かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について 作:低次元領域
そしてなんと、今回はクソ平和な回です。
※ちなみに、手術する前は本当は入院したりするらしいのですが……カットさせていただきました。
ちょっとだけ超次元な医療という事で……きっとエイリア学園編の途中ぐらいからは骨折が一週間で治ったりしそう。
瞳子さん、部長に紹介してあげてください。
闇っぽい力を閉ざす日
それは夕飯の後、キック力を鍛えるため重りを持ってスクワットをしていた時の事だった。
二日ほど
部長が俺にそんなことを電話してきたとき、驚きのあまり受話器を落としてしまうかと思った。
何せ俺の中では部長は無類のサッカー好きであり、また誰よりも辛いトレーニングを積み重ねる男という印象があったからだ。それが休む? 一体どういうことだろうか。
どうした、何か怪我をしたのか。なにがあった。
そう尋ねてみても申し訳なさそうに言葉を濁されるばかりで、不安になり……今日の部長を思い出す。
軽いジョギングで河川敷まで行って、俺とメアのシュートを止めて、トールの拳を止めて、高天原のエースの必殺シュートだって頭で……。
頭の傷、そうだそれがあった。まさか、それが見た目よりも酷かったのか? 頭を打ったせいで何かが起きたのか。
「……いや違う」
そこだけはっきり否定された。見当違いだったようだ。
流石にあの丈夫な部長がそれしきでどうにかなるはずもないか。
「……あー、いや、その、だな。
──病院で、風邪をもらってきたようでな。頼んだぞ……ジミー副部長」
意外と丈夫じゃなかった。
恥ずかしそうに白状する部長に、思わず吹き出してしまったのは別段悪い事ではないだろう。
「そっか風邪か……風邪?」
お大事にと言って、通話を切った。
どこか、腑に落ちない自分がいた気がするが気のせいだろう。
明日の朝、雨が弱くならなくても部長の家の前に集まるのはやめとくように部の連絡網で伝えとくか。
多分何人か見舞いに行こうとするだろうけれど、本人は「うつすと悪い」とか言って拒むか困るだろうし。
あー目に浮かぶな。
「99……100っと、ふぅ。少し疲れたな」
決めておいた回数を終える。
なんだかんだ言って、今チームの調子はかなりいい。
途中の大雨でまたも練習が邪魔されたものの、必殺技練習も中々実りあるものだったことは間違いない。
メアが編み出した『エンゼル・ブラスター』を見て糸口をつかんだようで、少し形が出来てきた者が何人か出てきたのだ。
……俺はさっぱりだったけど。
ただやはりメアの様にすぐさまとはいかず、まだまだ時間を要するだろうこともわかる。
土曜練で取り返そうと意気込みが沸いてくる。副部長が必殺技なしなんて笑われちゃうからな、頑張らないと。
……そういや部長って必殺技持ってるのか?
PKの時も頭突きで対抗してたけど……まぁ持ってるか、部長だし。
◇
土曜日。
PK戦を制した次の次の日の事。俺はおかゆを一人ほおばっていた。テーピングされた右腕と、火傷した部分にラップの様なものを張った手では食べづらくてしょうがないがまぁいい。
学校は休み、部活も今日は……ははは、なんて優雅な朝だろうか。こんな日は心もゆとりを持って……
「(──ああちくしょぉぉう!! 仮病使っちまった、格好悪い! 今頃は部長クン風邪ひいたんだってー、とか言われるんだよもう!
風邪は一応ひいてたけど、休むほどのもんじゃないってのにこんちくしょう!)」
……いなかった。ここまで避けて来ていた休むという行為をした結果、心は嵐の海の様に荒れていた。
ではなぜ休んだのかと言えば、左腕の手術痕がそれを物語っている。
骨折をしたら、基本外側から固定するためのギブスをつける。しかし、どう考えてもギプスなんてしたら周りにばれる。
医師と相談し、幸いにして空きがあったのでさっさと手術で左腕に金属を埋め込んでもらい内側から固定することにしたのだ。まだ手術の痛みが残っているが、あと一日も経てば痛みも引くだろう。
……当然、左腕を使えば激痛が襲ってくるが。
その後消毒をして今朝帰宅。
まったくもって忙しい。今日一日は絶対安静と言われているし、食べ終えたので寝てしまおうか。
……っと、新しいグローブ買っておかないとか。手術したせいで今月厳しいし、メ〇カリとかにある安い中古品とかにしよう。そう思いパソコンの電源をつける。
あ、めっちゃ安いのあった。二束三文同然じゃねぇか。
なんでこんなに安いんだ、訳ありの品か? 確かに年季はありそうだが、しっかり手入れされててまだまだ使えそうだぞ?
