かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について   作:低次元領域

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 仕事が変わってぐっすり眠れるほど疲れる様になりました。健康になりますが更新が再び遅くなります。


クロススカーフ、巻きなおす日

 俺は考えていた。

 秘密のバンダナコレクションを是非とも見てもらおうと思い、トランクケースに詰めて持ってきたのは……このためだったのかもしれないと。

 ついで、自分の為ではない。皆がつけるとしたらこんな柄が似合うだろうなと思っていた物も持って来ていたのも功を奏した。

 

「なんで部長さんが全面的に焦げてるかと思ったら、グラさん達の必殺技が完成したんッスね~よかったよかった」

 

「おうよ。超・猟猪突進弾! 直撃したらウリ坊の強烈な一撃が、例えギリギリで避けてもウリ坊に込められた力が大爆発を起こす。無事じゃ済まねぇぜ!」

 

「追尾性もばっちりだったでしょ部長! 紙一重でワザと避けてくれたから逆に燃えたよ!」

 

 ふんすと胸を張り自慢しているウリ坊さんを見つつ思う。いくら必殺技のためとはいえ部長さんに頭突きの必殺技をぶつけるのはどうなんだろうと。まあ部長さん本人も乗り気じゃなきゃ叱ってるだろうし別にいいか。

 

 地下グラウンドに降りてきた時ッス。骨で作り上げられた翼と手を使って、時に華麗に時に巧みにウリ坊さんを何度も躱す部長さんを見た時は驚いた。いやそもそもウリ坊さんが空を飛んでいたのもびっくりしたんだけど。

 

「しっかしこりゃあ……いい技が出来たんじゃないか!?」

 

「そうだよね、そうだよね! これなら世宇子にだって……! よぅしグラサンもっかい特訓しよ!」

 

 白く輝く歯をむき出しにする二人に部長さんは笑いながらもやや呆れているように見えた。多分二人とも規格外だなぁとかズレた考えをしてそうな気がする。

 最終的にはいつものダークネスハンドを使って止めた……けど、すぐさま起きた大爆発。ジェットパックを背負った猪の全身が爆弾となり爆ぜたのだ。

 爆心地にいた部長さんは煤で汚れ、ユニフォームは見事に焦げていた。ダメージ加工という奴ッスね。

 

「部長さんは普段暗めの色が多いッスから、こんな感じの少し明るめのグリーンペイズリーとか合うと思ってたんス。ほら、こうして前髪だけちょろっと出して縛れば……すっごい別人に!?」

 

「へぇ。なら俺のコレクションの……高さが極端にない、目の半分も隠さない琥珀色のサングラスをだな……すげ、地中海にいそうなやべぇマフィアになっちまったぜ」

 

 グラさんと協力し、部長さんのコーディネートをしていたんスけど……どんどん変になってきた気がするッス。船の中ででっかい包丁叩き下ろして鳥とか捌いてそうな。或いは小型クルーズ船の上で裏切り者を海に落としてそうな……。

 元々浅黒いから少し変えるだけでアングラな格好良さが化けるんすね。アハハハハ……。

 

 そ、それはそうとして。

 

「……なーんか、意外とみんな遅いっすね?」

 

 ……周りを見てみれば集まった部員は半分ほど。もうすぐ部長さんが定めた一日目の特訓時間午後の部が終わりを告げる。

 

 その後は自由時間を挟み、みんなで夕食を準備。食べ終えた後は筋トレなどの基礎メニューがあるが……安全のためという部長さんの提案により本格的なことはしないことになっている。

 大事な一日目だからこそみんな揃って終えたかったのに。

 

「それもそうだな……ワタリのやつなんて滅茶苦茶張り切ってたのにどうしたってんだ?」

 

 俺とほぼ同時にきたジミーさんも顎に手を首をひねる。FW陣の中で今現在いるのは()()()だ。

 他にいないのは二号さんとアルゴさんにソニックさん、そしてトールさん。

 

 キョロキョロしている俺達を見て、部長さんが一歩前に出る。あ、少しバンダナがずれた。

 

「……ワタリは準備に時間がかかり過ぎているらしい、もうすぐ来るはずだ。一号,二号からは明日から、そして特訓のみ参加すると連絡が来た」

 

「お、おう!? ワタリは……わ、分かったけどあの二人は合宿しねぇのか?」

 

 今頃ワタリさんは海外留学でもするのかというほどのバッグを引きずってこちらに向かっているらしい。何をする気なんですか一体。

 そして高天原コンビはまさかのノーお泊り。理由はなんだとジミーさんだけではなく皆気になったが……部長さんが少し言いよどんでやめたのを見て、詮索するのを止める。何かあるのだろう。

 

「メアは説得に時間がかかっている。アルゴは……恐らく寄り道中だ」

 

