ゼノブレイド2 指輪の継承者   作:shinp

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むぅ、今回は難産だったかな…。




イーラ襲来

「はぁ…。よ、ようやく解放された…。」

 

 フォカロルの長い説教がようやく終わったソロンは疲れた表情でレックスたちの元へと戻る。レックスたちは勇ましの修練場、先ほどソロンとフォカロルが模擬戦をしていた場所で治療をしていた。

 

(…うん?ホムラも怪我を?)

 

 しかし、ソロンはホムラもレックスと同じ箇所に包帯を巻いている事に気付き、不思議そうに見ていた。

 ヴァンダムもソロンと同じ疑問を抱いていたようで、ホムラとレックスを交互に見て驚いた。どういう事か尋ねるとレックスはホムラと同調した経緯を語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コアクリスタルで命を繋ぐって…改めて聞いてみると嘘かって思うよな…。」

 

 ヴァンダムに話している内容を側で聞いていたソロンは腕を組んで唸る。

 

「流石は伝説のブレイドって事なのかねぇ…。」

 

 イニエも感心したように呟く。何せレックスの鎖骨から少し下、胸にあるペケ字型のコアクリスタルがホムラに命を分けてもらった証など考えられるわけがない。だが事実でもある。そんなレックスにアガリアレプトが話しかけた。

 

「レックス。お節介かもしれないけど言っておくわ。ブレイドはどんな致命傷を負ってもドライバーが居れば回復できる。でも、あなたたち二人は違う。お互いに感覚を共有しているのなら、これからは痩せ我慢や無茶な行動はしない方がいいわ。」

「アガリアレプトと同意見だ。お前は伝説のブレイドのドライバーとは言え、まだ未熟だ。常に互いの状態を意識しろ。何か異常を感じたならすぐに話しかけろ。コミュニケーションを怠るな。」

 

 アガリアレプトは二人の身を案じて注意し、フォカロルはクドクドとアドバイスをする。アガリアレプトとフォカロルが話しているときイニエの目が泳いでいたが前にも似たような無茶をしたのだろうか。

 

「大丈夫さ。一人前のドライバーはブレイドを守るんだろ?ならオレは、ホムラを守ってみせる。」

 

 しかし、レックスは二人の注意にそう返す。だが、それに異を唱える人物がいた。

 

「バカ野郎!口で言えるほど簡単な事じゃねぇぞ!」

 

 異を唱えたのはヴァンダムだった。傭兵として、ドライバーとして積んだ経験から言えるのだろう。

 

「ヴァンダムさん…オレさ、この命をくれたホムラのために二度と死なないって、決めたんだ。だから絶対に死なない。そして必ず、楽園へ行ってみせる。ホムラと一緒にね。」

 

 レックスは自分の心配をする三人に対し、真っ直ぐで純粋な目でそう返す。自分がそう決めたから。絶対に引き返さない。そんな目をしていた。

 

「お前…。」

「フッ、なら休憩を終えたらすぐに訓練をしてやろう。最低限戦える程度の実力を付けてやる。」

「…まったく、男ってどうしてこう頑固なのかしら。」

 

 そのレックスの表情を見た三人は三者三様の反応を見せた。ヴァンダムは驚いたように目を見開き、フォカロルは面白そうに口角を上げ、アガリアレプトは呆れながらも笑みを浮かべていた。その様子を遠巻きに見ていたイニエは納得したかのような笑みを浮かべながらソロンを横目で見る。

 

「なるほど、ね。ちっちゃい頃から危ない橋を渡らないアンタがグーラを出た理由。分かった気がするよ。」

「…成り行き上、仕方なくだよ。」

 

 ソロンの反論に「どうだか。」と返しながらイニエはレックスに視線を戻した。

 レックスがソロンではなく、自分と出会っていたなら、どうなっていただろう。そんな『もし』を考えかけて、頭を振って引き離した。何を感傷的になっているのか。そう自虐的になりながら視線を上げると、

 

「楽園に行く?聞き捨てなりませんね。」

 

 聞き覚えのない声がレックスの決意を否定してきた。

 

「困るんですよ。脇役ごときにでしゃばった真似されるとね。脚本が台無しじゃないか。」

 

 声がした方に視線を向けると赤い縁の眼鏡を掛けた青鎧の青年がいた。傍らには彼のブレイドらしき女性もいる。

 

「ヨシツネ!?」

 

 ニアが青年を見て驚く。おそらくニアの知り合いなのだろう。だが、ニアにヨシツネと呼ばれた青年は呆れたように眼鏡の位置を調整する。

 

「裏切り者に名前を呼ばれる覚えはありませんよ。」

「うっらぎっり者♪うっらぎっり者~♪ニアちゃんったらとんだ悪女だったってワケだ~♪きゃはははは!」

 

