かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について   作:低次元領域

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 チェンソーマンの第二部が待ちきれません。
 あと12月の魔物に囁かれ、とある大物作者さんと幻覚を語り合いメスガキデュエリストを書き始めたりもしました。

 


超新星爆発する日

 誰かに助けて欲しかった。

 

 

 地面に倒れているのに揺れる頭。僕の人生の中で一番追い詰められた瞬間だろう今この場だからこそ、考えが巡っていた。

 どうすればいい。単純な身体能力だって神を自称する彼には及ばない。

 それだってのに一番の僕の武器であるエンゼル・ブラスターもうまく使えない。

 

 もう何もできないのか?

 

 部長の力になりたくて、少しでも部長より強くなりたくて。自由で窮屈な空を飛びたかった。

 悪魔と契約して身を焦がしていく彼を助けるために全てを照らそうとする太陽の光だって目指した。

 彼のシュートを無駄にしたくなくて合わせようと何度も試みた。

 

 その結果がこれだっていうのか?

 

 エンゼルストライカーと呼ばれ始めて少したって、僕はどこか傲慢になっていたのかもしれない。

 瞼の裏にかすかに残る、今にも消えてしまいそうな光。手放せば意識は闇に落ちていくだろう。

 

 ……そもそも、エンゼル・ブラスターを初めて使えた時は僕は、何を思っていたのだっけ?

 確か真経津兄弟相手に……未完成だった必殺技も通用しなくてそれで……僕は。

 

 

ダークネス・ハンド V2──ロアフェルシアドミネーションッ!! ぁぁああ゛あ゛っ゛ぅがあぁぁぁっ!!」

 

 闇を振るい、強すぎる光を遮ろうとする男の声がする。

 必死に叫んでいる。きっと絶望的な差がそこにはあるのに。

 

『──自惚れるな。

……お前らは神ではない。万能ではないし、全てを救う必要もない。その上で最善を尽くし、誰かを救えたのだ、勝利を手にしたのだ……誇り進め!

さもなければ、負けた者たちへ、そして……信頼し託してくれた者への侮辱となる』

 

 不意に狩火庵中の船長の言葉が反響する。

 あの時は信頼して練習を任せてくれた部長をのけ者にしておくことが彼の為だと思い込んでいた。

 船長の言葉で不安な顔で進もうとするのが間違いだと気が付けた。

 

 だから、()()()()()()()()()であるリーダーが走るのを止めようとせず、頑張って追い付くと誓ったのだ。

 でも追いつけないほどに広がっていく差を見て……、人の道を外れようとしていると知ってどうにかできないかともやもやし始めて。

 彼の無茶の理由は自分たちの不甲斐なさだと改めて思ってしまって、孤高を癒そうと真の輝きを求めて。

 

 僕の輝きは消えた。

 

「……あぁ、そっか。必要なのは北風でも、太陽でもなかったんだ」

 

 心の臓からじわりと力が湧き出していくのが分かる。

 

 彼の、どんな手を使おうと最後まであきらめないその意味の解らなさに惚れたんだ。

 

 でもいつのまにか君を特別視しているくせに、分からない事を怖がっていたんだ。転ぶのを後ろで、前で見て手を差し伸べた気になっていたのか。

 なるほど傲慢だ。彼が人の道を外れようとしている?

 

 例え偽りであれど神に逆らおうとする彼は、きっと誰よりも人間らしい。

 僕の目を覚ますのは君だ。天使の輝きをくれたのは悪魔と契約する君だった。

 

「僕は、契約したんだ」

 

 君が持ってきた入部届にサインした。間違いない事実が過去にある。

 君を救う事と、君を理解することは決してイコールではないし、彼の選択を心配することと力になることも違う。

 

 契約の力である天使の力が使えなくなった理由が不意に理解できる。

 だからもう一度、自分に活を入れなくちゃならない。

 

──光よ

 

 舌に残る土を涎で洗い流して飲み込んで唱える。

 二度とそれを忘れぬために、誰に誓う? 当然リーダーに。

 余計なおせっかいになるかもしれないけれど諦めない、君の隣に立ちたいからこそ遠慮の一片もいらない。

 

我が身から……()()と、()()助けたい()()()へと!!

