かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について 作:低次元領域
switch2は抽選落ちました
------
あらすじ
1.サッカーの特訓のため合宿を始めた習合中
2.カレーつくりは強敵だった
3.肉の調達を指定を間違える
4.召喚された「地獄肉覇獣 ミノブタトリス」とのタイマンが始まった
いつだって死闘は当然である。
例えサッカーの合宿中といえど、部長であるならば警戒を怠ってはいけない。
そう、例え妹にカレーの肉を用意してもらうように言う時だってそうなのだ……。
『ゴゲブグゴォォォォ!!』
無理に決まっている。
見る見るうちに大きくなり、自身の身丈よりも数倍の大きさと化したそいつは魔獣と言って過言ではない。
というかそれが適切な化け物を相手に俺は諦めのムードだった。
現在若干の難聴状態ではあるが、それを無視する程の叫声、逆に聞こえづらくなっていて助かったかもしれないなぁなんて思いながら化け物を観察。
─エマの奴、ずいぶん奮発したのぅ……高かったろうに
─最近の地獄はあれを買えるのか……?
トロアとコルシアの謎トークを聞いて、絶対に地獄には行かないと心に決めながら考える。
真っ黒で強靭な角を四本生やし、そこから前足にかけては肉牛らしく下半身は豚の体格。全身は茶色の毛でおおわれている。
それとは不釣り合いな白く大きな鶏の翼を広げ、目の前にひょこひょこと出てきた愚か者の俺を吹き飛ばそうと迫ってきていた。
改めて自分の手札を考える。右腕は全くと言っていいほど動かず、左腕も上げるだけで精いっぱいだろう。
─詰みだな
─詰みじゃのう
─つみれ汁……
悪魔の多数決により、俺は詰みのつみれ汁認定されたがまだ抗いたいので控訴しておく。
ゼウスや雷門相手に死ぬならまだしもサッカー合宿中に地獄の魔獣に跳ね飛ばされて死亡とか絶対に格好悪い。葬式とかどんな雰囲気になるんだこれ……。
『グォゴゲブグゴォォォォ!!』
とにかく相手は動物?なのだ。であれば説得も通用しない。ただ純粋な力のみが奴を止める手立てである。
部員を呼ぶにも間に合わない、必殺技で受け止めようにもせいぜい左腕を上げるのが精いっぱい。
仮にダークネスハンドを生成しようにも骨の手で「いったん待ってもらっていい?」とジェスチャーをするのが限界で受け止めようものならすぐさま吹き飛ばされることだろう。
避ける?みんなが見てる前でそんなことをするのは死んだも同然である。
─お前そういうとこいい加減直したほうがいいぞ
コルシア、ハウス。
で、あればどうするか。やはり威嚇しか生き残る術はない。
とにかく怖そうなことをしてビビらせるほかないのだ。
……考えをまとめ実行に移す。
死期が近づいてる時ほど自分の頭はよく回る。スローな視界が徐々に加速していくのに少しだけ安心する。
コルシアが蓄えている闇の力を放出、オーラのように噴き出す。
『ウモブゴォォォ!!』
それを見ても化け物には効果なし。むしろ敵意が増大した気がする。
もう終わりだよこれ
とはならない、この程度でビビるのは近所の人くらいだ。
回覧板すら最近は宅配便で届く。
「……威嚇の基本は、姿を大きく見せること」
闇の力を練り上げ二分する。
闇の塊に左腕を添えるように突っ込み、
そして力すら入らずに腰の横に垂れ下がっている右腕をもう一つの闇が包む。
これで闇の力で無理やり両腕を動かせる。
呼吸をするよりも自然に出来た。
「骨は死者の証。獣は死を恐れるが、死者は恐れない」
作るのは骨だけではなく皮、纏わせれば死者ではなく生物としての風格もまた纏う。
顔だけでいい。
敵は横でも後でもなく、前にいる。
相手は地獄の化け物。
であるならば威嚇に使うべきは同じ地獄の化け物……いやそれよりももっと恐ろしい、地獄の支配者たち。
トロア、借りるぞ。
─あぁ?
あとコルシアとフェルタンも。
─うん?
─素揚げ……唐揚げ……揚げびたし
半身の構え、右足を一歩を前に出し、右腕を相手に向ける。
怪物に向いた腕の上まで、左腕を闇で持ち上げた。
力の入らない左手の指が垂れ下がる。
悪魔を合体させる。
ロアフェルシアドミネーションのような三柱の悪魔がそれぞれ共存する訳ではない。
三つの形を混ぜて、造る。
イメージする。どんな生き物でも化け物でもなんでも恐怖する怪物を。
イメージする。どんな時でも俺の中にいた地獄の悪魔たちを。
「今より呼び出すは魔獣よりも強く、悪魔よりも禍々しき者」
骨格は支配者に相応しい頑強さ、威圧の力を持つ龍を。
肌には美しくも寒さを感じるほどの光沢を放つ鱗と刺々しい毛皮が入り混じり、継ぎ接ぎというよりもまるで全ての祖であるかのように語るものへ。
肉を割き骨を割る牙は潤沢に、たとえ万が一そこを乗り越えようとも逃れられぬ二股の大きな舌が口から獲物を覗く。
『ブルゴッゴ……ゲ?』
眼を入れる。深く光る金の中に在る赤き瞳孔、目全体を囲う様に黒い隈取り。
ここまでくれば流石に化け物も眼前へ、自身よりももっと巨大な怪物の顔があると理解する。
減速、地を粉砕するかの如く足は次第にその動きを収めていく。
「この悪魔に名はない。名すらいらない」
作り上げられた怪物。
その上顎は左腕を、下顎は右腕の動きを合わせ上下に静かに動いており、閉じられるのを今か今かと待ち望んでいるように見えて……
『……プギィ』
地獄すら生ぬるい、大地獄へ飛びこむ愚行をしていると気が付いた魔獣は足を止めた。
それを、腹を空かせた悪魔が見逃す筈がない。
─いただきます
怪物の口の中、蠢いていた舌が伸びたかと思えば白き大蛇へと姿を変え、魔獣の首元を締め上げる。
喉から空気が漏れる音すら許されない。
抵抗する間もなく、絶望の感情と共に魔獣は倒れ伏した。
◇◆◇
─料理まだ?
