かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について 作:低次元領域
そしてインフルかかってて遅くなりました。それはそうと、やはりゼロワン二次創作が思い浮かぶんです。
「課金ライダーは路頭に迷う」っていう感じの。
なんならTwitterでプロット垂れ流しにしてました。誰か使え。
そしてこちらは大変嬉しいファンアートです!!
【挿絵表示】
一般人から見た部長
雨くしら様、本当にありがとうございます!!
サッカーを始めたのは単に目についたから。
クラブに入ったのは楽しかったから、サッカーは好きだけど……。
思えば、そこまで俺はサッカーに全力で取り組んできたというわけではなかった。
「……なんだ、サッカー部はないんだ? へーん……」
だから、入った中学でそれがないと知っても……そこまで取り乱すわけでもなかった。
少しだけ「サッカーやりたかったなぁ」という気持ちはあったとしても、俺を突き動かす原動力になるというわけでも無くて……。
適当に、野球とか、テニスとか、また面白そうなスポーツでもないかと探そうかと思った時もあった。
──ジミーと呼ばれているのは、お前か?
違うクラスのお前が、わざわざ休み時間にやって来たあの時までは。
今とは違う普通で、けれど全てを見下ろすような冷たさを感じる目。
「おっ? ああそうだけど……?」
「……サッカー、やろうぜ」
一体何事だと身構えたが、言い分は単に「サッカー部を作りたい」という提案で……すっげー、楽しそうだった。
勿論サッカーは好きだったし、今参加すればサッカー部創設者、なんて肩書も手に入る。
俗っぽいと言われればあれだったけど……まぁいいだろう?
「いいなそれ、やろうぜサッカー!」
気が付けば、俺はお前の手を取っていた。副部長という権限も貰って。
……なんでもこの時、既にウリ坊に話しかけて一度断られた後だったらしい。
話しかけられた順番は二番目、入部には一番手。締まらねーなと笑い、習合サッカー部の誕生を心待ちにした。
それから、どれほど特訓をつんだだろうか。
何回ボールを蹴っただろうか。
分かんなくって、でも目に見えた結果につながっていない事だけは分かっていた。
どんだけボールを蹴っても、
メアみたいに光り輝く天使になれない。
ワタリの様に目くらましも出来ない。
一号の迫力ある弓撃ちにもならない。
どんだけグラウンドを蹴っても、
バングが振り回す遠心力にだって、
ソニックが生み出す竜巻にだって、
アルゴがこっそり編み出していた───にだって、届かない。
雷、猪、銃撃、牙。
鏡に……悪魔。
何一つ、俺にはない。
どんだけ蹴っても蹴っても、ただのシュートにしかならない。
分からない、何をどうすればそうなるのか。
だから、才能なんてないんだと弱音を吐いた。
そんで否定されたら、少しは不安が紛れるかと思った。
「──あぁ、ジミー……お前に、必殺技の才能はない」
ひどく、寂しそうだった。
そう切り捨てたお前の顔を見て……ああ、馬鹿なこと言ったなと気が付いたのは、後の祭り。
降り注ぐ重しの雨に打たれる部長を見て、俺はそう思った。
◇
「トライアングル──Zッ!」
それは三兄弟の努力の結晶だったはずだ。
昨年、FF決勝の場に現れず去った……ええと、そう。豪炎寺 修也を越えるために作り出したと言った彼ら。
長男が始め、三男が高く蹴り上げ、次男が力を込めてボレー。
目を見張った。
俺にとっては単に力を込め、奇抜なポーズをしているようにしか見えなかったのに。
あの一撃は、帝国のデスゾーンよりも、もしかしたら皇帝ペンギンよりも強いかもしれない。
そう思えるほど、ボールに熱が込められ、紅蓮に燃えていた。
……蹴り終わった後に、三人で妙なポーズをするのはやっぱりよく分からなかったけど。あれで技名のトライアングルを現している……らしい。
一挙一動、去年は控えにいたという彼らとは何もかもレベルが違った。
エマちゃんに見せられた映像との差異から、彼らが血のにじむ様な努力をしてきたのが分かった。
間違いなく、あの一撃を越えるシュートを俺だけでは撃つことはできないだろう。
そう確信できた。
「……ダークネス・ハンド」
三人の努力の結晶が、部長の努力と執念の一端に打ち砕かれる。
黒骨の手が、それを叩いた。
トライアングルは抗うように骨を砕き進んだが……内より出てきた、漆黒の手が潰す。
