かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について 作:低次元領域
結論としてはイムオウ・ジンガムル・ディオボロスって考えたほうが気が楽だというあきらめでした。
金色のガッシュ 称号:呪文博士ルートRTAとか誰かやって術法則全部解き明かしてくれません? ごーむと最速でコンビ組めばたくさんの魔物と遭遇できますよ。ネタ切れしなくて安心だね((
ちなみにこちらはイナズマイレブンの二次創作小説の前書きで問題ありません。
鳥は鳴いていた。
靴も履かずにでかける空は生ぬるくて、どうしてか物寂しかった。
勢いに任せて飛び出してしまったものの行く当てもなく、部活に行こうと思ったけどそれもみんなに迷惑がかかる気がしてなかなか向かえず。
電源を落とした携帯の重みがズボンをかすかに引っ張るものだから気が晴れない。
父はどうでもいい、当てつけになればいいとも思う。けど姉は、味方をしてくれたのだし……後ろめたい気持ちがある。
「……どうしよう、かな」
目の前をカラスが横切ったから、少し風向きが変わったから、あちらの景色が目に留まったから。
適当な理由をつけて飛んでいるうちに……僕はある公園の上空へとたどり着いた。
「よっほっはっ! すげぇ追尾能力だなウリ坊!」
「う~涼しい顔してよけられてそれ言われると少しむかつく……! 絶対当たってやる!」
見下ろせば、部員のみんなが楽しんでいる。ウリ坊くんが足から火炎を噴射しジミーくんたちに突撃しようと飛び回って、ソニックくんが竜巻を起こしているのを眺めているワタリくんたちがいる。
いつもらしすぎる部活の光景が、まぶしい。
……加わりたいなぁと思う気持ちはあれど、もしかしたらもう彼らにも僕の家出が伝わってしまっているかもしれない。
二の足ならぬ、二の翼を踏む。
──ア゛ア゛ア゛あっ、ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!
「ん、なんだ──カラス……ッ!?」
そうこうしているうちに地上で変化が起きた。竜巻がさらに巨大に、さらに雷雲を纏い始めたかと思えば十数秒。カラスの鳴き声らしきものが聞こえてきた。
僕はそちらに気を取られ辺りを見回していた……すると、不意に暗くなる。影が僕にかかる。
「ゥ、ゥゥ……ハキソ──グゥォッ!?」
「り、りーだ──ぅあっ!?」
見上げればリーダーがいた。骨の片翼を携えたリーダーがいた。
いつの間にそこに、いつから僕に気が付いたいたのか。考える暇もなく、リーダーは僕にぶつかる。
降ってきた彼になすすべもない。
完全なる不意打ちに思わず天使の翼が消える。得意げに飛んでいようが、集中が散りリーダーの闇の力が来ればこんなものだった。
地上が僕を引っ張る。ああ落ちる。
背中に鎖がついたように引っ張られる。
「──っメア!」
間髪入れずリーダーが僕の手を取った。
あっ、と声を出す暇もなかった。
包帯ごしの手から伝わる力強さに痛みはない。骨の翼が一際大きく開き、芯まで冷やすかのような冷たい風が頬を撫でた。
引き上げられる肩と、ぐっと抱えられた腰が心強い。
「──メア。翼は出せるか」
彼は表情を崩さず尋ねてきた。骨翼は大きく力強く動いてはいるが緩やかに……いやかなり速やかに高度が落ちて行っている?
これはまずい。惚けている僕でも分かった。
今の僕たちは空を飛べてない、危険な速度で落ちていっている。
だけど、
「ご、ごめん……」
「……わかった。近くの河川に突っ込む」
早く飛ばなきゃリーダーごと落ちてしまう。そう思えば思うほど翼がうまく形にならない。天使の輪っかが作れない。
先ほどまであの台風の中にいたんだろうか、雨に濡れたリーダーを見ていると、黒く呪詛が書かれ巻かれた包帯骨の一本一本が生きているように動く翼を見ていると……うまく力がまとまらない。天使の力よりも何か違うものに傾いてしまいそうで出力できない。
笑い事ではないのに、僕のせいで危機的な状況でも冷静に判断を下し、笑いかけてくれる君を見ると安心して力が抜けてしまう。もはや訳が分からない。
落ちていく、君が僕を離さぬようにと腕を肩に回す。
堕ちていく、でも怖さはなかった。
自分がどうして空を飛んでいたかも忘れてしまうほど高ぶる気持ちがあったからか、迎えてくれた河川の水は冷たくはなかった。
◆
浮き上がる。
吸い込んだ空気と闇の力で作った大きい水掻きの手を頼りに水面から顔を出す。水に濡れたふくがなんとも言えず気持ちが悪い。
……し、死ぬかと思った……めっちゃ怖かった……海で波にさらわれた時よりも怖かった。
──計算してやっただろうが長久。あの速度と入射角、沈む位置さえ間違わなければ安全だと
それでもっ、それでもパラシュートもなしにスカイダイビングからの入水とか怖すぎるんだよコルシア!!