 

 空を飛ぶ。

 目を開けば、眼下に広がる激戦。砕け散っていく骨の手と世界を喰いつくさんと吠える悪魔たち。圧倒的光量で押しつぶそうとする雷玉に威嚇するように骨の翼が開かれている。

 

 ……また何かと契約したのかな? じゃあもっと、僕も強くなる……ってそうじゃない。

 

 今まで悩んでいた出力が一段と上がる気がした。三対の翼を動かせば空はキャンバスの如く自由自在だ。

 一瞬のタメの後、リーダーの元へと駆ける。

 

 コートの半分なんて一瞬だ。君の元へ飛ぶのならどれほどだって飛んで見せる。

 

「っリーダー! 」

 

 君の横に、君の手を取るためにただ考える頭もなく全力で雷玉に対し足を振り下ろす。

 助けに来たよって言ってみたかったけど、流石に恥ずかしいからやめておいた。

 

 彼の闇がより一層深くなった気がする。でもなんでか、僕はそれを見て不安じゃなくて、安心できた。

 

 ……少しは助けになっているかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 助けてぇーっ! 仲間に焼き殺されるぅぅーー!!

 

──ぎゃぁぁぁ!! 来るな天使擬き! やめろ!

──あつい……やける……

──おいどうにかしろ織部、お前の部下だぞ!!

 

 あ゛あ゛ああ゛あ゛゛あっあ゛あ゛っ゛゛!!

 無理言わないでくれよ三人とも、俺もなんか焼けているんですから!! 滅茶苦茶熱いし痛い! なんか浄化されてる気がする!

 羽か?! 骨の羽が悪魔判定あって焼けてませんかもしかして!?

 

「すごい、体中から力があふれ出てくる……!!」

 

 すっごい久しぶりに目がキラキラしてますもんねメアちゃんさん! やっぱ君超次元の先へ届くナニカだよ!

 見てよ俺達、俺みたいな一般人はともかく他の名だたる悪魔連盟さんたちの悲鳴と叫びをよぉ! 心なしか背中辺りから焼き鳥の匂いがする! この骨は鳥か何からしいですね、んなことはどうでもいいんだよ!

 天使の輪が頭に出来てますし翼が六枚になってますしもう完成しましたねほんと! すごいしか言えませんよほんと!

 

「ばっ、ばかな……神の力と釣り合うものなんて……これが天使と悪魔の力だとでもいうのかっ!?」

 

 おめぇーも節穴かその目! さっきまでの一瞬ならともかく、今メアの光に焼かれまくってほぼ力出てないからな!? 比率で行ったら1:99でメアがほぼだぞ!?

 悪魔消えかかってんだよ! 神にとっては喜ばしい? やかましい。

 

──……おい、織部。なんかまた我達とは別に黒いオーラ的なの出てないかこれ?

 

 え? あ、ほんとだ。俺の足に変なの纏わりついている。コルシアの闇みたいなフワフワしたものとまた違った、少し重い泥飛沫みたいなのがある。

 なにこれ。よく考えたらトロア達の力引っぺがされてるから立ってられるわけもないけど、これのおかげかな?

 

「これがリーダーたちの悪魔の力……! 全力を出してやっと耐えられるぐらいだなんて!」

 

 メアさん何か言ってますが、これ僕たち由来の力じゃないんですよ。むしろ俺達消し飛んでるんですよ。

 

──……あぁっ! この天使擬きの奴め。どういう原理か知らんがこの変なドロッドロの力も出しておるぞ! 自己暗示でもかけておるのか!?

 

 ひぇっ、とうとう悪魔の力モドキも生み出し始めたのこの子?

 待てよ、それで俺の足が支えられているってことは……今の状況メアの力によるものが100%?

 

──たぶんね。堕天の力を堕天せず扱ってるかんじぃ

 

 情けなさ過ぎる。むしろもう俺のことを無視してくれ。なにが悲しくて一片も力になれてないのに足だけゴッドノウズ相手に括りつけてられなきゃならないんだ。

 無茶苦茶痛いからほんと離して……ほらメア、俺の目を見て? リーダーがもう止めてって訴えかけてるよ?

 終りにしよ、な?

