かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について   作:低次元領域

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 イナズマイレブンfor3DSをしていて思ったんですが、こんなに下画面反応悪かったかな……? 故障?
 そして書けるかどうかわからない第二部の為に……松風天馬伝説とか出ないかな。

 あと、色々キャラ紹介したいがために一部時系列を変えていたりいなかったりします。原作知識持ちの方には少し変に映る……すまない。


敵情視察をする日

 ──その戦いは、人と自然のぶつかり合いだった。

 

無限の壁ッ!

 

 腕を組み立つキーパー。両隣には腰を落とし衝撃に備えるDF。

 何人も通さないという意思は具現化し、彼らの背後には石が積まれる。そうして出来た、強大で堅固な城壁がゴールへの道を閉ざした。

 

 今しがたできたばかりであろうにも関わらず、壁からは長年侵入者を防いできたかのような時の重みを感じる。

 これこそが人の手で作り上げられた歴史。

 

ドラゴン……!

 

 対峙し、城を落とそうとするは竜。

 積み上げられた歴史が何だというのか、自然の猛威が人を喰らおうと顎を開く。

 

 だが……これはフェイク、

 壁を前にした瞬間、竜は天を目指し急上昇。

 

『これはっ、シュートではなく味方へのパスです!』

 

 ──走る人、止めようとする人、その後に備えて待つ人。

 眼下で繰り広げられる戦いを前にすると、不思議と心が燃えて誰かを応援したくなってしまうのは果たして異常だろうか?

 

──トルネード!

 

 竜は炎に包まれ赤く染まる。

 燃える竜は全てを貫かんと牙を剥き、城壁へと喰らい付いた。派手に響く、牙と石がぶつかり合う音。

 

 しかし、数瞬の競り合いの後……竜の牙は折れ、跳ね返された。

 勢いを無くし反転、転がったボールは拾われまた走り出す。

 

 ──超常的現象を前にすると、自分が幻覚でも見ているのかと錯覚してしまう。

 

 違う、きっとこれは正常。きっと多分そうに違いない。

 やや買いすぎたと後悔したドデカポップコーンとドリンクはいつの間にか減っていくほどの熱狂。

 スタジアム全体が今、熱に浮かされている。全ての人間がサッカー馬鹿になっている違いない。

 

 それに釣られちょっと俺も馬鹿になっている、きっとそうに違いない。

 

『これまたキーパー綾野防いだ! しかし弾いたボールは雷門に……後半も残り半分。停滞を打破しようと染岡と豪炎寺、ツートップによる猛攻が千羽山中を襲う!

千羽山中、なんとかカウンターを狙いたいところだが……果たして耐えきれるかぁ!』 

「──まぁまぁネ」

 

──ナガ、ポップコーンをエビチリマスターに食べられてるよ?

 

 ……知ってる。いや何でかは知らないけど隣に黒月さんが居るんですよね。

 

 お久です。その後お変わり……ありますね。

 この人()()()()()()着てる……最初、他人の空似だといいなぁとか思ってたけど「ん、織部カ」って話しかけてきたからね。

 俺も「そうだ」と言って隣に座ることしかできなかった。席替えたら他の習合の皆が隣になって絶対変な空気になるし……。

 

「……いやなんで君がいるのさ。代之総中はどうしたんだい?」

 

 一息つこうとジュースに手を伸ばしてもホルダーに目的の物はない。

 混乱しているらしい。自分のドリンクの存在を忘れ、俺の席にあるオレンジジュースを飲んでいたのはメア。

 お前自分でアップルジュース買ったの覚えてないの……?

 

「メアさん、それキャプテンのジュースです……」

 

 そのまた隣にいるのはワタリ、こちらが気が気でないらしく先ほどからチラチラと見てきている。

 

なんでああやりゃ竜やら炎やらが出るんだ……?

 

 また隣にはもうこっちなど見ていないジミー……試合観戦楽しいもんな、すっごい集中してる。

 

「おおっと……ごめんリーダー、僕の飲む?」

 

──わーい

 

 もう大半を飲み切ってようやくメアは気が付いたらしい。申し訳なさそうにリンゴジュースを差し出してくる。

 それとなく断っておく。ポップコーンもろくに食べてないから喉乾いてないし。

 

 ……する前にフェルタンが勝手に出て来て飲み始めた。ストロー穴から潜り込み啜る音が聞こえる。喉が渇いていたのだろうか。

 メアが悪魔を前に目を輝かせたり「でもこの悪魔と再生の契約を……」とか悶々唸ってる。

 

「……ぉ、おおフェルタンくん……いやちゃん?」

 

──どうして人は悪魔に性別を求めるんだ?