えーと何々? 「私の兄が長年使っていたグローブです。兄は無理な特訓がたたり体を壊してしまい、すっかり大好きなサッカーが出来なくなってしまいました。
リハビリも嫌がり、サッカーに関するものを見るのも辛くなってしまい処分してくれと頼まれ……捨てるには忍びなく、サッカーをする人に渡せればと思っての出品です。
大事にしていただけるとありがたいです」
……明日は我が身かな。
縁起は悪いが、背に腹は代えられん。購入させてもらおうぽちっとな、指動かすのもいたいけどしゃーないしゃーない。
ごめんね、多分また仲間の必殺シュートとかで壊れるけど……その時までしっかり手入れするから。
うわ、返信はやっ!? 張り付いてたのかってぐらい早いぞこいつ……。いや偶々、たまたまだろ。
取引完了したし、火曜には届くかな。
これでとりあえずはokか。
日曜はもともと休みだし、明日も休めると思うと気が楽になるな。
……あ、結局左腕使えなくなったのどう説明しよう。キーパーなのに右しか使わなかったらバレるよな普通。
えーと、一か月以上左腕を使わないのを納得させられるような理由……えーと、えーと──
◇
月曜。日曜までの大雨が嘘かと思えるほどの快晴。
くそが。
「あ、風邪大丈夫でしたか部ちょ……う?」
「おはようございま……ス?」
「……?」
相変わらず玄関の扉を開けたら揃っている部員たちが、今日は奇特なものを見るような目で見てくる。いや実際不思議に思ってるなこれやっぱ。
気になるよね。
正直俺的にはこんなのより背中から翼はやしていたメアの方が気になるけど。
「……あーボス、その左腕の包帯は一体……」
「……しかも
みんなが見ているのは、左前腕から手までを隙間なく隠している黒い包帯。そう、白ではない。黒だ。
白だったら恐らく、みんな「怪我したのか!?」って驚くだろう。しかし、黒だった時は「え、なにその……え?」という疑問を与え、思考を狭めさせることが出来る。
まず初手は成功と言っていいだろう。次はいったい何なのか、という事を教えなければならない。
多分皆分かってはいると思うがギプスではない。
さぁ、息を吸え。
今までは勘違いされる方で生きてきたが、今この場一瞬は勘違いをさせる話し方をしなければならない。気をつけろと自分に投げかける。
「──封印だ」
風邪だと思っていたら闇っぽい力が目覚めた。暴走しそうだったので抑えた。
だからしばらく左腕は使いませんよ。
という方向性で行く。
超次元に生きるみなさんならきっと信じてくれるはずだ。日曜日を丸々潰し、深夜を過ぎても出なかった思考回路はとんでもない結論を導き出していた。
苦肉の策だった。というか無理過ぎる。
もう少し考えておけばよかった。今日ぐらいは長袖で隠しておいて誤魔化せばよかった。
冷や汗が出てくるのを感じる。
「えぇ……マジなのかボスそれ」
「すごーい……」
まずい、普段は言うことなんでも信じてくれる部員達でも
……むしろなんで半分も信じてくれるんだよお前ら。俺が友達に言われたら鼻で笑う自信があるわ!
でもどうしよう、このままだと話が進まないどころかバレる。
「ねーねー部長さ~ん、一度その包帯と──」
「──そうだったんだね!」
サンキュー
これメアちゃん(厨二病)完全信じてますね、目がキラキラしています。
やっぱいきなり詠唱始める人は話が分かるぜ!
「そうか、通りであの時もふらついて……光、僕の未完成な技を受けて闇の力が活性化していたんだね!?
そのあと真経津兄の光陰如箭で覚醒へ……!」
「……なるほど?」
すげぇ、ちょっと理論立てて解説してくれるおかげでみんな信じ始めてる。
闇っぽい力って言っただけで結び付けてくれるとかメアちゃんパナイ……というか君ここまで重症だったっけ? 羽生えて悪化した?
「でも安心してほしい。君は気が付いていないかもしれないが、僕は確かにあの時君に宿る光を──」
このあと、メアが五分近く語りつくしてくれたおかげでなんかみんな納得してくれたという事だけは明記しておく。
二度とこの話題をメアの前でするのはやめよう、そんな意識がみんなの心の底に結びついたらしく、誰も俺が包帯をしていても疑問を持つことはなくなった。
だけど、
「……その、授業中は包帯を」
「先生! リーダーは──」
クラスメイトからは奇異の目で見られることになった。
そしてメアが逐一解説してくれるせいで、更に設定が盛られていく様を横目で眺めることしかできなくなってしまった。
恥ずかしい、穴があったら入りたい。
助けて。
ダ ー ク フ レ イ ム マ ス タ ー ・ 部 長
ついに部長も超次元の仲間入りですね((
感想で書かれてて思ったんですが、骨折してるのにFF棄権を微塵も思考に出ていない部長ってもう頭超次元なんじゃないかって思いました。
後鬼滅の刃の二次創作で「深呼吸してたら鬼狩りにされた」みたいな勘違いもの書いてみたいっすね。こっちとは違って真面目に強い主人公的な奴。