「後は、エネルギーチャージして、起動すればいいも!」
ソロンがトラの家に戻ったとき、必要なパーツを揃えることができたようで家主であるトラがレックスたちに説明をしていた。
「よっ、どうやら集まったみたいだな。」
「ソロン、そっちの準備も終わったのか?」
「まぁな。後はトラの人工ブレイドの起動だけだ。」
ソロンに気付いたレックスにソロンは気軽に答える。
「ニアたちが処刑されてしまうまで時間がない、急ぐのじゃ!」
じっちゃんが急かせ、トラも同意するようにレバーのつかみを握る。
「分かったも!人工ブレイド、お前が目覚めるときが「ダメよ!トラくん!」え?何でダメも?」
気合いを入れていた所で急に待ったを掛けるホムラ。突然の待ったにトラは戸惑う。
「人工ブレイドなんて呼んでたら可哀想。ちゃんと名前をつけてあげて。トラくんが考えた名前を。」
ホムラは名前を付けてほしかったようだ。確かに、ブレイドはドライバーの手によって誕生する。しかし、ブレイドはヒトと同じように感情があり、好みもブレイドごとに違ったりするらしいのだ。
「ホムラ、それならもうこいつは考えてるぜ。」
ソロンがもう人工ブレイドの名前を決めていることを教えるとホムラは微笑む。
「そっか。じゃあ、迷うことないな!」
「よし、じゃあやるぞトラ!」
ソロンが気合いを入れるとトラは改めてレバーに手をかけた。
「さぁ、目覚めるも。トラだけの人工ブレイド、ハナッ!」
トラは思い切りレバーを上げた瞬間、トラの家全体が揺さぶられた。一瞬停電したり、天井裏に溜まってたホコリが落ちるほどの衝撃にその場にいた全員が息を飲むほどの緊張が張りつめる。
(…ん?そういや、トラの奴…。)
ふと、ソロンは、人工ブレイドにトラの好みを入れていたことを思い出した。
「なぁ、トラ。設定は大丈夫「おはようございます!ご主人様っ☆ミ」…あっちゃー。」
尋ねようとしたが既に遅かった。目の前の人工ブレイド、ハナは可愛らしい声でキャピっと茶目っ気があるポーズをしてしまった。
ソロンはしまったと言いたげに顔を覆い、レックスたちは目の前の人工ブレイドが見せた突然の奇行に目を丸くしていた。
「ちょ、ちょっと待ったも!せ、設定間違えたも!」
トラは慌てて電源を切り、素早く何かしらの装置を弄くり始めた。
「設定ぃ?」
レックスの呆れ声が聞こえるが、ソロンは聞かなかったことにした。
「こ、今度こそ大丈夫も。」
どうやら調節を終えたようでトラはもう一度レバーに手をかける。
「気を取り直して、スイッチオンだも!」
そう言ってレバーを上げると、さっき見た展開がもう一度起こる。だが、先程のインパクトが強すぎて一同は驚かなくなっていた。
「おはようございますも。ご主人。」
今度はキャピキャピ動くことなく、ピョコっとまぶたを開け、喋るハナ。
「せ、成功だも!これがトラの自信作!人工ブレイドのハナだも!」
「おぉ!」
「こりゃたまげたわい!」
どうやら今度は成功したようで、トラとソロンは胸を撫で下ろし、レックスたちは感嘆の声をあげる。
「どうだも?エライも?トラ、すんごいも~?」
トラは気を良くして胸を張る。
「あぁ!ホントすごいよトラ!いやぁ、さっきはビックリしたよ。てっきりそういう趣味かと…。」
レックスは素直に感想を述べたがその後の一言にトラの体が強張り、ソロンにノポン族特有のつぶらな瞳で救いを求めた。が、ソロンは関係ないと言わんばかりに目をそらす。
「ト、トラにそんな趣味があるわけないも!あ、あれは…そう!センゾーじいちゃんの趣味も!きっとそれが残ってたんだも!」