 

 知らん。ともかく救いはない。

 左方のブラック、右方のメア。ははは両腕破壊コンビだ。

 笑えねぇ。

 

「なに、代之総中との契約はFFの手伝いのみ。その契約が終わった今、(ウォ)がなにしてようが自由」

 

「だからって……というかその制服」

 

「あ゛ぁ゛ー……」

──なんなのだこの鳥は……不遜であるぞ、妾の仮契約者に足を乗せよって

 

 しまった、包囲網のメンツが数え足りなかった。

 

 ──上方、俺の頭に足を乗せ羽を休ませているカラスが一羽。

 ……悪魔とかじゃないよね? 流石にこれ以上増えられたら困るんだけど。

 

 昨日、チラッとネットを見たら「デビル・オリベ・ダークネス」みたいな外国人風あだ名とか付けられてて、もう俺の風評被害は何があっても抑えられないんだなぁって理解したからさ……せめて悪化を防ぎたい。

 この先高校とか大学行けた時も面接で「あ、君ダークネスの子?」って言われるの確定してるけどこれ以下になりたくない。

 

 つらみが深し。

 

「これカ……お前らへのリベンジには丁度いいだろうと思ってナ」

 

──……悪魔の類ではないな。エマの呪いの装備に隠れていたような、低級の霊がカラスに憑いているのだろう。……随分お前に懐いている辺り、餌でもやったのか?

──ナガナガー……ごーはーんーエビー。頭の鳥食べて良い?

 

 サンコル。あとフェルタンはダメだから……スタジアムでスプラッタだけは勘弁して。

 ちょっとそこの売り子さんに軽食頼むから。

 

 ……そして黒月さんは何気にもう雷門の一員だということが確定しましたね。コスプレであってほしかった……!

 嫌な予感的中しちゃったよ! リベンジ? あの試合で何本骨折られたと思ってるんだ……!

 

「……雷門イレブンになったわけか、黒月」

 

「ブラックでいいぞ織部。使えるものは何でも使う……まっ、入部申請は間に合わなかったガ」

 

 ああそれで会場席に? なーるなーる。

 FFのチームに属する条件は、試合前までに転校、入部を済ませていることだからな……。

 仮にブラックがこの試合に間に合っていれば……無限の壁なんて気にせず黒龍無双となっていた所だったな。

 

「そ、そう……でも、なんでまた雷門なんだい? 確かに彼ら成長性は凄いけれど……」

 

 いやメア、お前が一番だよと言いかけた口を噤み、俺を挟んで行われる会話の先行きを見守る。

 当然この間も試合は続く訳で、視覚も聴覚も大忙しな訳だが。

 

『ここでパスカット! ボールがようやく千羽山に渡る……鋭いカウンターアタックだ!』

 

 ようやくチャンスが巡って来た千羽山は防御の薄いところを探し切り込んでいく。

 ……だがそれは罠、ワザと分かりやすい場所を作ることで誘導され囲まれ──、

 

 ──眩しっ!? ……あぁシャインドライブを出したのか。目くらましによる不意打ちだけど……流石にペナルティエリア外からは遠すぎる。

 あぁやはり、雷門DFに邪魔されて弾かれた。目つぶし技は時間が経つとすぐ効果が無くなるのが痛いな。

 

「それも単純。雷門が一番人を受け入れやすい体制だったから。……世宇子はきなくさい」

 

 あーそれわーかーるー! 試合映像見る度に「こいつら人間か……?」って思えてくるんですよね。しかもあれだけのパフォーマンスを発揮して少しもつかれる様子もないし。

 入ったら最後、自分も人を止めることになりそうだなって思えた。

 

──もう止めてるようなものだろ貴様

 

 お黙りコルシア。

 そして……雷門の包容力というか、円堂さんの来るもの拒まず感はすごい。多分だけど俺が「いーれてっ♪」って入部申請しても大丈夫そう。

 ……何せ、

 

『惜しい、せっかくのチャンスだったが千羽山中逃す……! そしてボールは……()()()()()()()()()()()()に渡る!』

 

「マックスは裏に、豪炎寺は正面右へ!」

 