 ヨシツネの側にいる背中に羽を生やしたブレイドもニアを裏切り者と囃し立てている。

 

 ロクな奴じゃない。そう直感したソロンはゼパルの双剣を持ち、警戒を最大限まで引き出す。

 

「アタシは裏切ってなんか…!」

「なら、何故そこに?そこがあなたの居場所とでも?」

「それは…!」

「…俺たちに何の用だ?」

 

 ニアは自分の主張にそう返され、口ごもってしまう。ソロンはそんなニアに変わってヨシツネに話しかける。

 

「そりゃあ、そこの天の聖杯ですよ。主演女優の姿を見ておきたいじゃないですか。」

 

 ヨシツネはさも当然のように答え、ホムラを一瞥する。

 

「…シンの差し金かい?」

 

 ニアはヨシツネが来たのはイーラの首魁であるシンに言われたのか尋ねる。すると、ヨシツネはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりにご明察!と答えた。

 

「あ、そうそう。シンからあなたの事は好きにするようにって言われましたよ。」

「シンが!?嘘だ!」

 

 その後、付け加えられた報告にニアは声を荒げる。これまで拠り所だった組織のトップが、手を差しのべてくれた人物が自分を切り捨てた事が信じられなかった。

 

「おやぁ、ショック?見限られないとでも思ってた?お花畑すぎるでしょう!」

 

 そんなニアをヨシツネは嘲笑う。元仲間とはいえ、ここまでニアを貶すヨシツネにソロンは双剣の柄を握り締める。

 

「ともあれ、あなたたちの出番はここで終わりです。まとめて退場してください!」

 

 ヨシツネは舞台の演者のようにそう言うと、二振りの刀を抜いた。この場にいる全員、始末するつもりのようだ。すると、後ろから怒りが籠った声が聞こえた。声の主はヴァンダムとフォカロルだった。

 

「これまでイーラの手で多くのドライバーが命を奪われてきた…。俺ら傭兵団だって例外じゃねぇ。コアクリスタルを奪うのが目的って話だ…。」

「奴がイーラのヨシツネか!ユウ!ズオ!村の子供や非戦闘員を訓練通りに避難させろ!」

「分かったッス!」「わぁーかったぁ!」

 

 フォカロルが言い終わる前にユウとズオは村の方へと走っていった。そして、修練場に残ったレックスたちがヨシツネに迎え撃つべくそれぞれ武器を抜いた。

 

「いいかい。ヨシツネのブレイド、カムイは空間のエーテルエネルギーを操ってこっちの属性と相反する場を一瞬で作り出すことができるんだ。」

「つまり気の抜けねぇ敵ってワケだ…行くぞぉ!」

 

 ニアはヨシツネのブレイドの情報を教えるとヴァンダムが声をあげる。

 

「…フォカロル、準備にはどれぐらい掛かるかしら?」

「…あの余裕の表情は俺たちを危険分子と見ていない。不意を突けるなら最短で4分だ。」

 

 アガリアレプトがフォカロルに耳打ちするとフォカロルが時間を告げる。

 

「十分よ。」

 

 アガリアレプトはそれだけ言うと体内時計を4分にセットし、ヨシツネへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 ヨシツネは大人数が相手にも関わらず余裕の表情で渡り合う。イニエとヴァンダムは互角に渡り合っているが、レックスたちは追い付けずにいた。経験が足りない上にニアは攻撃に適していないからだ。

 

「ゼパル!行けぇ!」「うん!」

「ホムラ!オレたちも!」「はい!」

 

 ソロンとレックスがそれぞれ自分のブレイドに武器を投げ渡し、アーツを放つ。紅蓮の炎が修練場の一部を紅く染めあげる。

 

「光栄ですよ!天の聖杯と同じ舞台に立てるなんてねぇ!」

 

 しかし、炎の中から飛び出したヨシツネがホムラを庇おうとしたゼパルを蹴り飛ばし、ホムラを壁に叩きつけた。

 

「ぅあ!」「ゼパル!」

「あぁ!」「ぐぁ!?」

 

 ホムラと感覚を共有しているレックスが苦悶の声をあげる。その声を聞いたヨシツネは眼鏡越しに不思議そうにレックスを見た。

 

「なぜ、ドライバーが?」

「なんかぁ、ダメージが連動してるみたいね、あの二人。」

 

 カムイの呟きを聞いたヨシツネは口角を上げて不気味に笑った。

 

「へぇ、天の聖杯は今…人と同じで不死身じゃないんだ…。」

(マズイ…!)