ソロンのフォローは期待できないと察したトラは反論を捲し立て、今は亡き祖父を盾にした。
「本当ですかぁ?」
しかし、ホムラは疑っているようでジト目でトラを問いつめる。トラは本当だと白を切るが、ホムラは別の方向に視線を向けていた。
「ももっ!?」
ホムラの視線の先にあったのはハナ起動の衝撃のせいか開いたタンスがあり、その中から可愛らしいメイド衣装が数着見えており、男しかいない家にその衣装があることは、完全にそういう趣味があることは明白だった。トラは言い逃れできない状況になり滝のような汗を流す。
「と言うわけですので、レックス、行きましょう!ニアちゃんを助けに!」
「ああ!」
しかし、ホムラは追及しないようでニアの救出に切り替えた。
「もも…。」
「…良かったな、トラ。」
安堵するトラにソロンが話しかけるが、
「何で助けてくれなかったんだも!?ソロンなら助けてくれると思ってたのに!フンゴフンゴもー!」
「いや、あれをどう誤魔化せっていうんだよ!?つーか、さっきのハナとあのメイド服でもう言い逃れできないだろ!」
口喧嘩になってしまった。が、二人はお互いをよく理解している間柄なので引き摺ることは無かった。
「さて、ここまで来たのは良いが…どうやって入る?」
少し時間が経って、巨神獣戦艦の下に伸びた木の根っこの上。確かに搬入口が開いておりそこから入れそうだったが、問題はその搬入口が高い位置にあったことだ。ソロンが持ってきたロープでも届かない高さに唸っていると、
「ここはオレに任せてくれ、ソロン。」
レックスがサルベージャースーツに備え付けられたアンカーを搬入口目掛け、射出した。
そして、入口に引っ掛かったアンカーを巻き上げ、搬入口へ入るとホムラの目の前にアンカーを垂らした。まずはホムラから引き上げるはずだったが…
「ぐぅっ!?お、重いぃ…!」
予想以上にホムラが重かったようで一瞬転落しかけた。
「ご、ごめんなさい!」
ホムラが咄嗟にアンカーから降りるとレックスはホムラの重さから突然解放された勢いで搬入口の奥へ転がっていった。
「レディーに向かって重いとは、デリカシーのない奴じゃのぉ。」
搬入口からじっちゃんの呆れるような声が聞こえた。
「そうだも!デリカシーないも!」
「ごめんなさい…ほんっとうにごめんなさい!」
トラもそれに便乗して注意し、ソロンは白い目で搬入口を見つめ、ホムラは恥ずかしさで火が出そうなほど赤くなった顔を手で覆い謝る。一種のカオスな状況が出来上がっていた。
「確かに、トラより重いも。でもそれは立派にセーチョーしてる証拠だも!いいことだも!すっごくいいことだも!」
「…なぁトラ。それ、フォローになってないぞ?」
「もも?」
ソロンがツッコミを入れた直後、後ろから風が吹き出した。その風の正体は、エンジンの駆動音と共に飛び上がったハナのジェット噴射の余波だった。飛び上がったハナは搬入口へと入る。
「ハナが引き上げますも。さぁ、捕まってくださいも。」
上からハナの声がしてもう一度垂らされるアンカー。ホムラは恐る恐るもう一度乗ると今度は滞りなく上がっていった。
「へぇ、ハナの奴、飛べる上に力もあるのか…。」
「トーゼンだも!今のハナの力なら、ゴンザレスもヨユーだも!」
「いや、それ大声で言うな。」
こうして、ハナの怪力によるサポートのおかげで全員無事にニアが収容されている巨神獣戦艦の中へ侵入することができたのだった。
大幻獣(ゼノブレでいうユニークモンスターみたいなもの)のミリしらを公式で出すメギド運営嫌いじゃないよ。