「あぁ……目に浮かぶッス」

 

 多分その辺で面白そうなものを見つけてフラフラしているのだろう。恐らくというあたり、連絡も来ていないに違いない。流石、流れる如くであり己が道を行く男。

 憧れるけどなりたいかと言われればなんか違うッスね……。

 

 メアさんは単純に来れていない。家が滅茶苦茶いいとこっぽいし、難しいかなぁ。

 

「ソニックは少し走った後に合流。トールは、そろそろだ──」

 

「──わりぃ! 遅れた!!」

 

 部長さんがそういうや否や扉が勢いよく開かれ、カバン一つでトールさんが駆け込んできた。

 既にユニフォームに着替えている辺り、やる気まんまんと言ったところだけど……。

 

「……? うげ、もしかして今日の特訓はもう終わりか?」

 

 片付けを始めている部員の皆を見てトールは悟る。肩掛けカバンを力なく落とす様を見ると何とも言えない気分だ。

 

「お……遅かったねートール! ……に、荷物もそんなに無いように見えるのに」

 

「……かあちゃんにな、説教みてぇに色々と約束事させられてよ」

 

 気遣ったのかわからないけど話しかけたウリ坊さん。それに対してやはりげんなりとトールさんも返す。……帝国学園戦の時に来てたトールのお母さん、めちゃくちゃ強そうだった。体格がいいという訳ではないんだけど、歴戦と言った風格が確かにあったのを思い出す……ッス!

 部長さん曰くメールで息子を頼みますとだけ書かれ送り出されたグラさん達と違って、自分のケツは自分で持て。そんな教えがあるのかもしれないッスね。

 

 ウチ? いやまぁ……楽しんできてねって言われて、良かったねぇとか見に行っていい?とか言われて……だーいぶ気恥ずかしい気分で家を出ました。はい。

 

「……さて──自由時間だが、なにか行きたい場所。やりたいことはあるか?」

 

 トールに日程表を渡したあと、部長さんがそう切り出した。自由時間というか団体自由行動時間? 一応部長さんにも案はあるらしいけど、みんなの意見を聞いて決めたいらしい。

 ……そもそも何をすればいいのかわからない。時間の目的として息抜き、サッカー以外の事を敢えてすることで視点のリセットとかいろいろあるらしいッスけど。

 

「ひっさつ──!」

「サッカー以外でだ」

 

 間髪入れずに提案しようとしたウリ坊さんを手で止めつつ、改めて皆に尋ねる。

 

「あー、俺のコレクションでも見るか? 夜に見せびらかすつもりだったんだが」 「それ喜ぶのグラさんだけだぜ? サッカーじゃないならドッチボールでもすっか?」

「俺ぁは来たばっかだし体を動かしてぇ、ジミーの案に賛成だ」「……! ……!」

「……カガは、せっかくだし普段やらない事をしたい。と言っている」

 

 最後の部長の補足も交えて一通りの案は出る。今のところドッチボールが優勢だけど……部長さんからしたらもう少し運動から離れたことの方がいいんじゃないだろうか?

 かと言ってサングラス鑑賞会は嫌ッス。自分もバンダナ持って来ておいてなんスけど。

 

「……」

「……」

 

 うんうんと唸っている内に……視線が自分に集まっていることに気が付いた。

 

「……えっ、なんですか? ……ッス! じ、ジミーさん」

 

「いや、バングの意見がまだ出てねぇなーって?」

 

 ……そ、そっか俺も意見していいんだ。いけないけない、どうしても控え気味になってしまう。

 じゃあ考えよう。何がしたい?

 皆で動く自由時間、普段やらない事、やらない事……。

 

 ……、

 …………、

 ………………うーん、あっ。

 

「……」

 

 あっ、と声を出したまま口を開けて固まる。いやこれはないだろう、直前になって思いとどまった心が止めたから。

 けど、衝撃が走る。

 

 

 

「──痛ッァ!? ちょ、いきなりぶっ叩かないでくださいッスよトールさ……ん?」

 

 これは、あまりにも場違いだ。

 

 飲み込みかけた言葉、させじと大きな平手が背中を押した。ビタンといい音が室内に響く。

 こんな大きな手、トールさんしかありえない。一体何なんスか?!