ボールが跳ねのけられ、三兄弟たちの横を通り過ぎていく。
「……なっ?!」
「嘘、っしょ?」
「あ、ありえません……僕たちの必殺技が!」
自慢の必殺技が、ここまで誰にも破られた事のなかったものが、いとも簡単に終わり消える。
せめての成果だと思える骨も霧散、部長の体の中に消えていく。
すれば、黒い霧が消えたあと残るのは……ただ立っている部長だけ。
初めからシュートなんて来ていなかった、そう思わせる程の風格でただ立っている。
「す、すげぇ……あのシュートをいとも簡単に……」
「既に進化を遂げていたか……」
「……? なんか変ネ」
反対側のベンチで雷門が驚きの声を上げていた。
かつて、切り札を食いつぶされた鬼道も冷や汗をかきその光景を眺めている。
ブラックだけ、何故か首をかしげていたが。
「は~い、っていうわけでぇ……君たちのまけー! ふふふのふ~ん、ふふふ……」
「アルゴさん……喧嘩を売ってきたのは彼らですが、挑発するような真似は……あと、これから試合なのにそんな飲んで大丈夫ですか?」
部長が守ったゴールネットの後ろにいる俺達。破られないとわかっていたのか、みんなリラックスしていた。
そういう俺も、トライアングルの強さには驚いたが……部長は超えられないなとどこか分かっていた。
「……豪炎寺、奴らをどう思う?」
「……悪魔のキーパーと比べれば些か地味にも思えるが、一人一人から感じる力は強大だ。
──今まで戦って来た誰よりも強い……!」
「おおー……やっぱ、実物は派手だな! トライアングル……なんとか! どう思うよートール!」
「……最後の文字はZ、だと思うぞ俺は」
あれほど派手に、激しい必殺技があっても部長の守りは撃ち抜けない。
そんな部長が危惧する相手が迫って来ている。トールの肩を叩き笑って見せるが……どうにも、まだ肩の荷は下りていなかった。
……しっかし武方三兄弟は、部長が来る日にわざわざやってきちまうなんて……とんでもなく運が悪いんじゃないだろうか?
「──雷門と戦う権利を賭け……だったな、止めたぞ」
「ぐっ……お、覚えていろ。決勝で待っててやる、みたいなぁ!?」
部長は未だに一歩も動かず、ジロリと視線だけを動かす。
……よほど不満だったのだろうか、その表情は、僅かばかりの怒気をはらんでいるようにも思えた。
怯み、三兄弟はそのままどこかへと消えていく。
ただその後ろ姿を見て、雷門の一人が「なんだったんだよアイツラ……」とこぼしていた。
◆
「あ゛あ゛ぁ゛っ゛ー!」
試合開始のホイッスルに合わせ、烏が鳴いた。
そのままこちらのゴールポストに居座り、俺をじっと見つめている。話しかけて懐かれても困るので無視する。
餌あげた覚えがないしなんでこんなついてくるんだこの烏……ここ東京ですわよ?
『始まりました雷門VS習合! お互いFF準決勝への一戦を控える、大事な大事な練習試合!
実況は例の如く雷門中将棋部、角馬 圭太が務めさせていただきます! 木戸川清修の三人が乱入してくるハプニングもございましたが、さてどうなりますでしょうかぁ!?』
あぁ……まだ右手がじんじんしている気がする。
サッカー勝負挑みに来たのなら事前に話付けて欲しいよ。これだから都会民は困るよ全く。たとえダメでも電車ですぐ来れるからって気軽にやって来よってからに。
こちとらバスと新幹線乗り継いでるんだぞ。
……何が悲しくて、雷門を前に一度骨折しなきゃいけないんだ。
あぁせめてトライアングルZが生物技ならよかったのに。おかげでフェルタンの食いだめ貯金がお亡くなりになられたぞ。
──あいむはんぐりー
はい分かっておりますともフェルタン。
あと雷門に、円堂さんに挑んでくれよなぁ……なんで俺に挑んでくるんですかねぇ。
──あの場ではお前が一番格上だと判断したからだろう。ヒエラルキーが上の者を倒そうとするのは上昇志向があるものにありがちだ
ははは……犬社会思考止めてコルシア。この場にいるキーパーたちの中では俺自力最下位だと思うけどな。
トライアングルZ……コルシアたちいないと止められんし。円堂さんならどうだろ? 帝国で見せたダブルゴッドハンドでも少しきついかな……。二号はまだ無理だったろうな。
あれ、かなりの強敵だった?
──まあそれなりにじゃな。あの黒竜の一撃と比べるとアレじゃが
さようかトロア。もう少し丁重に扱ってあげるべきだったか?