なんかメアはさっきまで出せてただろう翼全然出せないし、俺の骨の翼は一人でゆっくり落ちるのが限界なのに! ああマジ怖かった!
絶対メアくんってば「わーい悪魔の力使ったリーダーと空の旅だールンルン」みたいな感じでしたよね!?
「……もう一回やりたいなぁ」
「……強いなメアは」
絶対ごめんですよ!! なにジェットコースター乗ったみたいな感想こぼしてるんだ!
おい聞いてんのかメア! あ、服が濡れたままだと風邪ひくからしっかり水絞っとけよ。
……水も滴るいい男って言うけどずぶ濡れでも少し色気出せるのすごいなお前。絶対将来彼女に困らんな。くそう。
「……なんで貴様らは空から落ちてくるんだ」
「び、びっくりした……」
さて……メア姉にこっそりメールして着替えを持ってきてもらうか?
いやメアも家出して逃げてきたのにいきなりお姉さん召喚は嫌だろうか。
ここはエマに相談して俺のを代わりに持ってきてもらうか。そうだな、それなら俺も着替えができる。いい案だ。
……あっ、携帯が壊れている。
──そりゃそうだろう
そうですよね、そりゃそうですよね! ジャングルジムの時も回されながら使ってましたけども!
ああちくしょう!
「うぅっリーダー……まだ頭がぐらぐらする。ついでにサッカーマスクくんたちの幻覚と幻聴も聞こえる」
「奇遇だな、俺たちもだ。せっかく兄弟二人水入らずで修行していたのに、天使と悪魔が入水事故を起こす幻覚が見えているよ」
半裸でウロウロするなメア。着水したときは俺が水面側になったんだからさほど衝撃はないだろうメア。俺なんて背中がめちゃくちゃひりひりするんだぞ。
そんなんでへたるなら普段の重力訓練でなんで平気なんだお前。
……さて。
「……邪魔をしたな」
「……そうだな織部部長、お前のことだから居場所はバレているとは思ったが」
まさかこんなところで出会うとはな真経津兄弟。いいや謎のサッカーマスク一号,二号。
あと別に狙ってきたわけではないぞ。落ちる川の近くにたまたまお前たちがいただけだ。風の吹くまま重力の赴くままに。格好つけてみたが単に墜落しただけなんだけど。
「
そんなことは知らない一号さん。呆れつつも黄昏れ、辺りを見回す。
もったいぶった言い方に俺も周りを見て考え、すぐに思いついた。
「……ここはお前たちと会った場所、だな」
「そうだな。俺たちがお前たちに勝負を仕掛け、敗北を喫した河川敷だ」
使う権利を賭け勝負したが、部室が完成したあとろくに使っていなかった河川敷。
高天原の人はもうここには近寄らないらしいことを考えると、二人にとっては絶好の訓練場だったと言うわけか。
ところで、ついさっきまではマスクしてなかったけど、普段からそのマスク持ち歩いてんの?
俺の包帯みたいなものか。納得納得。さーてじゃあ僕たちは帰りますんで……。
「……で、なんのようだ」
えっ。
「俺たちの修業を邪魔してまで空から降ってきたんだ。理由があるんだろう?」
……えっ、いやほんと墜落先にいただけなんです。出来ることならこのまま出会わなかったフリして帰る気でいたんだけど。
あ、二号よタオルありがとう。気がきくね。ほらメア、お前もさっさと拭くんだ。
どうしたんだメアすっごいなにか言いたげにして。
「いや、単にリーダーとぶつかっ─」
「運命を、見届けに来た」
はいメアくんお黙ってくださいませねー! 空で衝突事故起こして落ちてきたなんて正直に言わなくていいんです! 格好悪いんだから。
ほうら、君の想像する悪魔の力を持ったキーパーがまさか味方の必殺技で吹き飛ばされて降ってきたなんて思わんだろう!?
適当に、ごまかせる言い方。オブラートの包み方検定2級の腕を見るがいい!
