ゼノブレイド2 指輪の継承者   作:shinp

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この小説は、メギドを色んな人に認知されてほしい。という想いで書いた小説です。

ちなみに推しはゼパルちゃんです。


第1章 機械仕掛けの人形
トリゴの問題児


「はぁ…今日も暇だ…。」

 

 眼下に広がる雲海。その雲海を悠々と巨大な巨神獣が闊歩し、その巨神獣の上で人々が生活を営む世界アルスト。

 

 数ある巨大巨神獣の一体であるグーラ。そのグーラ最大の町トリゴの一画で一人のグーラ人の青年がいた。痩せ型で歳にして十代後半。顔はよくいるグーラ人だが、他のグーラ人と違う特徴として、人差し指と薬指に宝石のようなものが填まった指輪をしていた。

 そのグーラ人の青年は雲海を眺めながら呟く。

 

「なぁーんか、面白いこと起こらないかなぁ…?」

 

 このトリゴの町に駐在しているスペルビア兵相手にちょっかい出して鬼ごっこをしてスリル体感及び退屈しのぎにしていたがそれもマンネリ化してきた。基地の方に行けばそれなりに腕の立つ相手がいるだろうが下手に手を出して四六時中鬼ごっこする羽目になりたくない。

 だからと言ってこの辺で名を馳せているモンスターに喧嘩を売っても命がない。

 この退屈をどうしようか。顎に手を当て、考えるソロンの後ろから自身を呼ぶ声が聞こえた。

 

「ここにいたも!おーい、ソローン!」

 

 呼ばれたソロンがグーラ人特有の獣耳をピクリと動かし、振り向くとメカニックが着るようなサロペットを着た、大きな耳がついた丸っこいハムスターのような種族、ノポン族の少年が駆け寄って来ていた。ソロンはノポン族の方に体を向ける。

 

「よっ、トラ。何だ?今日も人工ブレイドに欠かせない萌え要素を閃いたってか?」

「そうもそうも!やっぱり萌えに必要なのは…って、そんな事じゃないも!」

 

 トラはノリツッコミをしながらも大きな耳で何かを取り出す。それは丸く加工された黒い鉄のような物だ。

 

「…これは?」

「もっふっふー。これは今さっき出来上がったトラ渾身の力作、ロケットカムカムだも!」

 

 物掴みを兼ねる耳で作成物を掲げ、自信満々に答えるトラ。

 

「スゴいな。…で、これをどうするんだ?」

「これを、いっつもイバり散らしている兵士にぶつけるも!」

 

 ソロンは感心しながらも何の用途に使うのか尋ねるとトラがそう返した。ソロンは思わず目を見開く。

 

「おいおい、お前もあいつらに喧嘩を売るのか?危ないぞ?」

「ソロンに言われたくないも。だってあいつらトラたちを見下してる所があるんだも!フンゴフンゴもー!」

 

 心配するソロンに対しトラはそう憤りながら反論する。このグーラに駐在しているスペルビア人、厳密にはその領事がグーラの住人を見下してる節が度々見受けられるのだ。そんな不満があるからこそ、ソロンはスペルビア兵にちょっかいを掛けていたのだが、まさかトラも加担しに来るとは思わなかったのだ。

 

「なぁ、トラ。それはあいつらに目を付けられてもいいって事でいいんだよな?」

「当然だも、ソロンは親友だも!親友ばかりに危険な目は会わせられないも!」

 

 ソロンはトラを巻き込むまいと釘を刺すような忠告をするが、トラは怯まなかった。

 

「…そうかい。分かったよ。ただし、今回は俺メインで行く。お前はサポート。それでいいな?」

「分かったも!」

 

 親友を持つのも考えものだな。

 元気よく承諾するトラを見て呆れるも、悪い気はしないソロンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トラの新作、ロケットカムカムをどこで使おうかトラと一緒に思案しながら歩いていると、何やら騒ぎ声が聞こえた。

 

 トリゴの町ではいつもスペルビア兵が戦力補強のためコアクリスタルを使った呼び込みを行っているがそれとはまた違う喧騒だった。

 

「何の騒ぎだ?」

 

 ソロンは声がする方へ進んでいくとそこにあったのは道を遮るように燃え盛る蒼い炎だった。炎の向こう側では聞き慣れたスペルビア兵、パクスの勝ち誇ったかのような笑い声が聞こえてきた。

 

「な、何が起こってるんだも!?」

 

 状況が飲み込めないトラがあわてふためく側でソロンはあることを思い付き、トラに耳打ちをした。

 

「なぁ、トラ。そのロケットカムカムを発射してくれるか?」

「わ、分かったも!ロケットカムカム、発射だも!」

 

 トラがロケットカムカムを投げるとロケットカムカムは蒼い炎の壁を突き抜けて行った。

 その直後に鉄同士がぶつかり合う音と水が噴き出す音が同時に聞こえた事から本来の狙いから逸れて水道管にぶつかったようだ。

 

「う、うわああぁああああ!?」

 

 突然の爆発と水に慌てふためくスペルビア兵の声が聞こえる。それと同時に道を遮っていた蒼い炎が消える。

 

「今だホムラ!」

「はい!」

 

 蒼い炎が消えた先に見えたのはサルベージャースーツを着た、ソロンよりも一回り下の少年とその隣にいる少年よりも背が高い赤い少女が燃え盛る大剣を掲げている所だった。

 

「あれは…ドライバーだも!」

 

 それを見たトラは耳をパタパタ動かして興奮している。そんなトラにソロンは耳打ちをする。

 

「よし、トラ。あの二人を匿え。雑魚は俺が引き付けとく。」

「も!分かったも!」

「よし、行くぞ。」

 

 トラの肯定を確認すると、ソロンは直ぐ様ポケットに入れてあるかんしゃく玉を取り出し、物陰に隠れる。

 そして、サルベージャーの少年が目の前を横切った瞬間、ソロンは手に持っていたかんしゃく玉を地面にばら蒔いた。

 

 パン!パパパパパパ!