 あの帝国学園の元キャプテン、鬼道さんすらも入れちゃってるんだもんなぁ。

 

 ……いやなんでよ!? 世宇子に倒された後何があったんだ……? あと雷門に入ってもゴーグルとマントは外さないんすね。

 ちょっと雷門カラーに合わせたのか赤のマントが青になってるけど。TPO気にしてるんだったらマントを脱げよ。

 

──風呂場以外、いつも包帯巻いてるお前には言われたくないだろうな奴も

 

 コルシアハウス。

 最近暑いけど頑張って巻いてるんだよ。

 

「……鬼道は、打倒世宇子、習合のため入ったらしい。我と似たような物、これで雷門に足りなかった全体指示を出せる者が入った。そこに我が入れば……このブロックで負けはないネ」

 

 ああなるほど。

 確か帝国学園は鬼道さんを除いてチームのみんなが入院したんだっけか……。しかもサッカーゾンビやってた狩火庵中より重傷らしいし。

 

 そっかそっか仇討ち……いやならうちに来てよ!? なんで俺達も世宇子に並べて仇認定されてるんだ……あ、しかも今ちょっと鬼道さんこっちに気が付いた気がする! 「待っていろ織部」みたいな闘志燃やした目でしたよ今!

いやゴーグル越しですけど! 遠すぎて目じゃなくて点に見えるけど、そんな気がしたんですぅ!

 

──長久、お前とメアは寺門と源田の仇認定されててもおかしくないと思うぞ

 

 お黙り、クーリングオフすっぞ!

 あれは、あれは不慮の事故だから……やっぱ今度詫びの手紙でも送ろうかな。

 でも文面をどう書いていいか分からん。「挑発と思わせるようなそぶりをしてしまい申し訳なかった」とか書いたら完全煽りになるし……。

 書くものは「奈良のデビルマン」とかだけして詫びの品だけ送ろうか。いや怖いな。

 

 流石に思考が飛び過ぎたな。反省、試合と会話に集中。

 ……お?

 なんか狙ってんのか、鬼道さんがボールキープを続けてるな……残り時間の少なさから焦ってか、無限の壁要員の二人を残して鬼道さんに千羽山が集中する。

 

 あれでボールを渡さないのは流石だ。

 

「……それで、お前の方はどうなんだ織部」

 

 何をする気だ、そう思い身を乗り出そうとしていた俺をブラックが止める。

 彼もまた視線は試合会場に注がれているが……意識はこちらに向けていた。感じ取り、俺の意識もそちらに向く。

 

「……なにがだ?」

 

「恍けるナ。世宇子を前に……また人間から離れた力に手を染めようとしているようだが──それで勝てるのカ?」

 

「……」

 

 声色から読み解くに……心配、ではないのだろう。

 ここまで雷門は整った。無論、そこまで勝ち上がって来るな? と確認してきているのだ。

 

 ……確かに、今のダークネス・ハンドだけではゴッドノウズは止められない。確信に近い物がある。

 仮に防げても今度はボールをつなぎ、攻撃できるのか、得点できるのかということもある。

 今の俺達には、天照による一撃しか手がないというのも痛い点だ。

 

「俺一人では難しい……だが、勝つ……! 習合、皆でだ」

 

 ──だから、いつものように()()()()()。そもそも勝てないと弱音を吐く部長がどこにいると。

 ここまで来たら勝つしかない。だから()()()()()()()()()()()に言い放つ。

 

「……そカ」

 

 ……実のところ、一回だけならゴッドノウズを止める算段は付いてる。

 それで止めたら、帝国戦の時のメアみたいにみんな盛り上がってパワーアップしてくれないかなぁー……なんて。

 

『な、なんと大胆にもキーパー円堂がゴールを空け前線へ駆けあがっていく!? これはイナズマ一号かー?!』

 

「う、うん、そうだよねリーダー! ……悪いけどブラック君、この間の僕たちと思わない方がいいよ!」

 

「期待しないで待つとする。……せいぜい、織部ははやく意識の矛盾を治すべきネ」

 

「……?」

 

 矛盾とはなんだ、そう尋ねようとして──今度は聴覚さえもが試合に引っ張られた。

 

 無限の壁に対し繰り出されたそれは……俺があの日見た、イナズマ一号ではなかった。

 敵に囲まれた鬼道さんが力強くボールを蹴り打ち上げる。

 頂点まで届き……すれば雷鳴轟き、ボールは雷を纏い落ちてくる。

 

 まるであのボール自体が雷雲と化したかのように、一触即発とも思えるエネルギーがこもっている。

 

イナズマ……!」 

 

 そこに合わせるは円堂さん、豪炎寺さん、鬼道さん。三人もボールの元へ飛びあがり、足を振り上げる。

 左方を円堂さん、右方を豪炎寺さん、上方から鬼道さんが思いっきり蹴る。

 

──ブレイク!!