──おい、今の一言で天使もどきの目が輝いとるぞ
──盲信は怖いな長久……熱っ!
そうだね。強引に空の旅へ誘ったと思われてますね。
さっきまで仕舞っていた天使の翼全開にして喜んでるよ。それ骨翼が焼けるから勘弁し──痛い痛い!
「……ふんっ。まあ好きにするがいい。俺たちは練習を続けるだけだ、行くぞ鏡介二号」
「うんっ、に──いちっ、えっとにいさ、えーっと……いちにいさん!」
マスクつけてるんだから一号二号呼びは守ってやれよ一号……。弟くんめっちゃ困って謎の呼び名作っちゃったし。一号の兄さんでいちにいさん……ふふっ。
──センスが悪いぞ長久
お黙り。
そうこうしている間に一号たちはさっさと定位置に戻っていく。一号はペナルティエリアすぐそばで、二号はゴールを守るように、二人は対峙している。
シュートとキーパー練習か。二人のポジションは噛み合っているからこそだな。
「――真・光陰如箭」
呟きは宣言にも似た力強さがあった。
最初に見た時とは比べ物にならない、洗練された一挙一動。周囲の光は吸引されて一号の手に集まり弓矢が作られる。弓の形も逞しくなり、緩やかな曲線だった光の形はよりしなやかに。けれど角度をつけた。
「……一号くん、強くなったね」
「あぁ、間違いない」
……昔みたいに頭突きで対処しようもんなら失敗ウィリアムテルみたいな光景になること間違いない。外野で見ていると言うのに寒気すら感じる。
かつてはメアたちに追いつくべく入部して来た男は、目的をほぼかなえたといっても過言ではないだろう。
対するは、
「真・八咫鏡……!」
これもまた進化を遂げた二号の代名詞。巨大な鏡は全てを写す。神に何度も砕かれようが真実は変わらないのだと、強固な意思で作り上げられていた。
二号もとても強くなった。ブラック、アフロディのようなイレギュラー、とんでもでも来ない限りあれを一人で打ち破ることは無理だ。
……世宇子みたいな危険な相手でもなければ、もうキーパー任せてベンチでふんぞり返りたいぐらいだ。
「……頼もしい鏡になった」
「うーん……そう、だね」
メアはやや言葉を濁して肯定する。……まあお前の真・エンゼルブラスターでぶち壊せそうだしな。それは俺も死ぬんだけどね。
「ところでさ、なんか不思議な特訓だねこれ」
「そうだな」
しかしこれは一体全体どう言うことか。二人とも必殺技を発動してはいるが、放っていない、受け止めていない。
一号は矢を引いたまま保持しているし、二号も鏡を出し支えたまま。一体なんの練習なのか? 必殺技の持続力……にはあまり効果的ではないだろう。
「聞いてみたいけど邪魔するのもなぁ」
「しばらく見ていよう」
一号たちの表情を読めば分かるだろうと思ったが、集中のしすぎでろくに読み取れない。
せいぜい一号が「速さ」を追求し、「鏡のど真ん中を狙う」こと、
二号が「地上に対して水平」にし、「一寸も違うこともなく反射する」と考えていることだけ。
「──ふっ!」
「……! グゥッ……ハァッ!」
放たれた一矢は、やがてという副詞をつける暇もなく一瞬にして鏡に垂直に突き刺さり、二号を後退させる。
だが鏡にはわずかなヒビを入れたのみ、光の矢は掻き消え──違う。
改良された鏡はより威力を増大させて跳ね返す。光陰如箭は鏡の前から消えたかと思えば更に速度を増して一号の足元へと飛んでいたのだ。
「……ふぅぅぅ!」
スパイクを焦がしたかと思うほどの白煙。とんでもない威力になっていたであろう一撃を止めて一号は片膝をついた。
二号もまだ跳ね返したシビレがあるのか手を気にするそぶりを見せている。二人は全力でこの特訓に当たっていた。
……すげっ、と声が出かけたのは秘密。
メアも小さい拍手を送る。
だが、
「……まだまだだ」
「うん……!」
一号は二号が立ち上がるのを見届けると声を出す。
二人は決して納得しておらず、もう一度同じように必殺技を発動、待機させた。
なぜだろう、何が満足ではないのか。
「えぇっ、今のはかなり上手く行っていたよね……? 今まで見てきた中で一番速かった。それをちゃんと跳ね返してたし」
俺もそう思ったが二人にとっては違う。では今の光景からケチをつけるとしたらなんだ?