 

 ゆっくりと武器を構え直しながらホムラに迫るヨシツネを見たソロンは咄嗟に道具袋を漁り、ロープを取り出すとヨシツネの足めがけて素早く投げた。

 

「ん?」

 

 足に絡まった感触がしたヨシツネは自分の足下を見る。ソロンはロープがヨシツネの足に絡まったと同時に引っ張った。

 

「うわ!?」

 

 足を掬われたヨシツネは転びそうになりながらもバランスを取り、持ち直す。そして、頬をヒクヒクさせながらソロンを睨み付けた。

 

「きゃははは!ヨシツネ、かっこわるぅ~い!」

「あのですねぇ…、端役が勝手なアドリブを入れないでくれませんか?雰囲気が台無しですよ。」

 

 カムイに笑われながらも眼鏡を上げて冷静になるヨシツネ。そんなヨシツネにソロンは鼻で笑った。

 

「はっ、急なアドリブに対して完璧に対応してこその舞台役者じゃないか?こんなしょうもないイタズラを華麗にさばかなきゃ、三流じゃねぇの?」

「…その喧しい口を閉じて、僕の舞台から今すぐに消えてください。」

 

 ホムラが岩壁に叩きつけれたダメージを共有しながらもレックスはソロンが何をしたいか察した。自分とレックスを助けようとヨシツネを煽っているのだ。

 

「ソ、ソロン、やめろ!」

 

 レックスは痛む体に鞭を打って立ち上がり、ソロンを助けようとする。が、ソロンはヨシツネの攻撃を避けながら小石でチマチマ攻撃していた。だが、完全に避けきれていないようで服や髪の毛が少しだけ切れていた。

 

 ソロンも段々顔に余裕が無くなっていっており、それだけヨシツネの攻撃が鋭い事が分かる。

 

「ぐっ…!」

「ようやく追い詰めましたよ…!」

 

 避けきれなくなって遂に背中から斬撃を受け、壁に追い詰められたソロンを見てヨシツネはイラつきを隠せない声で言う。

 

「ソ、ソロン!危ないも!」

 

 トラが叫ぶと同時にヨシツネの武器が振り下ろされる。レックスはもうダメだと思いながらも手を伸ばそうとした瞬間、

 

「まったく、無茶はするな!」

 

 ソロンとヨシツネの間に一人の青年が割って入ってきた。

 

「へへ、わりぃ教官さん。でも時間稼ぎにはなったろ?」

 

 入ってきたのはフォカロルだった。手に持っている武器は機械が駆動しているような音を出しながらヨシツネの刀を受け止めている。

 

「ああ、だが後で説教だ!」

 

 フォカロルはイタズラっぽく笑うソロンに忠告した後、ヨシツネを押し返した。

 

「くっ、次から次と…!」

 

 自分の思い通りにならない戦局に苛立ちが募るヨシツネ。距離を取ろうとバックステップしたが、フォカロルはその隙を逃さなかった。

 

「戦局は常に状況が目まぐるしく変わる!常に自分の思い通りに行くと思ったら大間違いだ!」

 

 フォカロルはヨシツネにまで説教をすると、武器を振りかざした。フォカロルの武器から聞こえる駆動音は更に激しくなり、武器の中に込められていたエーテルエネルギーがチェーンソーの形になる。

 

「己を反省しろ!!」

 

 フォカロルのアーツ、フェイタルブレードがヨシツネに届くと思った直前、カムイがヨシツネを庇うようにバリアを展開した。が、予想以上の力だったのか弾き飛ばされる。

 

「くっ…、脇役どもが揃いも揃って…!」

 

 受け身を取ったヨシツネがレックスたちを見ると、既にトラたちが庇うように守りを固めていた。

 

「興が削がれました。カムイ、物語を再考するよ!」

「りょーかい。」

 

 これ以上は無謀だと判断したヨシツネは渋々と言った具合のカムイと共にフレースヴェルグ村から出ていった。

 

「チッ!」

 

 ヴァンダムは逃げていくヨシツネの背中を見て舌打ちをする。

 そして、ニアは居場所としていた組織、それも自分を受け入れてくれた首魁が切り捨てられたも同然な事に複雑な表情を浮かべていた。

 

「は、はは…ざまぁ、見ろってんだ…。」

 

 ソロンは逃げていくヨシツネを見てそう言うと、緊張が切れたのとダメージを負っていたせいでその場で倒れてしまった。

 

「ソロン!?」「ソロン!しっかりしろ!」

 

 ゼパルやイニエ、レックスたちが自分を呼ぶ声を聞きながら気を失っていった。




サバト!アスラフィルが来ました!ベバルちゃんも来ました!やったぁ!協奏が楽しくなる!

イベントもクリアしました…。エンキドゥくん…。
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