闘気魔法の使い手……魔法が全ての世界に武の達人が降り立つ。 作:ハッタリピエロ
黒の暴牛のアジトの前で俺とヤミ団長は対峙している。
ヤミ団長は乗り気なのに対して俺は未だに憂鬱だ。
「だっはっはっは!じゃあ行くぜ……!」
「……はい」
周りのギャラリーは皆興味津々といった感じで俺とヤミ団長を見る。
ラックに至っては自分が飛び出しそうな勢いだ。
どうしてこうなった?
時を少し前に遡るー
黒の暴牛に入って数日特にこれといった任務もなく俺は修行に勤しんでいた。
まずソルの練習。
サイヤ人並みの肉体をもらっているとはいえ高速移動の術は必須だ。
俺は地面をコツコツと叩いて踏み込んで一気に蹴る。そして勢いをつけた後に更に地面を連続で蹴り、スピードをあげる。
そして途中で横方向に地面を蹴り、右へと方向転換して更に地面を蹴り勢いをつける。これを繰り返して蹴る回数を上げる特訓。
次はソルで移動する中で俺は地面を今度は上向きに蹴り空中へ舞う。更に空中を蹴って月歩で上へ上へと飛んでいく。
そして用意しておいた的を飛ぶ指銃で撃ち抜く。
的を撃ち抜いて闘気魔法"舞空術"で空中で静止すると
次はこの魔法を発動する。
闘気魔法"
そして流水岩砕拳で向かってくる波動弾の軌道をずらす。
全て弾き飛ばした後俺は地面に降りて思い出した当番の仕事のために生えてある木を旋風鉄斬拳で拳を突き出して斬る。
これで薪は確保できた。あとは……離れにある一部屋分ぐらいはあるデカイ井戸まで走って中に飛び込み水に入る前に舞空術で止まる。そして水に手を入れて
「魚人柔術魚心……海流一本背負い!」
そして朝飯に使う分の水を外に用意してあるバケツまで運ぶ。
ザパパァと大きな音がして掬い上げられた水がバケツに入る。
外に戻ると皆が来ていた。どうやら起こしてしまったらしい。
「おーう!当番ご苦労様!」
マグナ先輩がねぎらいの言葉をかけてくれるがそんなに疲れてない。
「しっかし……おまえの不思議な武術には驚かされっぱなしだな……」
ヤミ団長が辺りをマジマジと見る。色々やりすぎちゃったかな……
「おまえって実際どのぐらいなんだ?」
マグナ先輩が直球で聞いてくる。う〜ん……俺も考えたことがなかったな……
「なら戦ってみたらいいんじゃないかな?」
ラック先輩が余計なことを抜かしやがった。ちょっ!?
「そりゃいいな!暇つぶしにもなるし!」
「でもよぅ……誰を相手にするんですか?」
マグナ先輩が言うと
『あっ……』
皆黙ってしまった。
「ラックでも軽くあしらうのだから生半可なやつはダメだな……」
ヤミ団長が考え込んでいると
「ピッタリな人がいるじゃないですか!」
ミモザが発言した。誰だ?
とミモザが指差した先はヤミ団長だった。
「俺?……」
「確かいいっすね!」
「団長の本気見てみたーい!」
「アタシも〜!」
「ええ〜……でも面白そうだな!」
え!?この団長なら乗り気じゃないと思ってたんだけど……マジで?
「よし!カイ!俺と勝負だ!給料賭けた戦いだ!」
おいおい……
こうして俺とヤミ団長は戦うこととなってしまった。
ヤミ団長は刀を構えていた。あれ?ヤミ団長って異邦人?
まあ別に気にすることでもないか。
「おいおい!どっちが勝つと思う!?俺はヤミさんに賭ける!」
賭けまで始めちゃってるよ……しゃーない!ミモザも見てるしカッコ悪い姿は見せられん!
「じゃあ……始め!」
俺がソルでヤミ団長までの間合いを詰めると団長は刀を振るおうとしていた。俺はそれをしゃがんで避けてあの魔法を発動させる。
「闘気魔法スピリッツソード!」
俺の手から剣状の気が出現して二度目の太刀を受け止める。
「ほぅ……やるな!」
「そりゃ……どうも!」
そしてヤミ団長の太刀筋を読んでスピリッツソードで受け止め続けるが
「闇魔法……黒穴」
ヤミ団長がそう呟くと俺の右手のエネルギーが突如現れた黒い穴に吸い込まれるように消えていった。
なっ!?
そしてヤミ団長の攻撃が俺の頭まで振り下ろされようとしていたので俺はそれを
パシッ!
「なっ!?」
「はあっ……危なかった……」
真剣白刃取りで受け止めた。
「おいおい……マジか……当たりそうになったら止めるつもりだったんだがまさかあのタイミングで止められるとは……」
そして再び気の剣を生成するとヤミ団長の剣を掴んでその首に手刀を突きつける。
「俺の……勝ちですよね」
「ハハッ……まさか俺が負けるとはな……」
勝った事実を知ると俺はその場に座り込んだ。
あー危なかった。正直ギリギリだったな……
とそう思っていたら
「あー!くそ!ヤミ団長が負けた!」
「凄いじゃないの!坊や!」
「やっぱり凄いね!君!」
皆が駆け寄ってきてくれた。
とその時
「カイさーん!」
ミモザが俺に抱きついてきた。
「ちょっ!?ミモザぁ!?」
「流石私のカイさんですわ!」
わ、私のお!?
ハッと視線を感じたので見てみるとフィンラル先輩が血涙を流していた。
えええええええ!!?
バネッサさんはニヤニヤした目で見ていたし……
ヤミ団長も興味津々な目をしていた。
アスタもキラキラした目で見ていて、ノエルは顔が赤くなっていた。
こうして俺とヤミ団長の模擬戦は俺の勝利で終わった。