今エマにやってもらってるからもう少し待ってください……。
闘牛?が終わり、危機が去った俺はキッチンの片隅にいた。
フェルタンが仕留めた魔獣は慌ててやってきたエマの手によって解体。
カレーに必要な分は調理班に渡され、残りはエマがフェルタンの要求を元に別の場所で調理しているらしい。
ちなみにカレーに使われる部位について、牛か豚か鳥かで揉めたがじゃんけんという名の必殺技のぶつかり合いで鳥になった。
「いやエンゼルブラスターはきついって」とは牛派閥だったグラさんの意見。
意外と庶民的なんだな、メアの好み。ちなみに俺も食べ慣れていたので鳥陣営だったが、メアが張り切って全てを片付けたので何も起きなかった。
平和だなぁ。
─部員の半数近くが天使小僧に吹き飛ばされて平和……?
コルシア。お黙り。
もう今日の俺は何もしたくないのだ。
幸いにして調理は順調に進んでいる。マネージャーたちが合流してくれたおかげなのと、もう後は具材を煮込む程度だったからだ。
大きな寸胴鍋にお玉を入れかき回しているバングを長閑に見れる余裕さえある。
ちなみにソニックもかき回し担当だったが、玉ねぎと同じ過ちでカレーを竜巻に攫わせかけたのでその任を解かれた。
─カレーが攫われるのに平和……?
お静かにコルシア。
あと十数分もすればカレーが完成し、みんなで仲良くご飯タイムなのである。
だから平和なのである。
「ねぇリーダー!! さっきのドラゴンみたいな狼みたいなの何? 新しい必殺技!!? それとも新しく契約した悪魔!?」
「……さぁな」
「あっ分かった、さっきの今までの悪魔の力を感じたし融合させたんだね!!? 名前とかある!? 悪魔龍……いや悪魔を超える悪魔で超悪魔とか!!」
「…………さ、さぁ」
「うーん超悪魔は少し呼びづらいし超魔とか……いや、ここはいっそ造語でボアルゴンとかどう!?」
─それ我の要素がウルフのルで一文字だけじゃないか?
コルシア、お黙り。
今興奮してキッチンの片隅に追い詰めてきているメアをどうにかする方法を考えている最中なんだから。
部員の大半を吹き飛ばしたエンゼルブラスター発動時と同じ枚数の天使の羽を出し、部屋の一角は既に封鎖されていて怖すぎる。
下手なことを言えば直ぐにでも処刑されそうだ。
「……………あの怪物に名は不要」
「えっ。そっか、確かに名前があると一気に怖さが減っちゃうかもだからだよね! なら名付けるべきはあの現象の方か!
悪魔が合わさったからデーモンマージとか……うーんいまいちピンとこないかも」
よし、何とか名付けの方へ気が完全に向いたようだ。
正直必殺技にする予定もないので適当に呼んでもらえればそれでいいのだ。デーモンフュージョンでもなんでも勝手につけてくれ。
無事平和タイム継続しそうでなにより……
「──もう少し考えたいからもう一回出してよ!
あっ、ついでに僕のエンゼルブラスターもあと少しで何か閃きそうだから特訓も兼ねてさ!!
そうと決まれば今からグラウンドへ」
勘弁してください死んでしまいます。
あれこけおどししかできないから俺が光に焼かれて終わるだけなんです。
助けてぇ……!
「部長―、メアさんー、カレー出来たんで盛り付け手伝ってほしいっすー」
助かったぁ!!!
~オリキャラ紹介~
・織部 長久 GK
サッカー合宿中に闘牛?を制した男。
ぼくのかんがえたさいきょうのもんすたーを作り上げた。
カレーの肉が鶏肉派なのは節約思考の母譲りであり、父親は豚が好きらしい。
・メア FW
サッカー合宿中に味方をほとんど吹き飛ばした天使。
織部が出した悪魔合成の怪物に興奮し何かを閃きかけている模様。
ちなみに本当はなんとなくカレーの肉は牛かなぁと思っていたが、織部が鶏肉派閥だったので寝返った。
・フェルタン
豪華な料理のために丸呑みを我慢できるいい子。
・地獄肉覇獣 ミノブタトリス
星四 攻守2000/500 地属性
近年、地獄での飼育の成功により安価となるかと思われたが天然ものは脂の入り方が違うと逆に高騰した稀有な存在。
負けを知らない個体になる程美味しくなるという。噂では羊が恋愛対象らしい