「うわ!なっ、何だこれは!?」

 

 足元から聞こえる破裂音に驚くスペルビア兵。そんなスペルビア兵の前にソロンは躍り出た。

 

「よぉー!目標追いかけるのも良いけど、足下もちゃんと見なきゃダメだぜ!スペルビアの兵隊さーん!」

 

 小馬鹿にするような声でスペルビア兵を煽る。その声に反応したスペルビア兵はソロンを見つけると苛立たしく声をあらげた。

 

「またお前か!今はお前に構ってる時間などない!」

「へぇー?そうなの?そりゃあ、お勤めごくろーさーん。」

「…っ!この…!あのドライバーを捕らえたら次は貴様だからな!」

 

 憎々しげに吐き捨て、サルベージャーの少年を追いかけるスペルビア兵をソロンは手を振って見送る。そして退散しようとした瞬間、

 

「待ちなさい。そこのグーラ人。」

 

 後ろから呼び止められた。それと同時に先程見た炎の壁がソロンの目の前に立ちはだかる。さっきよりかは炎の勢いは弱いが、何の力を持たないソロンには通れないほどだ。行く手を遮られたソロンはゆっくり振り向くと、そこには水を被っている状態から少し回復したのか、ソロンを睨み付ける蒼い炎のような糸目美女がソロンに一歩ずつ歩み寄っていた。その後ろには見慣れたパクス警備長もいる。

 

「貴方、公務執行妨害というものをご存知で?」

 

 有無を言わせないほどの圧を放つ糸目美女。ソロンはこれまで味わったことがないほどのプレッシャーに思わず冷や汗が出る。

 

「…さぁねぇ。何せ俺は田舎者だ。グーラの辺境からやって来た者でさぁ。」

 

 しかし、ソロンは強者の圧に呑まれぬよう調子を崩さずに軽口を言う。それでも糸目美女は油断をせず武器である剣をソロンの喉元に突き付け、詰め寄る。

 

「今度という今度は観念しろ問題児め!この方はスペルビアの宝珠と呼ばれているカグツチ様だ!いくらお前であろうと捕まえるのは容易いぞ!」

 

 パクス警備長が横からソロンに糸目美女、カグツチの説明をする。そして、直ぐ様カグツチに向き直ってお辞儀をした。

 

「ありがとうございます、カグツチ様。この者はこのグーラに駐屯しているスペルビア兵ばかりにちょっかいをかけ、逃げ足も早いもので捕らえられず、悩みの種でありました。」

 

 パクス警備長が自分の紹介をしている間、悟られぬよう素早く周りの状況を見渡し、そして口を開いた。

 

「ご紹介ありがとう。じゃあ、さようなら!」

 

 パクス警備長の話を終えたタイミングで足下に忍ばせていた玉を踏みつける。その瞬間、ソロンの足元から眩い閃光が解き放たれた。

 

「な、これは!?」

「う、うぉおおお!?」

 

 カグツチとパクスは突然、目に刺さるような光に腕で顔を防御し、光が収まった後まぶたを開けると、そこにソロンの姿は無く、立っていたであろう場所には真っ二つに割れた玉のような物があるだけだった。

 

「く、くそっ!抜け目ない奴め!」

(スペルビア兵ばかりにちょっかいをかけ、尚且つあの状況からも脱する事が出来る程の機転と逃げ足の早さ…一応メレフ様の耳に入れておいた方が良さそうね…。)

 

 地団駄を踏むパクス警備長を尻目に、カグツチは先程の青年が天の聖杯に肩入れする可能性を考慮するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!あのドライバーは見つかったか?」

「駄目だ。こっちにもいない。やむを得ん、撤収するぞ。」

「くそ…それもこれも全部あのガキのせいだ。」

「全くだよ。いつも忘れた頃にひょっこり現れて、煙のように消えやがる。…ちくしょう、思い出すだけで腹が立ってきた!」

「もうよそうぜ。あいつの事考えただけで胃に穴が開きそうだ。」

 

 目標を見失ったスペルビア兵はそう愚痴を吐きながら駐屯基地へと戻っていく。そのスペルビア兵が立っていた場の近くにあった樽の蓋が動き、中にいたソロンが顔を出した。

 

「行ったか…。さーてと、厄介な奴に絡まれたがなんとか逃げれたな。…出来れば、もう二度と会いたくないけどな…。」

 

 樽から出ながらソロンはカグツチと呼ばれた女性の威圧を思い出して身震いしながらトラの家へ向かおうとした。が、

 

「…ん?」

 

 スペルビアの駐屯基地に巨大な巨神獣戦艦が停泊してきた。それは遠目から見ても分かるほどの巨体で、ソロンは思わず足を止めたのだ。周りにいる人も初めて見る大きさの巨神獣戦艦にどよめき始める。

 

「何だ…?スペルビアの偉い人が来たのか?…まぁ、こんな辺境までご苦労なこった。」

 

 気にすることはないだろう。そう判断したソロンは改めてトラの家へと向かったのだった。




メギドキャラの登場はもう少し待ってね。
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