一号はボールを受け止めた時、二号の様子をじっと見ていた。二人ともその場の、一回分の必殺技としては満点に近いはずなのに。
……なんで一号はいま、跳ね返ってきた光陰如箭を止めた?
「……鏡のヒビ、止めきれない光の矢。──連携が繋がらない」
なんとなくわかった言葉を整えずに並べる。
一号の必殺技としてならほぼ完成形。二号の必殺技としても、真正面の光陰如箭を跳ね返せるなら完成度はとても高い。
だけれども文句があると言う。更に上を目指すため? 違う。
あれは光陰如箭でもなければ八咫鏡でも無い。
恐らくは個々人の必殺技の強化の練習ではないのだ。
「そ、それってまるで」
「二人の、兄弟による合体必殺技。求めているのはそれだろう」
メアとの合体技、天照は速さと貫通力を兼ね備えた……はっきり言って最強に近い奥義だ。
だがそれに頼ろうとは二人は考えていない。
きっとそれが合宿に参加しない理由だ。練習で自己を高めつつも、寝食は家族の世界で過ごす。
習合のメンバーとしての強さを糧に、高天原の、真経津兄弟としての強さに昇華しようとしている。
「……上手く行くといいね」
偽りの神を前に打ち倒され蹂躙された苦々しく腹立たしい思いを燃やし、新たな挑戦に乗り出したのだ。
あと数日でたどり着けるわけがない、そんな常識を蹴飛ばして。
「……いくだろう、あの二人だ」
世辞でもなく、そう思っていた。重力訓練を前に倒れていた日も懐かしい。あの二人ならきっと完成させる。
……帰るのは野暮、かと言ってこのまま特訓を見続けるのも野暮だろうか。一先ず濡れた体が乾ききるまでは芝に座っていようそうしよう。
メアはどうする? 同じようにするか。こっちに座るといい。ちょうどいい大きさの石が椅子にちょうどいいぞ。
座らない。二人を見続けたまま、メアはぼーっとしている。何か思うところがあるらしい。
「……兄弟でサッカーか。改めて考えると、すっごい仲がいいよねあの二人」
……あぁ、不意に自分と重ねてしまったのか。家出中の自分だっているのにと。
父親と喧嘩し、味方をしてくれる姉にも引け目がある。それで仲睦まじくサッカーする兄弟を見て何も思わないわけがない、か。
俺は押し黙る。
「その、僕のとこは……なんというか、全然かみ合わなくてさ」
家出しているということは言い出せず、けれど俺に苦しみをわかってほしいのか苦笑して腰に手を当てる。
やがて俺の顔を見て、表情に曇りが募る。……どうやら俺の家庭事情のことを思い出したらしい。というかいつ知ったんだ、ワタリか。ワタリなのか?
「……でも、そうだよね。家族は仲良くしたほうがいい、よね」
言いたいことがあったメアだったが、それを口に出せずメアは「常識的な答え」をわかったフリをした。
少なくとも、人の顔色をうかがうのが得意な俺でなくてもだ。無理をしているなんてまるわかりだった。
だから俺は、
「家族が分かり合える、なんてのは幻想だ」
格好つけることにした。
無理をしている部員をそのままにするなんて格好悪いことはできない。なにか説得できそうな物事はないか。必死で頭の中を探し始める。
──いや決めてから話さんか
コルシアお黙り。今まで俺と付き添ってきたお前なら、俺がその場の勢いだけで凌いできたと知っているだろう。
「……少し、昔話をしよう」
特に話すことも決めていないが、なんかそれっぽい雰囲気にしてみる。
メアはもう座り込んで聞く気満々モードだ。生半可なことではだめそうだ。
……さてどうしよう。過去の俺よ助けてくれ。
つなぎ回、次回はアルゴ君の回想を交えつつのメア君立ち直り回。つまり部長の死刑宣告回。
~オリキャラ紹介~
・真経津 光矢(サッカーマスク一号) FW 12番
高天原中のエースストライカー。FFが終わった後はまた戻る気満々だが、どう考えても常人を超次元にする秘訣は学べていない気がする。
目つぶしと超高速シュートというクソゲーを強いてくるのは秘密。チャージから放つまではその場から動けない弱点がある。
・真経津 鏡介(サッカーマスク二号) GK 13番
兄に連れられ一か月しかたっていない中学を転校するはめになった生真面目な子。兄と比べるとキャラが薄すぎるが、逆に言えば兄がいる時は大抵出番があるので美味しいのかもしれない。
織部に毎日正ゴールキーパーを打診されそうになっているとは夢にも思わない。