムネが手に入ったから鳥パーティーだ。

 ついでにオムライスも作るぞ、卵料理は得意な方なんだ。俺はケチャップ派だけどフェルタンはデミグラス?

 

──マッシュルーム入りデミ

 

 おおそうか……オムライス二個分作ってソース二種にしようか。

 エマは何らかの獣のコンソメスープ作っておくとか言ってたし今日は洋風だなぁ……素材は聞かないようにしておこ。

 

──妾は牛

 

 脱線しすぎじゃないトロア? 牛は高いからお祝い事あった時にね。

 さて家に帰ろう……帰宅が楽しいってのはいいよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁっお帰りなさい兄さん……ご飯を一緒に作りますか? それともお風呂……それとも私──」

 

「エマの今日の報告からだな」

 

 うん、一日の報告を態々家でするのもいいね。テレビとか見ながらとかお菓子食べつつ……なんかがっくりしてない?

 もしかしてお風呂掃除してほしかった……? そうだな掃除しつつ会話する?

 

──今のはそれとも私を食べますか、という古風な誘い文句だな。漫画とかで読んだりしなかったか?

──エマっちは美味しいのかなぁ……多分美味しいかも。後で一口だけ頼めないかなぁ……

 

「……? なにか身震いが」

 

 食べる……? エマのキャラを考えて……あぁそういう……確かに前読んだかもしれん。

 けど流石に突然それ言われても反応しづらいかな……多分エマの期待に応えた完璧な兄としての100点満点は、顔を赤らめつつ「からかうな」……とか?

 

──それであっている、くそだな

 

 面倒っすね。次回も悟らなかった振りしつつ着地前に狩ろう。

 さて、お風呂……準備できてるし。部活終わって帰ってきたばっかりだよね時間的に。ほんと家事スキルすごいなぁエマ。ありがとうね。

 

「えへへ……」

 

 こういう時は素直にかわいいんだがなぁ。

 

──よく見ろ涎垂らしてるぞ

 

 あ、ほんとだ。

 こわ。早く気を確かにして。

 

「……あぁそれで兄さん、明後日の行き先なんですが」

 

 一瞬で涎ふき取って何事もなく会話を始められるとそれはそれで怖いな。

 明後日……ああそうか明日の練習が終われば休みを挟んでまた東京だったな。

 

 そんで休みの日は……迂闊に出してしまった「エマの好きなところへ行く権利」が行使されるという訳だ。

 で、どこいくの? デパートとか? 甘いもの巡りとかもいいよね。妹が行きたいところってなかなか想像できないけど……いやまぁ流石にコルシアが危惧したように「ホテル行きましょ!!」とはならないと思う。

 なったらその瞬間にこちらが普通のホテルを予約する。流石にね。

 

「私、海に行きたいんです。なので兄さん、水着を用意しておいてくださいね?」

 

──ヌーディストビーチとか言わない辺り自制したのか……?

 

 コルシアのエマへの警戒がすごい。セコム出来てます。

 ……海かぁ。まぁ試合に出れないのなら多少海で泳いで疲れても影響ないか。メアとかも海で泳いだりしてましたって言ったらちゃんとレジャー楽しめるんだ! って喜んでくれるかな。

 

 ……いや流石に皆からの俺のイメージはそこまでひどくないな多分。この間メア姉とメアでファッション巡りしたし。

 

 いいね海、いこいこ。

 海の家とかで焼きそば食べたりバナナボート乗ったりとかこっそりやってみたかったんだよね。

 水着は……中学の授業で使う奴でいいかな? いや去年まで市民プールとかで使ってたズボンタイプの方がいいかも。中学の奴ってぴっちりしてて気持ち悪いんだよね。

 結構楽しい休日になりそ──、

 

ふふ……オイル塗り……手が滑って……

 

 

 ……前言撤回! コルシア、全力で敵の魔の手を教えてくれ!!

 なんかすっごい手をウネウネさせてて怖い!

 

 助けて!

 

──まぁいいぞ。流石にこの体に手を出されるわけにはいかんからな……

 

 サンキュー!

 




平和な世界


~オリキャラ紹介~
・船長 MF
 野性味あふれる俺様系海賊野郎。
 少なくとも15m以上底の宝箱を一潜りでとってこられる海の漢。

 船の難破のせいなのか行方不明になっている。

・ツルッパゲで黒服の眼鏡
 ゲームしてる人ならお気づきであろう、影山さんの手の内の者の一人。
 主に破壊工作、人攫いによる洗脳とゲームの中では好き放題している。
 エイリア学園にも似たような奴がいるのは気のせいだろうか。

・アルゴ MF
 人の不幸を見て笑っちゃだめだという常識は持っているが押さえられないのだから仕方ねぇ思考。
 甘酒大好きでいろんなフレーバを試したりしている。
 
・二号
 次回君の視点なので頑張って生きて
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