 

「っ、遠慮するなって事だね。わかった! もっと頑張ってみるよ!」

 

 ……なんか懐かしいなぁこの全く伝わってないけれど頑張ろうとする感じ。

 ああっ、謎の闇の力が更に強まった。多分メア的には「僕の力に合わせてくれている……!」って暗示かかってそうですね。

 自己暗示か、俺も自分に色々かけてみようかな。「お前は超次元なサッカー選手だー」とかかけたら滅茶苦茶強くなれるかな。

 

「っそんな、押し返している!?」

 

 ……亜風炉くん。全力の一撃がこんな思い込みで跳ね返されようとしていることには同情を隠せませんよホント。

 まああの、お互い因果応報って事で……。勘違いさせ続けた俺も悪いんだよきっと。

 

「ぐぐぐっ……負けるかぁ!」

 

 多分あと一言あればメアは完全に二段階ぐらいパワーアップしそうだ。雷玉を潰しにかかる二つの光と闇の力。

 今にも混ざり合いそうで混ざらない。その均衡を打破するためには着火が必要だ。

 

 そうと決まれば早速準備に取り掛かる。 

 この間も足が痛すぎてすごい顔が険しくなっていそうな気がするから無理に表情を崩し、楽しかったことを色々と思いだして優しげな顔を作った。

 

「……メア、聞きたいことがある」

 

 尋ねれば、メアは嘘偽りのない。眩しい程の笑顔を浮かべた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──名前は、どうする?」

 

「────」

 

 不意に、その名を答えていた。

 

 虚をつかれた気分だった。その顔は悪だくみを思いついた子供の様に可愛らしくて、思わず敵の必殺シュートを前にしているなんてことを忘れてしまうほど。

 当然それは必殺技のことだ。

 この状態を、リーダーと二人でボールを蹴っているこの姿に名前を付けようという提案。

 

「いい名前だ……いくぞ!」

 

 それは、いつも必殺技を一緒にと言うと少し渋った顔になるリーダーの事を思うと……認められた気がして、すっごく心が温かくなる気がした。

 

「……うん!」

 

 少し昔に色々と必殺技の名前を考えた気もするけれど全てが吹き飛んでしまったのに。

 代わりに、代わりにどうしてか頭の中に一つ出来上がっていたものがある。

 最初からあったと言わんばかりにその子は僕の中で広がっていく。

 

 光が世界を照らし、届かぬ世界を闇が浸している。

 朝になれば日が昇り、夜になれば月が。

 

「──光よ、この一撃より照らせ

 

 森羅万象、永遠に続いていくだろう理を紡ぐ。

 

「──闇よ、この一瞬より広がれ

 

 リーダーの言葉で更に闇が強くなる。負けじと僕の光が強くなる? 違う、きっと互いに互いが高め合っている。

 闇があるから光が際立つ。光があるから闇がより濃くなる。

 混沌(カオス)の始まりを、ビッグバンを、世界の始点をここに。

 

 

 その名を

 

 

楽園(ザ・ユートピア)!!

 

 全てを飲み込み、人間も、天使も悪魔も全てが生まれるこの場所を神など、ましてや偽神に壊せるわけがなかった。

 

 




ひ か え め に い っ て 地 獄



 ようやっとメアたちの限界突破が始まりました。かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について、次話を向かえて間章「部長、最期の一週間だってよ編」に突入します。
 最終章なんてなかったんや((


~オリキャラ紹介~

・織部 長久 GK 1番 人間(原材料不明)
 背中から生えた翼が悪魔認定されているヒト。
 楽しそうにしている部員を見ると彼自身もうれしくなります。だからお願いします、謎の必殺技に巻き込まないでくださいと日夜願っている。
 ちなみにカッコつけていますがこの人間、既に左手が折れています。

・メア(勅使ケ原 昭) FW 11番 人間(加工法不明)
 長い長いタメにより成長した天使の子(大ヒット上映中)
 ちなみに上のヒトと違って本物の天使とかが混ざりあった可能性は一切ない。
 なのに天使どころか堕天使っぽい力も使いだす。

 最終結論は「リーダーがやることもうよくわかんないけど力なら貸すし、転びそうになった全力で支えるからね!」スタイルになった。
 これが伝染した場合、習合のメンツは化け物になる。
 一号二号は知らん。

~オリ技一覧~

・ザ・ユートピア シュート技 
 メアが辿り着いた世界。部長が自信満々に一緒にボールを蹴ってくれることがうれしくて張り切っちゃう。
 力のでどころは99.9%メアだということは織部マンションズ以外気が付いていない。

 本来ならウラゼウスの真ゴッドノウズ並ではあるが、ダークネス・ハンドV2、ロアフェルシアドミネーションを受けた後だったので押し返し飲み込んだ。
 アフロディさんは泣いていい。

 ちなみに、メアの構想に失楽園という技がある。
 既に末路は敷かれているようなものなのだ。
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