 

 弾ける火花。生きていてまず見ることはない、ゴールに向かって落ちる雷を見た。

 間違いなくメアのエンゼルブラスター改と同等……いや、キック力の差で上回っている!

 

 そうなれば当然、無限の壁で防げる訳も無し。

 人の手で作り上げられた城壁が、自然の象徴とも言える天災によって壊され落ちた。

 次いで二度の長いホイッスル、試合終了を知らせる音。

 

『ご、ゴォール!! 雷そのものと思えるような強烈シュートが突き刺さり1-0! そして試合終了ー! 雷門中が土壇場でねじ込みましたー!!』

 

「……凄まじいですねキャプテン、あんな強力な技が」

 

 ワタリが冷や汗をかきまたその隣にいたジミーがヤッベーと口を洩らす。

 事実、俺もまた内心ビビっていた。

 ……そりゃゴッドノウズと比べたらまだ優しいのだろうけど、仮に決勝に進めたら今よりもっと進化したあれが襲い掛かって来るのか……。

 

 ……無理じゃねぇ?

 

 助けてぇ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃぁ、勝ったぞみんなぁ!」

「勝った、勝ちましたよキャプテン!」

「やったな円堂!」

 

 試合は終了し、もう着替えだって済ませた。

 後はバスに乗り帰るだけなのだが……ギリギリの勝利に燃えたみんなはいつもより気持ちが高ぶっているのか、なかなか静まらない。

 

 会場近くで騒ぎが始まり、それを遠巻きに眺めていれば……集団にもみくちゃにされたのだろう。ゴーグルがずれマントが外れた鬼道がよろめきながら抜け出してくる。

 その姿に思わず笑いがこぼれる。これが少し前までは帝国を率い、多くの者から恐れられていた男だと誰が信じられるだろうか。

 

「ふっ、随分お疲れだな、鬼道」

 

「あぁ……お前は察知してすぐ離れられたようだが、俺はこの通りだ」

 

 ゴーグルを直しつつ、鬼道の口角は上がっている。

 最初雷門に来た時は馴染めないかもしれないと思ったが、意外に早くに慣れそうだなと思った。

 

「勝利への立役者なんだ、それぐらいで済んでよかったな」

 

「……そうだな」

 

 見れば今度は円堂が壁山たちに持ち上げられ、騎馬が組まれている。

 まるで優勝したかのような盛り上がり具合で、見ているこっちが恥ずかしくなるほどだ。

 

「お疲れ様ネ」

 

「ああブラックか──!?」

 

 鬼道も感化されたのか突然立ち上がった。

 まったく……まだまだ、強敵との戦いは残っているというのに。

 流石にバスの時間になってもこの調子だったら……怖いマネージャーに釘を刺されるだろうか。

 

 そんなことを考えている内に、

 

「──練習試合をしないか?」

 

 背後には、悪魔の男が迫っていた。

 




 準決勝を前に、織部率いる習合中が練習試合を挑んできた!
 間違いない強敵……強力な必殺シュートを前に、ゴッドハンドは通用するのか。
 爺ちゃん……爺ちゃんのノートに書かれた最後の技、物にしてみせるよ

 次回イナズマイレブン「激突! 天使と悪魔と神と魔神!」
 
 これが超次元サッカーだ!
 


~オリキャラ紹介~
・黒月 夥瓏 (へいふぇい くーろん) MF
 雷門中に転校した世界選手。
 この後に一之瀬とかが入ることを考えると雷門のMF枠はカツカツである。ごめんなマックス、半田、少林。
 木戸川清修中からの試合に参加してくるため、もはや無強化の武方三兄弟に勝ち目はない。

 一応突出しないように、チーム全体を生かす動きをしようとするので一回戦の様な暴れ方はしないと思われる。多分。
 それはそうとポップコーンを食べたのは、以前フェルタンに必殺技が食べられたことへの意趣返しだろうか。


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