でもまぁしゃーない。約束の邪魔をする者に正義はない。
ダークネス・ハンドで止められてほんとよかった。皇帝ペンギンより強いし非生物技だしびびりまくったけど。
40キロの重り装備と重力(最近ようやく2Gに慣れた)特訓で強化された足腰は飾りではないと言うことだ。
いや、こんな苦労してんのに飾りであってたまるか。
──その重り、さっきワタリの小僧に外されたがの
それなトロア。
もはや重りつけてるなんて言ってないのに当然の如くバレた。
『はい、キャプテン。試合が始まりますので脱いでください』
『あ、じゃあ僕が回収するよリーダー!』
勘だったのかはたまたハクナマタタ。
俺はもう外すのも一苦労なのに、メアとかはヒョイって持ってくからな……流石に4G下でも必殺技を出せる者よ。
他のやつは流石に倒れるからね。
なのにキック力やスピードはジミーやソニックの方が上。どういう原理かわからん。
『5-3-2の守備に重点を置く雷門に対し、習合は普段と変え、FWを一人下げての4-4-2! この変更がどう出るのか!』
こっちはワタリをMFに変更、一号とメアのツートップ。ジミーは
あちらのMFは案の定鬼道さん、ブラック……そんで謎の帰国子女、一之瀬の三人。いや誰!? って思ったが、調べたらなんでもアメリカ代表に選ばれた子らしいですね。うん。
……雷門さん期待の新人入り過ぎじゃないですかね?
『おおっと、早速一之瀬が巧みなボール回しで右サイドを駆け上がっていくぅ!』
……ええもう来るんですか……?
すげぇな、アルゴとワタリの幻惑フェイントコンビを抜けたか。流石はフィールドの魔術師の異名を持つだけはある。
ボールに不思議な回転をかけ、取ったかと思えば足元を離れ自分の元に戻ってくる。そんなすご技をさっそく披露されておられるぞ。
「わ~頼んだ―」
「おう、任せなってアルゴ!」
火の粉が舞い散る様な華麗で苛烈なドリブルで切り込んでくる一之瀬さんに対し、グラさんが構える。
指で銃を作り相手に構えるそれは、まぎれもなく「デッド・スナイパー」の構えだ。
死角から狙い撃ち体勢を崩すグラさんの必殺技……それを見て、一之瀬さんは軽く笑う。
「おおっと、それはもう勉強済みだよ!」
勢いは止まることなくむしろ、どこからでも撃って見せろと言わんばかりにグラさんの横を駆け抜けようと加速した。
……死角からの一撃、つまるところ死角以外からは飛んでこない事こそが弱点だ。
本来なら死角からの一撃に対応なんてまず無理なんだが、このレベルのサッカー選手になると簡単には引っかからなくなってくる。
「ふっ、がら空きだぜ。なぁ、そうだろう……?」
「……?」
だからこそ、二の手が必要になってくるわけだ。
グラさんの横を通り抜けようとする一之瀬さんが、あまりに動かないその様子を見て一瞬、進みを緩める。
今がチャンス、待ちに待った出番だろう?
肺に空気を吸い込み、叫ぶ。
「──カガ!」
助けはまだ必要ない。うちには期待の仲間であふれているからな。
笑って、腕を組んだ。
◆
「……!!」
ベンチで眺めていた。
なにか部長に考えがあるらしい、見ていれば答えが出るはずだと言われ置かれた席でじぃっと見ていた。
カガが一之瀬の背後から忍び寄り、グラさんの一撃に紛れ食らい付いたのも全部見ていた。
「なっ!?」
気が付けば一瞬のこと、一之瀬は水中に引きずり込まれた。
俺達から見て、急にフィールドに出来上がった深海の池。あの中は重い水に動きを制限されており、思うように動けなくなるんだ。
そうして自由を奪い……更に暗い、水底から迫ってくる一匹の鮫が牙を剥き襲い掛かる。
食らい付かれたら最後、重い水の中でボールを放すまで鮫の猛攻は続く。
カガが編み出した必殺技だ。
「フッ、兄さんに届けるには甘いですね」
「……ディープバイト、か」
マネージャーが腕を組み鼻で笑っている傍で、
ゆっくりと、彼が紙に書いて決めた必殺技の名前を読み上げた。
水飛沫が上がる。そこにはボールを奪い走り去るカガと腰が抜け倒れた一之瀬。
『これは惜しい! 一之瀬二人を躱しきることが出来ずボールを奪われた! 習合の反撃だ!』
すげぇな、素直に喜ぶ自分の中に……羨ましい。そう思ってしまう自分もいた。
一体、ここで何を学べばいいんだ。
そう問いかけても、答えてくれるやつはいなかった。
ようやく練習試合開始です
〜オリキャラ紹介〜
・上条 翔:ジミー FW 9番
そこまでサッカーに人生を捧げてはいなかった
だからこそだろうか、彼のシュートは低次元の見た目のままである。
なお部設立直後でも航空機のタイヤを思わせる一撃だった。
・加賀 守人:カガ DF
ようやく必殺技を出せたのでご満悦
まだ喋らないので必殺技使う時は誰かが呟くスタイル。
カミツキガメ由来のあだ名だったが、本人は自分を鮫だと思っているようだ。
〜オリ技紹介〜
・ディープバイト DF技
敵を一瞬で海中に引き摺り込み、噛みつきながらボールを奪う荒技。
どれだけ抵抗しようとも離さないその姿勢を鮫と彼は表現したが、部長曰く「やっぱカミツキガメでは?」
まあまあの強技なので今後も積極的に使って欲しい。シュートブロックはできない