 思わずトールさんの顔を涙目で睨んだけど……。

 

「いや、俺じゃねえが……?」

 

 困惑の顔を浮かべるトールがいて、その視線の先には……。

 骨の手に薄い膜みたいなものを付け宙に浮かべている人が居て、腕を組んで俺の顔をじっと見ていた。

 

「……」

 

「……ぶ、部長さん?」

 

 尋ねて、ふと思い返した。

 眼鏡の意味を成していないサングラスをして、怪しさを醸し出すバンダナを巻いていて、普段と似ても似つかぬ姿になっているのに。

 片方の目も、出会ったあの頃とは白黒が逆になっているのに。悪魔の力をありありと見せつけているのに。

 

「……俺は、いいと思うぞ」

 

「──っ!」

 

 あの日、掃除を手伝ってくれた。あの部長と何も変わっていない。俺が心の底から友達だと思えたあのやり取りと変わらない。

 俺の思っていることを読み取って、それを手伝ってくれる。背中を押してくれている。

 

「は、はい! え、えーと俺は……」

 

 だから、俺は。

 あの日のように、他愛もない話をして河川敷を歩く。

 世宇子相手だからとか関係なしに、合宿だから実りあるとか関係なしに。

 

「…………だ、駄菓子屋とか寄ったり、公園にみんなで行ってみたい」

 

 子供っぽい、一度はしてみたかった願望を打ち明けてみた。

 

 答え……この誘いをみんなは、サッカー部としてではなく、友達として応じてくれた。

 やっぱり俺、すげー幸せ者だ。

 

 

 ……あ、ッス!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よーしよく言ったぞバング!! そうだよお前はいつだって平和な志を持つ者だ! 時折重りの量を増やしてきた罪悪については水に流そう!

 駄菓子屋、駄菓子屋とかなら確実に何も起きないはずだ! 皆がサッカー絡まない時は比較的、うん比較的超次元じゃなくなるのはとっくに把握済み。

 さぁみんなお小遣いは持ったな!? 中学生と言えど我らは子供よ、さぁいかんぞ無限の彼方──駄菓子屋へ!!

 

 ははは、勝ったなコルシア! フェルタン! トロア!

 

──……妾は駄菓子屋で騒ぎが起きるに一票

──ふっ、甘いな。我はそこで大きく油断したあとの寄り道で死ぬに一票だ

──だがしー、だっが~しー♪

 

 

 ……くっ、絶対助けなんて求めないんだからな!?

 

 

「すいません遅れました皆さん……!? え、なんで財布を握りしめて……あ、待ってください! ちょっと荷物をロッカーに詰め込んでくるのでお時間を!」

 

 ワタリ、これからテントでも張るのかってぐらいの荷物は流石に使わないと思うぞ。何入れたの? へぇ人生ゲームとかのボードゲームとか色々。あとお菓子も? わぁ高級そう。

 ……今から駄菓子買いに行くから、他の皆には見せないようにしまっといてね。




台 無 し (既視感二度目)

 バングの好感度アップイベント。
 次回はそのバングを起点としつつ、トール、ソニックの必殺技イベントです。
 タイトルは「進化、大嵐吹き荒れる日」を予定しております。
 つまり部長は死にます。駄菓子屋は生き残ります。 
 当然だね。


~オリキャラ紹介~

・バング MF 8番
 久々にメイン視点をもらったバンダナクロス男。中身は友達少なかった系、流され男子。
 意外と部長と似通っている点が多いからか二話目で視点を貰っている。何気に出会いに勘違いもほぼない。
 チームで二番目に必殺技を習得している辺り、テンションが上がれば上がる程強くなるメアと似た気質であることは間違いない。

 今回のイベントでこっそりパワーアップしているが、次回もパワーアップする予定である。

・部長(織部 長久) GK 1番
 自由時間ならばなんとか体力を回復できると思い込んでいる愚者。
コルシアの力の使い方がどんどんうまくなってきているが、とうのコルシアはこの間の仕返しを練っているとは未だ知らない。
 駄菓子屋は久々のびさであるため、内心楽しみである。

 あと超・猟猪突進弾の仕業で左手が折れているが、バレていない。やや焦げ気味の包帯の下に、闇の力でギブスは既に作ってあるので痛みさえ我慢すれば問題ないらしい。
 そうか?

・トール DF 3番
 姉御(母)とのお約束条項、第百二十九条「45回目だが絶対に喧嘩はするな。仲間があぶねぇ時はやっちまえ」を胸に秘めている男。
 荷物の中身はクソ重ダンベルと着替えのみという潔さがある。

・高天原コンビ FW・GK 12番,13番
 とある思いから泊まることに不参加を表明した。
 織部にだけはその思いは悟られているようだが……?

・メア(勅使ケ原 明) FW 11番
 とうとう父親が口を出してきたが、特にシリアスることは無い。
 やや苦手意識を抱えている姉が全力で協力してくれるらしくそのうち来る。

・ワタリ(帳塚 望) FW 10番
 父を全力でねじ伏せた後、彼は母親と協力し限りなく詰め込んだ。
 多分一か月は余裕で暮らせるほどの荷物を持っている。
 恐らくアホ。昔のツンデレ気味な君は何処へ行った。
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